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惚
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と
ふりがな文庫
“
惚
(
と
)” の例文
そして私達の詩に聞き
惚
(
と
)
れてゐる如き神妙な顔を保つてゐた彼女の様子を思ひ出すと、冷汗が泉のやうに全身に流れ出すのであつた。
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
敏
(
さと
)
くなければならない筈だが、今はまったく、
一節切
(
ひとよぎり
)
の音色にしんから聞き
惚
(
と
)
れていて、心は
時雨
(
しぐれ
)
堂の、あの虚無僧のまぼろしへ
凭
(
もた
)
れている。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
丁度夏の
午
(
ひる
)
前の事で、女客は顔の汗を拭き/\感心したやうに
幾度
(
いくたび
)
か首を
掉
(
ふ
)
つて
聴
(
き
)
き
惚
(
と
)
れてゐたが、暫くすると発明家の顔を振り向いて訊いた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
何も恐ろしい事はおぢやらぬさかいに、早う行て子を捜しておぢやれ。子等は
法会
(
ほふゑ
)
の唄にな、聞き
惚
(
と
)
れておぢやるやろ。
南蛮寺門前
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
花でも草でも摘んでやれば、唯もう何時までも見とれて居る。風、雨、鳥の音、何でも耳引立てて真から聞き
惚
(
と
)
れる。
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
あまりの美しさ! あまりにもあでやかな眺めに、門之丞はしばし、その血管内に荒れ狂う
意馬心猿
(
いばしんえん
)
もうちわすれ、
呆々然
(
ぼうぼうぜん
)
として見
惚
(
と
)
れたのでした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私は眼の前にモヤモヤと渦巻きのぼる温泉の白い湯気を見守りながら、夢を見るようないい気持ちになって、ウットリと彼女の囁やきに聞き
惚
(
と
)
れていた。
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
愚弟
直
(
たゞち
)
に聞き
惚
(
と
)
れて、
賢兄
(
にいさん
)
お
買
(
か
)
ひな/\と言ふ、こゝに牡丹咲の蛇の目菊なるものは
所謂
(
いはゆる
)
蝦夷菊
(
えぞぎく
)
也。
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼も綾なる面白さに聴き
惚
(
と
)
れて、思はず自分はうつら/\と夢見心地に誘はれたものだが、一体これは何うなつたのか? と気づいたから、やをらと立ちあがらうとすると
武者窓日記
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
藍丸王は又もやこの歌に聞き
惚
(
と
)
れて、うっとりと眼を細くして
夜
(
よ
)
の
更
(
ふ
)
けるのも忘れていた。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
お
上人
(
しょうにん
)
、読んでいましたのは御存じの雨月なんですが、私もなぜか自分の声に聞き
惚
(
と
)
れるほど、時々ぞッぞッとしちゃあその度に美しい冷い水を
一雫
(
ひとしずく
)
ずつ飲むようで、
唾
(
つ
)
が涼しいんです。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ふと
聞
(
き
)
き
惚
(
と
)
れて
涙
(
なみだ
)
ぐむ
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
只その中で白髪小僧ばかりは何の事やら訳がわからずに大きな眼をパチパチさせながら、娘の美しい声に聞き
惚
(
と
)
れていましたが、間もなく聞き疲れてしまって、又うとうとと
居睡
(
いねむ
)
りを初めました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
これを聞いて聞き
惚
(
と
)
れて
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今しも宴会が済んで自分の
室
(
へや
)
に連れられて帰ると直ぐに、この赤鸚鵡の声に耳を
留
(
と
)
めて、着物を着かえる
間
(
ま
)
も待ち遠しそうに、急いで傍の銀の椅子に腰を
卸
(
おろ
)
すとそのまま一心にその歌に聞き
惚
(
と
)
れた。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
惚
漢検準1級
部首:⼼
11画
“惚”を含む語句
恍惚
自惚
己惚
見惚
岡惚
恍惚境
活惚
寝惚
聞惚
惚々
空惚
寝惚眼
寝惚声
惚込
寐惚
自惚家
寢惚
惚合
相惚
男惚
...