)” の例文
しかし彼は母にそんなことをめる柄だろうか。彼は詩ばかり書いていて、一体何になる気かと問われても、返事さえできないのだ……
「グリイリイ君、君にはお気の毒だが僕は今日限り君とこの新聞をめたよ。どうも社説の議論が気に喰はないもんだから。」
「明日の朝が早いから、くどいようだが火を頼みますぜ、此処は火をめられてる処なんだからね、いつもと違って預かった物があるんだから」
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
禁厭きんえんをまじないやむるとんでいるのは古いことだ。神代じんだいから存したのである。しかし神代のは、悪いこと兇なることを圧しむるのであった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
お雪は何事でも心の儘に育てられてゐるけれど、其山毛欅の木に近づく事だけは、堅く老爺からめられてゐた。
散文詩 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
それは私が厳重にめられてゐる囲みを破つて、無邪気に書斎に侵入して、父の動静を見て来ると云ふのである。
父の死 (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
こなたに腰掛けたまま、胸を伸して、早瀬が何か云おうとした、(構わず休らえ、)と声を懸けそうだったが、夫人が、ト見て、指をはじいてめたので黙った。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その長いびろうどのやうな肢を見るとすぐアムブロアジヌお婆あさんは恐怖の叫び声をめる事が出来ませんでした。そしてその肩を震はせて、虫を落しました。
いつぞやは、これをやるんじゃないよと言って、お前さんにめだてをしたわたしだけれど、もうこうなったら仕方がない。まあ一杯やって、その炭火を消すがいいさね。
蘇我臣一流ひとながれで最栄えた島の大臣家おとどけの亡びた時分から、石城の構えはめられ出した。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
駒井のかおを見ていると、むらむらとして、衷心ちゅうしんの憤りと、憎しみとが、湧き起るのをめることができないと見えて、そのこぶしがワナワナと動いて、とみには口もけないでいるのを
大菩薩峠:22 白骨の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
なおその読みつつあるお経の文句の意味などを考えると、そぞろに涙のずるをめ得ない。かかるありがたい普賢菩薩ふげんぼさつ願文会がんもんえにおいても、悪いやつはどうしても化せられぬものか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
私の口から云うのも何で御座いますが、親父は市場でも相当顔の利いた禿頭はげで御座いましただけに、その頃はまだ警察からめられておりましたフクを平気で自宅うち副食物ごさいにしておりました。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
煙草たばこめてあるくらゐなら、小乗論は勿論もちろんいけないよ」
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
それも今はめられてしまいましたがね。でも以前家にいた頃は、まだ弾いておりましたの。父とわたくしと二人で合奏をいたしたものでしたわ。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
初めの間こそお前はまだ余り小いからとめてゐたが、根が悪い事ぢや無し、父も内心には喜んだと見えて、到頭或日学校の高島先生に願つて呉れて、翌日からは私も
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
御上人様やら十兵衞への義理をかねて酷く叱るか出入りをむるか何とかするでござりませうが、元はといへば清吉が自分の意恨で仕たではなし、畢竟つまりは此方の事のため
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ラツパ——これはあんまり騒々しい音を出しますから叔父さんから吹くのをめられてゐます——や、そして此の名高い箱船の中には、エミル一人だけが知つてゐるいろんなものがはいつてゐます。
いづのむしろをめられて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
お上人様やら十兵衛への義理をかねて酷く叱るか出入りをむるか何とかするでござりましょうが、元はといえば清吉が自分の意恨でしたではなし、つまりは此方こちのことのため
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
淋しくて/\たまらぬ所から、毎日の樣に好人物の父に強請ねだつた爲なので、初めの間こそお前はまだ餘り小さいからとめてゐたが根が惡い事ぢや無し、父も内心には喜んだと見えて
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「うちのヒンツペエテル博士から特別にめられてるのは、お前知っとるだろう、ダアリング。ちょっとふんばりさえすりゃいいんさ。なあ。前にもいうた通り、気管支なんだからのう。」
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
撞見でつくわしては拙からう、と愛想は無けれど真実はある言葉に、お吉嬉しく頼み置きて帰れば、其後へ引きちがへて来る源太、果して清吉に、出入りをむる師弟の縁断るとの言ひ渡し。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
撞見でっくわしてはまずかろう、と愛想はなけれど真実はある言葉に、お吉うれしく頼みおきて帰れば、その後へ引きちがえて来る源太、はたして清吉に、出入りをむる師弟の縁るとの言い渡し。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)