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屆
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とゞ
ふりがな文庫
“
屆
(
とゞ
)” の例文
新字:
届
責
(
せ
)
めてそんなものが一
幅
(
ぷく
)
でもあつたらと
思
(
おも
)
つた。けれども
夫
(
それ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
呼吸
(
こきふ
)
する
空氣
(
くうき
)
の
屆
(
とゞ
)
くうちには、
落
(
お
)
ちてゐないものと
諦
(
あきら
)
めてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
同伴者
(
つれ
)
は
親類
(
しんるゐ
)
の
義母
(
おつかさん
)
であつた。
此人
(
このひと
)
は
途中
(
とちゆう
)
萬事
(
ばんじ
)
自分
(
じぶん
)
の
世話
(
せわ
)
を
燒
(
や
)
いて、
病人
(
びやうにん
)
なる
自分
(
じぶん
)
を
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
まで
送
(
おく
)
り
屆
(
とゞ
)
ける
役
(
やく
)
を
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
たのである。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
九州
(
きうしう
)
の
猿
(
さる
)
が
狙
(
ねら
)
ふやうな
褄
(
つま
)
の
媚
(
なまめ
)
かしい
姿
(
すがた
)
をしても、
下枝
(
したえだ
)
までも
屆
(
とゞ
)
くまい。
小鳥
(
ことり
)
の
啄
(
ついば
)
んで
落
(
おと
)
したのを
通
(
とほ
)
りがかりに
拾
(
ひろ
)
つて
來
(
き
)
たものであらう。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
貰
(
もら
)
ひ請其儘我が家へ
戻
(
もど
)
り翌日返書は小夜衣へ
屆
(
とゞ
)
けしが此機に
就
(
つい
)
て何か一
仕事
(
しごと
)
有
(
あり
)
さうな物と心の内に又もや奸智を
運
(
めぐ
)
らして
急度
(
きつと
)
一ツの
謀略
(
はかりごと
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
然
(
しか
)
らば、
天下
(
てんか
)
二
品
(
ひん
)
なんだ。まア
好
(
い
)
いです』と
余
(
よ
)
は
慰
(
なぐさ
)
めたが、
或
(
あるひ
)
は
又
(
また
)
兒島氏
(
こじまし
)
や
大瀧氏
(
おほたきし
)
の
處
(
ところ
)
にも、
天下
(
てんか
)
一
品
(
ぴん
)
が
屆
(
とゞ
)
いて
居
(
ゐ
)
はせぬか?
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
▼ もっと見る
シラチブチは
舊
(
もと
)
の小貝川がSの
字形
(
じけい
)
に流れた
曲
(
まが
)
り
目
(
め
)
の名で、渦を卷いて澱んでゐる頃は一
房
(
ぼ
)
の繩が下まで
屆
(
とゞ
)
かぬと言はれた。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
されば下半身の
裳
(
も
)
なりし岸は彼を高くその上に聳えしむ、おもふに
三人
(
みたり
)
のフリジア
人
(
びと
)
もその髮に
屆
(
とゞ
)
くを 六一—
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
けれども二ヶ月も經ち、毎日々々郵便が
屆
(
とゞ
)
いても、私には何も來ないのを見ると、痛いやうな不安に襲はれた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
と
姫
(
ひめ
)
を
救
(
すく
)
ひ
出
(
いだ
)
さんため、
只
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
にて
參
(
まゐ
)
りしは、
窃
(
ひそか
)
に
庵室
(
いほり
)
にかくまひおき、
後日
(
ごじつ
)
機
(
をり
)
を
見
(
み
)
て、ロミオへ
送
(
おく
)
り
屆
(
とゞ
)
けん
存念
(
ぞんねん
)
、
然
(
しか
)
るに
參
(
まゐ
)
り
見
(
み
)
れば、
姫
(
ひめ
)
の
目覺
(
めざ
)
むる
少
(
すこ
)
しき
前方
(
まへかた
)
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
の
虫
(
むし
)
から
取
(
と
)
れた
糸
(
いと
)
を
酢
(
す
)
に
浸
(
つ
)
けて、
引
(
ひ
)
き
延
(
の
)
ばしますと、
木小屋
(
きごや
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つ
爺
(
ぢい
)
やの
手
(
て
)
から
向
(
むか
)
ふの
古
(
ふる
)
い
池
(
いけ
)
の
側
(
わき
)
に
立
(
た
)
つ
友伯父
(
ともをぢ
)
さんの
手
(
て
)
に
屆
(
とゞ
)
くほどの
長
(
なが
)
さがありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
殆
(
ほと
)
んど
闇黒
(
やみ
)
に
全體
(
ぜんたい
)
を
包
(
つゝ
)
まれて
居
(
を
)
つたが、
私
(
わたくし
)
の
一念
(
いちねん
)
の
屆
(
とゞ
)
いて
幾分
(
いくぶ
)
か
神經
(
しんけい
)
の
鋭
(
するど
)
くなつた
爲
(
ため
)
か、それとも
瞳
(
ひとみ
)
の
漸
(
やうや
)
く
闇黒
(
あんこく
)
に
馴
(
な
)
れた
爲
(
ため
)
か、
私
(
わたくし
)
は
辛
(
からう
)
じて
其
(
その
)
燈光
(
ひかり
)
の
主體
(
ぬし
)
を
認
(
みと
)
め
得
(
え
)
た
途端
(
とたん
)
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
それでも
喬木
(
けうぼく
)
の
梢
(
こずゑ
)
の
上
(
うへ
)
に
火
(
ひ
)
は
壓迫
(
あつぱく
)
に
苦
(
くるし
)
んで
居
(
ゐ
)
るやうに
稀
(
まれ
)
に
立
(
た
)
ち
騰
(
のぼ
)
つては
又
(
また
)
壓
(
おし
)
つけられた。
徒勞
(
むだ
)
である
喞筒
(
ポンプ
)
へ
群集
(
ぐんしふ
)
は
水
(
みづ
)
を
汲
(
く
)
むのに
近所
(
きんじよ
)
の
有
(
あら
)
ゆる
井戸
(
ゐど
)
は
皆
(
みな
)
釣瓶
(
つるべ
)
が
屆
(
とゞ
)
かなくなつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
今夜
(
こんや
)
來
(
き
)
て
呉
(
く
)
れるとは
夢
(
ゆめ
)
の
樣
(
やう
)
な、ほんに
心
(
こゝろ
)
が
屆
(
とゞ
)
いたのであらう、
自宅
(
うち
)
で
甘
(
うま
)
い
物
(
もの
)
はいくらも
喰
(
た
)
べやうけれど
親
(
おや
)
のこしらいたは
又
(
また
)
別物
(
べつもの
)
、
奧樣氣
(
おくさまぎ
)
を
取
(
とり
)
すてゝ
今夜
(
こんや
)
は
昔
(
むか
)
しのお
關
(
せき
)
になつて
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
そしてつひには、
日本
(
につぽん
)
の
歌
(
うた
)
が、
赤人
(
あかひと
)
の
風
(
ふう
)
のものになる
時機
(
じき
)
を、
待
(
ま
)
ち
屆
(
とゞ
)
けたのでありました。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
私
(
わたし
)
はそれに
從
(
したが
)
はないではゐられなかつた。
手
(
て
)
をのべて、しかしなか/\
屆
(
とゞ
)
きさうもなかつたので
半身
(
はんしん
)
を
乘
(
の
)
り
出
(
だ
)
して、それでも
駄目
(
だめ
)
だつたのでたうとう
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つてまで、
障子
(
しやうじ
)
を
左右
(
さいう
)
に
開
(
ひら
)
いた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
此
(
こ
)
の
急信
(
きふしん
)
は××
年
(
ねん
)
××
月
(
ぐわつ
)
××
日
(
にち
)
、
午後
(
ごご
)
三
時
(
じ
)
に
屆
(
とゞ
)
いたので、
民子
(
たみこ
)
は
蒼
(
あを
)
くなつて
衝
(
つ
)
と
立
(
た
)
つと、
不斷着
(
ふだんぎ
)
に
繻子
(
しゆす
)
の
帶
(
おび
)
引緊
(
ひきし
)
めて、つか/\と
玄關
(
げんくわん
)
へ。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
懸
(
かけ
)
られ越前守殿の
白洲
(
しらす
)
へ
呼込
(
よびこみ
)
と成しかば久八有し次第を逐一に申立し時既に其場所よりも
横死
(
わうし
)
人の
屆
(
とゞ
)
け出けるにより先久八は
入牢
(
じゆらう
)
申付られ
檢死
(
けんし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
提灯
(
ちやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
にも
其
(
その
)
色
(
いろ
)
が
多少
(
たせう
)
映
(
うつ
)
る
感
(
かん
)
じがあつた。
其
(
その
)
提灯
(
ちやうちん
)
は
一方
(
いつぱう
)
に
大
(
おほ
)
きな
樹
(
き
)
の
幹
(
みき
)
を
想像
(
さうざう
)
する
所爲
(
せゐ
)
か、
甚
(
はなは
)
だ
小
(
ちひ
)
さく
見
(
み
)
えた。
光
(
ひかり
)
の
地面
(
ぢめん
)
に
屆
(
とゞ
)
く
尺數
(
しやくすう
)
も
僅
(
わづか
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
腹
(
はら
)
が
空
(
すい
)
て
來
(
く
)
ると、
手
(
て
)
を
伸
(
のば
)
して
手
(
て
)
の
屆
(
とゞ
)
く
處
(
ところ
)
に
實
(
なつ
)
て
居
(
を
)
る
無花果
(
いちじく
)
か
芭蕉
(
ばせう
)
の
實
(
み
)
を
捩
(
もぎ
)
つて
食
(
く
)
ふ、若し
起上
(
たちあが
)
つて
捩
(
もぎ
)
らなければならぬなら
飢餓
(
うゑ
)
て
死
(
しん
)
だかも知れないが
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
髭
(
ひげ
)
のかう
生
(
は
)
えた
部長
(
ぶちやう
)
さんだつていふ
可怖
(
おつかね
)
え
人
(
ひと
)
でがしたがね、
盜
(
ぬす
)
まつたなんて
屆
(
とゞ
)
けしてゝさうして
警察
(
けいさつ
)
へ
餘計
(
よけい
)
な
手間
(
てま
)
掛
(
か
)
けて
不埓
(
ふらち
)
な
奴
(
やつ
)
だなんて
呶鳴
(
どな
)
らつた
時
(
とき
)
にやどうすべかと
思
(
おも
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
本當
(
ほんたう
)
に
奇妙
(
きめう
)
な
事
(
こと
)
だと
思
(
おも
)
つて
居
(
を
)
ると、
或
(
ある
)
日
(
ひ
)
の
事
(
こと
)
、ウルピノ
山中
(
さんちう
)
とて、子ープルスの
街
(
まち
)
からは
餘程
(
よほど
)
離
(
はな
)
れた
寒村
(
かんそん
)
の、
浮世
(
うきよ
)
の
外
(
そと
)
の
尼寺
(
あまでら
)
から、
一通
(
いつつう
)
の
書状
(
てがみ
)
が
屆
(
とゞ
)
きました、
疑
(
うたがひ
)
もなき
亞尼
(
アンニー
)
の
手跡
(
しゆせき
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ヂョン はて、
屆
(
とゞ
)
けることを
能
(
よ
)
うせなんだのぢゃ。……これ、
此通
(
このとほ
)
り
持
(
も
)
って
戻
(
もど
)
った。……
此庵
(
こち
)
へ
屆
(
とゞ
)
けうと
思
(
おも
)
うてもな、
皆
(
みな
)
が
傳染
(
でんせん
)
を
怖
(
こは
)
がりをるによって、
使
(
つかひ
)
の
男
(
をとこ
)
さへも
雇
(
やと
)
へなんだわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
で、
此
(
こ
)
の
沼
(
ぬま
)
は、
話
(
はなし
)
を
聞
(
き
)
いて、お
考
(
かんが
)
へに
成
(
な
)
るほど
大
(
おほき
)
なものではないのです。
然
(
さ
)
うかと
云
(
い
)
つて、
向
(
むか
)
う
岸
(
ぎし
)
とさし
向
(
むか
)
つて
聲
(
こゑ
)
が
屆
(
とゞ
)
くほどは
小
(
ちひ
)
さくない。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
潰
(
つぶ
)
し將軍の
御落胤
(
ごらくいん
)
との事なれば少こし
安堵
(
あんど
)
しけれども後々の
咎
(
とがめ
)
を
恐
(
おそ
)
れ
早速
(
さつそく
)
名主組合へ右の
段
(
だん
)
を
屆
(
とゞ
)
け夫より町奉行の
御月番
(
おつきばん
)
松平日向守殿
御役宅
(
おやくたく
)
へ此段を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
一昨日
(
をとゝひ
)
佐伯
(
さへき
)
から
屆
(
とゞ
)
けて
呉
(
く
)
れた。
御父
(
おとう
)
さんの
持
(
も
)
つてたもので、おれの
手
(
て
)
に
殘
(
のこ
)
つたのは、
今
(
いま
)
ぢや
是
(
これ
)
だけだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
其
(
そ
)
の
晩
(
ばん
)
の
料理
(
れうり
)
に
使
(
つか
)
ふ
醤油
(
しやうゆ
)
が
要
(
い
)
るので
兩方
(
りやうはう
)
を
兼
(
か
)
ねて
亭主
(
ていしゆ
)
は
晝餐休
(
ひるやす
)
みの
時刻
(
じこく
)
に
天秤
(
てんびん
)
擔
(
かつ
)
いで
鬼怒川
(
きぬがは
)
を
渡
(
わた
)
つた。
村落
(
むら
)
の
店
(
みせ
)
では
買
(
か
)
はずに
直接
(
ちよくせつ
)
酒藏
(
さかぐら
)
へ
行
(
い
)
つたので
酒
(
さけ
)
は
白鳥徳利
(
はくてうどくり
)
の
肩
(
かた
)
まで
屆
(
とゞ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、
目下
(
もつか
)
の
急
(
きふ
)
丈
(
だ
)
けを、かの
軍艦
(
ぐんかん
)
に
助
(
たす
)
けられて、
何處
(
いづこ
)
でもよい、
最近
(
さいきん
)
の
大陸地方
(
たいりくちほう
)
に
送
(
おく
)
り
屆
(
とゞ
)
けて
貰
(
もら
)
つたならば、
其後
(
そのゝち
)
は
必死
(
ひつし
)
に
奔走
(
ほんさう
)
して、
如何
(
どう
)
にかして、
豫定
(
よてい
)
の
期日
(
きじつ
)
までに
約束
(
やくそく
)
の
凖備
(
じゆんび
)
を
整
(
とゝの
)
へて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
不愉快
(
ふゆくわい
)
の
人車
(
じんしや
)
に
搖
(
ゆ
)
られて
此
(
こ
)
の
淋
(
さ
)
びしい
溪間
(
たにま
)
に
送
(
おく
)
り
屆
(
とゞ
)
けられることは、
頗
(
すこぶ
)
る
苦痛
(
くつう
)
であつたが、
今更
(
いまさら
)
引返
(
ひきか
)
へす
事
(
こと
)
も
出來
(
でき
)
ず、
其日
(
そのひ
)
の
午後
(
ごゝ
)
五
時頃
(
じごろ
)
、
此宿
(
このやど
)
に
着
(
つ
)
いた。
突然
(
とつぜん
)
のことであるから
宿
(
やど
)
の
主人
(
あるじ
)
を
驚
(
おどろ
)
かした。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
ロミオ
其
(
その
)
鶴嘴
(
つるはし
)
と
鐵梃
(
かなてこ
)
を
此方
(
こち
)
へ。こりゃ、
此
(
この
)
書状
(
しょじゃう
)
をば、
明日
(
あす
)
早
(
はや
)
う
父上
(
ちゝうへ
)
へ
屆
(
とゞ
)
けてくれ。
其
(
その
)
炬火
(
たいまつ
)
をこちへ。さて、
確
(
しか
)
と
申附
(
まうしつ
)
くる、
如何
(
いか
)
な
事
(
こと
)
を
見聞
(
みきゝ
)
せうとも、
悉
(
こと/″\
)
く
立離
(
たちはな
)
れ、
予
(
わし
)
が
仕事
(
しごと
)
の
妨碍
(
さまたげ
)
をばすまいぞよ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
肩
(
かた
)
を
聳
(
そばだ
)
て、
前脚
(
まへあし
)
をスクと
立
(
た
)
てて、
耳
(
みゝ
)
が
其
(
そ
)
の
圓天井
(
まるてんじやう
)
へ
屆
(
とゞ
)
くかとして、
嚇
(
くわつ
)
と
大口
(
おほぐち
)
を
開
(
あ
)
けて、まがみは
遠
(
とほ
)
く
黒板
(
こくばん
)
に
呼吸
(
いき
)
を
吐
(
は
)
いた——
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
揃
(
そろひ
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
をはじめとして、
提灯
(
ちやうちん
)
の
張替
(
はりか
)
へをお
出
(
だ
)
し
置
(
お
)
き
下
(
くだ
)
さい、へい、
頂
(
いたゞ
)
きに
出
(
で
)
ました。えゝ、
張替
(
はりかへ
)
をお
屆
(
とゞ
)
け
申
(
まを
)
します。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
年紀
(
とし
)
は
少
(
わか
)
し……
許嫁
(
いひなづけ
)
か、
何
(
なに
)
か、
身
(
み
)
に
替
(
か
)
へて
思
(
おも
)
ふ
人
(
ひと
)
でも、
入院
(
にふゐん
)
して
居
(
ゐ
)
て、
療治
(
れうぢ
)
が
屆
(
とゞ
)
かなかつた
所
(
ところ
)
から、
無理
(
むり
)
とは
知
(
し
)
つても、
世間
(
せけん
)
には
愚癡
(
ぐち
)
から
起
(
おこ
)
る、
人怨
(
ひとうら
)
み。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手
(
て
)
屆
(
とゞ
)
く
其
(
そ
)
の
山懷
(
やまふところ
)
に、
蔽
(
おほ
)
ひかさなる
錦葉
(
もみぢ
)
の
蔭
(
かげ
)
に、
葉
(
は
)
の
眞赤
(
まつか
)
な
龍膽
(
りんだう
)
が、ふさ/\と二三
輪
(
りん
)
、
霜
(
しも
)
に
紫
(
むらさき
)
を
凝
(
こら
)
して
咲
(
さ
)
く。……
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
巨大
(
きよだい
)
なる
此
(
こ
)
の
樟
(
くすのき
)
を
濡
(
ぬ
)
らさないために、
板屋根
(
いたやね
)
を
葺
(
ふ
)
いた、
小屋
(
こや
)
の
高
(
たか
)
さは十
丈
(
ぢやう
)
もあらう、
脚
(
あし
)
の
着
(
つ
)
いた
臺
(
だい
)
に
寄
(
よ
)
せかけたのが
突立
(
つツた
)
つて、
殆
(
ほとん
)
ど
屋根裏
(
やねうら
)
に
屆
(
とゞ
)
くばかり。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
手
(
て
)
を
緊
(
し
)
めて、
差窺
(
さしうかゞ
)
ふ、
母屋
(
おもや
)
の、
遠
(
とほ
)
く
幽
(
かすか
)
なやうな
帳場
(
ちやうば
)
から、
明
(
あかり
)
の
末
(
すゑ
)
が
茫
(
ばう
)
と
屆
(
とゞ
)
く。
池
(
いけ
)
に
面
(
めん
)
した
大廣間
(
おほひろま
)
、
中
(
なか
)
は四五十
疊
(
でふ
)
と
思
(
おも
)
はるゝ、
薄暗
(
うすぐら
)
い
障子
(
しやうじ
)
の
數
(
かず
)
の
眞中
(
まんなか
)
あたり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
深川
(
ふかがは
)
の
此
(
こ
)
の
木場
(
きば
)
の
材木
(
ざいもく
)
に
葉
(
は
)
が
繁
(
しげ
)
つたら、
夫婦
(
いつしよ
)
になつて
遣
(
や
)
るツておつしやつたのね。
何
(
ど
)
うしたつて
出來
(
でき
)
さうもないことが
出來
(
でき
)
たのは、
私
(
わたし
)
の
念
(
ねん
)
が
屆
(
とゞ
)
いたんですよ。
三尺角拾遺:(木精)
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
頷
(
うなづ
)
いた。
仰向
(
あふむ
)
いて
頷
(
うなづ
)
いた。
其膝切
(
そのひざきり
)
しかないものが、
突立
(
つツた
)
つてる
大
(
だい
)
の
男
(
をとこ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見上
(
みあ
)
げるのだもの。
仰向
(
あふむ
)
いて
見
(
み
)
ざるを
得
(
え
)
ないので、
然
(
しか
)
も、
一寸位
(
ちよつとぐらゐ
)
では
眼
(
め
)
が
屆
(
とゞ
)
かない。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
自分
(
じぶん
)
で
許
(
ゆる
)
す
色男
(
いろをとこ
)
が、
思
(
おも
)
ひをかけて
屆
(
とゞ
)
かぬ
婦
(
をんな
)
を、
恁
(
か
)
うして
人
(
ひと
)
に
誇
(
ほこ
)
る
術
(
すべ
)
は
隨分
(
ずゐぶん
)
數
(
かぞ
)
へ
切
(
き
)
れないほどあるのである。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
合點
(
がつてん
)
と、
乘
(
の
)
せるのでないから、そのまゝ
荷車
(
にぐるま
)
を
道端
(
みちばた
)
にうつちやつて、
手
(
て
)
をひくやうにしておくり
屆
(
とゞ
)
けた。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此處
(
こゝ
)
まで
堪
(
こら
)
へたのは、
飯屋
(
めしや
)
の
飼猫
(
かひねこ
)
だ、と
思
(
おも
)
つたからで。
最
(
も
)
う、
爺
(
ぢい
)
さまの
目
(
め
)
の
屆
(
とゞ
)
かないのを
見澄
(
みす
)
まして
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しぐれは、いまのまに
歇
(
や
)
んで、
薄日
(
うすび
)
がさす……
楓
(
かへで
)
の
小枝
(
こえだ
)
に
殘
(
のこ
)
つた、
五葉
(
いつは
)
ばかり、もみぢのぬれ
色
(
いろ
)
は
美
(
うつく
)
しい。こぼれて
散
(
ち
)
るのは
惜
(
をし
)
い。
手
(
て
)
を
伸
(
の
)
ばせば、
狹
(
せま
)
い
庭
(
には
)
で、すぐ
屆
(
とゞ
)
く。
湯どうふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
縁
(
えん
)
の
角
(
かど
)
の
柱
(
はしら
)
に、
縋
(
すが
)
りながら、
恁
(
か
)
う
一
(
ひと
)
つ
氣取
(
きど
)
つて
立
(
た
)
つと、
爪尖
(
つまさき
)
が、すぐに
浴室
(
よくしつ
)
の
屋根
(
やね
)
に
屆
(
とゞ
)
いて、
透間
(
すきま
)
は、
巖
(
いは
)
も、
草
(
くさ
)
も、
水
(
みづ
)
の
滴
(
したゝ
)
る
眞暗
(
まつくら
)
な
崖
(
がけ
)
である。
危
(
あぶな
)
つかしいが、また
面白
(
おもしろ
)
い。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
大家
(
たいか
)
高堂
(
かうだう
)
、
手
(
て
)
が
屆
(
とゞ
)
かず、
從
(
したが
)
つて
鼠
(
ねずみ
)
も
多
(
おほ
)
ければだけれども、
小
(
ちひ
)
さな
借家
(
しやくや
)
で、
壁
(
かべ
)
の
穴
(
あな
)
に
氣
(
き
)
をつけて、
障子
(
しやうじ
)
の
切
(
き
)
り
張
(
ば
)
りさへして
置
(
お
)
けば、
化
(
ば
)
けるほどでない
鼠
(
ねずみ
)
なら、むざとは
入
(
はひ
)
らぬ。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
續
(
つゞ
)
いて、「
中六
(
なかろく
)
が
火事
(
くわじ
)
ですよ。」と
呼
(
よ
)
んだのは、
再
(
ふたゝ
)
び
夜警
(
やけい
)
の
聲
(
こゑ
)
である。やあ、
不可
(
いけな
)
い。
中六
(
なかろく
)
と
言
(
い
)
へば、
長
(
なが
)
い
梯子
(
はしご
)
なら
屆
(
とゞ
)
くほどだ。
然
(
しか
)
も
風下
(
かざしも
)
、
眞下
(
ました
)
である。
私
(
わたし
)
たちは
默
(
だま
)
つて
立
(
た
)
つた。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なあ、
婆
(
ばあ
)
さん。——
荒
(
あら
)
もの
屋
(
や
)
の
婆
(
ばあ
)
さんが、
知
(
し
)
つてるんだ。
椋鳥
(
むくどり
)
の
畜生
(
ちくしやう
)
、もの
干棹
(
ほしざを
)
で
引掻
(
ひきか
)
き
𢌞
(
まは
)
いてくれようと、
幾度
(
いくど
)
飛出
(
とびだ
)
したか
分
(
わか
)
らねえ。
樹
(
き
)
が
高
(
たけ
)
えから
屆
(
とゞ
)
かねえぢやありませんかい。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
前
(
まへ
)
なる
縁
(
えん
)
の
障子
(
しやうじ
)
に
掛
(
か
)
けた、十
燭
(
しよく
)
と
云
(
い
)
ふ
電燈
(
でんとう
)
の
明
(
あかり
)
の
屆
(
とゞ
)
かない、
昔
(
むかし
)
の
行燈
(
あんどん
)
だと
裏通
(
うらどほ
)
りに
當
(
あた
)
る、
背中
(
せなか
)
のあたり
暗
(
くら
)
い
所
(
ところ
)
で、
蚊
(
か
)
がブーンと
鳴
(
な
)
く……
其
(
そ
)
の、
陰氣
(
いんき
)
に、
沈
(
しづ
)
んで、
殺氣
(
さつき
)
を
帶
(
お
)
びた
樣子
(
やうす
)
は
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
中途
(
ちうと
)
で
落
(
お
)
ちるのは、
屆
(
とゞ
)
かないので。
其
(
そ
)
の
砂利
(
じやり
)
が、
病院
(
びやうゐん
)
の
裏門
(
うらもん
)
の、あの
日中
(
ひなか
)
も
陰氣
(
いんき
)
な、
枯野
(
かれの
)
へ
日
(
ひ
)
が
沈
(
しづ
)
むと
云
(
い
)
つた、
寂
(
さび
)
しい
赤
(
あか
)
い
土塀
(
どべい
)
へ、トン……と……
間
(
あひ
)
を
措
(
お
)
いては、トーンと
當
(
あた
)
るんです。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
手
(
て
)
にバケツを
提
(
さ
)
げながら、「あとは、たらひでも、どんぶりでも、……
水瓶
(
みづがめ
)
にまだある。」と、この
手
(
て
)
が
二階
(
にかい
)
へ
屆
(
とゞ
)
いた、と
思
(
おも
)
ふと、
下
(
した
)
の
座敷
(
ざしき
)
の
六疊
(
ろくでふ
)
へ、ざあーと
疎
(
まばら
)
に、すだれを
亂
(
みだ
)
して
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
合
(
あは
)
せ
目
(
め
)
を
細目
(
ほそめ
)
に
開
(
あ
)
けて、
其處
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つて、
背後
(
うしろ
)
に、
月
(
つき
)
の
影
(
かげ
)
さへ
屆
(
とゞ
)
かぬ、
山
(
やま
)
又
(
また
)
山
(
やま
)
の
谷々
(
たに/″\
)
を、
蜘蛛
(
くも
)
の
圍
(
い
)
の
如
(
ごと
)
く
控
(
ひか
)
へた、
星
(
ほし
)
に
屆
(
とゞ
)
く
黒
(
くろ
)
き
洞穴
(
ほらあな
)
の
如
(
ごと
)
き
大
(
おほい
)
なる
暗闇
(
くらがり
)
を
翼
(
つばさ
)
に
擴
(
ひろ
)
げて、
姿
(
すがた
)
は
細
(
ほそ
)
き
障子
(
しやうじ
)
の
立棧
(
たちざん
)
。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
しろ/″\と
霜柱
(
しもばしら
)
のやうに
冷
(
つめ
)
たく
並
(
なら
)
んで、
硝子火屋
(
がらすほや
)
は、
崖
(
がけ
)
の
巖穴
(
いはあな
)
に
一
(
ひと
)
ツ
一
(
ひと
)
ツ
窓
(
まど
)
を
開
(
あ
)
けた
風情
(
ふぜい
)
に
見
(
み
)
えて、ばつたり、
燈
(
あかり
)
が
消
(
き
)
えたあとを、
目
(
め
)
の
屆
(
とゞ
)
く、どれも
是
(
これ
)
も、
靄
(
もや
)
を
噛
(
か
)
んで、
吸
(
す
)
ひ
溜
(
た
)
め
吸
(
す
)
ひ
溜
(
た
)
め
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
屆
部首:⼫
8画
“屆”を含む語句
御屆
行屆
不屆
見屆
不行屆
御聞屆
全快屆
聞屆
屆置
附屆
缺席屆
缺勤屆
相屆
屆濟
屆書
屆出
寄留屆
不屆至極
不屆者
不屆千萬