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獲
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と
ふりがな文庫
“
獲
(
と
)” の例文
横浜
本牧
(
ほんもく
)
あたりで
獲
(
と
)
れたまきえびを、
生醤油
(
きじょうゆ
)
に酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほど
焦
(
こ
)
げのつかないように煮つめる。
車蝦の茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
宮城県遠田郡涌谷村字黄金迫の黄金神社附近から、黄金を
獲
(
と
)
って朝廷に献じたのが、日本で黄金の発見された最初のようであります。
文学に現れたる東北地方の地方色:(仙台放送局放送原稿)
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
楢雄
(
ならを
)
は生れつき頭が悪く、近眼で、何をさせても
鈍臭
(
どんくさ
)
い子供だつたが、ただ一つ蠅を
獲
(
と
)
るのが巧くて、心の寂しい時は蠅を獲つた。
六白金星
(新字旧仮名)
/
織田作之助
(著)
五番
(
ごばん
)
めの
石上
(
いそのかみ
)
の
中納言
(
ちゆうなごん
)
は
燕
(
つばめ
)
の
子安貝
(
こやすがひ
)
を
獲
(
と
)
るのに
苦心
(
くしん
)
して、いろ/\と
人
(
ひと
)
に
相談
(
そうだん
)
して
見
(
み
)
た
後
(
のち
)
、ある
下役
(
したやく
)
の
男
(
をとこ
)
の
勸
(
すゝ
)
めにつくことにしました。
竹取物語
(旧字旧仮名)
/
和田万吉
(著)
「やあ、東京の旦那、手が泣きますぞ。筆よか艪が重からうが。」とから/\と笑つて、「またお前さんが来たら鰹が
獲
(
と
)
れるわ。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
▼ もっと見る
播州路の川で
獲
(
と
)
れた鮎のうるかもあった。対山はまた一つの抽斗から
曲物
(
まげもの
)
を取り出し、中味をちょっぴり小皿に分けて客に勧めた。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
幼い日、私はこの堤を通って、その河原に魚を
獲
(
と
)
りに来たことがある。その暑い日の一日の記憶は不思議にはっきりと残っている。
夏の花
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それで、
漁師
(
りょうし
)
は、
時分
(
じぶん
)
を
見
(
み
)
はからって、この
島
(
しま
)
に
立
(
た
)
ち
寄
(
よ
)
っては
漁
(
りょう
)
をします。
獲
(
と
)
れるときには
驚
(
おどろ
)
くほど、
獲
(
と
)
れることもありました。
幽霊船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
率先、あなた方が躍り出たら、またもや折角な大魚を
獲
(
と
)
り逃がしましょう。まずそれがしと孫新が一隊を拝借して討ッて出ます。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
湾内で
獲
(
と
)
れるらしい細長い小さな魚の煮付を噛んでいたとき、私の背後を通り抜け、そして振り返った。吉良兵曹長であった。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「あんなにおった
鯉
(
こい
)
が
何故
(
なぜ
)
獲
(
と
)
れないかなあ、あの山の陰には一
疋
(
ぴき
)
や二疋いないことはなかったが、一体どうしたんだろう」
ある神主の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこで「この鯖をドウして
獲
(
と
)
ったか」と詰問すると澄ましたものだ。古ぼけた一本釣の道具を出して「ちょうど
大群
(
むれ
)
に行き当りましたので……」
爆弾太平記
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
甘いから酔ってしまい、下駄を穿くと脱ぐ事がならずことごとく
獲
(
と
)
られ、
毛氈
(
もうせん
)
の染料として血を取らると載せたが、またエリアヌスの説に似て居る。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「いいえ、冬に
獲
(
と
)
った若鹿の肉を、雪詰めにして置くのだそうでございます、召上ってみて下さいませ、みなさんたいへん珍重だと
仰
(
おっ
)
しゃいますわ」
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ものの見事に出し投げを食った、今までかかって雀一羽も
獲
(
と
)
れぬ。どこをどうしたか、目当ての鶴は、もう巣へ帰って風呂を浴びているそうじゃ」
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
私は夏の夕方など時々モデル
漁
(
あさ
)
りに出かける事があるが多くは自分では
獲
(
と
)
れず、顔なじみの子供等にもらって来る。
蝉の美と造型
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
大空の色と残月の光とで
今日
(
きょう
)
の天気がわかる。風の清いこと寒いこと、月の光の遠いこと空の色の高いこと! 僕はきっと今日は鹿が
獲
(
と
)
れると思った。
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
一首の意は、
鼯鼠
(
むささび
)
が、林間の
梢
(
こずえ
)
を飛渡っているうちに、猟師に見つかって
獲
(
と
)
られてしまった、というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
磯
(
いそ
)
の
香
(
か
)
がプーンと高く、三人の鼻をうった。すばらしく大きい、
獲
(
と
)
れたばかりと
肯
(
うなず
)
かれる新鮮な栄螺だった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ラングストと
云
(
い
)
っている大きな
蝦
(
えび
)
の味は忘れかねる。これは地中海で
獲
(
と
)
れる蝦で、
塩茹
(
しおゆで
)
にしてマヨネーズソースをつけて食べる。
伊勢蝦
(
いせえび
)
よりもっと味が細かい。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
獲
(
と
)
れる」とさも何物をか取ったように云った。やがて
蓑
(
みの
)
を着たまま水の中に下りた。勢いの
凄
(
すさま
)
じい割には、さほど深くもない。立って腰まで
浸
(
つか
)
るくらいである。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「何萬兩とやらの夜光石を
獲
(
と
)
るために、いや、多勢の——それも若い女の人の、夜光石よりも貴い眼玉の安泰のために、それは是非聽いて置かなきやなりません」
銭形平次捕物控:330 江戸の夜光石
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
かくのごとき広漠の地においては、多人数の協力によるのでなければ、一頭の鹿をも
獲
(
と
)
ることはできぬ。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
しかし丁度その時期は、
漢口陥落
(
かんこうかんらく
)
の
提燈行列
(
ちょうちんぎょうれつ
)
を過ぎて間もない頃であった。日本人の大多数は、南アフリカで
獲
(
と
)
れた奇魚などに、かかわりあってはいられなかった。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
船頭の
吉
(
きち
)
というのはもう五十過ぎて、船頭の年寄なぞというものは客が喜ばないもんでありますが、この人は何もそう
焦
(
あせ
)
って魚をむやみに
獲
(
と
)
ろうというのではなし
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それには田畑に物を作るということもありますが、そんなことを考えつく前に木の実を食い獣を狩り魚を
獲
(
と
)
るということが
先
(
ま
)
ず第一に
為
(
な
)
されたことでありましょう。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
玄氏の郷里は同じ全南の霊岩郡の美岩面という所、この地の漁婦は毎日
獲
(
と
)
れた鮹を担いでは市に運ぶのだが、毎日、二里
乃至
(
ないし
)
十里、平均一日八里の
途
(
みち
)
は歩くという。
全羅紀行
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
同じ谷渡りや高音にも
節廻
(
ふしまわ
)
しの
上手下手
(
じょうずへた
)
余韻
(
よいん
)
の長短等さまざまであるから良き鶯を
獲
(
と
)
ることは容易にあらず獲れば授業料の
儲
(
もう
)
けがあるので価の高いのは当然である。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
馬「有難い、こりゃア旦那何うぞ大事にして、あはゝゝゝ旦那まア両方の手に釣りあげて、あれまた
獲
(
と
)
れました、これは不思議、
容易
(
わけなし
)
に釣れるので、あゝ/\/\」
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「小さいながらも愉しい我が家」という片隅の幸福が
獲
(
と
)
れなくなって既に久しいことであるが
これから結婚する人の心持
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
僕のいる間にも、芭蕉イカの大きいのが
獲
(
と
)
れたので、民さんはそれを持って部落のこの家の親戚まで夜に入ってから使いに出かけたが、翌日の午後になって手ぶらで帰ってきた。
石ころ路
(新字新仮名)
/
田畑修一郎
(著)
その内、李鎰自身も怪しく思って騎馬武者を斥候に出すと、
忽
(
たちま
)
ちに銃声響き、その男は馬から落ちると、首を
獲
(
と
)
られてしまった。まさしく日本軍である。令して矢を放つが届かない。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
狩人や漁師は
獣
(
けもの
)
を
獲
(
と
)
り、
魚
(
うお
)
を
捕
(
と
)
りますけれども、その獲物のみでは生きて行かれず、必ずこれを以てやはり農民の米を貰わなければならぬ。それで彼らを乞食と云ったものとみえます。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
たとえば、フィリッピンのカガヤン湖で
獲
(
と
)
れる世界最小の脊椎動物、全長わずか二分ばかりの
蚤沙魚
(
リリプチャン・ゴビー
)
を、北雲南
麗江
(
リーキャン
)
連嶺中の一小湖で発見し、動物分布学に一大疑問を叩きつけたのも彼。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
そして、手をあげて、すこし離れた
箇所
(
かしょ
)
を指さした。そこには、風雨にさらされて字の読めなくなった禁札が建っていた。御門内にてとんぼ
獲
(
と
)
ることならんぞよ、と大きく書かれてあった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「七郎は
獲
(
と
)
った
豹
(
ひょう
)
を争って、人をなぐり殺して、つかまえられました。」
田七郎
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
さて
漁
(
れう
)
はあるか、と
問
(
と
)
へば、
漁
(
れう
)
は
有
(
あ
)
るが、
魚
(
さかな
)
は
一向
(
いつかう
)
に
獲
(
と
)
れぬと
言
(
い
)
ふ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それより、もっと
獲
(
と
)
ろうよ。僕が撃ってみら……。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
日日に空晴れ、このごろ
獲
(
と
)
れる魚は小さい。
測量船拾遺
(新字旧仮名)
/
三好達治
(著)
獲
(
と
)
られるぞ
十五夜お月さん
(旧字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
「さうでもないけれど、
家
(
うち
)
の
漁場
(
あど
)
は沖やさかい今まであんまり獲れなんだ。長平などは
下手
(
しもて
)
やもんで、今までに大分
獲
(
と
)
つたれど。」
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「折角、鷹をすえて来たのに、まだ山鳩一羽に、つぐみ二、三羽しか
獲
(
と
)
っていない。もすこし、山へ登ってみようじゃないか」
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「二尺の
鯉
(
こい
)
を二
疋
(
ひき
)
獲
(
と
)
ってくれと、二三日前から頼まれて、この広い湖へ
片
(
かた
)
っ
端
(
ぱし
)
から網を入れているが、鯉は
愚
(
おろ
)
か、
雑魚
(
ざこ
)
もろくろくかかりゃしない」
ある神主の話
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
三
人
(
にん
)
は、
勇
(
いさ
)
みたちました。そして、
網
(
あみ
)
を
下
(
お
)
ろして
引
(
ひ
)
くと、はたして、こんなに
獲
(
と
)
れたことがいままでにもなかったほど、たくさん
獲
(
と
)
れたのであります。
幽霊船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「子供がはじめて乗合馬車に乗せてもらって、川へ連れて行ってもらう。それから川で
海老
(
えび
)
を
獲
(
と
)
るのだが、
瓶
(
びん
)
のなかから海老が跳ねて子供は泣きだす」
苦しく美しき夏
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
ツクヅクボウシとカナカナとは女性的で、
獲
(
と
)
るとすぐ死ぬ。姿も
華奢
(
きゃしゃ
)
で、優美で、青々とした精霊の感じがある。
蝉の美と造型
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
「ああ旦那さま」老人はびっくりして頬冠りをとった、「……なに珍らしくひがいが
獲
(
と
)
れたものですからね、御好物だと聞いたもんで持ってあがったんですが」
日本婦道記:尾花川
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
従って値段も高い。たくさん
獲
(
と
)
れないからである。とても、
佃煮
(
つくだに
)
なんかにして食べるほど獲れないのだ。
京都のごりの茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
昼食
(
ひるげ
)
しながらさまざまの事を問うに、
去年
(
こぞ
)
の冬は近き山にて熊を
獲
(
と
)
りたりと聞き、寒月子と顔見合わせて驚き、木曾路の贄川、ここの贄川、いずれ劣らぬ山里かな
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
阪神電車の沿線にある町々、西宮、蘆屋、魚崎、住吉あたりでは、
地元
(
じもと
)
の浜で
獲
(
と
)
れる鰺や鰯を、「鰺の取れ/\」「鰯の取れ/\」と呼びながら大概毎日売りに来る。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
獲
常用漢字
中学
部首:⽝
16画
“獲”を含む語句
獲得
捕獲
姑獲鳥
生獲
漁獲
獲物
鹵獲品
鹵獲
獲易
獲難
濫獲
獲物嚢
獲麟
獲来
相獲
臧獲
虜獲
獲寳
獲場
猟獲
...