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蓑蟲
……
玄關番から
私には
幼馴染と
云つてもいゝ
柿の
木の
下の
飛石づたひに、うしろ
向きに、
袖はそのまゝ、
蓑蟲の
蓑の
思がしたのであつた。
葉もまだ
落ちない。
形は
何處か、
影も
見えない。
豫て
氣短なのは
知つて
居る。
特に
御病氣。
何かのお
慰に
成らうものを、
早く、と
思ふが
見當らない。
蓑蟲戀しく
途に
迷つた。
「おい、そこいらに
蓑蟲が
居るだらう。……
見な。」「はツ。」と
言つた
昨夜のお
夜伽から
續いて
傍に
居た、
私は、いきなり、
庭へ
飛出したが、
一寸廣い
庭だし、
樹もいろ/\ある。