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尖
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と
ふりがな文庫
“
尖
(
と
)” の例文
と、
白玉喬
(
はくぎょくきょう
)
は片手を腰に、また、片方の
尖
(
と
)
ンがり靴をぴょんと前へ投げ出し、手にしていた薄手な盆を
翳
(
かざ
)
すなり見物席を眺め渡して
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤い光りは、その大邸宅の右の端にタッタ一つ建っている、屋根の
尖
(
と
)
んがった、奇妙な恰好の二階の窓から洩れて来るのであった。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
技法
(
ぎはふ
)
の
尖鋭
(
せんえい
)
慧敏
(
けいびん
)
さは
如何
(
いか
)
ほどまでも
尊
(
たふと
)
ばれていい
筈
(
はず
)
だが、やたらに
相手
(
あひて
)
の
技法
(
ぎはふ
)
に
神經
(
しんけい
)
を
尖
(
と
)
がらして、
惡打
(
あくだ
)
を
怒
(
いか
)
り
罵
(
のゝし
)
り、
不覺
(
ふかく
)
の
過
(
あやま
)
ちを
責
(
せ
)
め
咎
(
とが
)
め
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
新次郎! 今日は随分お
前
(
めえ
)
の言葉は
尖
(
と
)
げ尖げしいのう。わしはまるでお前から、詰問されとるような気がするな。あまり愉快では、なえのう。
仁王門
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
同じ
檳榔樹
(
びんろうじゅ
)
の葉を壁代りに、
椰子
(
やし
)
の葉骨で屋根を
葺
(
ふ
)
いた土民の家であっても、巫女のそれは屹立するように破風が高く、
尖
(
と
)
がっているのである。
蒐集
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
▼ もっと見る
成はいきなりそれを捉えようとした。虫は石の穴の中へ入った。成は
尖
(
と
)
んがった草をむしってつッついたが出なかった。
促織
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
愛吉が、
手負
(
ておい
)
の
傍
(
そば
)
で、口を
尖
(
と
)
がらかして
呼吸
(
いき
)
を切りながらせいせいいって饒舌った時には、居合わせた梅岡薬剤。神田の兄いだが、目を円くして驚いた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは蝸牛性的思想病革命的神経衰弱とでも名をつくべき性質のものであって、仕事は運ばず、神経だけ
尖
(
と
)
ぎって、何かしら革命的に行きたい病気である。
空中征服
(新字新仮名)
/
賀川豊彦
(著)
柿のやうに頭の
尖
(
と
)
がんだ掛員は私に
椅子
(
いす
)
をすゝめて置いて、質素な鉄縁眼鏡に英字新聞を
摺
(
す
)
りつけたまゝ、発禁の理由は風俗
紊乱
(
びんらん
)
のかどであることを告げて
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
と、云って渓の下の方に見えている左側の
尖
(
と
)
んがった峰に指をさした。その指が大きく光って見えた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「ケチケチすんねえ、何んだ、飯の一杯、二杯! なぐってしまえ!」唇を
尖
(
と
)
んがらした声だった。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
その結果、明治以降の大学の俗学たちの日本芸術の血統上の意見の
悉皆
(
しっかい
)
を否定すべき見解にたどりつきつつあります。君はいつも筆の先を
尖
(
と
)
がらせてものかくでしょう。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
一人は怒つて
尖
(
と
)
んがつた骨立つた肩を見せ、一人はまんまるく
凝
(
こ
)
つていさうな肩を動かしてゐた。
神のない子
(旧字旧仮名)
/
室生犀星
(著)
細君が「へえ」と驚く
間
(
ま
)
もなく、この
度
(
たび
)
は拳骨を裏側へ入れてうんと突ッ張ると
釜
(
かま
)
の頭がぽかりと
尖
(
と
)
んがる。次には帽子を取って
鍔
(
つば
)
と鍔とを両側から
圧
(
お
)
し
潰
(
つぶ
)
して見せる。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
禿頭の
先端
(
さき
)
の
尖
(
と
)
ンがった、
赭
(
あか
)
ら顔の五十男が、恐ろしく憂鬱な
表情
(
かお
)
をしながら、盛んに木の葉を乾かした奴を
薬研
(
やげん
)
でゴリゴリこなしていましたが、助役の註文を受けると
とむらい機関車
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
万
(
まん
)
は口を
尖
(
と
)
げるようにして
焼
(
や
)
け
焦
(
こ
)
げだらけの
炉縁
(
ろぶち
)
へ、
煙管
(
きせる
)
を
叩
(
たた
)
きつけるようにしていった。
手品
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
ですから丸い
眼
(
め
)
をいよ/\丸くし、
尖
(
とが
)
つた
嘴
(
くちばし
)
をいよ/\
尖
(
と
)
んがらかして
呶鳴
(
どな
)
り返しました。
孝行鶉の話
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
その頭上へ、立ちはだかったままの将軍家の
尖
(
と
)
げ尖げしい声がふたたび落ちかかりました。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
茶瓶に湯が注がれて、名茶『一の森』の
上﨟
(
じょうろう
)
の
媚
(
こ
)
びのやうな淡いいろ気のある香気が立ちのぼつた。彼は茶瓶をむづと
掴
(
つか
)
んだ。茶瓶の口へ彼の
尖
(
と
)
がつた内曲りの鼻を突込んだ。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
子は口を
尖
(
と
)
がらせて母の手の指を
咬
(
か
)
んだ。母は「痛ッ」といって手を引っこめた、そして
些
(
ちょ
)
っと
指頭
(
ゆびさき
)
を眺めてから「まアこの子ったら。」といった。子は黙って母を
睥
(
にら
)
んでいた。
火
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
年齢よりも
老
(
ふ
)
けていて、気の毒なほど頭の頂が
禿
(
は
)
げ、眼が落ちくぼみ、
頬
(
ほお
)
がこけ、太い
反
(
そ
)
り返った鼻が
尖
(
と
)
がり、知恵のありそうな口つきをし、
耳朶
(
みみたぶ
)
のこわれた無格好な耳をしていて
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
太い赤い
頸
(
くびすじ
)
に金茶色の毛がモジャモジャしている、眼鏡をかけた男と、キチキチした、黒っぽく光る
上衣
(
うわぎ
)
に、腰の方だけ沢山ひだを重ねて広がった服をきている、意地のわるそうに
尖
(
と
)
がった
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
尖
(
と
)
んがり岩に波がぶつかる
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
老婆は口を
尖
(
と
)
がらせた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
するとこのとき、待ッてましたというように、
尖
(
と
)
ンがり靴の
白玉喬
(
はくぎょくきょう
)
は、秀英のそばへ来て、お約束の肩を一つぽんと叩いた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
万平が材木の間から耳を
尖
(
と
)
んがらして聞いているとも知らずに、頬をスリ寄せて何かヒソヒソと話し初めた。
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、見ると、黒い
絮
(
わた
)
のような煙の中に怪物の姿があって、それが
尖
(
と
)
んがった牙のような
喙
(
くち
)
と長い爪を見せて、穴から一人の者を
攫
(
さら
)
って煙に乗って空にのぼろうとした。
嬌娜
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その枝が
聚
(
あつ
)
まって、中が
膨
(
ふく
)
れ、上が
尖
(
と
)
がって欄干の
擬宝珠
(
ぎぼうしゅ
)
か、筆の穂の水を含んだ形状をする。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
金剛砥
(
グラインダー
)
に金物をあてゝいた斉藤が、その直ぐ横の旋盤についていた職工から、何か紙片を受取って、それをポケットに入れた。それをひょッと見たからだった。神経が
尖
(
と
)
がっていた。
工場細胞
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
一人は
緋
(
ひ
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いた官女の、目の黒い、耳の
尖
(
と
)
がった
凄
(
すさま
)
じき女房の、
薄雲
(
うすぐもり
)
の月に袖を重ねて、木戸口に
佇
(
たたず
)
んだ姿を見たし、一人は朱の
面
(
つら
)
した大猿にして、尾の九ツに裂けた姿に見た
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれ以来私を見るアランの眼が、妙に
嫉妬
(
しっと
)
らしい
尖
(
と
)
げ尖げしいものに見えた。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
爺さんは、ますます口を
尖
(
と
)
がらした。
駈落
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
この朝、死刑囚二人は、かたのごとく、白い死衣を着し、油でない
膠
(
にかわ
)
の水で、
尖
(
と
)
ンがり髪に
結
(
ゆ
)
わせられ、赤い造花が、髪の根元に一本
挿
(
さ
)
された。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……鼻が
尖
(
と
)
んがって……眼が落ち
窪
(
くぼ
)
んで……
頭髪
(
あたま
)
が
蓬々
(
ぼうぼう
)
と乱れて……
顎鬚
(
あごひげ
)
がモジャモジャと延びて……。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「鼻の事ばかり気にして、どうしたんだい。好いじゃないか鼻なんか丸くても
尖
(
と
)
んがってても」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
よく進化論や遺伝学の書物の挿し絵に出て来るつんと
尖
(
と
)
んがった動物耳で、見るからに無鉄砲な、冷血な性格をあらわしていたが、その恐ろしく高い鼻の左右から
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その時はもう相手の影はどこかに逸し去ッて、すじ向うの
納屋
(
なや
)
の屋根に、背骨を
尖
(
と
)
がらしている子猫の黒い影が、血のにおいを知っておびえた啼き声をあげているのみです。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尖
(
と
)
がれる爪の先をもって堅き壁の上に一と書いた。一をかける
後
(
のち
)
も真理は
古
(
いにし
)
えのごとく生きよと
囁
(
ささや
)
く、飽くまでも生きよと囁く。彼らは
剥
(
は
)
がれたる爪の
癒
(
い
)
ゆるを待って再び二とかいた。
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瞳
(
ひとみ
)
がギョロギョロして、鼻が
尖
(
と
)
んがって、
腮鬚
(
あごひげ
)
や胸毛を真黒くモジャモジャと
生
(
は
)
やしているのだから、ちょうどアラビアン・ナイトに出て来る強盗の親分みたいなスバラシサで
ココナットの実
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人に
指点
(
さ
)
す指の、
細
(
ほっ
)
そりと
爪先
(
つまさき
)
に肉を落すとき、明かなる感じは次第に爪先に集まって
焼点
(
しょうてん
)
を
構成
(
かたちづく
)
る。
藤尾
(
ふじお
)
の指は爪先の
紅
(
べに
)
を抜け出でて縫針の
尖
(
と
)
がれるに終る。見るものの眼は一度に痛い。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、口を
尖
(
と
)
ンがらして、次郎がこの年寄にいって聞かすことには
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分の告白の神聖さを侮辱されたように眼の色を変えて、口を
尖
(
と
)
んがらした。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しばらくは、筆の先の
尖
(
と
)
がった所を、どうにか運動させたいばかりで、
毫
(
ごう
)
も運動させる
訳
(
わけ
)
に行かなかった。急に
朋友
(
ほうゆう
)
の名を失念して、
咽喉
(
のど
)
まで出かかっているのに、出てくれないような気がする。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、
対手
(
あいて
)
の声は急に冷たく
尖
(
と
)
がって
鳴門秘帖:06 鳴門の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
“尖”を含む語句
尖端
尖塔
尖頭
槍尖
刀尖
鋒尖
尖々
筆尖
尖頂
尖角
切尖
爪尖
尖鋭
剣尖
足尖
尖鋭化
尖先
肺尖加答児
火尖
刃尖
...