トップ
>
只
>
と
ふりがな文庫
“
只
(
と
)” の例文
只
(
と
)
ある橋の上で馬が
躓
(
つまず
)
いたために落ちて怪我をした事など、有る事無い事、紅矢から聞いた話に添えて、詳しく話して聞かせました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
何んだか
生温
(
なまぬる
)
い湯にでも入ツてゐるやうな
心地
(
こゝち
)
……、
幻
(
うつゝ
)
から幻へと幻がはてしなく續いて、
種々
(
さま/\
)
な影が眼前を過ぎる、……
只
(
と
)
見
(
み
)
ると、自分は
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ボートから上つて、雜木林を一丁ほど歩いて、
只
(
と
)
ある
空地
(
あきち
)
に出ると、其處に六頭の馬と六人の馬子が私たちを待つてゐた。
湖水めぐり
(旧字旧仮名)
/
野上豊一郎
(著)
鷲郎は原来
猟犬
(
かりいぬ
)
にて、かかる路には慣れたれば、「われ
東道
(
あんない
)
せん」とて先に立ち、なほ路を急ぎけるほどに、とかくして
只
(
と
)
ある
尾上
(
おのえ
)
に出でしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
すると
後
(
あと
)
の方から荷を担いで来る人の足音に、
只
(
と
)
見れば幸右衞門の伜圓次郎と云って、今年廿五歳になり、多助とは
極
(
ごく
)
中好
(
なかよ
)
しの友達でございます。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
只
(
と
)
ある伯爵家の裏門の前で俥を停めさせて、
若干
(
そこばく
)
の代を取らすや否や
周章
(
あわ
)
てて
潜門
(
くぐり
)
の奥深く消えたという新聞は
尋常事
(
ただごと
)
ならず思われて、噂は忽ち八方に広がった。
四十年前:――新文学の曙光――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
するに空腹なる時は途中にて
困
(
こま
)
るならんと
只
(
と
)
ある杉酒屋へ入て酒を五合
熱燗
(
あつかん
)
に
誂
(
あつら
)
へ何ぞ
肴
(
さかな
)
はなきやと問に最早
皆
(
みな
)
賣切
(
うりきれ
)
鰹
(
かつを
)
の
鹽辛
(
しほから
)
ばかりなりと答へけるを
夫
(
そ
)
は何よりの品なりとて五合の酒を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其
剣幕
(
けんまく
)
に驚きまどひて予も
慌
(
あわ
)
たゞしく
逃出
(
にげい
)
だし、
只
(
と
)
見
(
み
)
れば犬は何やらむ口に
銜
(
くは
)
へて躍り狂ふ、こは怪し口に銜へたるは
一尾
(
いちび
)
の
魚
(
うを
)
なり、そも何ぞと見むと欲して近寄れば、
獲物
(
えもの
)
を奪ふとや思ひけむ
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
或日黄金丸は、用事ありて里に出でし
帰途
(
かえるさ
)
、独り
畠径
(
はたみち
)
を
辿
(
たど
)
り
往
(
ゆ
)
くに、
只
(
と
)
見れば
彼方
(
かなた
)
の山岸の、野菊あまた咲き乱れたる
下
(
もと
)
に、黄なる
獣
(
けもの
)
眠
(
ねぶ
)
りをれり。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
あとに残った藍丸王は、どっちとも解らず、只その声の
為
(
す
)
る方に迷い迷うて、いつの間にか
只
(
と
)
ある谷の奥深く、真暗な杉の木立の中へ這入って仕舞った。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
座敷の
真中
(
まんなか
)
に
投
(
ほう
)
り出してありますは結構な脇差で、
只
(
と
)
見ると赤銅七子に金の三羽千鳥の縁頭、はてなと取上げて見ると、鍔は金家の作、目貫は三羽千鳥
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
只
(
と
)
見
(
み
)
ると、持出された書類函が重なって、中から帳簿が
喰出
(
はみだ
)
していた。四方が真黒に焦げたカード箱が投出されてる傍には、赤く焼け爛れた金庫が防火の
功名
(
てがら
)
を誇り顔していた。
灰燼十万巻:(丸善炎上の記)
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
聴水は
虚々
(
うかうか
)
と、わが
棲
(
す
)
へ帰ることも忘れて、次第に
麓
(
ふもと
)
の
方
(
かた
)
へ来りつ、
只
(
と
)
ある切株に腰うちかけて、
霎時
(
しばし
)
月を眺めしが。
こがね丸
(新字旧仮名)
/
巌谷小波
(著)
そうして全く
呼吸
(
いき
)
が絶えて、うつ伏せに倒れたのを見澄まして引き返して来て、助けて行く風をして馬の上に
抱
(
かか
)
え乗せて、
只
(
と
)
或る森の中へ這入りました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
只
(
と
)
見ると、文治は
痩衰
(
やせおとろ
)
えて
鬚
(
ひげ
)
ぼう/\、
葬式
(
とむらい
)
の
打扮
(
いでたち
)
にて、
裃
(
かみしも
)
こそ着ませぬが、昔に変らぬ黒の紋付、これは流罪中
上
(
かみ
)
へお取上げになっていた衣類でございます。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
すなはち人知れず稲佐の大文字山に登り行き、
只
(
と
)
有る山蔭の大岩の下に埋め置きつ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
涎
(
よだれ
)
をたら/\
滴
(
た
)
らし這入ってまいり、
只
(
と
)
見れば
先程
(
さっき
)
の奴が自分の
形装
(
みなり
)
で居りますから、八右衞門は
突然
(
いきなり
)
此の野郎と云いながら、一生懸命に這上がって、小平の胸ぐらを掴んで放しません。
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
勘太郎は仕方なしにお弁当を作って、この樫の丸太を
荷
(
にな
)
いて、山奥の山奥のその又山奥のとても人間の来そうにもない処に持って行って、
只
(
と
)
ある岩の間へそっと立てかけて置きました。
虫の生命
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
海若藍平
(著)
と云いながら被って居た笠を取ったが、多助は心付かず、
只
(
と
)
見ますと昨年鹽原の
家
(
いえ
)
へ
強談
(
ゆすり
)
に来た道連の小平に、今一人は繼立の仁助という旅稼ぎの悪者二人ですから、多助は
恟
(
びっく
)
りしますと
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お玉はお腹は減るし足は疲れるし
只
(
ただ
)
情無
(
なさけな
)
さに「お母さん/\」と泣き叫び
乍
(
なが
)
ら
何処
(
どこ
)
を
当
(
あて
)
ども無く広野原を歩いて
行
(
ゆ
)
きましたが
其中
(
そのうち
)
に泣き疲れて
只
(
と
)
ある
叢
(
くさむら
)
の中に倒れて眠つてしまひました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
と
屈
(
こゞ
)
んで云いましたが、女の子は
能
(
よ
)
く
頭
(
かしら
)
を
斯
(
こ
)
う横にして下を
覗
(
のぞ
)
く様にして口を利くものでございますが、永禪は
只
(
と
)
見ると飛んだ処へ来た、年は
往
(
い
)
かぬが
怜悧
(
りこう
)
な娘、こりゃ見たなと思ったから
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
のみならずその辛棒の
甲斐
(
かい
)
がありまして、脱獄してから一個月目に、新旭川附近の
只
(
と
)
ある村外れで、彼女が私に暗示していた、小さな奇術劇団の辻ビラがブラ下っているのを発見しました時の
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
只
(
と
)
見ると重二郎だから
恟
(
びっく
)
りしましたが、横着者でございますから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そして、「
最早
(
もはや
)
今度は勘弁しないぞ」と思いながら、子供達を皆木の上に隠して、自分は直ぐに近所の村に行って何か探しまわった。見ると
只
(
と
)
ある小径を横切って沢山の蟻が行列を立てて行くから
猿小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
萠円山人
(著)
“只”の意味
《名詞》
(ただ)無料。ロハ。
《形容動詞》
(ただ)その他のことに関わらず。
(出典:Wiktionary)
只
漢検準1級
部首:⼝
5画
“只”を含む語句
只今
只々
只管
真只中
只事
只中
只者
只一人
瓊姿只合在瑤台
只走
只一
只人
只見
只看唯我独尊山
弓削破只
愛玉只
只麼
只聞山鳥与渓声
只知君報国満腔気
只瞻
...