)” の例文
やまや、や、たにべるものがなくなってしまうと、人間にんげん村里むさざとおそってきます。そして、人間にんげんべたり、家畜かちくったりします。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたし其時分そのじぶんなんにもらないでたけれども、母様おつかさん二人ふたりぐらしは、この橋銭はしせんつてつたので、一人前ひとりまへ幾于宛いくらかづゝつてわたしました。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
すなわち人のためにする仕事の分量はりもなおさず己のためにする仕事の分量という方程式がちゃんと数字の上に現われて参ります。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「うん、うん、それはおまえうとおりだとも。だからねずみのうことはげずにかえしてやったのだから、安心あんしんおしなさい。」
猫の草紙 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
億圓おくゑん正貨せいくわたことは、輸入超過ゆにふてうくわ日本にほんつては出來過できすぎであると批評ひひやうがあるが、それはまさしく左樣さやうであらうとおもふ。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
油断ゆだんをしているうちに、達二たつじはいきなり山男に足をつかまいてたおされました。山男は達二を組みいて、刀をり上げてしまいました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ものゝかんかた非常ひじやう鋭敏えいびんで、はなみゝはだなどにれるものをするどることの出來できめづらしい文學者ぶんがくしやであつたことをせてゐます。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
わたくし竜宮行りゅうぐうゆきをするまえに、所中しょっちゅうそのおやしろ参拝さんぱいしたのでございますが、それがつまりわたくしりて竜宮行りゅうぐうゆき準備じゅんびだったのでございました。
「一人息子をあれまで育てて、これからかかろうという矢先にそんな悪い病気にっつかれては……」と老妻かみさんはしみじみと同情した。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
我我の行為を決するものは昔の希臘人ギリシアじんの云った通り、好悪の外にないのである。我我は人生の泉から、最大の味をらねばならぬ。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「ほんじゃ、明日の二時の汽車にしんべかな?」と豊作は、前々からの約束を、そして今朝のめを、再びそこに持ち出した。
駈落 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
もう打っちゃっては置けないので、庄太がつかまえて詮議すると、いや、もう、意気地のない奴で、小さくなって恐縮している。
半七捕物帳:54 唐人飴 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
いぬかわをかぶって、おせんのはだかおも存分ぞんぶんうえうつってるなんざ、素人しろうとにゃ、鯱鉾立しゃちほこだちをしても、かんがえられるげいじゃねえッてのよ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
顏中かほぢゅうのどこも/\釣合つりあひれて、何一なにひと不足ふそくはないが、まん一にも、呑込のみこめぬ不審ふしんがあったら、傍註わきちゅうほどにもの眼附めつきや。
初恋にう少年少女のたわいのない睦言むつごとりに過ぎないけれども、たがいに人目をしのんでは首尾していたらしい様子合いも見え
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
かききなお百姓ひやくしやう子供こどもあをかきましたが、つてべてたびしぶさうなかほをして、べかけのをてゝしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
何故息をいたかといふと、こんな式位で噂に聞いた大蛇おろちの祟りが無事にけられるものか、うか疑はしかつたからである。
ドクトルは其後そのあとにらめてゐたが、匆卒ゆきなりブローミウム加里カリびんるよりはやく、發矢はつしばか其處そこなげつける、びん微塵みぢん粉碎ふんさいしてしまふ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
自分じぶんうまはのろくてとてもかなひませんので、そのうまをほしくおもひ、いろ/\はなしをしてうまりかへてもらひ、よろこんでいへへかへりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
第一、生れて一度も手紙のりなんかしたこともない。けれど私は信じていた。行けばきっと私を受け入れてくれるだろうと。
しいつちんだらしてれえ」かれはいつた。おつぎは戸棚とだなから煎餅せんべいを一まいして與吉よきちわたした。與吉よきちはすつとうばやうにしてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
りよ小女こをんなんで、汲立くみたてみづはちれていとめいじた。みづた。そうはそれをつて、むねさゝげて、ぢつとりよ見詰みつめた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
此次このつぎ座敷ざしきはきたなくつてせまうございますが、蒲団ふとんかはへたばかりでまだあかもたんときませんから、ゆつくりお休みなさいまし
何も彼も段落が付いてしまったから、千種十次郎は、足の勇をめる勇気もありませんでした。それほど勇は悄気しょげ返って居たのです。
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
帽子屋ばうしやッた一人ひとり場所ばしよへたために一ばんいことをしました、あいちやんは以前まへよりもぽどわりわるくなりました、だつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
当主の、福子の良人には父にあたるその人は、温厚おんこう一途いちずで、仕事の上のことでは、まだまだ隠居のの下にいた。
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
なんだって、おまえへい乗越のりこえてて、盗賊ぬすびとのように、わたしのラプンツェルをってくのだ? そんなことをすれば、いことはいぞ。」
せめていへひとつて、ものをいはうとしても、それさへつてくれぬ始末しまつで、人々ひと/″\はいよ/\んでさわぐのでした。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
湯原ゆがはら温泉をんせんぼくになじみのふかところであるから、たとひおきぬないでもぼくつて興味きようみのないわけはない、しかすでにおきぬつたのちぼくには
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
想像さうざうすれば、始終しじう青一色チンイイソオをさせたり、滿貫役まんぐわんやくをつけさせたりするのだらうが、それが自然しぜんりの阿堵物あとぶつになることはふまでもない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
おや/\とおもひながら、なほねんれてつちつてると、把手とつての一のみけて完全くわんぜんなる土瓶どびんであつた。(第三圖イ參照)
とほざかるが最期さいごもうゑんれしもおなじことりつくしまたのみもなしと、りすてられしやうななげきにおそのいよ/\心細こヽろぼそ
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「今は云わぬよ! 何にも云わぬよ! ……しかし生かしては置かれない! ……今日中に命をるがいい! ……手が入ったら一大事だ」
前記天満焼 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
御持參有しに間違まちがひも有まじと思ひ右品引換ひきかへに金子御渡し申したりとくしして見せければ傳吉は再び仰天ぎやうてんなしたりしが心を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へば、あたまから青痰あをたんきかけられても、かねさへにぎらせたら、ほく/\よろこんでるといふ徹底てつていした守錢奴しゆせんどぶりだ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
たゞ此斥候このせつこう報告書ほうこくしよともづくべきものは、たん地震波ぢしんぱ種々しゆ/″\形式けいしきのみであるから、これを書取かきと其上そのうへにそれをることを必要ひつようとする。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
金魚屋きんぎょやは、その住宅じゅうたく土地とちとを抵当ていとうにして老人ろうじんられて、さいさい立退たちのきをせまられている。怨恨えんこんがあるはずだと、当局とうきょくにらんだのであつた。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
里親の家来筋や親戚が訪れてくれば、何でもそれに話してしまうし、義元の奥向きの誰彼へも、始終、文使いなどりしているのである。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
んだ八当やつあたりで貴方へ御迷惑が懸りますやうでは、何とも私申訳がございませんから、どうぞそれだけお含み置き下さいまして、あしからず……。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神と悪魔との反対面をそなえて持つ科学に、われ等はかれているのだ。くのごとき科学力時代に、科学小説がなくていいであろうか。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
先刻さつきうつくしいひとわきせきつたが、言葉ことばつうじないことがわかつたところで、いま日本語にほんごのよくはなせるお転婆てんばさんらしいおんな入替いれかわつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そしてのこつた四分しぶんさんあめからえだえだからみきながれて、徐々じよ/\地面じめんち、そこにあるられるのです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
是等これらは肉の大部分をりたる後、尚ほのこりて付着ふちやくし居る部分をば骨と共に前述の土器に入れて煮たる事を示すものの如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
多少たせう私達に好意かういを持つてくれる人達ひとたちは、に/\氣遣きづかひの眼をもつて私達にのぞみました。それは私達の眞意しんいなかつたからなのでした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
いろいろたずねてみるとようすがわるい、きゅうに医者いしゃにも見せたがまにあわなく、そのうちまもなくいきった。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
矢張やはぼく友人いうじんだが、——今度こんどをとこだが——或奴あるやつからすこるべきかねがあるのに、どうしてもよこさない。いろ/\掛合かけあつてたがらちがあかない。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
その中にひょろ長い体に糸がからんで動けなくなる。それを朝行ってめて来る。尤もこれは理論で、実際は蚯蚓を寄進につくことの方が多い。
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それがただ一つの記念である。誰が何といおうとも、これだけは彼の体かられない。彼のために彼を笑ってやれ。
「うむ。つぎに、烏羽玉組うばたまぐみとやら申すり強盗の輩がいよいよ跳梁ちょうりょうしおるとのことだが、また、例のあの一派の浪人ばらの動静はどうじゃな」
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
はだはなめたように病的である。絵のつたなさ俗さ、形の弱さいじけさ、そうして色の薄っぺらなこと、どこにもがない。近くに報恩寺の窯がある。
雲石紀行 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)