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こゝろぼそ
わびしさ……
侘しいと
言ふは、
寂しさも
通越し、
心細さもあきらめ
氣味の、げつそりと
身にしむ
思の、
大方、かうした
時の
事であらう。
時候の
變り
目といふものは、
妙に
心細いやうな氣のするものですね、これはあながち
不自由に
暮してゐるばかりではないでせうよ。
さして
何とは
言はれねども
次第々々に
心細き
思ひ、すべて
昨日の
美登利の
身に
覺えなかりし
思ひをまうけて
物の
恥かしさ
言ふばかり
無く
一同は
詮方なく
海岸の
家に
皈つたが、
全く
火の
消えた
後のやうに、
淋しく
心細い
光景。
櫻木大佐は
默然として
深く
考に
沈んだ。
勘次は
目を
掩はれたやうで
心細い
霧の
中に、
其麽ことで
著しく
延長された
水路を
辿つて
居ながら、
悠然として
鈍い
棹の
立てやうをするのに
心を
焦慮らせて
彼には
悲愴の
感の
外に、
未だ一
種の
心細き
感じが、
殊に
日暮よりかけて、しんみりと
身に
泌みて
覺えた。
是は
麥酒と、
莨とが、
欲しいので
有つたと
彼も
終に
心着く。
時々少しは
可いかと
聞いても、
御米は
微かに
苦しいと
答へる
丈であつた。
宗助は
全く
心細くなつた。
心細い
氣持ちで
眺めてゐるのです。さぁこれで、も
一度、
讀み
返して
下さい。
考へると
心細くなる。何處に取ツて
付端が無いやうにも思はれる。
云つて
憐れな
愛ちやんは、
心細くなつて
急に
又泣き
出しました。
出て
腰掛へ
下りたり此時
漸々十歳ばかりに
成小僧の三吉と云ふ者有りけるが主人五兵衞始め
此所へ
出し人々吟味の
濟次第一人づつ段々と
下りて今は主人の悴五郎藏と
己のみ只二人白洲に殘されければ
心細くやありけんめそ/\と涙を
其の
鐵の
如き
健脚も、
雪を
踏んではとぼ/\しながら、
前へ
立つて
足あとを
印して
上る、
民子はあとから
傍目も
觸らず、
攀ぢ
上る
心細さ。
あれ
知らぬ
中は
仕方もなし、
知つて
其車に
乘れます
物か、
夫れでも
此樣な
淋しい
處を
一人ゆくは
心細いほどに、
廣小路へ
出るまで
唯道づれに
成つて
下され
『おや/\、どうしたんでせう、
此魚は
變な
味になつてよ。』と
叫んだのは、
實に
心細い
次第であつた。
彼は
此心細い
解答で、
僥倖にも
難關を
通過して
見たい
抔とは、
夢にも
思ひ
設けなかつた。
老師を
胡麻化す
氣は
無論なかつた。
其時の
宗助はもう
少し
眞面目であつたのである。
院長は
其側に
腰を
掛けて、
頭を
垂れて、
凝として
心細いやうな、
悲しいやうな
樣子で
顏を
赤くしてゐる。ハヾトフは
肩を
縮めて
冷笑し、ニキタと
見合ふ。ニキタも
同じく
肩を
縮める。
決して御心遣ひなく何時
迄も
緩々と御
逗留成れまし然ながら斯樣申せば何とも
失禮千萬なれども
永々の御
逗留と云
殊には
御良人の御病氣にて
御物入も
莫大ならん
縱令餘計の
御貯はへ有とも斯して在れなば
追々殘り少なになり
旅先は別て
心細くも思ふものなり金銀は
奧山家の
一軒家に、たをやかな
女が
居て、
白雪の
絲を
谷に
繰り
引く
絲車の
音かと
思ふ。……
床しく、
懷しく、
美しく、
心細く、
且つ
凄い。
品のよき
高髷にお
根がけは
櫻色を
重ねたる
白の
丈長、
平打の
銀簪一つ
淡泊と
遊ばして
學校がよひのお
姿今も
目に
殘りて、
何時舊のやうに
御平癒遊ばすやらと
心細し
「
駄目よ。だつて、
叔父さんに
全く
信用がないんですもの」と
心細さうに
答へた。
眠くはないので、ぱちくり/\
目を
睜いて
居ても、
物は
幻に
見える
樣になつて、
天井も
壁も
卓子の
脚も
段々消えて
行く
心細さ。
じみなる
事を
言ふやうなれども
家の
根つぎの
極まらざるは
何かにつけて
心細く、
此ほど
中の
其方のやうに、
淋しい
淋しいの
言ひづめも
爲では
有られぬやうな
事あるべし
そら
又化性のものだと、
急足に
谷中に
着く。いつも
變らぬ
景色ながら、
腕と
島田におびえし
擧句の、
心細さいはむ
方なし。
老たる
親の
痩せたる
肩もむとて、
骨の
手に
当りたるも
斯る
夜はいとゞ
心細さのやるかたなし。
心細さは
申すまでもなかつたが、
卑怯な
様でも
修業の
積まぬ
身には、
恁云ふ
暗い
処の
方が
却つて
観念に
便が
宜い。
お
心細き
御身なればこそ、
小生風情に
御叮嚀のお
頼み、お
前さま
御存じはあるまじけれど、
徃昔の
御身分おもひ
出されてお
痛はしゝ、
我れ
後見まゐらする
程の
器量なけれど
駅を
右に
出ると、もう
心細いほど、
原野荒漠として、
何とも
見馴れない、
断れ
雲が、
大円の
空を
飛ぶ。
かしけれどお
前さまはお
一人子私とても
兄ばかり
女の
同胞もちませねば
淋しさは
同じこと
何かにつけて
心細し
御不足かは
知らねど
妹と
思召してよと
底にものある
詞遣ひそれは
人に
離れたやうな
世間に
遠ざかつたやうな
気がするので、
心細くもあり、
裏悲しくもあり、
覚束ないやうでもあり、
恐ろしいやうでもある、
嫌な
心持だ、
嫌な
心持だ。
地上に
長き
影法師を
心細げに
踏んで
行く、いつしか
傘屋の
路次を
入つてお
京が
例の
窓下に
立てば、
此處をば
毎夜音づれて
呉れたのなれど、
明日の
晩はもうお
前の
聲も
聞かれない
道は
大畝りに、
乗上り
乗下つて、やがて、
野は
迫り、
山来り、
巌近づき、
川灌いで、やつと
砂煙の
中を
抜けたあたりから、
心細さが
又増した。
樹はいま
緑に、
流は
白い。
又馬鹿なことを
云ふよそんな
弱い
気だから
病気がいつまでも
癒りやアしない
君が
心細ひ
事を
云つて
見たまへ
御父さんやお
母さんがどんなに
心配するか
知れません
孝行な
君にも
似合はない。
自分は
餘り
大陸の
一端が
浪のために
喰缺かれることの
疾いのを、
心細く
感ずるばかりであつた。
お
京さん
母親も
父親も
空つきり
當が
無いのだよ、
親なしで
産れて
來る
子があらうか、
己れは
何うしても
不思議でならない、と
燒あがりし
餅を
兩手でたゝきつゝいつも
言ふなる
心細さを
繰返せば
籠中の
人聲を
震はし、「お
人の
惡い、
斯る
難儀を
興がりてなぶり
給ふは
何事ぞ。
君の
御心はいかならむ、
實に
心細くなり
候」と
年效もなく
涙を
流す、
御傍の
面々も
笑止に
思ひ
鐵拳に
撲倒す
勇氣はあれど
誠に
父母いかなる
日に
失せて
何時を
精進日とも
心得なき
身の、
心細き
事を
思ふては
干場の
傘のかげに
隱れて
大地を
枕に
仰向き
臥してはこぼるゝ
涙を
呑込みぬる
悲しさ
與吉は、
一人谷のドン
底に
居るやうで、
心細くなつたから、
見透かす
如く
日の
光を
仰いだ。
しまつたりと
飛び
退きて
畜生めとはまこと
踏みつけの
詞なり、
我が
物なれば
重からぬ
傘の
白ゆき
往來も
多くはあらぬ
片側町の
薄ぐらきに
悄然とせし
提燈の
影かぜに
瞬くも
心細げなる
一輛の
車あり
……三
本木原の
真中へ、
向風と、
轍の
風に
吹放された
時は、
沖へ
漂つたやうな
心細さ。
物いはねば
狹き
家の
内も
何となくうら
淋しく、くれゆく
空のたど/\しきに
裏屋はまして
薄暗く、
燈火をつけて
蚊遣りふすべて、お
初は
心細く
戸の
外をながむれば、いそ/\と
歸り
來る
太吉郎の
姿
裏の
田圃を、
山の
裾から、
藜の
杖を
支いて、
畝路づたひに、
私が
心細い
空の
雲を
見て
居ります、
離座敷へ、のそ/\と
入つて
來ました、
髯の
白い、
赤ら
顏の、
脊の
高い、
茶色の
被布を
着て
自分の
心も
何もぼうつとして
物思ひのない
處へ
行かれるであらう、つまらぬ、くだらぬ、
面白くない、
情ない
悲しい
心細い
中に、
何時まで
私は
止められて
居るのかしら、これが一
生か、一
生がこれか
「
其處まで
行きませうよ。——
夜中に
知らぬ
土地ぢやあ
心細いんですもの。」
例の
酒癖何處の
店にか
醉ひ
倒れて
寢入りても
仕舞しものかそれなればいよいよ
困りしことなり
家にても
嘸お
案じ
此家へも
亦氣の
毒なり
何とせんと
思ふ
程より
積る
雪いとゞ
心細く
燭涙ながるゝ
表二階に
一人取殘されし
新田のお
高
何ですかね、
島流しにでも
逢つて、
心の
遣場のなさに、
砂利を
掴んで
海へ
投込んででも
居るやうな、
心細い、
可哀な
風に
見えて、
其が
病院の
土塀を
狙つてるんですから、あゝ、
氣の
毒だ。……
呼びたりとか
病の
元はお
前様と
云はるゝも
道理なり
知らざりし
我恨めしくもらさぬ
君も
恨めしく
今朝見舞ひしとき
痩せてゆるびし
指輪ぬき
取りてこれ
形見とも
見給はゞ
嬉しとて
心細げに
打ち
笑みたる
其心今少し
早く
知らば
斯くまでには
衰へさせじを
さて、どつち
道、
靜岡を
通るには
間違のない
汽車だから、
人に
教を
受けないで
濟ましたが、
米原で
𢌞るのか、
岡山へ
眞直か、
自分たちの
乘つた
汽車の
行方を
知らない、
心細さと
言つてはない。
立ちし
物の
此文には
何の
文言どういふ
風に
書きて
有るにや
表書きの
常盤木のきみまゐるとは
無情ひとへといふ
事か
岩間の
清水と
心細げには
書き
給へど
扨も/\
御手のうるはしさお
姿は申すも
更なり
御心だてと
云ひお
學問と
云ひ
欠け
處なき
御方さまに
思はれて
嫌やとはよもや
仰せられまじ
我れ
深山育ちの
身として
比べ
物になる
心は
唯急ぎに
急がれて、こゝに
心なき
主從よりも、
御機嫌ようと
門に
立つて、
一曳ひけば
降る
雪に、
母衣の
形も
早や
隱れて、
殷々として
沈み
行く
客を
見送る
宿のものが、
却つて
心細い
限りであつた。
何処で
死ぬ
身と
考える、と
心細い
身の
上ぢやが、
何と
為ても
思切れぬ……