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幕府では、彼が、現地からそのまま帰国のをとらず、病中なのにわざわざ鎌倉へ立寄って、正しい届け出での手続きに出たことを
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桃太郎は意気揚々ようようと鬼が島征伐ののぼった。すると大きい野良犬のらいぬが一匹、えた眼を光らせながら、こう桃太郎へ声をかけた。
桃太郎 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
女史は落胆して、この上は郷里の兄上を説き若干じゃっかんを出金せしめんとて、ただ一人帰郷のに就きぬ、旅費は両人の衣類をてんして調ととのえしなりけり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
何でも日本から帰航のに就いた運送船が英国の南海岸で難破し、その残骸は附近の島に打ちあげられた。記憶は確でないがホワイト島であったかと思う。
讓るべきであると云ふ徹底的見地からするのと、讓るのが自己の利益だと云ふ利己的立場からするのと、意味がちがつて居ても、結果が屡同一に歸着する。
計画 (旧字旧仮名) / 平出修(著)
逃亡とうぼうした猿田飛行士の代りにミドリの兄の天津飛行士を加えただけで、あとはそのままの顔ぶれでもって、いよいよ地球へ向け帰還きかんにつくことになった。
月世界探険記 (新字新仮名) / 海野十三(著)
尻尾を捲いて逃げ出す一と思っていたところへ、踏み止まって看病しましょうかと来たから気に入った。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
たとえば永く浪人しておった人が、仕官のにつき久しぶりにかねを手にすると、金満家きんまんかになったような気がして、一月分の月給で友人を招いて一晩に飲んでしまう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
洋人來航するに及んで、物議ぶつぎ紛々ふん/\、東攻西げきして、内訌ないこう嘗てをさまる時なく、終に外國の輕侮けいぶまねくに至る。此れ政令せいれいに出で、天下耳目のぞくする所を異にするが故なり。
もまだちない。かたち何處どこか、かげえない。かね氣短きみじかなのはつてる。こと御病氣ごびやうきなにかのおなぐさみらうものを、はやく、とおもふが見當みあたらない。蓑蟲みのむしこひしくまよつた。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ここにおいて命令せられたる題目に英語とあるは、多少自家の意見にて変更し得るの余地ある事を認め得たり。かくして余は同年九月西征ののぼり、十一月目的地に着せり。
『文学論』序 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たちは、いさみたちました。あるひるごろ、みんなは、この大旅行だいりょこうのぼったのです。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこ/\にきゝなし我が部屋へやいた身拵みごしらへして新造禿を引連兵庫屋へゆく中桐屋へ立寄たちより歌浦さんの御客は上方の衆かととへば女房とんいで御前樣の御言葉おものごしよく御出おいでなさると云ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
首尾しゅび彼岸ひがんに達して滞在たいざい数月、帰航のき、翌年うるう五月を以て日本に安着あんちゃくしたり。
町を一じゆんして家へかへつて來る頃には、彼はもう坂の中で轉んだことをわすれてゐた。
坂道 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
我等は再び車に乘りに上りぬ。四邊あたりの草木はいよ/\茂れり。車に近き庭園、田圃の境には、多く蘆薈ろくわいゑたるが、その高さ人の頭を凌げり。處々の垂楊の枝はれて地に曳かんとせり。
市郎が単身登山のに就いたのち、七兵衛は慌てて家内かないの人々を呼びおこしたが、疲れ切っている連中は容易にとこを離れ得なかったので、彼等が朝飯を済まして、家を出たのは午前七時を過ぎていた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
こたびはのぼりしとき、日記にきものせんとて買いし冊子さっしもまだ白紙のままなるは、独逸ドイツにて物学びせし間に、一種の「ニル・アドミラリイ」の気象をや養い得たりけん、あらず、これには別にゆえあり。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三少年の一家族は、かくして黄金の国探検のについたのです。
新宝島 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ただちにイギリスに向かって出発のに着いたと書いてあった。
十二月十五日赤穂義士復讐の日を期してかんとす。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
『——で、内蔵助殿のいわるるには、これ迄と、一言仰せ。幾度か、各〻へ向って、お誓いの如く、復讐の一と、肚はすえられた』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、さて遊歴ゆうれきに上ってみると、何かと行く所も多いものですから、容易に潤州じゅんしゅうの張氏の家を訪れるひまがありません。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
儂既に決心せし時なれば、直ちにこれを諾し、大井、小林と分袂ぶんべいし、新井と共に渡航のに就き、崎陽きように至り、仁川行じんせんこう出帆しゅっぱんを待ち合わせ居たり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
譲るべきであると云ふ徹底的見地からするのと、譲るのが自己の利益だと云ふ利己的立場からするのと、意味がちがつて居ても、結果が屡同一に帰着する。
計画 (新字旧仮名) / 平出修(著)
ピリピリピリと鳴る笛の音に集った部下を引連れ、捜査課長はニコリともしないで凱旋がいせんについた。
一九五〇年の殺人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
献身者は全く新たな目標を向うに見つけて未知ののぼる。身心を挙げてすべてに当るより外はない。肉身といえばか弱い。心といってもたなごころに握り得るものでもない。ただあるものは渇仰かつごうである。
……おとさへ、むか、とみゝひゞいて、キリ/\とほそとほる。……
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そして、おのおのが、この新しい伽藍がらんへ、応分の寄進を約して、いとも満足げに、やがてそれぞれ帰館のについて行った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実に彼は死よりもつらき不面目をにないつつ、折角せっかく新調したりし寒防具その他の手荷物を売り払いて旅費を調ととのえ、ようやく帰京のにはつき得たるなりき。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
どこへ行ったのか、ハッキリ知る人もなかったけれども、丁度ちょうどそのころサンタマリア病院の若きマクレオ博士もそこを辞して、帰国のについたということである。
人造人間事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(地図参照)伝吉は現在平四郎の浄観じょうかんと云っているのも確かめた上、安政六年九月七日なのか菅笠すげがさをかぶり、旅合羽たびがっぱを着、相州無銘そうしゅうむめい長脇差ながわきざしをさし、たった一人仇打ちののぼった。
伝吉の敵打ち (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
こうふりかえると、帰国のへの不気味さは、都にとどまる空しさより、もっと暗い予感と、怨みとを、伴うのであった。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お約束どおり、午前二時、Z九号飛行場を自動車が動き出したときに、貴方は今回の超冒険旅行のについたわけです。それからこっちは、艇長たる私が、貴方の身体も生命も共に預ったのです。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
父母にも告げて再び上京のに就きしは廿二年七月下旬なり。
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
それを名分にうたって二二軍勢で同時に二つの城市へ攻めてゆく。つまり一方の首将には大人になっていただき、一方の指揮には私があたる。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここで、いささか説明を加えるなら、その一色村は、かつての日、高氏が忍び上洛のに供をした傅役もりやくの若党、かの一色右馬介の出生地なのである。
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なぜか、鎌倉の令はこのところ二から出ていた。一使は「資朝卿を斬れ」と命じて来、一使はまたすぐ後から「待て」と、言って来るような有様だ。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殺伐さつばつな男どもにも、春は人並な多情多感をそそるらしい。あちこちの若草にころがって、ここ、ちょっとぎれていた血臭い修羅場を忘れかけていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ざんねんながら、富岳ふがくの一天に凶兆きょうちょうれきれき、もはや、死か離散かの、二よりないようにぞんぜられまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、助九郎は、武蔵のすがたを見て、武蔵が今なお、修行のにまみれている様子を見て取ったようにいった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こよいのに、気負って助太刀をいい出した乾児こぶんも多かったが、多人数はかえって足手まとい、それに夜とはいえ、江戸の町なか、世上の聞えもあるからと
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍師ぐんし威命いめいおこなわれず、命令が二からでて、たがいにこうをいそぐこと、兵法の大禁物だいきんもつである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜はだいぶ更けていると見えて、奥山の小屋のも、吉原通いの人どおりも、ばったりと絶えて、からかさのような御堂みどうひさしをのぞいた以外な所は、霜にえて、真ッ白に見えるばかり。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
汝また、うらみともせず、よく魏の急に駈けつけて、しかもすでに孟達の叛逆をそのに打つ。——もし汝の起つなかりせば、魏の両京は一時にやぶれ去ったかもしれぬ。うれしく思うぞ
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
殿中禁犯の結果は、切腹断絶という一に止まっていることを知って、もう、うごかない運命の座にぴたりと坐っている容子が、静かなことばのうちにはっきりと、相手の胸へみてくる。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はい。ここにいて、殿の御上洛のをお待ちするつもりでございますが——」
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風のかげんか、喨々りょうりょうと澄んで高く聞こえてくるかと思うと、ぎれて、消えなんとし、消えたかと思えばまた、嫋々じょうじょうたる呂律りょりつが川波にのって流れ、そしてだんだんに近づいて来るのであった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところがその高氏すら腰を上げないうちに、いちはやくもその日——その日というのは三月下旬の二十六日——佐々木入道道誉が、二階堂のわがやしきを引払って、第一番に西上のについた。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
初旬の四日、五日とつづいて、先鋒隊せんぽうたいは続々と北国攻めのについた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)