寂寞じゃくまく
たとふれば戦ひ果てぬ、 日は暮れて二時を経ぬ なまぐさき荒野の中に 双の眼を弾丸に射られて なほ黒き呻吟をしのび、 よこたはる負傷の兵の 勇しきわかき心に、 秘めつゝむ苦痛遂に 鈍色の寂寞の気を 吸ふがごと嗚呼われこゝに。 くらがりの冷えた …