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家路
読み方 | 割合 |
いえじ | 50.0% |
いへぢ | 42.9% |
いゑぢ | 7.1% |
夕ぐれ、めっきり水の細った秋の公園の噴水が
霧のように淡い水量を
吐き出している
傍を
子守達は子を乗せた
乳母車を押しながら
家路に帰って行く。
彼等は
恁うして
時間を
空しく
費しては
遠く
近く
蜩の
聲が一
齊に
忙しく
各自の
耳を
騷がして、
大きな
紗で
掩うたかと
思ふ
樣に
薄い
陰翳が
世間を
包むと
彼等は
慌てゝ
皆家路に
就く。
此折何とも
思はれず、
切めて
歸りは
鳥でも
喰べてと
機嫌を
取られるほど
物がなしく、
逃げ
出すやうにして一
散に
家路を
急げば、
興こと/\く
盡きて
與四
郎は
唯お
美尾が
身の
病氣に
胸をいためぬ。