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川
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かは
ふりがな文庫
“
川
(
かは
)” の例文
此
(
こ
)
の
按摩
(
あんま
)
杖
(
つゑ
)
を
力
(
ちから
)
に、
川
(
かは
)
べりの
水除
(
みづよ
)
け
堤
(
づゝみ
)
へ
来
(
く
)
ると、
杖
(
つゑ
)
の
先
(
さき
)
へ
両手
(
りやうて
)
をかけて、ズイと
腰
(
こし
)
を
伸
(
の
)
ばし、
耳
(
みゝ
)
欹
(
そばだ
)
てゝ
考
(
かんが
)
えて
居
(
ゐ
)
る
様子
(
やうす
)
、——と
言
(
い
)
ふ。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
看護
(
かんご
)
の
人
(
ひと
)
も
勞
(
つか
)
れぬ、
雪子
(
ゆきこ
)
の
身
(
み
)
も
弱
(
よわ
)
りぬ、きのふも
植村
(
うゑむら
)
に
遇
(
あ
)
ひしと
言
(
い
)
ひ、
今日
(
けふ
)
も
植村
(
うゑむら
)
に
遇
(
あ
)
ひたりと
言
(
い
)
ふ、
川
(
かは
)
一
(
ひと
)
つ
隔
(
へだ
)
てゝ
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
るばかり
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
夕日
(
ゆふひ
)
は低く惱ましく、わかれの光悲しげに、
河岸
(
かし
)
を
左右
(
さいう
)
のセエヌ
川
(
がは
)
、
川
(
かは
)
一杯
(
いつぱい
)
を
抱
(
だ
)
きしめて、
咽
(
むせ
)
んで
搖
(
そゝ
)
る
漣
(
さゞなみ
)
に熱い
動悸
(
どうき
)
を見せてゐる。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
そんな
事
(
こと
)
を、あまり
熱心
(
ねつしん
)
に、そして
感傷的
(
かんしやうてき
)
に
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
つたのちは、
二人
(
ふたり
)
とも
過去
(
くわこ
)
の
山
(
やま
)
や
川
(
かは
)
にその
心
(
こゝろ
)
を
吸
(
す
)
いとられたやうに、ぽかんとしてゐた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
父
(
とう
)
さんも、そんな
大
(
おほ
)
きな
川
(
かは
)
を
見
(
み
)
るのは
初
(
はじ
)
めてでした。
青
(
あを
)
い、どろんとした
水
(
みづ
)
は
渦
(
うづ
)
を
卷
(
ま
)
いて、
大
(
おほ
)
きな
岩
(
いは
)
の
間
(
あひだ
)
を
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
ました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
西風
(
にしかぜ
)
は
川
(
かは
)
に
吹
(
ふ
)
き
落
(
お
)
ちる
時
(
とき
)
西岸
(
せいがん
)
の
篠
(
しの
)
をざわ/\と
撼
(
ゆる
)
がす。
更
(
さら
)
に
東岸
(
とうがん
)
の
土手
(
どて
)
を
傳
(
つた
)
うて
吹
(
ふ
)
き
上
(
あ
)
げる
時
(
とき
)
、
土手
(
どて
)
の
短
(
みじか
)
い
枯芝
(
かれしば
)
の
葉
(
は
)
を
一葉
(
ひとは
)
づゝ
烈
(
はげ
)
しく
靡
(
なび
)
けた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
眠
(
ねむ
)
つては
危險
(
きけん
)
だぞ。
左手
(
ひだりて
)
の
川
(
かは
)
に
氣
(
き
)
を
附
(
つ
)
けろ‥‥」と、
暫
(
しばら
)
くすると
突然
(
とつぜん
)
前
(
まへ
)
の
方
(
はう
)
で
小隊長
(
せうたいちやう
)
の
大島少尉
(
おほしませうゐ
)
の
呶鳴
(
どな
)
る
聲
(
こゑ
)
が
聞
(
きこ
)
えた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
さゐ
川
(
かは
)
から、
雲
(
くも
)
がずっと
立
(
た
)
ち
續
(
つゞ
)
いて、この
畝傍山
(
うねびやま
)
、その
山
(
やま
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
が、
騷
(
さわ
)
いでゐる。
今
(
いま
)
、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
かうとしてゐるのだ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
峠
(
たうげ
)
を
下
(
くだ
)
ると『
多田御社道
(
ただおんしやみち
)
』の
石標
(
せきへう
)
が
麥畑
(
むぎばたけ
)
の
畦
(
あぜ
)
に
立
(
た
)
つて、
其處
(
そこ
)
を
曲
(
まが
)
れば、
路
(
みち
)
はまた
山川
(
やまがは
)
の
美
(
うつく
)
しい
水
(
みづ
)
に
石崖
(
せきがい
)
の
裾
(
すそ
)
を
洗
(
あら
)
はれてゐた。
川
(
かは
)
に
附
(
つ
)
いて
路
(
みち
)
はまた
曲
(
まが
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
鹿子木氏はぶつ/\
呟
(
つぶや
)
きながら
川
(
かは
)
つ
端
(
ばた
)
を下つて来ると、
漸
(
やつ
)
と二三本
舞妓
(
まひこ
)
のやうな恰好をしたのが見つかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
數十年前
(
すうじふねんぜん
)
より
行
(
おこな
)
ひ
居
(
を
)
れる
灌水
(
くわんすゐ
)
は、
北海道
(
ほくかいだう
)
に
移住後
(
いぢゆうご
)
、
冬時
(
とうじ
)
と
雖
(
いへど
)
も
怠
(
おこた
)
りたる
事
(
こと
)
あらず。
此
(
この
)
地
(
ち
)
には
未
(
いま
)
だ
井戸
(
ゐど
)
なきを
以
(
もつ
)
て、
斗滿川
(
とまむがは
)
に
入
(
い
)
りて
行
(
おこな
)
へり(
飮用水
(
いんようすゐ
)
も
此
(
この
)
川
(
かは
)
の
水
(
みづ
)
を
用
(
もち
)
ゆ)
命の鍛錬
(旧字旧仮名)
/
関寛
(著)
恋
(
こ
)
ふること
慰
(
なぐさ
)
めかねて
出
(
い
)
で
行
(
ゆ
)
けば
山
(
やま
)
も
川
(
かは
)
をも
知
(
し
)
らず
来
(
き
)
にけり 〔巻十一・二四一四〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
時
(
とき
)
は
冬
(
ふゆ
)
の
初
(
はじめ
)
で、
霜
(
しも
)
が
少
(
すこ
)
し
降
(
ふ
)
つてゐる。
椒江
(
せうこう
)
の
支流
(
しりう
)
で、
始豐溪
(
しほうけい
)
と
云
(
い
)
ふ
川
(
かは
)
の
左岸
(
さがん
)
を
迂囘
(
うくわい
)
しつつ
北
(
きた
)
へ
進
(
すゝ
)
んで
行
(
ゆ
)
く。
初
(
はじ
)
め
陰
(
くも
)
つてゐた
空
(
そら
)
がやうやう
晴
(
は
)
れて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
日
(
ひ
)
が
岸
(
きし
)
の
紅葉
(
もみぢ
)
を
照
(
てら
)
してゐる。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
或日
(
あるひ
)
近所
(
きんじよ
)
の
川
(
かは
)
に
漁
(
れふ
)
に出かけて
彼處
(
かしこ
)
の
淵
(
ふち
)
此所
(
こゝ
)
の
瀬
(
せ
)
と
網
(
あみ
)
を
投
(
う
)
つて
廻
(
ま
)
はるうち、ふと網に
掛
(
かゝ
)
つたものがある、
引
(
ひ
)
いて見たが
容易
(
ようい
)
に
上
(
あが
)
らないので川に
入
(
はひ
)
つて
探
(
さぐ
)
り
試
(
こゝろ
)
みると
一抱
(
ひとかゝへ
)
もありさうな
石
(
いし
)
である。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
「
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
あたりだらうかなう?」
野の哄笑
(新字旧仮名)
/
相馬泰三
(著)
驚
(
おどろ
)
いたのは、
山
(
やま
)
が
二
(
ふた
)
わかれの
真中
(
まんなか
)
を、
温泉宿
(
をんせんやど
)
を
貫
(
つらぬ
)
いて
流
(
なが
)
れる、
其
(
そ
)
の
川
(
かは
)
を、
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
に
越
(
こ
)
へて、
此
(
こ
)
の
城趾
(
しろあと
)
の
方
(
はう
)
へ
来
(
き
)
たか
少
(
すこ
)
しも
覚
(
おぼ
)
えが
無
(
な
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
父
(
とう
)
さんは
表庭
(
おもてには
)
の
梨
(
なし
)
の
木
(
き
)
や
椿
(
つばき
)
の
木
(
き
)
の
下
(
した
)
あたりへ
小
(
ちひ
)
さな
川
(
かは
)
のかたちをこしらへました。
寄
(
よ
)
せ
集
(
あつ
)
めた
砂
(
すな
)
や
土
(
つち
)
を
二列
(
ふたれつ
)
に
盛
(
も
)
りまして、その
中
(
なか
)
へ
水
(
みづ
)
を
流
(
なが
)
しては
遊
(
あそ
)
びました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
植木鉢
(
うゑきばち
)
、
草花
(
くさばな
)
、
花束
(
はなたば
)
、
植木棚
(
うゑきだな
)
、その
間
(
ま
)
を
靜
(
しづ
)
かに流れるは、
艶消
(
つやけし
)
の
金
(
きん
)
の光を
映
(
うつ
)
しつつ、
入日
(
いりひ
)
の
運
(
うん
)
を悲んで、西へ
伴
(
ともな
)
ふセエヌ
川
(
かは
)
、紫色の波長く恨をひいてこの流
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
然
(
しか
)
るに、あの
川
(
かは
)
は
決
(
けつ
)
して
淺
(
あさ
)
くはなかつた。
流
(
なが
)
れも
思
(
おも
)
ひの
外
(
ほか
)
早
(
はや
)
かつた。
次第
(
しだい
)
に
依
(
よ
)
つては
命
(
いのち
)
を
奪
(
うば
)
はれんとも
限
(
かぎ
)
らなかつた。その
危急
(
ききふ
)
の
際
(
さい
)
中根
(
なかね
)
はどう
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
をしたか。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
十三
(
じふそ
)
、
三國
(
みくに
)
と
川
(
かは
)
を
二
(
ふた
)
つ
越
(
こ
)
して、
服部
(
はつとり
)
の
天神
(
てんじん
)
に
參詣
(
さんけい
)
し、
鳥居前
(
とりゐまへ
)
の
茶店
(
ちやみせ
)
に
息
(
やす
)
んだ
上
(
うへ
)
、またぼつ/\と
出
(
で
)
かけた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
かういつても、あなた
方
(
がた
)
が
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
てくれなければわからないことだが、
幾度
(
いくど
)
もくり
返
(
かへ
)
して
貰
(
もら
)
ひたく
思
(
おも
)
ひます。
意味
(
いみ
)
からいへば、
川
(
かは
)
の
音
(
おと
)
がよいといふだけのことです。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それはお
前
(
まへ
)
が
知
(
し
)
らぬから
其樣
(
そん
)
な
憎
(
にく
)
ていな
事
(
こと
)
も
言
(
い
)
へるものゝ
三日
(
みつか
)
交際
(
つきあひ
)
をしたら
植村樣
(
うゑむらさま
)
のあと
追
(
お
)
ふて
三途
(
さんづ
)
の
川
(
かは
)
まで
行
(
ゆ
)
きたくならう、
番町
(
ばんちやう
)
の
若旦那
(
わかだんな
)
を
惡
(
わる
)
いと
言
(
い
)
ふではなけれど
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
川
(
かは
)
の
瀬
(
せ
)
の
石
(
いし
)
ふみ
渡
(
わた
)
りぬばたまの
黒馬
(
くろま
)
の
来
(
く
)
る
夜
(
よ
)
は
常
(
つね
)
にあらぬかも 〔巻十三・三三一三〕 作者不詳
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
工事
(
こうじ
)
の
場所
(
ばしよ
)
は
霞
(
かすみ
)
ヶ
浦
(
うら
)
に
近
(
ちか
)
い
低地
(
ていち
)
で、
洪水
(
こうずゐ
)
が一
旦
(
たん
)
岸
(
きし
)
の
草
(
くさ
)
を
沒
(
ぼつ
)
すと
湖水
(
こすゐ
)
は
擴大
(
くわくだい
)
して
川
(
かは
)
と
一
(
ひと
)
つに
只
(
たゞ
)
白々
(
しら/″\
)
と
氾濫
(
はんらん
)
するのを、
人工
(
じんこう
)
で
築
(
きづ
)
かれた
堤防
(
ていばう
)
が
僅
(
わづか
)
に
湖水
(
こすゐ
)
と
川
(
かは
)
とを
區別
(
くべつ
)
するあたりである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
二人
(
ふたり
)
のこんな
話
(
はな
)
しは、いつまでたつてもつきなかつた、
彼女
(
かれ
)
の
云
(
い
)
ふ
山
(
やま
)
や
川
(
かは
)
や
木
(
き
)
が、
彼
(
かれ
)
の
眼
(
め
)
にすぐに
感
(
かん
)
じられ。
彼
(
かれ
)
のいふ
空
(
そら
)
や
草
(
くさ
)
や
建物
(
たてもの
)
は、
彼女
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
にすぐ
氣
(
き
)
づいて
思浮
(
おもひうか
)
べることが
出來
(
でき
)
るからであつた。
追憶
(旧字旧仮名)
/
素木しづ
(著)
自分
(
じぶん
)
は
學校
(
がくかう
)
の
門
(
もん
)
を
走
(
はし
)
り
出
(
で
)
た。そして
家
(
うち
)
には
歸
(
かへ
)
らず、
直
(
す
)
ぐ
田甫
(
たんぼ
)
へ
出
(
で
)
た。
止
(
と
)
めやうと
思
(
おも
)
ふても
涙
(
なみだ
)
が
止
(
と
)
まらない。
口惜
(
くやし
)
いやら
情
(
なさ
)
けないやら、
前後夢中
(
ぜんごむちゆう
)
で
川
(
かは
)
の
岸
(
きし
)
まで
走
(
はし
)
つて、
川原
(
かはら
)
の
草
(
くさ
)
の
中
(
うち
)
に
打倒
(
ぶつたふ
)
れてしまつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
鹿子木氏は精々
閑
(
ひま
)
をこさへては、
川
(
かは
)
つ
端
(
ばた
)
へ出掛けて往つたが、格別急がうともしないで、のつそりとしてゐるので、その画が出来上つたのは、写生を始めてから
恰
(
ちやう
)
ど三十日ばかり経つてゐる頃だつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
……
川
(
かは
)
も
此
(
こ
)
の
邊
(
あたり
)
は
最
(
も
)
う
大溝
(
おほどぶ
)
で、
泥
(
どろ
)
が
高
(
たか
)
く、
水
(
みづ
)
が
細
(
ほそ
)
い。
剩
(
あまつさ
)
へ、
棒切
(
ぼうぎれ
)
、
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
などが、ぐしや/\と
支
(
つか
)
へて、
空屋
(
あきや
)
の
前
(
まへ
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
其
(
そ
)
の
流
(
ながれ
)
も
淀
(
よど
)
む。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
正面
(
しやうめん
)
にはもう
多田院
(
ただのゐん
)
の
馬場先
(
ばばさ
)
きの
松並木
(
まつなみき
)
が
枝
(
えだ
)
を
重
(
かさ
)
ねて、ずうつと
奧
(
おく
)
へ
深
(
ふか
)
くつゞいてゐるのが
見
(
み
)
えた。
松並木
(
まつなみき
)
の
入口
(
いりくち
)
のところに、
川
(
かは
)
を
背
(
せ
)
にして、
殺生
(
せつしやう
)
禁斷
(
きんだん
)
の
碑
(
ひ
)
が
立
(
た
)
つてゐた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
小佛
(
こぼとけ
)
の
峠
(
とうげ
)
もほどなく
越
(
こ
)
ゆれば、
上野原
(
うへのはら
)
、つる
川
(
かは
)
、
野田尻
(
のだじり
)
、
犬目
(
いぬめ
)
、
鳥澤
(
とりざわ
)
も
過
(
す
)
ぐれば
猿
(
さる
)
はし
近
(
ちか
)
くに
其
(
その
)
夜
(
よ
)
は
宿
(
やど
)
るべし、
巴峽
(
はきよう
)
のさけびは
聞
(
きこ
)
えぬまでも、
笛吹川
(
ふゑふきがは
)
の
響
(
ひゞ
)
きに
夢
(
ゆめ
)
むすび
憂
(
う
)
く
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
父
(
とう
)
さんは
馬丁
(
べつたう
)
の
背中
(
せなか
)
に
負
(
おぶ
)
さつて、
川
(
かは
)
を
越
(
こ
)
しました。その
川
(
かは
)
は
烏川
(
からすがは
)
といふ
川
(
かは
)
だと
聞
(
き
)
きました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
八雲
(
やくも
)
さす
出雲
(
いづも
)
の
子等
(
こら
)
が
黒髪
(
くろかみ
)
は
吉野
(
よしぬ
)
の
川
(
かは
)
の
奥
(
おき
)
になづさふ 〔巻三・四三〇〕 柿本人麿
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
衣物
(
きもの
)
だつて
幾
(
いく
)
らも
無
(
な
)
いんだらうがね、それにまあどうして
川
(
かは
)
へなんて
其麽
(
そんな
)
遠
(
とほ
)
くへ
蓙
(
ござ
)
ばかり
持
(
も
)
つてね、
行
(
ゆ
)
くうちにや
居
(
ゐ
)
た
蚤
(
のみ
)
もみんな
飛
(
と
)
んで
了
(
しま
)
ふだらうがね、まあさういのも
運
(
めぐ
)
り
合
(
あは
)
せだね
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
だからこの
二首
(
にしゆ
)
のお
歌
(
うた
)
も、
實
(
じつ
)
は
後世
(
こうせい
)
のもので、なんだか、へんな
暗示
(
あんじ
)
を
感
(
かん
)
じさせるところからして、しぜん、
畝傍山
(
うねびやま
)
・さゐ
川
(
かは
)
——さゐ
川
(
かは
)
は、いすけより
媛
(
ひめ
)
のお
屋敷
(
やしき
)
のあつた
所
(
ところ
)
——などいふ
地名
(
ちめい
)
から
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
田圃
(
たんぼ
)
が
湖
(
みづうみ
)
にならぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で、どう/\と
瀬
(
せ
)
になつて、
前途
(
ゆくて
)
に一
叢
(
むら
)
の
藪
(
やぶ
)
が
見
(
み
)
える、
其
(
それ
)
を
境
(
さかひ
)
にして
凡
(
およ
)
そ二
町
(
ちやう
)
ばかりの
間
(
あひだ
)
宛
(
まる
)
で
川
(
かは
)
ぢや。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
聞
(
き
)
いたからとて
買
(
かつ
)
てやらうと
言
(
い
)
ふ
人
(
ひと
)
は
猶更
(
なほさら
)
なし、あの
時近處
(
ときゝんじよ
)
に
川
(
かは
)
なり
池
(
いけ
)
なりあらうなら
私
(
わたし
)
は
定
(
さだめ
)
し
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
仕舞
(
しま
)
ひましたろ、
話
(
はな
)
しは
誠
(
まこと
)
の百分一、
私
(
わたし
)
は
其頃
(
そのころ
)
から
氣
(
き
)
が
狂
(
くる
)
つたのでござんす
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
しづかなる
川原
(
かはら
)
をもちてながれたる
狭間
(
はざま
)
の
川
(
かは
)
をたまゆらに見し
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
(まあ、
女
(
をんな
)
がこんなお
転婆
(
てんば
)
をいたしまして、
川
(
かは
)
へ
落
(
おつ
)
こちたら
何
(
ど
)
うしませう、
川下
(
かはしも
)
へ
流
(
なが
)
れて
出
(
で
)
ましたら、
村里
(
むらさと
)
の
者
(
もの
)
が
何
(
なん
)
といつて
見
(
み
)
ませうね。)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
種々
(
いろ/\
)
の
事
(
こと
)
を
思
(
おも
)
ふたと
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
せ、
學校
(
がくかう
)
にては
物
(
もの
)
も
言
(
い
)
ひましたろ、
顏
(
かほ
)
も
見
(
み
)
ましたろ、
夫
(
そ
)
れだけでは
面白
(
おもしろ
)
う
無
(
な
)
うて
心
(
こゝろ
)
いられのするに、
日曜
(
にちよう
)
の
時
(
とき
)
は
其家
(
そのや
)
の
前
(
まへ
)
の
川
(
かは
)
へ
必
(
かな
)
らず
釣
(
つり
)
をしに
行
(
ゆ
)
きましたさうな
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
時間
(
じかん
)
の
都合
(
つがふ
)
で、
今日
(
けふ
)
はこちらへは
御不沙汰
(
ごぶさた
)
らしい。が、この
川
(
かは
)
を
向
(
むか
)
うへ
渡
(
わた
)
つて、
大
(
おほき
)
な
材木堀
(
ざいもくぼり
)
を
一
(
ひと
)
つ
越
(
こ
)
せば、
淨心寺
(
じやうしんじ
)
——
靈巖寺
(
れいがんじ
)
の
巨刹
(
きよさつ
)
名山
(
めいざん
)
がある。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「はあ、……」と、
聞
(
き
)
くのに
氣
(
き
)
の
入
(
はひ
)
つた
婦
(
をんな
)
の
顏
(
かほ
)
は、
途中
(
とちう
)
が
不意
(
ふい
)
に
川
(
かは
)
に
成
(
な
)
つたかと
思
(
おも
)
ふ、
涼
(
すゞ
)
しけれども
五月
(
ごぐわつ
)
半
(
なか
)
ばの
太陽
(
ひ
)
の
下
(
した
)
に、
偶
(
ふ
)
と
寂
(
さび
)
しい
影
(
かげ
)
が
映
(
さ
)
した。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
銀行
(
ぎんかう
)
を
横
(
よこ
)
にして、
片側
(
かたがは
)
は
燒
(
や
)
け
原
(
はら
)
の
正面
(
しやうめん
)
に、
野中
(
のなか
)
の
一軒家
(
いつけんや
)
の
如
(
ごと
)
く、
長方形
(
ちやうはうけい
)
に
立
(
た
)
つた
假普請
(
かりぶしん
)
の
洋館
(
やうくわん
)
が
一棟
(
ひとむね
)
、
軒
(
のき
)
へぶつつけがきの(
川
(
かは
)
)の
字
(
じ
)
が
大
(
おほ
)
きく
見
(
み
)
えた。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
夜
(
よる
)
は(
川
(
かは
)
)の
字
(
じ
)
に
並
(
なら
)
んだその
屋號
(
やがう
)
に、
電燈
(
でんとう
)
がきら/\とかゞやくのであらうも
知
(
し
)
れない。あからさまにはいはないが、これは
私
(
わたし
)
の
知
(
し
)
つた
𢌞米問屋
(
くわいまいどんや
)
である。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
(
松本
(
まつもと
)
へ
行
(
ゆ
)
かつしやる? あゝ/\
本道
(
ほんだう
)
ぢや、
何
(
なに
)
ね、
此間
(
こなひだ
)
の
梅雨
(
つゆ
)
に
水
(
みづ
)
が
出
(
で
)
てとてつもない
川
(
かは
)
さ
出来
(
でき
)
たでがすよ。)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
颯
(
さつ
)
と、
吹添
(
ふきそ
)
ふ
蒼水
(
あをみづ
)
の
香
(
か
)
の
風
(
かぜ
)
に
連
(
つ
)
れて、
流
(
ながれ
)
の
上
(
うへ
)
へそれたのは、
卯
(
う
)
の
花
(
はな
)
縅
(
をどし
)
の
鎧
(
よろひ
)
着
(
き
)
た
冥界
(
めいかい
)
の
軍兵
(
ぐんぴやう
)
が、
弗
(
ふ
)
ツと
射出
(
いだ
)
す
幻
(
まぼろし
)
の
矢
(
や
)
が
飛
(
と
)
ぶやうで、
川
(
かは
)
の
半
(
なか
)
ばで、
白
(
しろ
)
く
消
(
き
)
える。
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
左
(
ひだり
)
の
袂
(
たもと
)
がびり/\と
裂
(
さけ
)
てちぎれて
取
(
とれ
)
たはづみをくつて、
踏占
(
ふみし
)
めた
足
(
あし
)
がちやうど
雨上
(
あまあが
)
りだつたから、
堪
(
たま
)
りはしない、
石
(
いし
)
の
上
(
うへ
)
を
辷
(
すべ
)
つて、ずる/\と
川
(
かは
)
へ
落
(
お
)
ちた。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
呆
(
あき
)
れ
果
(
は
)
てゝ
眺
(
なが
)
めて
居
(
ゐ
)
ると、やがて
浅
(
あさ
)
い
処
(
ところ
)
で
腰
(
こし
)
の
辺
(
あたり
)
、
深
(
ふか
)
い
処
(
ところ
)
は
乳
(
ちゝ
)
の
上
(
うへ
)
になる。
最
(
もつと
)
も
激流
(
げきりう
)
矢
(
や
)
を
流
(
なが
)
す。
川
(
かは
)
の七
分目
(
ぶんめ
)
へ
来
(
き
)
た
処
(
ところ
)
に、
大巌
(
おほいは
)
が一つ
水
(
みづ
)
を
堰
(
せ
)
いて
龍虎
(
りうこ
)
を
躍
(
おど
)
らす。
怪力
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
梢
(
こずゑ
)
は
三階
(
さんがい
)
の
高樓
(
かうろう
)
の
屋根
(
やね
)
を
抽
(
ぬ
)
き、
枝
(
えだ
)
は
川
(
かは
)
の
半
(
なか
)
ばへ
差蔽
(
さしおほ
)
うた
槻
(
けやき
)
の
下
(
した
)
に、
片手
(
かたて
)
に
番傘
(
ばんがさ
)
を、トンと
肩
(
かた
)
に
持
(
も
)
たせながら、
片手釣
(
かたてづり
)
で
輕
(
かる
)
く
岩魚
(
いはな
)
を
釣
(
つ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
浴客
(
よくきやく
)
の
姿
(
すがた
)
が
見
(
み
)
える。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
川
(
かは
)
の
可恐
(
おそろ
)
しさに
氣落
(
きおち
)
がして、
殆
(
ほとん
)
ど
腰
(
こし
)
の
立
(
た
)
たない
男
(
をとこ
)
を、
女房
(
にようばう
)
が
手
(
て
)
を
曳
(
ひ
)
いて、
遠
(
とほ
)
くもない、
槐
(
ゑんじゆ
)
に
似
(
に
)
た
樹
(
き
)
の
森々
(
しん/\
)
と
立
(
た
)
つた、
青煉瓦
(
あをれんぐわ
)
で、
藁葺屋根
(
わらぶきやね
)
の、
妙
(
めう
)
な
住居
(
すまひ
)
へ
伴
(
ともな
)
つた。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“川”の意味
《名詞》
かわ。高所から低所に向かって、水がある道筋を流れる地形。
(出典:Wiktionary)
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
“川”を含む語句
川面
横川
川辺
川内
小川
川柳
溝川
川端
川向
新川
大川
犀川
川縁
衣川
川添
旭川
西川
深川
山川
川岸
...