)” の例文
時化しけつづき西風強く、夜は絶えて漁火いざりすら見ね、をりをりに雨さへ走り、稲妻のさをうつりに、鍵形かぎがたの火の枝のはりひりひりとき光なす。其ただちとどろく巻波まきなみ
薙刀のき刃のように、たとえば片鎌の月のように、銀光を帯び、水紅ときうすものして、あまかける鳥の翼を見よ。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それより共に手伝ひつつ、はじの弓に鬼蔦おにづたつるをかけ、生竹なまだけく削りて矢となし、用意やがてととのひける。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
あるいは神を「彼」と呼びて「れ怒りて我を掻裂かきさきかつくるしめ、我に向いて歯を噛鳴かみならしわが敵となり目をくして我をる……彼は我を打敗うちやぶりて破壊やぶれ破壊やぶれを加え、 ...
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
汝等がき剣は餓えたり汝等剣に食をあたへよ、人の膏血あぶらはよき食なり汝等剣に飽まで喰はせよ、飽まで人の膏膩をへと、号令きびしく発するや否、猛風一陣どつと起つて
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
先のがるようにせよとの心だ、わかってはいるがどうもそうばかり行かない、批評的にそばからみれば、わけのない事でも、自分の事となると、考えた通りにわが心がなってくれない。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
戦いの刻限を告げしっかり食事して働いてくれと頼んで去った、七人木で庵を造りやじりなどいで弓弦ゆづるくくって火いて夜を明かし、朝に物よく食べての時になりて敵来るべしといった方を見れば
ある時はヷレリイ流に使ひたる悟性の身をきずつけし
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
朝あけて遠く目に入るやまをアフリカなりといふ声ぞする
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
敷栲しきたへの枕の下に太刀はあれどき心なしいもと寝たれば
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ごゑに君が名を呼びしをみな子ありき
池のほとりに柿の木あり (新字旧仮名) / 三好達治(著)
今一際を高く立てよ。8045
もりあぎとにうけて
寂寞 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
き嘴に萱さきて
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
うましかをり
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
その美しき花の衣は、彼が威霊をたたえたる牡丹花ぼたんかかざりに似て、根に寄る潮の玉を砕くは、日に黄金こがね、月に白銀、あるいは怒り、あるいは殺す、き大自在の爪かと見ゆる。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なんじらがつるぎえたり汝ら剣に食をあたえよ、人の膏血あぶらはよき食なり汝ら剣にあくまで喰わせよ、あくまで人の膏膩あぶらえと、号令きびしく発するや否、猛風一陣どっと起って
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何聴かむこの日のうちぞおよびりあてゆく針のくも短かき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ごゑに君が名を呼びしをみな子ありき
故郷の花 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
にこそそのかんばせは、爛々たるしろがねまなこならび、まなじりに紫のくま暗く、頬骨のこけたおとがい蒼味がかり、浅葱にくぼんだ唇裂けて、鉄漿かね着けた口、柘榴ざくろの舌、耳の根には針のごとききばんでいたのである。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死顔のこのき鼻よこの伯母ぞ吾が母にもとつらく当らしき
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひとひらの雲もあれざる き峰に
艸千里 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
見ると、前へ立った、女の姿は、その肩あたりまで草隠くさがくれになったが、背後うしろざまに手を動かすにれて、き鎌、磨ける玉の如く、弓形ゆみなりに出没して、歩行ある歩行ある掬切すくいぎりに、刃形はがた上下うえしたに動くと共に
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぬか星にたける嵐の吹きあふる照葉てりはの椎のき光なり
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ぬか星にたける嵐の吹きあふる照葉てりはの椎のき光なり
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いろあかきびいどろを、にほひきあんじやべいいる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
く、甘く、しつぶさるる嗟嘆なげきして
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)