“尋(と)” の例文
書持の兄、家持が天平勝宝二年に作った歌に、「夜くだちに寝覚(ねさ)めて居れば河瀬(かはせ)尋(と)め情(こころ)もしぬに鳴く千鳥かも」(巻十九・四一四六)というのがある。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
尋(と)めゆきて死所と定めむ天竜の峡(かひ)ちかき村清水湧くところ(原君、飯田市より二三里を距てたる山本村の清水に疎開し来れと誘はるるにより、かかる夢あり)
枕上浮雲 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
彼は職業は何かと尋(と)われてはたと当惑した。新聞の記者をしているのだから「新聞記者です」と言えば何の面倒もないのだが、彼はなぜかそう言うのが不正当のように考えられた。
六月 (新字新仮名) / 相馬泰三(著)
「今まで一人で、こんな処で何をしておった、お飯(まんま)が出来たから喫(く)わそうと思うて尋(と)めよった、お母(かあ)も手伝いに往っておっても、お前のことばかり心配しよる、早う帰(い)んでお飯(まんま)にしよう」
放生津物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ある時はカザノヷのごとをみな子の肌をさびしく尋(と)め行く心
和歌でない歌 (旧字旧仮名) / 中島敦(著)
花の香を匂はす宿に尋(と)め行かば色に愛(め)づとや人の咎(とが)めん
源氏物語:45 紅梅 (新字新仮名) / 紫式部(著)
わかうどよ、汝(な)はくるし、尋(と)めあぐむ苦悶(くもん)の瞳(ひとみ)
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
光の過去のあとかたを尋(と)めて集むる憐れさよ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
浪どよみ風の戰(そよ)めける音をし尋(と)むる心地して
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
尋(と)めあゆむ
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
張船山(ちょうせんざん)ノ韵(いん)ヲ次グニイハク「五十纔過鬢已華。悠悠心迹送残涯。可無詩夢尋春草。未使朝衫付酒家。老後功名如古暦。酔来顔色似唐花。東風料峭天街遠。力疾還登下沢車。」〔五十纔(わず)カニ過ギテ鬢已ニ華/悠悠心迹残涯ヲ送ル/詩夢ノ春草ヲ尋(と)フコト無カル可ケンヤ/未ダ朝衫ヲ
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「春まけてかく帰るとも秋風に黄葉(もみ)づる山を超(こ)え来(こ)ざらめや」(巻十九・四一四五)、「夜くだちに寝覚めて居れば河瀬(かはせ)尋(と)め情(こころ)もしぬに鳴く千鳥かも」(同・四一四六)という歌があり
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
今一度山川みたくおもへども尋(と)めゆく力うせにけるかも
枕上浮雲 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
光の過去のあとかたを尋(と)めて集むる憐れさよ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
にほやかに尋(と)めもなやめば。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春のはつ花、にほひを尋(と)むる。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
さば尋(と)めむ、恋(こひ)の歓楽(よろこび)。
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
春のはつ花、にほひを尋(と)むる
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
尋(と)めゆくあゆみ
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
噫、われひとゝ尋(と)めゆきて
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
噫(ああ)、われひとゝ尋(と)めゆきて
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)