)” の例文
謠へば面白いのだが、お秋さんにはてもそんなことをせて見ようつて出來ないから駄目だ。それどころではない。
炭焼のむすめ (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
クヲテン怒て奸夫を殺さん逐ひ廻るを見て、クヲテンの母パールデン、荊棘に鈎られて留まれと詛ふと、果して棘に留められた所をクヲテンが殺した。
詛言に就て (旧字旧仮名) / 南方熊楠(著)
二度とはても見るやうなことはあるまい、と思つて、つい入つて見る気になつた。三年前の其の時の自分の心の有様などが此等これらの見せ物によつて回想された。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
みのるの着物の裾はすつかり濡れて、足袋と下駄の臺のうしろにぴつたり密着くつついては歩行あゆみのあがきを惡るくしてゐた。早い足の義男にはても追ひ付く事が出來なかつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
江戸で喧嘩をすると野次馬やじうまが出て来て滅茶苦茶にして仕舞しまうが、大阪では野次馬はても出て来ない。夏の事で夕方めしくってブラ/\出て行く。申合もうしあわせをして市中で大喧嘩の真似をする。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
あの年になつても人様に御あいそする事も何も知らぬ世間見ずの一こくでなあ、行末が案じられますわいの、あんたでもどうかして物にしてやつて下さらんにやてもが見込みは立ちませんや。
煤煙の匂ひ (新字旧仮名) / 宮地嘉六(著)
彼等かれら惡戲者いたづらものみづをさゝれてあわてた機會はづみあるしてしまつた。それは、まゝでは二人ふたりてもはされぬ容子ようすだからどうしてもひとつにらうといふのならば何處どこへか二人ふたりかくすのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)