トップ
>
鎔
>
と
ふりがな文庫
“
鎔
(
と
)” の例文
それは別の話として、鉄成分の宇宙塵の中で大きいものは、
鎔
(
と
)
けて鉄の小球となり、燃え切らないで地表まで達する。これが流星球である。
比較科学論
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
これはその
山體
(
さんたい
)
を
作
(
つく
)
つてゐる
岩石
(
がんせき
)
(
玄武岩
(
げんぶがん
)
)の
性質
(
せいしつ
)
に
因
(
よ
)
るものであつて、その
鎔
(
と
)
けてゐる
際
(
さい
)
は
比較的
(
ひかくてき
)
に
流動
(
りゆうどう
)
し
易
(
やす
)
いからである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
太陽には未だ何の異状も無い、多分太陽の大熱火の為に、かの暗黒体が、
鎔
(
と
)
けて蒸発して消えたであろう、と人々は思った。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
それは古来の竹取の翁の物語に結びつき、そうして平安朝の詩人の空想のるつぼに
鎔
(
と
)
かされたものであったろう。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
かの妓
躍気
(
やっき
)
で、君は今堅い事のみ言うが、おのれ
鎔
(
と
)
かさずに置くべきか、していよいよ妾に堕された日は、何をくれるかと問うと、その場合には五馬を上げよう。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
藤尾は
滑
(
なめ
)
らかな
頬
(
ほお
)
に波を打たして、にやりと笑った。藤尾は詩を解する女である。駄菓子の鉄砲玉は黒砂糖を丸めて造る。
砲兵工廠
(
ほうへいこうしょう
)
の鉄砲玉は鉛を
鎔
(
と
)
かして
鋳
(
い
)
る。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
不生不滅、
実報
(
じっぽう
)
寂光
(
じゃっこう
)
の生き身をかたどり、天皇自ら磨かれたという金銅十六丈の
廬遮那仏
(
るしゃなぶつ
)
も首が焼け落ちて大地に転がり、身体は熱に
鎔
(
と
)
けて醜い青銅の堆積とはなった。
現代語訳 平家物語:05 第五巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
「スメルトクルース、つまり
鎔坩
(
るつぼ
)
のことだ、鉱物を
鎔
(
と
)
かす鎔坩のことを書いてある
和蘭
(
オランダ
)
の原書だ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
鞍馬法師は
雄黄
(
ゆおう
)
を
鎔
(
と
)
いて
小瓶
(
こびん
)
に入れ、富子の閨房へ往ってみると、枯木のような
角
(
つの
)
の生えた雪のように白い蛇が三尺あまりの口を開け、
紅
(
くれない
)
の舌を吐いて
室
(
へや
)
の中一ぱいになっていた。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
死ぬることへ、まっすぐに一すじ、明快、完璧の鋳型ができていて、私は、
鎔
(
と
)
かされた鉛のように、鋳型へさっと流れ込めば、それでよかった。何故に縊死の形式を選出したのか。
狂言の神
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
高い、真黒な大屋根の上へ、
鉛
(
なまり
)
を
鎔
(
と
)
かす
炉
(
ろ
)
の
熱火
(
ねっか
)
が、
赫々
(
あかあか
)
と反射していた。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しばらくして東の空
金色
(
こんじき
)
に染まり、かの星の光
自
(
おのず
)
から消えて、地平線の上に現われし連山の影
黛
(
まゆずみ
)
のごとく峰々に戴く雪の色は夢よりも淡し、詩人が心は
恍惚
(
こうこつ
)
の境に
鎔
(
と
)
け、その目には涙あふれぬ。
星
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「忍藻いざ早う来よ。蝋
鎔
(
と
)
けたぞや。
和女
(
おこと
)
も塗らずか」
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
水月
(
くらげ
)
のやうに音もなく
鎔
(
と
)
け入るであらう。
メランコリア
(新字旧仮名)
/
三富朽葉
(著)
鎔
(
と
)
かすの
惧
(
おそ
)
れがある
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
石のうち
鎔
(
と
)
けぬ性質を帯びたのは、先刻既に焼け砕けて、灰となり、
微塵
(
みじん
)
と変じた。家々の
礎
(
いしずえ
)
までも今は残らず粉である。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
それをだんだん釜の中に入れて烈火で
鎔
(
と
)
かし、鬼は数疋の仲間に、杓をもってそれを曾の口に
灌
(
そそ
)
がした。
頤
(
おとがい
)
を流れると皮膚が臭い匂いをして裂け、喉に入れると臓腑が沸きたった。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「別に面白いというべきものではない、ただ鉄を
鎔
(
と
)
かす方法が書いてあるのだ。イギリスの
鎔坩
(
るつぼ
)
は鋼鉄を鎔かすことができるとか、イプセルとはどうだとかいうことが書いてあるのだ」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ツェツェス説に鵺ベレロフォンに火を吐き掛けんとした時、ベ
予
(
かね
)
て
鋒
(
ほこさき
)
に鉛を付け置いた鎗をその口に突っ込み、鉛
鎔
(
と
)
けて鵺を焼き殺したと。また後世飛馬ペガソスを文芸の女神団ムーサの使物とす。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
鉄類はすべて
鎔
(
と
)
け、石造の物は皆
微塵
(
みじん
)
に砕けます。
暗黒星
(新字新仮名)
/
シモン・ニューコム
(著)
鎔
漢検準1級
部首:⾦
18画
“鎔”を含む語句
鎔合
鎔炉
鎔鉱炉
鎔岩
赤熱鎔岩
鎔和
鎔坩
鎔岩丘
鎔岩塔
鎔岩流
鎔岩流出
鎔接
鎔融状
鎔融状態
鎔解爐
鎔鐵爐