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と
ふりがな文庫
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(
と
)” の例文
ひらっと、人影は、縁を
跳
(
と
)
び下りた。するとどこかで彼の思わざる女の悲鳴がした。彼は
怯
(
おび
)
えにふかれ、泳ぐがごとく逃げに逃げた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まったく放心状態にあるように見えた母親ががばと高く
跳
(
と
)
び上がり、両腕を大きく拡げ、手の指をみんな開いて、叫んだのだった。
変身
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
あとはやはり同じことである。その晩は、傍へ置いたまま、私は私で読書をはじめた。忘れてしまって身体を動かすとまた
跳
(
と
)
び込んだ。
交尾
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
いくらか大きい子供たちはそのそばを
跳
(
と
)
びはねていました。やせこけた一頭の馬が、わずかばかりの家具をのせた車を引いていました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
然しひるまず私は息もつかずに
跳
(
と
)
びあがると、昔、シャムガルが牛を殺した直突の腕を、ゼーロンの脇腹目がけて突きとおした。
ゼーロン
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
▼ もっと見る
彼はいきなり戸の
梁
(
はり
)
に手をかけると、器械体操で習練した身軽さで
跳
(
と
)
びあがり、
一跨
(
ひとまた
)
ぎに跨いで用心ぶかく内側へおりて行った。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この
鋸
(
のこぎり
)
で
難
(
なん
)
なく
切
(
き
)
れる
家尻
(
やじり
)
を五つ
見
(
み
)
て
来
(
き
)
ましたし、
角兵ヱ
(
かくべえ
)
は
角兵ヱ
(
かくべえ
)
でまた、
足駄
(
あしだ
)
ばきで
跳
(
と
)
び
越
(
こ
)
えられる
塀
(
へい
)
を五つ
見
(
み
)
て
来
(
き
)
ました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
切羽
(
せっぱ
)
つまったヤンが
拳銃
(
ピストル
)
をだそうとすると、その手にまたパッと
跳
(
と
)
びついた。それなり二人は、ひっ組んだまま地上を転がりはじめたのだ。
人外魔境:01 有尾人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
けたたましい動物の
叫
(
さけ
)
びと共に
眼
(
め
)
を
瞋
(
いか
)
らして
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで来た青年と、
圜冠句履
(
えんかんこうり
)
緩
(
ゆる
)
く
玦
(
けつ
)
を帯びて
几
(
き
)
に
凭
(
よ
)
った温顔の孔子との間に、問答が始まる。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「この川を
向
(
む
)
こうへ
跳
(
と
)
び
越
(
こ
)
えてやろうかな。なあに
訳
(
わけ
)
ないさ。けれども川の
向
(
む
)
こう
側
(
がわ
)
は、どうも草が
悪
(
わる
)
いからね」とひとりごとを
言
(
い
)
いました。
貝の火
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
彼はそのからだつきが、常に運動をしていて、
跳
(
と
)
んだり走ったりすることが上手な人のように、如何にも軽く、活発でした。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
わたしは片手に短銃、かた手に匕首を持って
跳
(
と
)
び起きた。時計とおなじように、この二つの武器をも奪われてはならないと思ったからである。
世界怪談名作集:02 貸家
(新字新仮名)
/
エドワード・ジョージ・アール・ブルワー・リットン
(著)
彼女の愛くるしい、ぱっちりした眼の中に、あの、子供が何か素晴らしいことを思いついた時にする、はっと
跳
(
と
)
び上るような喜色が浮かんだ。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『まだ/\もつと
多
(
おほ
)
くの
證據
(
しようこ
)
が
御座
(
ござ
)
います、
陛下
(
へいか
)
よ』と
云
(
い
)
つて
白兎
(
しろうさぎ
)
は、
遽
(
にはか
)
に
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、『
此
(
こ
)
の
文書
(
もんじよ
)
は
只今
(
たゞいま
)
拾
(
ひろ
)
ひましたのです』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
今朝私の
咽喉
(
のど
)
に
跳
(
と
)
びついた彼奴が、あの黒ずんだ深紅な顏を、私の鳩の
寢床
(
ベッド
)
にさしのばした事を考へると、私の血は凍る——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と
言
(
い
)
うが
早
(
はや
)
いか
踊
(
おど
)
り
上
(
あ
)
がって、お
妃
(
きさき
)
の
思
(
おも
)
わず
開
(
あ
)
けた口の中へぽんと
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んでしまったと
思
(
おも
)
うとお
夢
(
ゆめ
)
はさめました。
夢殿
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
疲れ果てるまで
跳
(
と
)
びまはり
升
(
まし
)
たあとで、フト思ひつき、母に
貰
(
もら
)
ふた
甲斐絹
(
カヒき
)
の
切
(
きれ
)
で三ツの袋を
拵
(
こし
)
らへに取り掛り
升
(
まし
)
た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
ところで、この四
人
(
にん
)
の、大きい人たち、
強
(
つよ
)
い人たち、
元気
(
げんき
)
な
人
(
ひと
)
たちは、
急
(
きゅう
)
に
立
(
た
)
ちどまります。
地面
(
じめん
)
に一
匹
(
ぴき
)
の生きものが
跳
(
と
)
んでいるのを見つけたのです。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
ロボは必死に身をもだえ、私へ
跳
(
と
)
びかかろうとするが、わなが四つ連結しているので、重さも百二十キロからある。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
この虫は、其処へ
跳
(
と
)
んで来て、その上にたかつて居るところのもう一層小さい外の虫どもを食ふためであつたのだ。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
かりにメフィストフェレスが出現して、今一度青春を与えようと約束しても、僕はファウストのように
小躍
(
こおど
)
りして、即座に
跳
(
と
)
びつくか否かは疑問である。
老年と人生
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
息子の幸吉は、三十近い、色の
生
(
なま
)
っ
白
(
ちろ
)
い
優男
(
やさおとこ
)
である。
父親
(
おやじ
)
の
命令
(
いいつけ
)
を取り次いで、大勢の下女下男に雑用の下知を下しながら仔猫のように
跳
(
と
)
び廻っていた。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
するとたちまち、まるで彼の不信心を
嘲笑
(
あざわら
)
うかのように、九四九九という数字が彼の両眼に
跳
(
と
)
びついて来た。
富籤
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
……だが、お若い方、なよたけのかぐやは愛するものの夢なのじゃ。……あの竹の林の中を
跳
(
と
)
び廻っているあれの美しい姿。……唄をうとうているあれの可愛い声。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
有るものを書くのじゃなくて、無いもの、今ある限界を踏みこし、小説はいつも背のびをし、駈けだし、そして
跳
(
と
)
びあがる。だから墜落もするし、
尻
(
しり
)
もちもつくのだ。
教祖の文学:――小林秀雄論――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
貢さんは
兎
(
うさぎ
)
の
跳
(
と
)
ぶ様に駆け出して桑畑に入つて行つた。
畑
(
はたけ
)
の
中
(
なか
)
にお濱さんは居ない。
沼
(
ぬま
)
の
畔
(
ほとり
)
に出た。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
ガラス玉は、テーブルから落ちてころがり、チロも
跳
(
と
)
び
下
(
お
)
りてその玉にじゃれ始めました。
金の目銀の目
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
わかったよ、藤原君! 僕らは、一飛びに
跳
(
と
)
ぶことよりもジリジリ進む方がいいんだろう。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
わたしは、ふた
跳
(
と
)
びで崩れ残りから跳びおりると、——その場に立ちすくんでしまった。すばやい、
軽
(
かろ
)
やかな、それでいて用心ぶかい足音が、はっきりと庭の中に
響
(
ひび
)
いていた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その無花果の木かげに
花莚
(
はなむしろ
)
だけは前と同じように敷かせて、一人で寝そべりながら、そんな実の出来工合なんぞ見上げていたが、ときどき思い出したように
跳
(
と
)
び起きて、
見真似
(
みまね
)
で
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
『まあお
爺
(
じい
)
さまでございますか!』
私
(
わたくし
)
は
覚
(
おぼ
)
えず
跳
(
と
)
び
起
(
お
)
きて、
祖父
(
じじ
)
の
肩
(
かた
)
に
取
(
と
)
り
縋
(
すが
)
って
了
(
しま
)
いました。
帰幽後
(
きゆうご
)
私
(
わたくし
)
の
暗
(
くら
)
い
暗
(
くら
)
い
心胸
(
こころ
)
に一
点
(
てん
)
の
光明
(
あかり
)
が
射
(
さ
)
したのは
実
(
じつ
)
にこの
時
(
とき
)
が
最初
(
さいしょ
)
でございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
入口に近づけまいとする
博士
(
はくし
)
から、ぱっと
跳
(
と
)
びのいて、透明人間は
身
(
み
)
がまえた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
それを聞くと、誰もが、痛いところへ
触
(
さわ
)
られたように、
跳
(
と
)
び上って
駭
(
おどろ
)
いた。
夜泣き鉄骨
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
暫
(
しばら
)
くすると興奮の力の方がうち克って、彼は寝床から
跳
(
と
)
び起き、相変らず病院じゅうを駈けずり廻って、今までにないほどの高声と脈絡の無さとで、患者達と話をしたり独り言をいったりした。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
叫んで佐平は
跳
(
と
)
び
退
(
の
)
いた。そして藤沢の顔を、穴のあくほど視詰めた。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
「——文学上の仕事には、必ず劣敗者のみっともない泣き言がつきものだから
厭
(
いや
)
になる。スポーツには泣き言がない。相手より五十センチ少なく
跳
(
と
)
んだ者も決してあとで文句なんかつけに来ない」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
鹿め、いかに広々と自由自在に
跳
(
と
)
びまわったか知るべしである。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
あっちこっちへぴょんぴょん
跳
(
と
)
びはねているように見えます。
死神の名づけ親(第一話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
菅畳
(
すがだたみ
)
今朝
(
けさ
)
さやさやし風に吹かれ
跳
(
と
)
び
跳
(
と
)
び軽ろき
青蛙
(
あをがへる
)
一つ
雀の卵
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
大工の妻が
跳
(
と
)
び上る。
心の姿の研究
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
いくらでも
跳
(
と
)
べるわ
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
ここでは、必ず、数寄屋の外に立っているはずの藪田助八も、ふと、その様子を見て、
愕然
(
がくぜん
)
と、越前守のうしろまで
跳
(
と
)
びこんで来た。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてそれが
水上
(
すいじょう
)
を
渡
(
わた
)
って
向
(
むこ
)
うへ
消
(
き
)
えたと
思
(
おも
)
うと、
幾匹
(
いくひき
)
かの
猟犬
(
りょうけん
)
が
水草
(
みずくさ
)
の中に
跳
(
と
)
び
込
(
こ
)
んで
来
(
き
)
て、
草
(
くさ
)
を
踏
(
ふ
)
み
折
(
お
)
り
踏
(
ふ
)
み
折
(
お
)
り
進
(
すす
)
んで
行
(
い
)
きました。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
馬車のうしろには、乗客が乗り
下
(
お
)
りするとき足を掛ける小さい板がついていた。松次郎はそれにうまく
跳
(
と
)
びついて、うしろ向きに腰をかけた。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
アデェルは馬車に
跳
(
と
)
び込んで來ると、私の
執成
(
とりな
)
しに對する感謝の意をこめて私に接吻した。が、直ぐに彼の向う側の隅に押込められてしまつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
案内役の水夫はたちまちひと
跳
(
と
)
びでボートのなかへ飛び下りたが、ボートのなかの水夫たちは立ち上がって、敬礼した。
火夫
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
『さァ、
辛
(
やつ
)
と
第
(
だい
)
一の
節
(
せつ
)
が
終
(
を
)
へた』と
帽子屋
(
ばうしや
)
が
云
(
い
)
つて、『
其時
(
そのとき
)
に
女王
(
クイーン
)
は
跳
(
と
)
び
上
(
あが
)
り、「
時
(
とき
)
を
打殺
(
うちころ
)
してるのは
彼
(
あ
)
れだ!
其頭
(
そのあたま
)
を
刎
(
は
)
ねて
了
(
しま
)
へ!」と
叫
(
さけ
)
びました』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
今
跳
(
と
)
び起きて二人の面皮
剥
(
は
)
いでやろ! と、そない思うのんですけど、起き上ろとしても体の自由利けしません。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
おや、このせきの去年のちいさな丸太の
橋
(
はし
)
は、
雪代水
(
ゆきしろみず
)
で
流
(
なが
)
れたな、からだだけならすぐ
跳
(
と
)
べるんだが
肥桶
(
こえおけ
)
をどうしような。阿部君、まず跳び
越
(
こ
)
えてください。
イーハトーボ農学校の春
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
だから僕の立場としては、一切の説明を省略して、直ちに思想の中心に
跳
(
と
)
び込んで行く外はなかったのだ。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
“跳(マツダ・跳)”の解説
マツダ・跳(ハズミ・HAZUMI)は、マツダが製作したコンセプトカーである。
(出典:Wikipedia)
跳
常用漢字
中学
部首:⾜
13画
“跳”を含む語句
跳躍
跳上
跳込
跳梁
跳出
跳起
跳返
跳梁跋扈
一跳
高跳
跳舞
跳越
飛跳
心跳
跳足
跳付
跳退
跳廻
跋扈跳梁
跳猿
...