)” の例文
「ゆるしなく、かってに出歩であるいたり、またまってきたようなものは、さっそくみせていってもらう。」という規則きそくがありました。
真吉とお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくはうんがよかったよ。こん夜はめてもらいたいね。ひさしぶりにゆっくりねむりたいんだ。ベッドをでよごしてすまなかったね。
リボーの店には、外国から政治上の事で脱走して来た人達がまることもあった。その頃には、マスケリーという著名な画家がおった。
この長田は長田の荘司しょうじの事で、例の源の義朝をめて置きながらこれを暗殺して平家の方に党した等の事蹟にもとづいて作ったもので
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
一晩ひとばんのお醫師いしや離座敷はなれざしきのやうなところめられますと、翌朝あけのあさ咽喉のどへもとほりません朝御飯あさごはんみました。もなくでございましたの。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうもひとのうちの門口かどぐちに立って、もしもし今晩は、私は旅の者ですが、日がれてひどく困っています。今夜一晩めて下さい。
楢ノ木大学士の野宿 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おやおや、それはおこまりだろう。だがごらんのとおり原中はらなかの一軒家けんやで、せっかくおもうしても、てねる布団ふとんまいもありませんよ。」
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
こういうと、へんに聞こえるかもしれませんが、ニールスたちは、どうも、農園のうえんめてもらう気には、なれないらしいのです。
そのふもとにやや大なる船まりいる。正面に丹左衛門尉基康たんざえもんのじょうもとやすその左右に数名の家来けらいやりをたてて侍立じりつす。その前に俊寛、康頼、成経ひざまずく。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
「一つ皮肉ひにくに、せんだって使者にまじってきた、菊池半助きくちはんすけをたずねて、一晩ひとばんめてくれともうしこんで見ようじゃないか」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
なんとさまざまな存在を、この「アインフリイト」はすでにめたことだろう。一人の文士さえも、今ここにいる。
トリスタン (新字新仮名) / パウル・トーマス・マン(著)
あくる日のばん、また一人のお客が、この宿にまりました。このお客も前夜のお客と同じように親切にもてなされて、いい気持ちで寝床ねどこにつきました。
神様の布団 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
男は、今宮へ行けば市営の無料宿泊所もあるが、しかし、人間そんな所の厄介やっかいになるようではもうしまいだと言いながら、その小屋にめてくれました。
アド・バルーン (新字新仮名) / 織田作之助(著)
徳川家康いえやすは三人を紫野むらさきの大徳寺だいとくじまらせておいて、翌年の春秀忠ひでただといっしょに上洛じょうらくした時に目見めみえをさせた。
佐橋甚五郎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
正三君はこの安斉あんざい先生に主事室へ呼びつけられてお学友の心得こころえを申し渡された。それは生まれてはじめてよそにまって心細い一夜をすごした翌朝よくあさだった。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
わしもときかゝあなれた當座たうざなもんだからさう薄情はくじやうなことも出來できねえとおもつて、そんでも一ばんめて、わしもこまつちやたがこくもちつたあつたのせ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「みんな汽車でつかれただろう。今晩は、宿屋にでもまったつもりで、のんきにくつろぐんだな。もっとも、郷里にはがきだけはすぐ出しておくがいい。」
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
だつてねえ婆やさん——それはあなたが私をめてくれなかつたり、かたりだと思つたりしたせゐではないの。
第四日は五色温泉を経てさんの峡谷を探り、もし行けたらば八幡平はちまんだいらかくだいらまでも見届けて、木樵きこりの小屋にでもめてもらうか、しおまで出て来て泊まる。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
とうさんの幼少ちひさ時分じぶんには、むかしのお大名だいみやう木曽路きそぢとほときまつたといふふる部屋へやまでのこつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
その國から上つておいでになる時に、難波なにわわんを經て河内の白肩の津に船をおめになりました。
そうすれば東京湾にのぞんだ姉ヶ崎附近だろうとせられて居る。一首の意は、海上潟の沖にあるのところに、船をめよう、今夜はもうけてしまった、というのである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
旅人でもめてやる場合でないとその有難味は見えないが、衣服になると永く持つとは言っても、その一部分だけは毎年主婦の手によって、家内の者にそれぞれ配給する。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
いくら大胆不敵だいたんふてきの二十面相でも、もう正体がわかってしまった今、探偵と肩をならべて、ホテルの人たちやまり客のむらがっている玄関を、通りぬける勇気はなかったのです。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
マリユスはクールフェーラックに言った、「めてもらいにきたよ。」クールフェーラックは寝床の二枚の蒲団ふとんを一枚ぬき出して、それをゆかにひろげて言った、「さあ寝たまえ。」
「御迷惑じゃろうが、めてもらえますまいかな?」と、老人は入り口から言った。
再度生老人 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
槍の坊主小屋あたりにまる考だのに、まだその半途、今日はとても行けぬ、しかしこんな峰頂では、露営は覚束おぼつかない、ぐずぐずしていると日が暮れる、立往生するのも馬鹿げている
穂高岳槍ヶ岳縦走記 (新字新仮名) / 鵜殿正雄(著)
本郷ほんごうの家まで帰るのに、もうひっそりと寝しずまった町々を歩いて来たのであったが、時々はあまりに遅い時間になってしまって、そのままめていただいたことなどもかなりにあった。
左千夫先生への追憶 (新字新仮名) / 石原純(著)
連れ戻すために来たんだが……その手筈だったんだが、あの模様ではね。……まあ今晩一晩だけめてやったらいいだろう。幾代も兼子もそう云ってるんだから、お前もそのつもりでね。
子を奪う (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
あかしのつくころに糟谷かすやは帰ってきた。西田は帰ってしまうにしのびないで、まって話しすることにする。夜になって礼子や下女の笑い声ももれた。細君もおきて酒肴しゅこう用意ようい手伝てつだった。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
その日は積荷の都合で出帆しないと云ふので、その晩は僕も平野丸の客室サロンに蚊に食はれながらめて貰つた。晶子は思郷病しきやうびやうに罹つてひどくヒステリツクになつて居る。其れに少し体の加減も損じて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
此奴こいつうつかり京都きやうとまでつて、萬一ひよつと宿やどがないと困ると思ひまして、京都きやうとの三でう白河橋しらかはばし懇意こんいものがございますから、其人そのひとところへ郵便を出して、わたしまゐるからうかめてくださいとまうしてりますると
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
『お前が、俺許おらどこめてろづな?』と、無遠慮に叱る樣に言ふ。
赤痢 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「妙な事だね。それじゃめてくれないかも知れんね」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そんなら、今夜はここにまろう」
恐竜艇の冒険 (新字新仮名) / 海野十三(著)
(おまをすとなりましたら、あの、他生たしやうえんとやらでござんす、あなた御遠慮ごゑんりよあそばしますなよ。)おそろしく調子てうしいぢやて。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おとこは、さまざまな空想くうそうにふけりました。そして幾日いくにち幾日いくにちたびをつづけました。おとこは、よるになるとさびしい宿屋やどやまりました。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
ガンたちは森の中の沼地ぬまちまり場所を見つけて、そこにいおりました。けれども、ニールスにはねるような所がありません。
「ああ、おばあさん。じつはこのはらの中で日がれたので、とまうちがなくってこまっているものです。今夜こんや一晩ひとばんどうかしてめてはいただけますまいか。」
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
秋之坊という俳人を幻住庵にめた時の句で、何も御馳走はないが、唯だ蚊が小さいのだけが御馳走だというのである。
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
ぎゃあぎゃあと、嬰児あかごの泣く声やら、亭主のどなる声やらして、どうして、それ以外の旅人をめる席があるだろうかと疑われるような狭さであった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
瞽女ごぜ村落むらから村落むらの「まち」をわたつてあるいて毎年まいねんめてもら宿やどついてそれから村落中むらぢう戸毎こごとうたうてあるあひだに、處々ところ/″\一人分いちにんぶんづゝの晩餐ばんさん馳走ちそう承諾しようだくしてもらつてく。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
なんだって、あんな男をとめる気になったんだろう? おれが宿屋やどやのあるじなら、相手の顔をよくよくながめ、名まえをたしかめてから、めるか、泊めないか決めるね。
都多つたの細江」は姫路から西南、現在の津田・細江あたりで、船場川せんばがわの川口になっている。当時はなるべく陸近く舟行しゅうこうし、少し風が荒いと船をめたので、こういう歌がある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
私はとにかく津村をうながしてその岩の上からこしもたげた。そして、宮滝でくるまやとって、その晩めて貰うことにきめてあった国栖くずの昆布家へ着いた時は、すっかり夜になっていた。
吉野葛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
右の八幡の神楽組かつて附馬牛村に行きて日暮ひぐれ宿を取り兼ねしに、ある貧しき者の家にてこころよくこれをめて、五升ますを伏せてその上にゴンゲサマをえ置き、人々はしたりしに
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
青金あおがね鉱山こうざんできいて来たのですが、何でも鉱山の人たちなどもめるそうで。)
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「けれど私たちは無宿者やどなしめる譯にや行かないよ。飛んでもないこつたよ。」
婆さんは日本のオト大将と島川しまかは少将とを一度めた事があると話したが「オト」はおく間違まちがひかも知れない。この婆さんは「そよぐ麦」の中の「小作女こさくをんな」と云ふ詩に歌はれた人ずきのする快濶くわいくわつな婆さんである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
めてくれる家がなかったもんですから。……」
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)