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藁葺屋根
麦の畑を
貫いた細い道は、向こうに見えるひょろ長い
榛の並木に通じて、その間から役場らしい
藁葺屋根が
水彩画のように見渡される。
うす雲の間から、
洩れる弱い日影は、
藁葺屋根の上に照って、静かな、
長閑な天気でありました。やがて
大暴風雨のする模様などは見えませんでした。
川の
可恐しさに
氣落がして、
殆ど
腰の
立たない
男を、
女房が
手を
曳いて、
遠くもない、
槐に
似た
樹の
森々と
立つた、
青煉瓦で、
藁葺屋根の、
妙な
住居へ
伴つた。