“つか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ツカ
語句割合
24.0%
7.6%
6.8%
6.5%
5.4%
5.4%
使5.1%
4.4%
3.4%
3.1%
3.0%
2.9%
2.7%
2.2%
2.1%
1.6%
1.3%
1.2%
疲労1.0%
0.9%
0.9%
0.8%
0.8%
0.5%
0.4%
0.4%
0.4%
0.3%
𣠽0.3%
使用0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
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0.1%
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刀柄0.1%
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疲勞0.1%
0.1%
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使役0.0%
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傭使0.0%
剣夾0.0%
労疲0.0%
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墳墓0.0%
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師事0.0%
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把握0.0%
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採用0.0%
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柄刀0.0%
浪費0.0%
消費0.0%
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玄黄0.0%
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費消0.0%
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鞘手0.0%
0.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
男は入口にうずくまるフランシスに眼をつけると、きっとクララの方に鋭いひとみを向けたが、フランシスの襟元えりもとつかんで引きおこした。
クララの出家 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「御父さまはきっと私達わたしたちが要らない贅沢ぜいたくをして、むやみに御金をぱっぱっとつかうようにでも思っていらっしゃるのよ。きっとそうよ」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と、つかれてきたはねにバサバサとちからめて、ひつかうとするけれど、ラランのやつはさつさとさきびながら、いたもので
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
玉蜀黍とうもろこしの毛をつかねて結ったようなる島田を大童おおわらわに振り乱し、ごろりと横にしたる十七八の娘、色白の下豊しもぶくれといえばかあいげなれど
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
何故とはなく全身に凝縮ぎょうしゅくした感じが起って、無意識に軍刀のつかを押え、宇治は堤の斜面をすべりながらかけ降りた。高城がすぐ続いた。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
独断なり故に狭隘けふあいなり。彼は数個の原則をつかみ此を以て人事の総てを論断せんとせり。彼は何物も此原則の外に逸する能はずとせり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
おのづから智慧ちゑちからそなはつて、おもてに、隱形おんぎやう陰體いんたい魔法まはふ使つかつて、人目ひとめにかくれしのびつゝ、何處いづこへかとほつてくかともおもはれた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なぜならば、わたしは金銭においてではないが、うららかな時間と夏の日において富んでおり、それを惜しげなくつかったからである。
しかれども彼は一方においては事物の真相を察する烱眼けいがんあるにかかわらず、いわゆる天下の大勢を既にきたれるにつかみ、いまだ至らざるに察し
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
「いや、」と彼は言った、「私は追跡されています。その室でつかまるばかりです。そうなるとかえってあの女の霊を乱すでしょう。」
鍛冶かぢとき仕事しごとつかへてたが、それでもういふ職業しよくげふくべからざる道具だうぐといふと何處どこでもさういふれいすみやかこしらへてくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
自己の余生を亡き夫の遺業の完成のためにゆだねるは、なおます夫につかうる如き心地がして、この上もない楽しみではあるけれども
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
不潔な人間は一般に怠惰な人間であり、ストーヴのそばに坐りこみ、太陽がその寝姿を照らし、つかれもしないのに休息する者である。
それと一緒に、声がピッタリと咽喉のどつかえてしまって、名前を呼べる位ならまだしも、声を立てる事すら出来なくなっているじゃないの。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
以て徳川氏の威権を維持せんとしたるが如きは、人各々そのつかうる所に向って職分を忘れざるものにして、また哀むに足るものあり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
それを支那の下男が石油缶へ移して天秤棒てんびんぼうかついで、どこかへ持って行く。風呂につかりながら、どこへ持って行くんだろうなと考えた。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
余は答へんとすれど声出でず、膝のしきりにをのゝかれて立つに堪へねば、椅子をつかまんとせしまでは覚えしが、そのまゝに地に倒れぬ。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
「おつかア! わツしや、ホトトギスの武夫と浪子のやうな清い仲にならうと思うたんぢや。若い衆のとは違ふ。悪いこつちやない!」
途上 (新字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
平太郎はげなんの六助に寝衣を出してもらってそれを着たが、半路以上もある処を走って疲労つかれたので、其のまま蚊帳の中へ入って横になった。
魔王物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
一尺位の深い所まで水につかると、二三度粟をといで水をごぼごぼ汲み入れ、再びうふふ、うふふ奇声を上げながら飛び出した。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
死骸しがいのかたわらに出刃庖丁でばぼうちょうが捨ててあった。の所に片仮名かたかなのテの字の焼き印のある、これを調べると、出刃打ちのつかっていた道具だ。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして、せんの犬のつかのとなりへ穴をほり、死がいをていねいにズックのきれでつつんで中へ入れ、ちゃんと土をもり上げました。
やどなし犬 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
その十七文字を、上から読んだり、下から読んだり、ドッ、ドッと笑い崩れながら、胸一杯につかえた溜飲を下げて居るのでした。
礫心中 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
看護かんごひとつかれぬ、雪子ゆきこよわりぬ、きのふも植村うゑむらひしとひ、今日けふ植村うゑむらひたりとふ、かはひとへだてゝ姿すがたるばかり
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一行はアルバノの山をえたり。カムパニアの曠野ひろのは我前によこたはれり。道の傍なる、蔦蘿つたかづら深くとざせるアスカニウスのつかは先づ我眼に映ぜり。
彼には順一の心理がどうもつかめないのであった。「ねてやるといいのよ。わたしなんか泣いたりして困らしてやる」
壊滅の序曲 (新字新仮名) / 原民喜(著)
満足げに首肯うなずき首肯き小高い土盛りの中央に月の光を背にして立った。今一度、勢よく軍刀のつかを背後に押しやって咳一咳がいいちがいした。
戦場 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
表階子おもてばしごの口にかかれる大時計は、病みつかれたるやうの鈍き響をして、廊下のやみ彷徨さまよふを、数ふればまさに十一時なり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
熱湯を浴びた二人ふたりが先に、𣠽つかに手を掛けた刀をも抜かずに、座敷から縁側へ、縁側から庭へ逃げた。跡の一人も続いて逃げた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
母に言付けられて、お俊は次の間に置いてあるきりの机の方へ行った。実の使用つかっていた机だ。その抽匣ひきだしの中から、最近に来た父の手紙を取出した。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
けれども、天魔に魅入られたものと親父も愛相あいそつかして、ただ一人の娘を阿父さん彼自身より十歳とをばかりも老漢おやぢの高利貸にくれて了つたのだ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
津田はつかえた。小林を研究し尽した上でなければしかとした返事は与えられなかった。夫人は再びき直した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
飢えた蒼鷹くまだかが小鳥をつかむのはこんな塩梅あんばいで有ろうかと思う程に文三が手紙を引掴ひっつかんで、封目ふうじめを押切ッて、故意わざ声高こわだかに読み出したが
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
その痩せたる姿、黄ばみし面は、あたりの草木のすくやかに生ひ立てると表裏うらうへにて、つかを出でたる枯骨にも譬へつべし。
貫一は覚えず足を踏止めて、そのみはれるまなこを花に注ぎつ。宮ははやここに居たりとやうに、彼は卒爾そつじの感につかれたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
今にして思へば政海の波浪はおのづから高く自からひくく、虚名を貪り俗情にはるゝの人にはさをつかひ、かいを用ゆるのおもしろみあるべきも
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
教会が一層つかしくて——彼人あのかたの影が見えるとたゞ嬉しく、如何どうかして御来会おいでなさらぬ時には、非常な寂寞せきばくを感じましてネ、私始めは何のこととも気がつかなかつたのですが、或夜
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
○「エ、なんだ、慌てるにも程があるもんでございますよ、わしへぶっつかって、ハア、提灯ちょうちんもなにも消されて仕舞った」
かゝれ/\と刀柄つかをたゝけば、応と意気込む覚えの面々、人甲斐ひとがいも無き旅僧たびそう一人。何程の事やあらむとあなどりつゝ、雪影うつらふ氷のやいばを、抜きれ抜き連れきそひかゝる。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
取る事出來ずと云ふをかたはらより一人が往手の道に立ちふさがいやなら否で宜事いゝことなりつかれるとがは少しもなし何でも荷物をかつがせてもらはにや成らぬとゆすり半分喧嘩けんくわ仕懸しかけに傳吉は何とか此場を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
伯父といふものは借金かりを拵へたり、恋病こひやまひつかれたり、猫にたゝられたりするをひにとつては、少くとも一人は無くてならない実用品なのである。伯父は言つた。
くすぐってえや、野郎、何が望みで人の身体を捜すんだ。へそなんかつかむと噛み付いてやるぞ、畜生ッ」
まったくお話しに聞惚ききとれましたか、こちらがさとはなれて閑静な所為せいか、ちっとも気がつかないでおりました。実は余り騒々そうぞうしいので、そこをげて参ったのです。しかし降りそうになって来ました。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鐵車てつしや進歩すゝみ兎角とかくおもはしくない、運轉係うんてんがゝり水兵すいへいも、此時このとき餘程よほど疲勞つかれてえたので、わたくしかんがへた、人間にんげん精力ちからにはかぎりがある、いまからかゝる深林しんりん突進とつしんするのは
ただ百姓の力をつからし百姓の財をつくし、全国人民の肝脳を搾りてもって成就したるものなるを知るべし。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
押の強さうな用人につかまつて、錢形平次もこと/″\く降參してしまひました。
局に臨み交〻争ひ、雌雄未だ決せずば、毫釐も以てたがふ可からず。局勢已につかれなば、精を専にして生を求めよ。局勢已に弱くば、意を鋭くして侵しけよ。
囲碁雑考 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一日平均五六百本の針に刺されて、色上げを良くする為め湯へつかって出て来る人は、皆半死半生のていで清吉の足下に打ち倒れたまゝ、暫くは身動きさえも出来なかった。
刺青 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
退身たいしん流浪るらうの身と成りしが二君に仕へるは武士さむらひ廉恥はぢいる所成れ共座してくらへば山もむなし何れへか仕官しくわんつかんと思ひしに不幸にも永のわづらひに夫も成らず困苦こんくに困苦を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つかへ手をかけ身構える。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
正月は奴婢しもべどもゝすこしはゆるして遊をなさしむるゆゑ、羽子はごつかんとて、まづ其処を見たてゝ雪をふみかためて角力場すまうばのごとくになし、羽子は溲疏うつぎを一寸ほど筒切になし
そう思うと、わざ/\五万を越す大金をつかって、園遊会をやったことまでが、馬鹿らしくなった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
屠手として是処に使役つかはれて居る壮丁わかものは十人ばかり、いづれまがひの無い新平民——殊に卑賤いやしい手合と見えて、特色のある皮膚の色が明白あり/\と目につく。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
使役つかふと見てもよし、僕はまた君から助けられると見られてもいゝ——かく、君は君で働き、僕は僕で働くのだ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
昼は九九しみらに打して、よひ々ごとにはつかのもとにまうでて見れば、小草はやくもしげりて、虫のこゑすずろに悲し。
ふたたびかしこに行きて念比ねんごろにとぶらひ給へとて、杖をきてさきに立ち、相ともにつかのまへにして声をげて嘆きつつも、其の夜はそこに念仏して明かしける。
彼は先づかく会釈して席に着きけるに、婦人は猶もおもてを示さざらんやうにかしらを下げて礼をせり。しかも彼はたやすくその下げたるかしらつかへたる手とを挙げざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
涙ながらに手をつかへて、吾が足下あしもと額叩ぬかづく宮を、何為らんとやうに打見遣りたる貫一は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何にしても、扉のしきいきわで、左足が停まるように定める必要があったのだ。何故なら、左足がその位置で停まると、続いて右足が動き出しても、それが中途で閾につかえてしまうだろう。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし貴方が三たびスライスつかえて、それ以後の韻律を失ってしまったのは、けっして偶然の事故ではないのですよ。その一語には、少なくとも匕首あいくちくらいの心理的効果があるからなんです。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
つかず逃たりしが惡者共は何所迄もと猶も間近まぢかく逐來おひきたる故に半四郎は如何にもして逃行んとするをり幸ひ脇道わきみちの有しかば身をひるがへして逃込を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
つかせ給ひながら是は内々なり必ず沙汰さたべからずとおほせられたるがかく吉宗公が溜息ためいきつかせ給ふは抑々そも/\天一坊の身の上をおぼめしての事なり世の親の子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みゃくを診るのに両方の手をつかめえて考えるのが小一時こいっときもかゝって、余り永いもんだで病人が大儀だから、少し寝かしてくんろてえまで、診るそうです
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
男が先へひえっていりゃアを悪がってひえれめえから、ちっさくなってると、誰もいねえと思ってすっとひえって来ると、おらアこゝにいたよって手をつかめえて引入れると、おめえ来ねえかと思ったよ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「その御子を取らむ時に、その母王ははみこをもかそひ取れ。御髮にもあれ、御手にもあれ、取り獲むまにまに、つかみてき出でよ」
「我はうるはしき友なれ二七こそ弔ひ來つらくのみ。何ぞは吾を、穢きしに人にふる」といひて、御佩みはかしの十つかの劒を拔きて、その喪屋もやを切り伏せ、足もちてゑ離ち遣りき。
ここにその建御名方の神の手を取らむと乞ひわたして取れば、若葦を取るがごと、つかひしぎて、投げ離ちたまひしかば、すなはち逃げにき。
また「いかにかねぎつる」と詔りたまひしかば、答へて白さく、「朝署あさけに厠に入りし時、待ち捕へつかひしぎて、その枝を引ききて、こもにつつみて投げてつ」
実業家達は小才の利く調法な男をやす傭使つかへるのだから徳用向きの仕入物を買倒かひたふす気で居る。
青年実業家 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
図書は躊躇ちゅうちょの後決然として進む。ひとみを定めて、夫人の姿を認む。剣夾つかに手を掛け、気構えたるが、じりじりと退さがる。
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからゆるやかな幾呼吸、微塵労疲つかれた気勢けはいもない。で、また賊はムラムラと散ったが、それでも逃げようとしないのは、不思議なほどの度胸であった。彼らは口々にいましめ合った。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「院の北面につかえまつる多田蔵人行綱ただのくろうどゆきつなでござる」と、いった。驚いて、その由を、主馬判官盛国しゅめのほうがんもりくにまで取次ぐと
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お弁当をつかって居るのが小結という、ういう訳でもありますまいが、見た処は見上げる様で、胸毛があって膏薬こうやくあとなぞがあってこわらしい様でありますが、愛敬のあるものでございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
嘗て長き試みに耐へ、フランスびとの血染めのつかを築けるまちは今緑の足の下にあり 四三—四五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
辛未かのとひつじ、皇太子、使をまたして飢者を視しむ。使者かへり来て曰く、飢者既にまかりぬ。ここに皇太子おほいこれを悲しみ、則ちりて以て当処そのところほふりをさめしむ。つかつきかたむ。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
つか、——いかならむ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
玄徳の父母祖先の墳墓つかは、すべて涿郡たくぐんにあるので、母公は、婿の孝心をよみし、それに従うのはまた、妻の道であると、機嫌よく夫婦ふたりを出してやった。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山川やまかはもよりてつかふるかむながらたぎつ河内かふち船出ふなでするかも 〔巻一・三九〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「まあ、そんなもんじゃな。だが、一噌いっそうでなし千野流ちのりゅうでなし……どなたに師事つかれたの」
八寒道中 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大阪からながれてきたチヨダ・ビルのダンサー達がつかれた皮膚をしてアスハルトの冷たい街路に踊る靴をすべらした。
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
かれ與吉よきち無意識むいしき告口つげぐちからひどかなしく果敢はかなくなつてあとひとりいた。憤怒ふんぬじやうもやすのにはかれあまりつかれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
うれしい皇軍こうぐん赫々かっかくたる大戦果により、なんだかちかごろこの地球というものが急に狭くなって、鼻がつかえるようでいけない。これは作者だけの感じではあるまい。
宇宙尖兵 (新字新仮名) / 海野十三(著)
われ 烈しき森に切につかれて
わがひとに与ふる哀歌 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
進んだり退いたり飛びあがったり飛びおりたり、ものの一時も闘っていたが、王の鶉の方がようやくつかれて来た。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ぱっとしちゃあ、お客にまで気を悪くさせるから伏せてはあろうが、お前さんだ、今日は剃刀をつかわねえことを知っていそうなもんだと思うが、うちでも気がつかねえでいるのかしら。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
勇は秀子の豊満な腕をつかんで、母親に物を強請ねだる子のように打ち振りました。秀子はそうされ乍らも、小娘のように、シクシクと泣いて居たのです。あの勝気の秀子が——
流行作家の死 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
私は自分でこの運命を把握つかまないと同じやうに、あなたにも、負ふて戴かうとは思ひません。私共は苦しみ、忍ぶやうに生れて來てゐるのです——あなたも私と同じやうに。さうなさいまし。
「さうぢやねえんだよ、店臺みせでえ自分じぶんあるはじまつたからつかめえたとこなんだよ」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おまへが郵便局へ行きたいと云ふから、わたしは男になつたりなどしないで、局長につて女のままで、採用つかつて貰ふことを一生懸命ですればいいと思つて居たよ。
月夜 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
『嬉遊笑覧』八に、このじゅ、もと漢土の法なり。『博物類纂』十に、悪犬に遇わば左手を以てとらより起し、一口気を吹きめぐっていぬに至ってこれをつかめば犬すなわち退き伏すと。
保は英語をつかい英文を読むことを志しているのに、学校の現状を見れば、所望にかなう科目はたえてなかった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
彼の忿念ふんねんは刻々と燃えて、握りしめた柄刀つかに、微かな鍔鳴りがガタガタと聞かれだした。金井一角をさえ真ッ二つにした腕——三太刀振って三人を外さなかった春日新九郎だ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女が株券を売って得た三千幾許なにがしの金は、彼の上衣うわぎの内かくしに入っているに違いない。彼は貧乏している癖に、いい煙草と競馬に金を浪費つかうのが好きであった。
秘められたる挿話 (新字新仮名) / 松本泰(著)
半歳近く病褥とこに就いたり、起きたりしてうつら/\日を送っているうちに、持合せの金は大方消費つかってしまった。遠く外国にいては金より他に頼みはない。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)
水につかつた桃林を、人は雨外套レインコートの襟をたてて足ばやに、暗いはうへ消えていつた。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
ある夏の夕方、仲善なかよしの朋輩の一人が、荒縄の水につかつたのを
「我馬玄黄風捲沙。又揮鞭策出京華。真成王事倥偬甚。辜負納涼辜負花。」〔我馬玄黄つかレ風沙ヲ捲ク/又鞭策ヲ揮ヒテ京華ヨリ出ヅ/真ニ王事ヲ成スハ倥偬甚シ/納涼ニ辜負シ花ニ辜負ス〕
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御奉行様はあの一件の為にどれ程おつかれなさった事でございましょう。皆これ天下の御為なのでございます。今思いましても有難い極みでございます。
殺された天一坊 (新字新仮名) / 浜尾四郎(著)
うづた死屍しかばねうへを×(14)つかれてすゝんだ
窮するとは道に窮するのいいに非ずや。今、きゅう、仁義の道を抱き乱世の患に遭う。何ぞ窮すとなさんや。もしそれ、食足らず体つかるるを
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
妾は気でもちがったのか知らと、お葉はつくづく自分の馬鹿馬鹿しさに愛想あいそつかした。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
急ぐ程にやが宿場しゆくば共思はるゝ所へ出し頃は夜は白々ほの/″\明放あけはなれ往來の旅人も多く有ければ兩人は漸々やう/\心落付初めて勞れを覺えづ此邊にて一息ひといきつかんと茶見世に立寄て腰を掛ければ茶店の親父おやぢは茶を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
やがて彼が出づれば、待ちけるやうに男は入替りて、なほ飽くまで此方こなたを向かざらんと為つつ、蕭索しめやかつかふ音を立つるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
もちろん組合の費用は全部、費消つかっても構わない覚悟はきめていた訳だがそれでも多寡たかは知れている。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
今日は、十五、六の小僧で減らず口のチャンピオンとでも言うべき定公を供に、もう一度脇坂様へ取り入ろうと、おつかい物を持って出かけて来たところ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
モンマルトルのピオレエの家へ洗濯料を払はずに来たことに気が附いて持つて行つたら、細君のブランシユが寝台ねだいの下からこれが見附かつたと云つて晶子のつかつてた絵具箱を渡してれた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その傍に長くなって、ときどきつかえながら講談本を声高らかに読み上げるのが、閑の日の勘弁勘次の仕事でもあった。
見れば成程割羽織わりばおり草鞋わらじはばき、両刀につか袋をかけた旅装でした。呉羽之介は振放しかねて
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
巡査は、ずるりと靴をずらして、佩剣はいけん鞘手つかに居直ったのである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
これをとまり山といふ。(山にとまりゐて㕝をなすゆゑ也)さて夏秋にいたればつみおきたるたきゞかわくゆゑ、牛馬ぎうばつかひてたきゞを家にはこびて用にあつる也。