)” の例文
新字:
あかつきころになつてやうやみづきたので、二人ふたりそのなかり、いま何處いづく目的めあてもなく、印度洋インドやう唯中たゞなかなみのまに/\漂流たゞよつてるのである。
よる燭火ともしびきて、うれしげなあしためが霧立きりたやまいたゞきにもうあし爪立つまだてゝゐる。はやぬればいのちたすかり、とゞまればなねばならぬ。
くだるわ、/\、/\。ながれは何處どこまでつてもきないのかしら?『いままでにわたしいくマイルちたかしら?』とあいちやんは聲高こわだかひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
その上、嫁のお倉は永年の貧苦に愛想をかして飛出し、人もあらうに又六を頼つて、兩國の小屋の木戸番に迄なり下がりました
すなはちこの徑路こみちく、汝そこにて疲れを休むることをうべし、わが汝に答ふるは是のみ、しかして我この事のまことなるを知る。 九四—九六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
わすたまひしおことばなりおもふはねたみにやお主樣しうさまゆゑにはころして忠義ちうぎくすひとさへるをわれ一人ひとりにてきを
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
けれども小六ころくはさうはなしきても、まだつてた。それで仕舞しまひには、友達ともだちが、小六ころくは、退屈たいくつあまりに訪問はうもんをして、談話だんわ復習ふくしふふけるものだとひやうした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
えらねえぞ仕事しごとりや毎日まえんちかうだ」勘次かんじ梅干うめぼしすこしづゝらした。辨當べんたうきてから勘次かんじいわしをおつぎへはさんでやつた。さうして自分じぶんでも一くちたべた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
其處そこでもかれ宿やどからずに、終日しゆうじつ相變あひかはらず長椅子ながいすうへころがり、相變あひかはらずとも擧動きよどう愛想あいさうかしてゐる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
西にし神通川じんつうがは堤防ていばうもつかぎりとし、ひがし町盡まちはづれ樹林じゆりんさかひし、みなみうみいたりてき、きた立山りふざんふもとをはる。此間このあひだ見通みとほしの原野げんやにして、山水さんすゐ佳景かけいいふべからず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そしてそれが朽敗きうはいまたは燒失せうしつすれば、またたゞちにこれを再造さいざうした。が、れどもきぬ自然しぜんとみは、つひ國民こくみんをし、木材以外もくざいいぐわい材料ざいれうもちふるの機會きくわいざらしめた。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
大忠だいちう(九〇)拂辭ふつじするところく、(九一)悟言ごげん(九二)撃排げきはいするところく、すなはのちその辯知べんちぶ。親近しんきんせられてうたかはれず・(九三)これくすを所以ゆゑんなり
松並木まつなみききると、いしだたみのだら/\ざかがあつて、へんから兩側りやうがは茶店ちやみせならんでゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
愛憎あいそかすことが出来るであろう、と、そう思った末に考えついたのは、あのようなみめうるわしい女であっても、その体から排泄はいせつするものは、われ/\と同じ汚物おぶつであろう
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
夫婦ふうふこまつてしまひました。そして、鳥屋とりやへもつてつてりました、けれどそれがうんきでした。そのくちからの言葉ことばで、とうとう二人ふたりつかまつて、くらくら牢獄ろうごくのなかへげこまれました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
それでは其棄權そのきけんしたあと讓受ゆづりうけやうとて、けると、なるほど貝層かいそうは五六すんにしてきる。が、其下そのしたつち具合ぐあひだシキともえぬので、根氣好こんきよ掘下ほりさげてると、またあたらしき貝層かいそうがある。
するものも長庵のたくの前はしのんで通る樣になりければひつかけ上手じやうずの長庵も百ぱうじゆつなす事なくこまり果てぞ居たりける爰に又長庵が故郷こきやう岩井村にてはおやの作十も病死びやうしおとゝ十兵衞の代と成けるが或時近邊きんぺんより出火して家屋かをく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのさち常久とはきざれば
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
きぬひかりいづみより
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
お輝の照代は、そのまゝ力がきて、ヘタヘタと、碎かれた人形のやうに、娘お幾の燃えるやうな茜裏あかねうらの布團の上に崩折くづをれてしまひました。
水煙みづけむりてました——ねえさんは三月兎ぐわつうさぎ友達ともだちとが何時いつになつてもきない麺麭ぱん分配ぶんぱいしたときに、茶碗ちやわんるのを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おゝ、かぎりないうつくしさにはみながら、そのうつくしさはたゞ代限だいかぎり、ねばたねまでもくるとは、貧乏しがない/\運命うんめい
……貴下あなたまへでござりますが、われながら愛想あいそきた不身持ふみもちでござりまして、毎々まい/\をとこ面目玉めんぼくだま溝漬どぶづけ茄子なすらうとするところを、幾度いくたびすくひいたゞいたかわかりません。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まだかまだかとへいまわりを七まわり、欠伸あくびかずきて、はらふとすれど名物めいぶつ首筋くびすぢひたいぎわしたゝかさゝれ、三五らうよわりきるとき美登利みどり立出たちいでゝいざとふに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
夫婦ふうふまへみ、つきまへかんがへて、しづかなとしおくむかへた。今年ことしももうきる間際まぎはまでた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
最早もはや袂別わかれ時刻じこくせまつてたので、いろ/\の談話はなしはそれからそれとくるかつたが、兎角とかくするほどに、ガラン、ガラ、ガラン、ガラ、と船中せんちゆうまは銅鑼どらひゞきかまびすしくきこえた。
『いや、其所そこ駄目だめで、貝層かいそうきにきてしまうです』と幻翁げんおうはいふ。
深沼ふけぬまきし
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
願ふと云ふもしのなきことに他人に有ながら當家へ養子やうしに來た日よりあつ深切しんせつくして呉し支配人なる久八へ鳥渡成ちよつとなりとも書置かきおきせんとありあふすゞり引寄ひきよせて涙ながらに摺流すりながすみさへうすにしぞとふで命毛いのちげみじかくも漸々やう/\したゝをはりつゝふうじるのりよりのりみち心ながら締直しめなほす帶の博多はかたの一本獨鈷どつこ眞言しんごん成ねど祕密ひみつの爲細腕ほそうで成ども我一心長庵如き何の其いは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それから四半刻ばかり經つて、線香がきると、鐵砲は獨りでドンと鳴つた。彈丸は寸分の狂ひもなく、唐紙を突き拔けて、半兵衞の首筋から胴へ——
うつくしうて、かしこうて、わしおもじにさするほど賢過かしこすぎた美人びじんゆゑ、おそらくは冥利みゃうりき、よもや天國てんごくへはのぼれまい。
あいちやんはぼうれや枯葉かれはかさなつたうへりてて、みづながれは此處こゝきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おなとし十一月じふいちぐわつのはじめ、鹽原しほばらつて、畑下戸はたおり溪流瀧けいりうたきしたふちかけて、ながれひろ溪河たにがはを、るがごとくがごとく、もみぢの、きず、えず、ながるゝのをときと、——しほ
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
客樣きやくさませやうが空車からときだらうがやとなると用捨ようしやなくやになりまする、あきれはてるわがまゝをとこ愛想あいそきるではりませぬか、さ、おりなされ、おともをしますとすゝめられて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どんな解答かいたふにしろひとこしらへてかなければならないとおもひながらも、仕舞しまひには根氣こんききて、はや宜道ぎだう夕食ゆふめし報知しらせ本堂ほんだうとほけてれゝばいと、そればかりかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
うらゝかに、かぜきよ甲板かんぱんで、大佐たいさや、濱島はまじまや、春枝夫人はるえふじんや、轟大尉とゞろきたいゐや、其他そのた乘組のりくみ士官しくわん水兵等すいへいら相手あひてに、わたくし小説せうせつにもたる經歴談けいれきだんは、印度洋インドやうなみのごとく連綿れんめんとしてくるときもなかつた。
それに合槌あひづちを打つて、——私も長い間の岡惚をかぼれだけれど、今度といふ今度は、錢形の親分に愛想あいそきた、下手人どころの沙汰ぢやない、玉ちやんがどうして殺されたか
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
愛想あいそかさず、こいつを病人びやうにんあつかひに、やしき引取ひきとつて、やはらかい布團ふとんかして、さむくはないの、とそでをたゝいて、清心丹せいしんたんすゞしろゆびでパチリ……にいたつては、ぶんぎたお厚情こゝろざし
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし此子このこはゞわたしためまもがみで、此樣こん可愛かあい笑顏ゑがほをして、無心むしんあそびをしてますけれど、此無心このむしん笑顏ゑがほわたしをしへてれましたこと大層たいそうなは、のこりなくくちにはくされませぬ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「靜かにしてくれ、私はもう、精も根もき果てた、——このまゝ、死なしてくれ」
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
可憐いとほしねんむらむらとへがたく、きみゆゑにこそくまでにくすわれ木石ぼくせきならぬ令孃ひめくかるべきはずなし、此荊棘このいばらなかすくひしてと、かげだなるこひたけはしら詫住居わびずまゐおもひぬ。
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それが、のこつた。やがきがたの蝋燭らふそくに、ひく/\と呼吸いきをする。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くしたるこゝろはおのづから御覽ごらんじしるべし、姿すがたむくつけく器量きりやうにおとりしとてとはせたまはゞ、れもをとこのはしなり、かれまゐらせずとてたゞやはある、他人よそながめのねたましきよりはと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うへは、とおあきをとこのせりめた劍幕けんまくと、はたらきのないをんなだと愛想あいそかされようとおも憂慮きづかひから、前後ぜんご辨別わきまへもなく、棒縞ぼうじまあはせいですつもりで、かげではあつたが、かきそと
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此處こヽなみだくしてかたあかせば、ゆめとやはんはるあげがたちかく、とりがねそらきこえてさてせはしなし、きみみやこれは鎌倉かまくらに、ひきはなれてまた何時いつかはふべき、定離ぢやうりためしを此處こヽれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
父樣とつさまにも勘藏かんざうにも乳母ばあやにはべつしてのこといろ/\と苦勞くらうをかけまして今更いまさらおもへばはづかしいやらおどくやら幼心をさなごゝろのあとさきずにほどのない無分別むふんべつさりながらきぬいのちかやことたすかりしを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此折このおりなにともおもはれず、めてかへりはとりでもべてと機嫌きげんられるほどものがなしく、すやうにして一さん家路いゑぢいそげば、けふこと/\くきてらうたゞ美尾みを病氣いたつきむねをいためぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この一令孃ひめありとこヽろくすものなく、るは甚之助殿じんのすけどのばかりなる不憫いぢらしさよ、いざや此心このこヽろふではして、時機あはよくは何處いづこへなりとも暫時しばしともなひ、其上そのうへにてのさくまた如何樣いかやうにもあるべく
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
假令たとへにかへいのちにかへてもくしまゐらするこゝろなるを、よしなき御遠慮ごゑんりよはおくだされたしとうらがほなり、これほどまでにおもひくるゝ、其心そのこゝろらぬにもらぬを、このごろ不愛想ぶあいさうこゝろもだゆるまゝに
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さはいへど人妻ひとづまならばおよぶまじことなりたしかめてのち斷念だんねんせんのみ、うきたるこひこゝろをくす輕忽あわつけしさよともおぼさんなれど、父祖傳來ふそでんらい舊交きうかうありとて、其人そのひとこゝろみゆるものならず、家格かかくしたが門地もんちたつと
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)