“跳退”の読み方と例文
読み方割合
はねの100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あたかも方頷ほうがん無髯むぜんの巨漢が高い卓子テーブルの上から薄暗いランプを移して、今まで腰を掛けていたらしい黒塗の箱の上の蒲団ふとん跳退はねのけて代りに置く処だった。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
かすか唸声うなりごえが左の隅に聞えたので、彼は其方そのほうへ探って行くと、一枚の荒莚あらむしろが手に触れた。莚を跳退はねのけて進もうとすると、何者かその莚のはしを固く掴んでいるらしい。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
彼女が圏外に跳退はねのけられたのではなく、若いおり聡明そうめいであった彼女の頭が、すこし頑迷がんめいになったためではあるまいか、若いうちは皮相な芸でも突きこんでゆこうとする勇気があった。
マダム貞奴 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)