)” の例文
そこで、ふたりは、かぜかれながらそらんできましたが、ちいさなこちょうは、おくれがちなので、せみはもどかしくおもいました。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ながされるのは、たしかにやせたひばりの子供こどもです。ホモイはいきなり水の中にんで、前あしでしっかりそれをつかまえました。
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と、つかれてきたはねにバサバサとちからめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとさきびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
にごれるみづいろへて極彩色ごくさいしき金屏風きんびやうぶわたるがごとく、秋草模樣あきくさもやうつゆそでは、たか紫苑しをんこずゑりて、おどろてふとともにたゞよへり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ところで、お静殿、——拙者は一人で勝手に頂く、その間に風呂へ入られてはどうじゃ、疲れが直って、んだ良い心持であろう」
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「ばかな六部ろくぶめ。よけいなところへして、かみさまのおばつをうけたにちがいない。そのたたりがむらにかかってこなければいいが。」
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
海岸かいがんで、とび喧嘩けんくわをしてけたくやしさ、くやしまぎれにものをもゆはず、びをりてきて、いきなりつよくこつんと一つ突衝つゝきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
ぶときはそのはねじつうつくしいいろひらめきます。このとりはね綺麗きれいですが、ごゑうつくしく、「ぶっ、ぽう、そう」ときつゞけます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
というのは、エルメンリークくんはすばらしい飛行家ひこうかで、ガンなどとはくらべものにならないほど、ものすごい早さでぶからです。
「うむ、なあにれもそれから去年きよねんあき火箸ひばしばしてやつたな」卯平うへいういつてかれにしてはいちじるしく元氣げんき恢復くわいふくしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
ればさはれば高慢かうまんしたたゞらしてヤレ沙翁シヱークスピーヤ造化ざうくわ一人子ひとりごであると胴羅魔声どらまごゑ振染ふりしぼ西鶴さいくわく九皐きうかうとんびトロヽをふとンだつうかし
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
これが西暦せいれき千八百八十三年せんはつぴやくはちじゆうさんねん大爆裂だいばくれつをなして、しま大半たいはんばし、あとにはたかわづか八百十六米はつぴやくじゆうろくめーとる小火山島しようかざんとうのこしたのみである。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すると奇怪きかいにも、其処そこに現れた藝術品や藝術論から受ける印象は沙翁の其れにくらべると、んでもない相違のある事を発見した。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
それでの一ちやうはう晝間ひるまめたといふほど、ひどい臭氣しうきが、ころくさつた人間にんげんこゝろのやうに、かぜかれてつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
何度なんど何度なんど雄鷄おんどりえだのぼりまして、そこからばうとしましたが、そのたびはねをばた/″\させてりてしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おい昨夜ゆうべ枕元まくらもとおほきなおとがしたのはぱりゆめぢやなかつたんだ。泥棒どろぼうだよ。泥棒どろぼう坂井さかゐさんのがけうへからうちにはりたおとだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
あれこそはひとりこの御夫婦ごふうふだいかざる、もっとうつくしい事蹟じせきであるばかりでなく、また日本にほん歴史れきしなかでのりの美談びだんぞんじます。
ると、太陽たいやうがキラ/\とかゞやいてひがしほうの、赤裸あかはだかやまいたゞきなゝめかすめて、一個いつこ大輕氣球だいけいききゆうかぜのまに/\此方こなたむかつてんでた。
何故なぜそうきふしたかとのきみ質問しつもん御尤ごもつともである。ぼく不幸ふかうにしてこれきみ白状はくじやうしてしまはなければならぬことに立到たちいたつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
大将の鬼は旦那座だんなざから一足びに土間へね下りようとして、囲炉裏いろりにかけた自在鉤じざいかぎに鼻のあなを引っかけてしまった。すると
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
うたってしまうと、とりはまたんできました。みぎあしにはくさりち、ひだりつめくつって、水車小舎すいしゃごやほうんできました。
『オヤ、其處そこれの大事だいじはなあるいてつてよ』通常なみ/\ならぬおほきな肉汁スープなべそばんでて、まさにそれをつてつてしまつたのです。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はちはそれにとまつてしばらをつと氣配けはいうかゞつてゐるらしかつたが、それが身動みうごきもしないのをると、死骸しがいはなれてすぐちかくの地面ぢべたりた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
そして彼等かれらは、その立派りっぱつばさひろげて、このさむくにからもっとあたたかくにへとうみわたってんでときは、みんな不思議ふしぎこえくのでした。
そうして、投げ槍のう下で、ほこや剣がかれた氷のように輝くと、人々の身体は手足を飛ばして間断なく地に倒れた。
日輪 (新字新仮名) / 横光利一(著)
吃驚びつくりした鴉は一あしあし後方うしろ退しさつて、じつと蛇の頭を見てゐたが、急に厭世的な顔をしたと思ふと、そのまゝひつくりかへつて死んでしまつた。
かなりの早さでんでいくんだ。じっと見つめているうちに、すこしおどろきがおさまると、よくがむらむらっと起こったんだ
吉原よしわらだといやァ、豪勢ごうせいびゃァがるくせに、谷中やなか病人びょうにんらせだといて、馬鹿ばかにしてやがるんだろう。伝吉でんきちァただの床屋とこやじゃねえんだぜ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ところがその雄羊が一ぴき小溝こみぞえて道のまん中にやって来ました。しかして頭を下げたなりであとしざりをします。
それでもまあ、んだ晩においでになりましたもので! ひどい荒れと吹きりじゃございませんか……。こんな道中を
んでもない。役人に見せたら忠と不忠の対照でさあ。僕を社会主義者と間違える位ですからね……ハハハハ……」
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかしへびだとか、蜥蜴とかげだとかゞ、いしあひだからしておどろかされることがありますから、注意ちゆういしなければなりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
こんな不都合ふつごうきわま汽車きしゃいとか、みな盗人ぬすびとのような奴等やつらばかりだとか、乗馬じょうばけば一にちに百ヴェルスタもばせて、そのうえ愉快ゆかいかんじられるとか
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それに無地はもとより、流描ながしがき櫛描くしがき指描ゆびがきばしかんななど様々なやり方を用います。絵ものは一つもありませんが、その代り極めて多彩であります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
ヂュリ おゝ、パリスどのと祝言しうげんをせうほどなら、あのたふうへからんでい、山賊やまだち跳梁はびこ夜道よみちけ、へびくさむらひそめいともはッしゃれ。
思わず後の指を抑えて退いたので、自らさやを引いたことにもなって、お通の手には水もたまらぬような光が地を曳いてさッと後ろへかくされた。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
んでもない。そんな、ガラスのような眼は、真ッ平です」陳君は、ベッドをすべり落ちて、逃げ仕度をはじめた。老人は、じわじわと近寄って来て
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
火星の表面へうめんは地きう引力いんりよくの五ぶんノ二しかない だから人は地球にゐるときより二ばい半は高くべるが しかし、それ以上いじやう高くは飛べるはずがないのぢや
その男はまがいもなく西北原でマナサルワ湖の辺を共に巡礼して居りましたかの兄弟三人の中の一番の弟で、私の横面をばして倒した男なんです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
び/\にんでゐるうち、一なにかでんだおぼえのある恋愛論れんあいろん出会でつくはしなどするのであつたが、ハイカラな其青年そのせいねん面目めんもくが、さきえるやうである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
そしてぼんやり人形をながめていますと、その背中せなかが、むくむくうごきだして、中から、さるびだしてきました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
彼れは顔中の血が一時に頭の中に退いたように思った。仁右衛門は酔いが一時にめてしまって馬力から飛び下りた。小屋の中にはまだ二、三人人がいた。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
... ぐる所以ゆゑんかくごと而已のみ』と。孔子こうしつて弟子ていしつていはく、『とりわれぶをり、うをわれおよぐをり、けものわれはしるをる。 ...
地質学者の間にはアルプの波のばっちりと考えられておると聞いたが、何にしても先ずその位の小山であって、登って見たいなんて考えは毛頭おこらなかった。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
ものいふこゑがけんどんであららかで、假初かりそめことにも婢女をんなたちをしかばし、わたしかほをば尻目しりめにおにらあそばして小言こごとおつしやらぬなれどもそのむづかしいことふては
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夕方ゆふがたそらには、いつぱいくもみだれてゐて、あちらこちらにはやまはつてゐるとききおろす山風やまかぜが、あら/\しくいてゐる。そのにもみゝにも、すさまじい景色けしき
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
すなはち阿岐豆野あきづのにいでまして、御獵したまふ時に、天皇、御呉床にましましき。ここに、あむ御腕ただむきひけるを、すなはち蜻蛉あきづ來て、そのあむひて、びき。
シューラは素早すばやくはねきて、毛布もうふゆかへおっぽりすと、はだしでつめた床板ゆかいたをぱたぱたと大きくらしながら、ママのところへんでき、いきなりこうわめいた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
そこへつき人々ひと/″\そらくるまひとつてました。そのなかからかしららしい一人ひとりおきなして
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
どこを突いたか、突かれたか、鍛冶倉は縄を持ったなり二三尺退いて、横腹のあたりを押えながらかおをしかめる。血がダラダラ二三滴、熊の皮の敷物の上へ落ちる。