“操(と)” の例文
有体(ありてい)にいうと『其面影』も『平凡』も惰力的労作であった。勿論、何事にも真剣にならずにいられない性質だから、筆を操(と)れば前後を忘れるほどに熱中した。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
曰く、『天に潜(ふかく)しては天なり、地に潜しては地なり。天地は神明にして測られざるものなり。ないし人の心はそれ神なるか、操(と)るときはすなわち存し、捨つるときはすなわちなし、云云(うんぬん)』
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
が、間(ま)もあらせず、今度は印半纏(しるしばんてん)を被(き)た若いものに船を操(と)らせて、亭主らしい年配(としごろ)な法体(ほったい)したのが漕(こ)ぎつけて、「これは/\太夫様(たゆうさま)。」亭主も逸時(いちはや)く其を知つて居て、恭(うやうや)しく挨拶(あいさつ)をした。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わが渠等(かれら)を認めしとき、渠等も亦我を認めき。肥えたる二人は齊(ひと)しく銃を操(と)りて立ち上りたり。客人は何の用ありてこゝに來しぞ。われ。舟をたづねて河をこさんとす。三人は目を合せたり。甲。
松木は、残飯桶(ざんぱんおけ)のふちを操(と)って、それを入口の方へころばし出した。
渦巻ける烏の群 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
左に璧を操(と)り右に剣を操り、蛟を撃ちて皆殺しにしけるとぞ。
花のいろ/\ (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
吏員の一人は紙筆を操(と)って譔の前へ置いた。
令狐生冥夢録 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
終に再び筆を操(と)るべく余儀なくされたのがツルゲーネフの『アーシャ』即ち『片恋』の飜訳であった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
が、間(ま)もあらせず、今度は印半纏(しるしばんてん)を被(き)た若いものに船を操(と)らせて、亭主らしい年配(としごろ)な法体(ほったい)したのが漕(こ)ぎつけて、「これはこれは太夫様。」亭主も逸早(いちはや)くそれを知っていて、恭(うやうや)しく挨拶をした。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)