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と
ふりがな文庫
“
閉
(
と
)” の例文
男は黒き夜を見上げながら、
強
(
し
)
いられたる結婚の
淵
(
ふち
)
より、是非に女を救い出さんと思い定めた。かく思い定めて男は眼を
閉
(
と
)
ずる。——
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
『たわ言も、よい程にせいっ。その明後日までに金が調う位なら、こうして、髀肉の嘆を
洩
(
も
)
らしながら、
閉
(
と
)
じ籠って居りはしない』
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「疲れはしないけれど、標本になって
閉
(
と
)
じこめられていたので、気が
詰
(
つ
)
まったよ。なんか気持ちがからりとすることはないだろうかね」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大地震
(
だいぢしん
)
のときは
大地
(
だいち
)
が
裂
(
さ
)
けてはつぼみ、
開
(
ひら
)
いては
閉
(
と
)
ぢるものだとは、
昔
(
むかし
)
から
語
(
かた
)
り
傳
(
つた
)
へられて
最
(
もつと
)
も
恐怖
(
きようふ
)
されてゐる
一
(
ひと
)
つの
假想現象
(
かそうげんしよう
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
おう、魂の
深淵
(
しんえん
)
をうち開く音楽よ! 汝は精神の平素の均衡を滅ぼす。尋常の生活においては、尋常の魂は
閉
(
と
)
ざされたる室である。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
見物人は声を挙げて喝采した。光一は思わず目を
閉
(
と
)
じた。それはいやしくも潔白な人間が目に見るべからざる不純な醜悪な光景である。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
船頭
(
せんどう
)
は
闇
(
くら
)
い
小屋
(
こや
)
の
戸
(
と
)
をがらつと
開
(
あ
)
けて
又
(
また
)
がらつと
閉
(
と
)
ぢた。おつぎは
暫
(
しばら
)
く
待
(
ま
)
つて
居
(
ゐ
)
てそれからそく/\と
船
(
ふね
)
を
繋
(
つな
)
いだあたりへ
下
(
お
)
りた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
と見てはっとしたお艶、みずからのすがたを恥ずるこころが先立って、気のつくさきにもう障子を
閉
(
と
)
ざしていたのだったが、遅かった。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
小網
(
こあみ
)
町二丁目の袋物問屋丸屋六兵衛は、とうとう嫁のお絹を追い出した上、
倅
(
せがれ
)
の染五郎を土蔵の二階に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こ
)
めてしまいました。
銭形平次捕物控:137 紅い扱帯
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
どうにも
仕方
(
しかた
)
がありませんでした。それで
皆
(
みな
)
は
相談
(
そうだん
)
して、その
癖
(
くせ
)
が
止
(
や
)
むまでしばらくの
間
(
あいだ
)
、王子を広い
庭
(
にわ
)
に
閉
(
と
)
じこめることになりました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
そうしてそれから数週間というものは、私はお前たちに顔を合わせるのさえ避けるようにして、自分の部屋に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
っていた。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
といふ話をきいたことがあるが、今の自分はちようど高
壓
(
あつ
)
電流の通ふ
箱
(
はこ
)
の中に
閉
(
と
)
ぢこめられた人間の樣なものであると
考
(
かんが
)
へた。
坂道
(旧字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
両眼を
閉
(
と
)
じ、うっすらと、微笑を顔の全体にただよわせた金五郎は、やがて、三味の音に乗って、重厚な調子で語りはじめる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
やっと心配しながら自分の
部屋
(
へや
)
に一人
閉
(
と
)
じこもることができた。これはわたしが白鳥号に乗り合わせて
以来
(
いらい
)
初
(
はじ
)
めてのふゆかいな
晩
(
ばん
)
であった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そうして私と壁
一重
(
ひとえ
)
を隔てた向うの部屋に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こ
)
められたまま、ああして夜となく、昼となく、私を呼びかけているらしい。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし、彼女の仕事は立派に爲し
遂
(
と
)
げられたのであつた。彼女の
彈
(
ひ
)
いた音色は、
閉
(
と
)
ざされた記憶の
扉
(
ドア
)
を打ち落したのである。
水車のある教会
(旧字旧仮名)
/
オー・ヘンリー
(著)
父親
(
てゝおや
)
は
先刻
(
さきほど
)
より
腕
(
うで
)
ぐみして
目
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢて
有
(
あり
)
けるが、あゝ
御袋
(
おふくろ
)
、
無茶
(
むちや
)
の
事
(
こと
)
を
言
(
い
)
ふてはならぬ、
我
(
わ
)
しさへ
始
(
はじ
)
めて
聞
(
き
)
いて
何
(
ど
)
うした
物
(
もの
)
かと
思案
(
しあん
)
にくれる
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
女
(
おんな
)
は、
仏
(
ほとけ
)
さまに、どうかあの
世
(
よ
)
へとどこおりなくいけるようにと
祈
(
いの
)
りました。そして、ついに
目
(
め
)
を
閉
(
と
)
じるときがきました。
ちょうと三つの石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
我此等をピエルより預かれり、彼我に告げて、民わが足元にひれふさば、むしろ誤りて開くとも誤りて
閉
(
と
)
ぢおく勿れといへり。 一二七—一二九
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
嬉
(
うれ
)
しさうに
絶
(
た
)
えず
戯
(
たはむ
)
れたり
吠
(
ほ
)
えたりして、
呼吸苦
(
いきぐる
)
しい
所爲
(
せゐ
)
か、ゼイ/\
云
(
い
)
ひながら、
其口
(
そのくち
)
からは
舌
(
した
)
を
垂
(
た
)
れ、
又
(
また
)
其
(
その
)
大
(
おほ
)
きな
眼
(
め
)
を
半
(
なか
)
ば
閉
(
と
)
ぢてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
そのために
幾度
(
いくたび
)
か
瞼
(
まぶた
)
を
閉
(
と
)
ぢ/\した。
涙
(
なみだ
)
が
徐
(
おもむろ
)
にあふれ
出
(
い
)
でゝもう
直視
(
ちよくし
)
しようとはしない
眼瞼
(
まぶた
)
に
光
(
ひかり
)
を
宿
(
やど
)
して
止
(
と
)
まつてゐた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
十ほどあるその窓のあるものは明るくあるものは暗く
閉
(
と
)
ざされている。
漏斗型
(
じょうごがた
)
に電燈の
被
(
おお
)
いが部屋のなかの明暗を区切っているような窓もあった。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
北
(
きた
)
を
枕
(
まくら
)
に、
静
(
しず
)
かに
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
じている
菊之丞
(
きくのじょう
)
の、
女
(
おんな
)
にもみまほしいまでに
美
(
うつく
)
しく
澄
(
す
)
んだ
顔
(
かお
)
は、
磁器
(
じき
)
の
肌
(
はだ
)
のように
冷
(
つめ
)
たかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
しゃがんで、両手を組んで目を
閉
(
と
)
じた。道ばたでいねむりでもしているようなかっこうだ。モンクスは気味が悪い。
柔道と拳闘の転がり試合
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「しかし、その時ジョン・リードが私をなぐり倒したの。そして、伯母さまは、私を赤い部屋へ
閉
(
と
)
ぢこめたのよ。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
枝折戸
(
しをりど
)
閉
(
と
)
ぢて、
椽
(
えん
)
に
踞
(
きよ
)
す
程
(
ほど
)
に、十時も過ぎて、
往来
(
わうらい
)
全
(
まつた
)
く絶へ、月は頭上に
来
(
きた
)
りぬ。一
庭
(
てい
)
の
月影
(
つきかげ
)
夢
(
ゆめ
)
よりも
美
(
び
)
なり。
良夜
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
何気
(
なにげ
)
なく
閉
(
と
)
じたる目を見開けば、こはそも
如何
(
いか
)
に警部巡査ら十数名手に手に警察の
提燈
(
ちょうちん
)
振り照らしつつ、われらが城壁と
恃
(
たの
)
める室内に
闖入
(
ちんにゅう
)
したるなりけり。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
むかし、
戦争
(
せんそう
)
のあった時代には、人びとはこういう大きな
頑丈
(
がんじょう
)
なお
城
(
しろ
)
に、喜んで
閉
(
と
)
じこもっていたものでした。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
トラは
遽
(
あわ
)
てず、眼を
閉
(
と
)
じ、頭を
傾
(
かし
)
げて、
悠々
(
ゆうゆう
)
と味わい/\食って居る。小さな
豹
(
ひょう
)
か虎かを見て居る様で、
凄
(
すご
)
い。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
わずかに百日も
経
(
た
)
たぬ間にこれほどに
処女
(
しょじょ
)
と商売人とは変わるものかと、
開
(
あ
)
いた口がしばらく
閉
(
と
)
じなかった。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
その日も
昨日
(
きのふ
)
と同じに雪が降りつづき、銀世界と化した街に、この家ばかりはじめ/\と
後暗
(
うしろぐら
)
い雰囲気に
閉
(
と
)
ぢ込められ、底知れぬ恐れと不安に充たされてゐた。
父の帰宅
(新字旧仮名)
/
小寺菊子
(著)
彼は一室に
閉
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
り、静思して
喰
(
くら
)
わず、もって
骨立
(
こつりつ
)
するに至った。数日の後、ようやく思い得たと信じて、再び瑟を執った。そうして、極めて
恐
(
おそ
)
る恐る弾じた。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
さては
薄荷
(
はっか
)
菊の花まで今
真盛
(
まっさか
)
りなるに、
蜜
(
みつ
)
を吸わんと飛び
来
(
きた
)
る
蜂
(
はち
)
の羽音どこやらに聞ゆる
如
(
ごと
)
く、耳さえいらぬ事に迷っては
愚
(
おろか
)
なりと
瞼
(
まぶた
)
堅
(
かた
)
く
閉
(
と
)
じ、
掻巻
(
かいまき
)
頭
(
こうべ
)
を
蔽
(
おお
)
うに
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
誰
(
たれ
)
も
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
の
長
(
なが
)
さだけ、
氣
(
き
)
を
閉
(
と
)
ぢて
呼吸
(
いき
)
を
詰
(
つ
)
めたが、
引
(
ひ
)
く
呼吸
(
いき
)
は
其
(
そ
)
の
聲
(
こゑ
)
の
一度
(
いちど
)
止
(
や
)
むまでは
續
(
つゞ
)
かなかつた。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
日頃
(
ひごろ
)
ただ
一人
(
ひとり
)
山
(
やま
)
の
中
(
なか
)
に
閉
(
と
)
じこもり、めったに
外界
(
がいかい
)
と
接
(
せっ
)
する
機会
(
おり
)
のない
私
(
わたくし
)
にとりて、
斯
(
こ
)
うした
少女
(
しょうじょ
)
との
不意
(
ふい
)
の
会合
(
かいごう
)
は
世
(
よ
)
にももの
珍
(
めず
)
らしい
限
(
かぎ
)
りでございました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
まち
子
(
こ
)
は、
涙
(
なみだ
)
が
浮
(
うか
)
んで
來
(
く
)
ると、そつと
瞳
(
ひとみ
)
を
閉
(
と
)
ぢた。そして、いつまでもじつとしてゐた。
初
(
はじ
)
めは、
兄妹
(
きやうだい
)
たちの
聲
(
こゑ
)
が
隣
(
となり
)
の
室
(
しつ
)
から
聞
(
きこ
)
えて
來
(
き
)
た。そして
彼女
(
かれ
)
は
悲
(
かな
)
しかつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
開
(
ひら
)
かぬ
日本人
(
にほんじん
)
は
容易
(
ようい
)
に
胸隔
(
きようかく
)
を
閉
(
と
)
つる
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
、
失望
(
しつぼう
)
の
相
(
さう
)
ならざるなしと、
甞
(
かつ
)
て
内村
(
うちむら
)
先生申され
候
(
そろ
)
。
然
(
しか
)
り
小生
(
せうせい
)
も
日本人
(
にほんじん
)
に
候
(
そろ
)
拒
(
こば
)
まざるが
故
(
ゆゑ
)
に
此言
(
このげん
)
を
為
(
な
)
し
候
(
そろ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
何故、其
口唇
(
くちびる
)
は言ひたいことも言はないで、堅く
閉
(
と
)
ぢ
塞
(
ふさが
)
つて、
恐怖
(
おそれ
)
と
苦痛
(
くるしみ
)
とで慄へて居るのであらう。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『それでは
先
(
ま
)
づ
如何
(
どん
)
な
事
(
こと
)
を
爲
(
な
)
せば
可
(
よ
)
ろしう
御座
(
ござ
)
いましよう。』と
問
(
と
)
ひました。
老人
(
らうじん
)
は
目
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢたまゝ
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
其
(
その
)
扉
(
とびら
)
は
自然
(
しぜん
)
に
閉
(
と
)
ぢ、
艇
(
てい
)
の
再
(
ふたゝ
)
び
海面
(
かいめん
)
に
浮
(
うか
)
ばんとするや、
其
(
その
)
扉
(
とびら
)
は
忽然
(
こつぜん
)
として
自
(
おのづか
)
ら
開
(
ひら
)
くやうになつて
居
(
を
)
る。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それを見つめていると、わたしは自分のうちに今まで
閉
(
と
)
じられていた門がひらくのを感じました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
かすめたり、こそッと人の
居
(
い
)
ん
所
(
とこ
)
い
閉
(
と
)
じ
籠
(
こも
)
ったりするようなんは、健全な交際とは認められん。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
時計
(
とけい
)
が
鳴
(
な
)
る。アンドレイ、エヒミチは
椅子
(
いす
)
の
倚掛
(
よりかゝり
)
に
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて、
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
ぢて
考
(
かんが
)
へる。
而
(
さう
)
して
今
(
いま
)
讀
(
よ
)
んだ
書物
(
しよもつ
)
の
中
(
うち
)
の
面白
(
おもしろ
)
い
影響
(
えいきやう
)
で、
自分
(
じぶん
)
の
過去
(
くわこ
)
と、
現在
(
げんざい
)
とに
思
(
おもひ
)
を
及
(
およぼ
)
すのであつた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
されども
遠
(
とほ
)
い
東方
(
ひんがし
)
の、
曙姫
(
あけぼのひめ
)
の
寢所
(
ねどころ
)
から、あの
活々
(
いき/\
)
した
太陽
(
たいやう
)
が
小昏
(
をぐら
)
い
帳
(
とばり
)
を
開
(
あ
)
けかくれば、
重
(
おも
)
い
心
(
こゝろ
)
の
倅
(
せがれ
)
めは
其
(
その
)
明
(
あか
)
るさから
迯戻
(
にげもど
)
り、
窓
(
まど
)
を
閉
(
と
)
ぢ、
日
(
ひ
)
を
嫌
(
きら
)
うて、
我
(
わ
)
れから
夜
(
よる
)
をば
製
(
つく
)
りをる。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
閉
(
と
)
ざされてしまわない
様
(
よう
)
力
(
ちから
)
限
(
かぎ
)
り
脚
(
あし
)
で
水
(
みず
)
をばちゃばちゃ
掻
(
か
)
いていなければなりませんでした。
醜い家鴨の子
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
又餅を
炙
(
あぶ
)
りて
食
(
くら
)
ふ、
餅
(
もち
)
殆
(
ほとん
)
ど尽きて毎人唯二小片あるのみ、
到底
(
とうてい
)
飢
(
うゑ
)
を
医
(
い
)
するに
足
(
た
)
らざるを以て、衆談話の
勇気
(
いうき
)
もなく、天を
仰
(
あほい
)
で
直
(
ただ
)
ちに
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
づ、其状恰も
愁然
(
しうぜん
)
天に
訴
(
うつと
)
ふるに
似
(
に
)
たり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
顏へ水を吹きかけたり、氣附藥を口に含ましたりして、やつと囘復はしたが、それからは餘り物も言はぬやうになつて、皆なが出かけて行く時にも、獨りで宿屋に
閉
(
と
)
ぢ
籠
(
こも
)
つてゐた。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
この
花冠
(
かかん
)
は非常に日光に
敏感
(
びんかん
)
であるから、日が当たると開き、日がかげると
閉
(
と
)
じる。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
どこの
家
(
うち
)
でも、主人が家庭にばかり
閉
(
と
)
ぢ
籠
(
こ
)
んでゐると、
女房
(
かない
)
の多くはすべてそれを物足りなく思つて、どうかして亭主を
籾殻
(
もみがら
)
か何ぞのやうに
門口
(
かどぐち
)
から外に掃き出す工夫はないものかと
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
研究室に
閉
(
と
)
じこもっている遠藤博士が、ちょっと茶の間へ行って、お茶をのんで、ひと休みしてから、また研究室へもどるために、廊下を歩いていますと、助手の木村青年と行きあいました。
電人M
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“閉”の意味
《名詞》
(とず) 暦注の十二直の一つ。堤を築くことなどに吉、柱立て、婚姻、鍼灸などに凶という日。
(出典:Wiktionary)
閉
常用漢字
小6
部首:⾨
11画
“閉”を含む語句
閉塞
閉籠
幽閉
閉口
開閉
閉場
閉切
戸閉
閉込
閉鎖
開閉器
密閉
閉出
閉伊川
閉店
上閉伊郡
密閉室
大閉口
閉扉
本開閉器
...