“蠹(と)” の例文
鉤摭(こうせき)して説を成し、上古に合(がっ)するを務め、先儒を毀訾(きし)し、以謂(おもえ)らく我に及ぶ莫(な)き也(なり)と、更に異議を為して、以て学者を惑わす。是を訓詁(くんこ)の蠹(と)という。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
『漢書(かんじょ)』には「蘭ハ香シキヲ以テ自ラ焼クナリ」と書き、『西京雑記』には「漢ノ時池苑ニ蘭ヲ種ヱテ以テ神ヲ降シ或ハ粉ニ雑ヘテ衣書ニ蔵メ蠹(と)ヲ辟ク」
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
姦言(かんげん)を文(かざ)り、近事(きんじ)を摭(と)り、時勢を窺伺(きし)し、便(べん)に趨(はし)り隙(げき)に投じ、冨貴(ふうき)を以て、志と為(な)す。此(これ)を利禄(りろく)の蠹(と)と謂(い)う。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
耳剽(じひょう)し口衒(こうげん)し、色(いろ)を詭(いつわ)り辞(ことば)を淫(いん)にし、聖賢に非(あら)ずして、而(しか)も自立し、果敢(かかん)大言して、以て人に高ぶり、而して理の是非を顧みず、是(これ)を名を務むるの蠹(と)という。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)