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こゝろぼそ
一同は
詮方なく
海岸の
家に
皈つたが、
全く
火の
消えた
後のやうに、
淋しく
心細い
光景。
櫻木大佐は
默然として
深く
考に
沈んだ。
勘次は
目を
掩はれたやうで
心細い
霧の
中に、
其麽ことで
著しく
延長された
水路を
辿つて
居ながら、
悠然として
鈍い
棹の
立てやうをするのに
心を
焦慮らせて
彼には
悲愴の
感の
外に、
未だ一
種の
心細き
感じが、
殊に
日暮よりかけて、しんみりと
身に
泌みて
覺えた。
是は
麥酒と、
莨とが、
欲しいので
有つたと
彼も
終に
心着く。