)” の例文
旧字:
食事もらなければならず、第一、息苦しい長持の中に、そんな長い間忍んでいられよう道理はない筈ですけれど、なぜか、私には
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
彼等の祖先と同じ形の食器から同じ黄色い食物をり、野に同じ種を播き、身に同じ衣をまとひ、頭に同じ髷同じ冠を伝へてゐる。
測量船 (新字旧仮名) / 三好達治(著)
十分に休養をった肉体は、太陽に焼かれると、すぐ希望に燃え功名や野心にうずき、手脚はそれにたくわえている力のやり場を催促して
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
孔子の云う仁とはかなり開きがあるのだが、子路は師の教の中から、この単純な倫理観を補強するようなものばかりを選んでり入れる。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
心も身体からだも綿の如く疲れ果てているのに、気が付いて見ると、昼頃から一食もらずに、繁代の幻に引かれて、さ迷い歩いていたのです。
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「少しも滋養物がれぬので一番困ります。」と言った。居士はさじの牛乳をも摂取せぬことが既に幾日か続いているのであった。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
後深草院はこれにはさすが御不満で、父院の崩御の後、自ら院政をられんとして、亀山天皇と対立の形になり、状を幕府へ訴えられた。
中世の文学伝統 (新字新仮名) / 風巻景次郎(著)
食事をることも、睡ることも、息をすることまで、何もかも困難になる。この幼い切ない魂はいたずらに反転しながら泣号する。
火の唇 (新字新仮名) / 原民喜(著)
その夜は大阪朝日新聞松山支局の松下君その他一名と風の無い旗亭の二階から夕焼雲の美くしいのを眺め乍ら晩餐をつた。
坊つちやん「遺蹟めぐり」 (新字旧仮名) / 岡本一平(著)
気候とか養分のり方に、もっと適応したくましく進化して行けば、此処で見るような巨大な実を結び、花を咲かすことが出来るのかも知れない。
火星の魔術師 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
女は浴室バスから上ったらしい丈夫相な半裸体のまま朝の食事をって居た。車付きの銀テーブルの上にキャビアのかんが粉氷の山に包まれて居る。
ドーヴィル物語 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
六時以後は直ぐに近くの紅葉坂もみじざかの自宅に帰って、家族と一緒に晩餐ばんさんる事にきめていたが、開業医の当然の責任として
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
志村竜太郎は、海に向いた窓のそばの食卓に坐って、ぽつねんとひとりで贅沢な夕食をっていた。この長い半生、たいていそうであったように。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
人心地ひとごこち失いまして、よい智慧も浮びませぬゆえ、まことに我まま申上げてはばかり多いことで厶りまするが、ひと刻程ねむりをらせて頂きましてから
十万石の怪談 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
初めには裁いたものをもゆるし、しりぞけたものをもり、曖昧あいまいなる内容は明確となり、しだいに深く、大きく、かつ高くなり、その終わりに近きものは
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「その通りだ。学生の健康については、それで十分注意している。太陽灯もつけているが、その外にヴィタミンDを十分ってその補いをしている」
アラスカ通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
ともすようにして暮らしたその日その日のめしの減り方まで多いの少いのと云うので食事も十分にはれなかったくらいであった奉公人は蔭口かげぐちをきいて
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
だからこの調子で八月は暑さも暑いし、すこしゆったり顔を眺め、物干にほされるあなたの着物をたたんだりして滋養をろうという気になりました。
少なくも、その書中から、滋養をるのに、それも稀にしかない本でゞもないかぎり、手垢がついていては、不快を禁ずることができないのであります。
書を愛して書を持たず (新字新仮名) / 小川未明(著)
「脂肪分はいけないよ。澱粉をたくさんるんだ。そして肝臓にグリコーゲンを貯えるようにするといいんだね」
黄色い日日 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
あれではあとで滋養をらなければならないから、かえって高いものにつくのだ、というのがかれらの説であった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かく、土く諸物の精力をり去り、霊異の品時に自ら地下へ逃げ去らんとすてふ信念より、駿馬の駒また地へ生み落さるればその力を減ずとしたのだ。
四二二号は私の左隣室の患者で鼻孔から食物をり、死はさし迫った時日の問題になっていたが、この老人の自家用車は毎日病院の駐車場に停車していて
ほんの纔かの眠りをる間も、ものに驚いて覚める様になつた。其でも、八百部の声を聞く時分になると、衰へたなりに、健康は定まつて来たやうに見えた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
手をかけなくても栄養もれ、美味でもあり、見た目も美しいものを、いたずらに子供をだますような料理をつくることは、料理人の無恥むちを物語るものであろう。
味覚馬鹿 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
「以前病気揚句に毎晩のように洋食屋へ行った時です。痩せっこけてしまって、滋養分をる必要がありました。景気の好い頃でしたから、チップを弾みましたよ」
勝ち運負け運 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
寂照は「あな、とうと」と云いて端然たんねんり、自他平等利益りやく讃偈さんげを唱えて、しずかに其処を去った。戒波羅密や精進波羅密、寂照は愈々いよいよ道に励むのみであった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
丁度そこは上のリンネ(本沢)から水が辷り落ちている所なので、第一回の食事をる事にする。
一ノ倉沢正面の登攀 (新字新仮名) / 小川登喜男(著)
彼女は冷い炭酸水をりながら、意外なる出来ごとについて、僕に話して聞かせるのだった。——
鍵から抜け出した女 (新字新仮名) / 海野十三(著)
時間をきめて食事がれなかつたせゐか、富岡は、ますます、自分の肉体の衰へを感じて来た。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
食物をり、呼吸をし、ものを看視していてくれる君たちのご苦労には、実に感謝している。
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
出歩きをこわがって、万豊などに使を頼むのは無駄だから、これから二人がかりでそれぞれの註文主へ納め、暫くぶりで倉の外で晩飯をろうではないかと御面師が促すのであった。
鬼涙村 (新字新仮名) / 牧野信一(著)
波田のベッドは、ボーイ長のとL字形に隣り合っているので、自分のベッドで、頭をかがめながら、うまい夕食をった。全く、字義どおりに「のどから手が出る」ほどであった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
考えるのですか。お部屋に帰って横におなりなさい。そしてぐっすりおやすみなさい。あなたはもっと睡眠をらなくちゃいけませんよ。よく眠りさえすれば、じきくなりますよ。
「なんでも、日本人の体質には、動物性の滋養じようよりも植物性の滋養のほうが適するんだそうですよ。どうも僕たちも知らず知らずのうちに脂肪の強い物ばかりりすぎていたんですね。」
万年青 (新字新仮名) / 矢田津世子(著)
又動物の中にだってヒドラや珊瑚さんご類のように植物に似たやつもあれば植物の中にだって食虫植物もある、睡眠すいみんる植物もある、ねむる植物などは毎晩邪魔じゃまして睡らせないとれてしまう
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
二カ月で自分の宮殿をつくりうること、わたしはお茶もコーヒーものまず、バターやミルクや新しい肉もらないので、そういう物の代金を稼ぐためにはたらかなくてもすむこと、そして
時間は大分過ぎて居るので、軽い昼食をる為めに食卓へ進んで行った。
乗合自動車 (新字新仮名) / 川田功(著)
そうして、いつの間にか、心地よい夢路を辿ってりました。あなたはモルヒネをった経験がおありですか。又、『オピアム・イーターの懺悔』という書を御読みになったことがありますか。
人工心臓 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
我々が食後にっていた珈琲コーヒーも不快そうに顔を顰めていたが、魔法瓶は珍しかったとみえて……殊にそこから湯気の立った熱い珈琲のほとばしり出てくるのを、世にも怪訝けげんそうに眺めているのであった。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
食事もろくろくろうとはせず、ただ眼ばかりギョロギョロ動かしていた。誰かがこの女を起そうとすると、そのたびに、今にも殺されでもするかと思われるように、声をたてて泣き喚くのだった。
狂女 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
食事は十分にって、営養のゆたかな葡萄酒をお飲みなさい。
食事は主人も店員女中たちも同じものをること。
「そちは、夕刻、邸内へ来たばかりで、その上、もう人並に眠りもったと申すが、どうして、邸の勝手を左様に心得ているのか」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私と娘は、いま新嘉坡シンガポールのラフルス・ホテルの食堂で昼食をり、すぐ床続きのヴェランダの籐椅子とういすから眺め渡すのであった。
河明り (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
第一下宿の飯が不味まずくなるから、時々滋養分をらないと頭がわるくなるおそれがある。フレッチャー式なぞを遣ったら落第するにきまっている。
かくて自己は広き範囲にわたりて、多くの事実を多くの立場より見得るに至るであろう。生活にりいれらるる data は豊富になるであろう。
愛と認識との出発 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
その御蔭おかげで、何人に一台という自動車が行き渡り、食物も栄養価の高いものを、全国民が十分にることができる。
日本のこころ (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
あれではあとで滋養をらなければならないから、かえって高いものにつくのだ、というのがかれらの説であった。
青べか物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それなのに一向肥らないのは、栄養を充分にっていないせいだと、僕はにらんでいます。もっともその点にかけては、僕もあまり大口たたく権利はないのですが。
ボロ家の春秋 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)