)” の例文
旧字:
それが好い加減にけましたらば別に玉子の白身四つぶりを本式に泡立ててやっぱり少しずつメリケン粉を振りかけながらその中へ三
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
湖山はこれより先嘉永四年の冬かつき、参河国みかわのくに吉田の城主松平伊豆守信古のぶひさの儒臣となっていたので、海防に関する意見書を藩主に呈し
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
千年あまりも前に、我々の祖先の口馴れた「ある」と言ふことばがある。「産る」の敬語だと其意味をき棄てたのは、古学者の不念ブネンであつた。
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
哀れな狂女が床を離れずにいることを、根性まがりの女の自尊心が然らしめるところだという風にった。普魯西の兵隊などには会うまい。
狂女 (新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
お島が説明してきかす作太郎の様子などで、その時はそれでけるのであったが、その疑いは護謨毬ゴムまりのように、時が経つと、またもとかえった。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
その苦い面を見て、市五郎も話しにくいのをいて一通り話してしまうと、伊太夫の苦い面が少しくけかかってきました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
臆病に、大胆に、他を傷つけたり、疑つたり、連日連夜の紛争と愛情の交錯とはいよ/\こじれて、長時のけ難いにらひの状態になつた。
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
生徒は私の言った意味を何とったか、いずれも顔を見合せて笑った。中には妙な顔をして、頭をかかえているものもあった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
矢車草の葉包がかれて、昼のものが腹に入った。空は、もう泣き出しそうになって、日の眼を見ないから、手がこごえる。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
おもふにわたくしの彼疑がけたら、随つて和田さんの此疑も釈けるのではなからうか。多く古書の聚散遷移の迹を識つてゐる人の教を乞ひたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
この文を従前難解としたが、谷川士清たにかわことすがの『鋸屑譚おがくずばなし』に始めてこれをいた。ホヤは仙台等の海に多く、科学上魚類に近い物ながら、外見海参なまこに酷似す。
甚だ不完全であるがいささかの経験ある露西亜語を利用して日露国民相互間の誤解をき、再び不祥の戦争がなからしむるように最善の努力を尽したいと思う。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
すなはち彼は自ら罰せられてをるのぢやから、君は君としてうらみいて可からうと思ふ。君がその怨を釈いたなら、昔の間にかへるべきぢやらうと考へるのじや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
天子直参じきさんの上卿用たる衷甸両牡ちゅうじょうりょうぼの車に乗る。罪二つ。君の前にして裘を脱ぎ、剣をかずして食う。罪三つ。
盈虚 (新字新仮名) / 中島敦(著)
孝陵の山川さんせんは、其のふるきに因りて改むるなかれ、天下の臣民は、哭臨こくりんする三日にして、皆服をき、嫁娶かしゅを妨ぐるなかれ。諸王は国中になげきて、京師に至るなかれ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
詩を思う心は一つのきがたい不思議であって、何物か意識されない、或る実在感へのこそばゆき誘惑である。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
ソコで講師の交換でもすれば、幾分か両者間の誤解をく一助にもなろうかと考えるものがあるに至った。
人格を認知せざる国民 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
三郎は一生懸命になってなだめたので、阿繊もそれからは何もいわなかったが、山はどうしてもけなかった。彼は善く鼠をとる猫をもらって来て女の容子ようすを見た。
阿繊 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
三分廬を出づ、諸葛んぬるかな、一身らくに入る、賈彪かひょういずくに在りや。心は貫高を師とし、而してもとより名を立つる無く、志は魯連を仰ぎ、遂に難をくの才に乏し。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
だが昌幸に邪魔された秀忠の怒りは、容易にけなかったが、信幸父をちゅうせらるる前に、かく申す伊豆守に切腹仰せつけられ候えと頑張りて、遂に父弟の命を救った。
真田幸村 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
現在知られている二つ三つの資料を並べてみただけで、この問題はおおよそけるかと思う。群馬県では利根郡の赤城根あかぎね村などで、ムジナには二つの種類があるといっている。
狸とムジナ (新字新仮名) / 柳田国男(著)
さもなければ夜伽よとぎ行燈あんどうの光の下で、支考と浮世話に耽つてゐる際にも、ことさらに孝道の義をいて、自分が師匠に仕へるのは親に仕へる心算つもりだなどと、長々しい述懐はしなかつたであらう。
枯野抄 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
この辺の下層売春婦の客は、多く隣接工業地帯からの若い労働者か、テムズの諸船渠ドックに停泊中の船員なのだが、パッカアはその男を、そういう部類の筋肉労働者のいずれともらなかった。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
むしろ何物かからはなされるような感情を味いながら、相手に向って云った。
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
として冬、川をわたるがごとく、ゆうとして四隣をおそるるがごとく、げんとしてそれ客のごとく、かんとしてこおりのまさにけんとするがごとく、とんとしてそれぼくのごとく、こうとしてそれ谷のごとく
茶の本:04 茶の本 (新字新仮名) / 岡倉天心岡倉覚三(著)
しかしてこれを取りきたりてノルウェー産の樅のあいだに植えましたときに、奇なるかな、両種の樅は相いならんで生長し、年を経るも枯れなかったのであります。ここにおいて大問題はけました。
これをいて申せば、羅馬帝国はなるほど諸国を侵略した。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「やっぱり謎か。君だって謎をくじゃないか」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最初黄身と砂糖とを能く混ぜ牛乳を少々ずつ加えて能く掻廻しアラローツを牛乳または水にてき加えベシン皿か丼鉢へ盛りて
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
何よりも適当な時機に、衷心からけ合うことは望めないにしても、表面だけでも来た時のようにして一緒に帰りたかった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
そうして久助と町田とが飛騨の高山へ着いて見た時は、すでに前記の事態が過ぎ去って、その余雲がまだ雨風を含んでけない時でありました。
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
奈何どうして斯様こんなところへお志保が尋ねて来たらう。と丑松は不思議に考へないでもなかつた。しかし其疑惑うたがひは直にけた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
世上に若し従之の何者なるを知つた人があるならば、どうぞ事の真相を発表してわたくしの疑をいてもらひたい。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
始テかつヲ本藩ニキ儒員ニ列ス。藩命ヲ受ケテ西遊シ諸藩ノ情勢ヲ探リ、兼テ文ヲ朗廬ろうろ阪谷さかたに先生ニ学ブ。後ニ国ニ帰リ『西藩見聞録』ヲ作ツテコレヲたてまつル。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
近頃何とかいう外人が海を洋というたり、水盛んなる貌を洋々といったりする洋の字は、くだんの理由で羊と水の二字より合成さるといたはもっともらしく聞える。
数歩すほを行けば、宮が命を沈めしそのふちと見るべき処も、彼がけたる帯をきしそのいはほも、歴然として皆在らざるは無し! 貫一が髪毛かみのけはりの如くちてそよげり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
本書の前半に於て、吾人ごじんはこの問題を解決しようと思っている。しかしこれをく前には、表現の一般的のものにわたって、原則の根拠するところを見ねばならぬ。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
成はかたくいさめてはては涙さえ見せたので、周もよすことはよしたが怒りはどうしてもけなかった。それがためにその夜はねむらずに寝がえりばかりして朝になった。
成仙 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
し大王首計しゅけいの者をりたまい、護衛の兵を解き、子孫をしちにし、骨肉猜忌さいきうたがいき、残賊離間の口をふさぎたまわば、周公とさかんなることを比すべきにあらずや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
今後、機会のある毎に、いて行つて見たいと思ふ、日本書紀と言ふ書物に絡んだ、いろんな疑念の中、第一にほぐしてかゝらねばならぬのは、名義とその用法とである。
日本書と日本紀と (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
タケニというからにはそうくより他はないと、思っている人があるかも知れぬが、それはもう少し多くの事実を知ってからでないと、我々には到底とうてい断言の出来ぬことである。
ふと眼をひらくと、肌の温みに氷河の衣がいつかけている、また一瞬間、葛城、金剛、生駒、信貴山などいう大和河内あたりの同胞はらからが、人間に早く知られる、汚される、夭死わかじにをしてしまう
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
例えば信乃が故主成氏こしゅうしげうじとらわれをかれて国へ帰るを送っていよいよ明日は別れるという前夕、故主にえつして折からのそぼ降る雨の徒々つれづれを慰めつつ改めて宝剣を献じて亡父の志を果す一条の如き
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
出しておおいに世のまどいこう
平民道 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それを心得のある良人おっとで実はこういう事件が起ったから今その事を考えているといわれれば妻君の疑問はけて心配の範囲は小さくなる。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
葉子は立って行って、小夜子と脊比せいくらべをしたりして、親しみを示そうとしたが、いずれも気持がかれずじまいであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
おなかの中で、「なにも俺は、無理に一緒に成れと言ったんじゃ無いんだ——串談じょうだん半分に、一寸そんなことを言って見たんだ——お前達はそうって了うから困る」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
子は猶暗い人物だから名字を録せざることを得ない。此の如くに思惟すれば、此疑はけ得るのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
あるいはまた一方には、学問によって生活上の懐疑をき、安心立命あんしんりつめいを得ようとする人々もあるであろう。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
大乗の欣求ごんぐもあり得ないわけでございます、大乗はにして、小乗はなんなりと偏執へんしゅうしてはなりませぬ、難がなければ易はありませぬ、易にしては難がけませぬ
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)