)” の例文
おとこは、さかんにわるいことをしました。しかし、世間せけんは、それをゆるすものではありませんから、じきにまたらえられてしまいました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
其処そこけては我等わしらふなぢや。案山子かゝしみのさばいてらうとするなら、ぴち/\ねる、見事みごとおよぐぞ。老爺ぢい広言くわうげんくではねえ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
海蛇うみへびられたとは、しんめうことだとおもつてりましたが、それがよく隱語いんご使つか伊太利人イタリーじんくせで、その書面しよめんではじめてわかりましたよ。
すると相手のねずみは、まるでつぶてのようにクねずみに飛びかかってねずみのなわを出して、クルクルしばってしまいました。
クねずみ (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
丁度ちょうど人間が網を張って魚を獲ったり鳥をったり、鉄鉋で獣を撃ったりする様なものだと彼は考えた。それなら彼は大好きである。
首を失った蜻蛉 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
たつかみなりのようなものとえた。あれをころしでもしたら、このほういのちはあるまい。おまへたちはよくたつらずにた。ういやつどもぢや」
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
ピストルでもわなでもることの出来ないものです。眼に見えないその怪物に誘い出されて、みんなあの河へ吸い込まれてしまうのです。
麻畑の一夜 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
少し網が届きかねたがようよう首尾よくれたので、腰につけていた虫かごに急いで入れて、包みきれぬ喜びをいだいて森を出た。
花物語 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
『父上こそ、七日の御奔命に、身も心も、お疲れでしょう。盛遠でも、からめっておればですが、そのむなしさも、手つどうて』
香三郎というのだけったのを、今年中の大手柄にしていると、いつの間にやら、こんなとんでもないところに罪を作っていたのでした。
海底牢獄というのは、飛行島で働いている者の中で、許しておけないようなことをやった人間をらえて、おしこめておく牢獄であった。
浮かぶ飛行島 (新字新仮名) / 海野十三(著)
氏はまた蜻蜓とんぼをもる。蜻蜓は相場師と同じやうに後方うしろに目が無いので、尻つ尾の方から手出しをすると、何時いつでも捕へられる。
カピ妻 さいの、其時分そのじぶんにはきつ鼠捕ねずみとりであったさうな。したが、わたしが不寢ねずばんをするゆゑ、いま其樣そのやうねずみをばらすことぢゃない。
嘉「へえ、是はいらっしゃいまし、久しくおいでがごぜえませんでしたな、漸々だん/″\秋も末になってめえりまして、毒虫も思うようにれねえで」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
おまえなぞ知るめえが、高野はこの世のあの世、ひと足お山の寺領へ逃げ込めば、この世の罪は消滅、追っ手、り手、入山禁制のお山だ。
鳥屋とや小鳥ことりるためにつくつてある小屋こやのことです。何方どつちいてもやまばかりのやうなところに、その小屋こやてゝあります。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
みずかきあってよく水に泳ぎ、小魚をって食するものがあると、『本草啓蒙ほんぞうけいもう』その他の書には説いているが、私はまだそれを知らぬのみでなく
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ちょうど秋になってかりは天を飛んでいる。それは誰がってもよい。しかしその雁を捕ることはむずかしいことであります。
後世への最大遺物 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
鮒は近在でれるのでしょう、大きなおけに一杯入れたのが重ねてあって、俎板まないたを前に、若い男がいつも串刺に忙しそうです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
... とてもかくてもこの外に、鼠をさがらんにかじ」ト、言葉いまだおわらざるに、たちまち「あっ」と叫ぶ声して、鴨居かもいより撲地はた顛落まろびおつるものあり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
カリ神がこの鳥に児の魂を賦与する。万一母が懐妊中その生むべき子の魂が托り居る鳥をり食わなんだら、流産か産後少時しか生きおらぬ。
その上いつも、一晩五十匹、六十匹とる南京虫が、相も変らず、猛烈に襲撃したものだから、身体中が膨れ上っていた。
空中征服 (新字新仮名) / 賀川豊彦(著)
目付け次第からり、手に余らば、斬り捨て候うも苦しからず、差し押さえの上は、無宿、有宿にかかわらず、死罪その外重科に処すべく候云々
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こゝには无用むよう長舌ちやうぜつなれど、おもひいだししにまかせてしるせり。さて我がさとにて狐をじゆつさま/″\あるなかに、手をふところにしてじゆつあり。
鴫をつのはこれが初めてだ。彼は以前に、父の猟銃で、うずらを一羽殺し、鷓鴣しゃこの羽根をふっとばし、兎を一匹そこなった。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
「へえへえ、どうもおそれれいりやした。いやもう、おせん、おめえよくったぞ。これほどねずみたァ、まさかおもっちゃ。……」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
おれの祖先は、わたり者かも知れない。魚をってカツカツ食って行ったのであろう」そういいながらも、貧乏びんぼうをして何日も飯が食えぬと私を叩き
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
その上自分の心中のわたくしを去ることをかたんずる人程かへつて他人の意中のわたくしあばくにびんなるものである。九郎右衛門は一しよにられたいと云ふ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
薪ばかりでなく、何か野菜物をと思って畑へ行って見ても、魚をろうと思って川に行って見ても、クシベシが行くとどこにも何一つないのです。
蕗の下の神様 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
人のとった鼠をみんな取り上げやがって交番へ持って行きゃあがる。交番じゃ誰がったか分らねえからそのたんびに五銭ずつくれるじゃねえか。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
連中が謀叛人むほんにんをやった時でしたが、不意にり手が踏みこむところで「残念、ワナにかかったか」と言うべきところを
「勘太郎が鬼退治をするとよ、ねずみねこりに行くよりひどいや。阿呆あほもあのくらいになると面白おもしろいな。」と言った。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
もしやでもかかったのではないか?——わたしは咄嗟とっさにこう思いましたから、庭に向いた障子しょうじを明けるが早いか、行燈あんどんの火をかかげて見ました。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しし? ——猪がれ申したか。たしかわたしの方が三歳みッつ上じゃったの、浪どん。昔から元気のよかかたじゃったがの」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「熊というものは鮭をるのが上手だ。何尾も捕って、縄に通して担いで行くけれど、結び瘤を拵える智恵がないから、折角の獲物が皆抜けてしまう」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
東京中のねずみを百万匹として毎日一万匹宛るとすれば百日にて全滅する理窟だ。しかし百日の内に子を産んで行くとすれば実際はいつなくなるか分らぬ。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そして、「あいつはりそこなったが、ほかのやつをきっとつかまえてみせるぞ。」と、うなって言いました。その声のようすでは、はらそこからおこっています。
尤も冬などは沢山は出て居ない、然し冬でも鮒、鯉などはれる魚だから、働いて居るものもたまにはある。それは皆んな夜縄を置いて朝早く捕るのである。
夜の隅田川 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
此様な記憶があるので、デカは蛇を恐るゝのであろう。多くの猫は蛇を捕る。彼が家のトラはよく寝鳥ねとりってはむしゃ/\喰うが、蛇をまだ一度もとらぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
まし種々いろ/\に手をかへいひよるゆゑをつと喜八と申者あるうちは御心に從ひては女の道たち申さずと一すんのがれに云拔いひぬけけるを或時粂之進ちやくま持來もちきたる其手をらへ是程までに其方を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
目ッぱの吉五郎のほうは、享和きょうわ三年、同じく延命院の伏魔殿を突きとめ、悪僧日潤にちじゅんって押えたお手先。これで、北番所きた名題なだいどころが全部顔が揃ったわけ。
鼠捕ねずみとりの名人めいじんだわ!あァうだ、とりけるところせてあげたいのね!それこそたまちやんはれをるがはやいか、ぐに小鳥ことりなどはつてべてしまつてよ!
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
土地とちではそれを目掘めぼりというてる。與吉よきちにはいくどろになつてもどぜうれなかつた。仲間なかまおほきなはそれでも一ぴきぐらゐづつ與吉よきちざるにもれてるのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
お勢は猫がねずみッた程にも思ッていないのに! それをその娘は、はずかしそうに俯向うつむきは俯向きながら、己れも仕合と思い顔で高慢はおのずから小鼻に現われている。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
毎日まいにちいぬれて山の中にはいって、いのしし鹿しかしては、いぬにかませてってて、そのかわをはいだり、にくってったりして、朝晩あさばんらしをてていました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
それからおなかがすいてなりませんでしたから、岩の上をあちらこちらと食べものをさがして歩きました。が、ひる頃までかかって、やっとかにを二ひきっただけです。
海からきた卵 (新字新仮名) / 塚原健二郎(著)
「あそこでったんだ」と聞きもしないのに説明しています。私と友は顔を見合せて変な笑顔になりました。やや遠離とおざかってから私達はお互いに笑い合ったことです。
橡の花 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
最も懇篤こんとくに取扱いくれたるはうれし。ここにて弁当をしょくす。茶を饗せられたり。此迄これまでは人家無く、附近にも更に人家無しと。河畔に土人小屋あり。此れまするなりと。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
「毎年いまごろになると、お父さんがって喰べさせてくれるの」りつ子はちょっと肩をすくめた
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
鰻ネ、大きい鰻がね、おとっさん、あの垣根のくいのわきへ口を出してパクパク水を飲んでいるのさ。それからどうしてろうかって、みんなが相談してもしようがないの。
水籠 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)