)” の例文
殊に夕方其の井戸端へお米をぎに行く時は、我ながら我身が顧みられた。片手にお米の入つたばけつを持ち、片手にはこまかな網目の亜鉛とたん底の米あげ桶を抱へて行くのであつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
其傍では船頭のかみさんが、釜に米を入れたのを出して、川から水を汲んで、せつせとそれをいで居たが、やがて其処そこから細い紫のけぶりが絵のやうに川になびいた。夕照せきせうが赤く水を染めて居た。
(新字旧仮名) / 田山花袋(著)
初々と米をぐような骨の音がする
清貧の書 (新字新仮名) / 林芙美子(著)