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こゝろほそ
餘りに
戀しう
懷かしき
折は
自ら
少しは
恥かしき
思ひ、
如何なる
故ともしるに
難けれど、
且那さま
在しまさぬ
時は
心細さ
堪へがたう、
兄とも
親とも
頼母しき
方に
思はれぬ。
たゞ
心細くなツて、
莎薀してゐるばかりだ。周三には此の恐怖時代が來た。
あゝあの
聲は
旦那樣、三
味線は
小梅さうな、いつの
間に
彼のやうな
意氣な
洒落ものに
成り
給ひし、
由斷のならぬと
思ふと
共に、
心細き
事堪えがたう
成りて、
締つけられるやうな
苦るしさは
その
外の
御厄介には
成りませぬと
言ふに、
與四
郎は
左りとも
一人の
母親なれば、
美尾が
心細さも
思ひやりて、お
前も
御老年のこと、いかに
勤めよきとても、
他人塲の
奉公といふ
事させましては