)” の例文
木枯こがらしすさまじく鐘の氷るようなって来る辛き冬をば愉快こころよいものかなんぞに心得らるれど、その茶室の床板とこいた削りにかんなぐ手の冷えわたり
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ことさらにあとさんと、きりこみし人々、皆其刀をがせし中に、一瀬が刀の二個処いちじるしくこぼれたるが、臼井が短刀のはのこぼれに吻合ふんごうしたるよりあらわれにき。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
鱠手かしはびとなるもの、まづ我が両眼を左手ひだりおゆびにてつよくとらへ、七六右手みぎりぎすませし七七かたなをとりて俎盤まないたにのぼし、七八既に切るべかりしとき、我くるしさのあまりに大声をあげて
木枯凄じく鐘の音氷るやうなつて来る辛き冬をば愉快こゝろよいものかなんぞに心得らるれど、其茶室の床板とこいた削りにかんなぐ手の冷えわたり
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何処どこ唐草からくさ精霊ばけものかといやになったる心には悪口もうかきたるに、今は何を着すべしとも思いいだせず工夫錬り練り刀をぎぬ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一体あんな馬鹿野郎を親方の可愛がるといふがわつちにはてんから解りませぬ、仕事といへば馬鹿丁寧ではこびは一向つきはせず、柱一本鴫居しきゐ一ツで嘘をいへば鉋を三度もぐやうな緩慢のろまな奴
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一体あんな馬鹿野郎を親方の可愛がるというがわっちにはてんからわかりませぬ、仕事といえば馬鹿丁寧ではこびは一向つきはせず、柱一本鴫居しきい一ツで嘘をいえばかんなを三度もぐような緩慢のろまな奴
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と磨いていで礪ぎ出した純粋きつすゐ江戸ッ子粘り気無し、ぴんで無ければ六と出る、忿怒いかりの裏の温和やさしさも飽まで強き源太が言葉に、身じろぎさへせで聞き居し十兵衞、何も云はず畳に食ひつき、親方
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
みがいていで礪ぎ出した純粋きっすい江戸ッ子粘り気なし、ぴんでなければ六と出る、忿怒いかりの裏の温和やさしさもあくまで強き源太が言葉に、身動みじろぎさえせで聞きいし十兵衛、何も云わず畳に食いつき、親方
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ああ思いついたりと小行李こごうりとく/\小刀こがたな取出し小さき砥石といし鋒尖きっさき鋭くぎ上げ、やがくしむねに何やら一日掛りに彫りつけ、紙に包んでお辰きたらばどの様な顔するかと待ちかけしは、恋は知らずの粋様すいさま
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)