)” の例文
多年の揣摩ずいま一時の宏弁こうべん、自然に備わる抑揚頓挫とんざあるいは開き或はじて縦横自在に言廻わせば、さぎからすに成らずには置かぬ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
押し強くも帝釈宮の門まで往ったが堅くざされてヤモリが一疋番しおり、この金剛石門は秘密の呪言で閉じられいるから入る事はかなわぬと語る。
曰く、われ聞く、前代の大臣の吏に下さるゝや、多く自ら引決すと。身は高皇帝の子にして、南面して王となる、あに僕隷ぼくれいの手にはずかしめられて生活を求めんやと。ついきゅうじて自ら焚死ふんしす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ただ炳文の陣に熟せる、大敗してしかついえず、真定城しんていじょうに入りて門をじて堅く守る。燕兵かちに乗じて城を囲む三日、下すあたわず。燕王も炳文が老将にして破りやすからざるを知り、を解いてかえる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)