はら)” の例文
新字:
宗助そうすけ御米およね言葉ことばいて、はじめて一窓庵いつさうあん空氣くうきかぜはらつたやう心持こゝろもちがした。ひとたびやまうちかへれば矢張やはもと宗助そうすけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おつぎは勘次かんじ敏捷びんせふあざむくにはこれだけのふか注意ちういはらはなければならなかつた。それもまれなことでかずかならひとつにかぎられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
よ、かしらなきむくろ金鎧きんがい一縮いつしゆくしてほこよこたへ、片手かたてげつゝうままたがり、砂煙すなけむりはらつてトツ/\とぢんかへる。陣中ぢんちうあにおどろかざらんや。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十一文づゝ二年半餘はんあまりもとゞこふらば大抵たいてい三十文ばかりの引負ひきおひとなるべし。閏月しゆんげつすなはちこの三十文の引負ひきおひを一月にまとめてはらふことゝるべし。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
取するばかり手短てみじかの話が先斯した處だ何れなりとも御望み次第どうだネ旅のしう其懷ろは御前が彼の飯盛の揚代あげだいはらふ時篤と見て置夫故跡を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第一 毎日まいにちき、寢衣ねまき着替きかへ、蒲團ふとんちりはらひ、寢間ねま其外そのほか居間ゐま掃除さうじし、身體しんたい十分じふぶん安靜しづかにして、朝飯あさはんしよくすること
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
注意ちういはらふ」だの「ちか將來しやうらい」などは、おかしいけれどもまだ意味いみかるが、めうつてまはつて、意味いみつうじないのは、まことにまる。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
またそのなかりさうなおくはらけやうとしてあたまつてるところました——それからまたしんなにいてるやうにもえました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
春枝夫人はるえふじんもいと晴々はれ/″\しき顏色がんしよくで、そよ/\とみなみかぜびんのほつれはらはせながら餘念よねんもなく海上かいじやうながめてる。
此豫報このよほうが一たび各新聞かくしんぶんつてつたへられると、迷信めいしん非迷信ひめいしんかゝはらず、江湖こうこおほいなる注意ちういこれけてはらつた。
そのばんあつさをはら凉雨れううた、昨夜ゆうべねこのために十ぶんられなかつたあはせに今夜こんや熟睡じゆくすゐしようとおもつた。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
道翹だうげうくもはらひつゝさきつて、りよ豐干ぶかんのゐた明家あきやれてつた。がもうかつたので、薄暗うすくら屋内をくない見𢌞みまはすに、がらんとしてなに一つい。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
番町ばんちやう旦那だんなといふは口數くちかずすくなひとえて、ときたまおもしたやうにはた/\と團扇うちはづかひするか、卷煙草まきたばこはひはらつてはまたをつけてもつてゐるくらゐなもの
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
で、其家そのいへすべて什具じふぐとは、棄賣すてうりはらはれて、イワン、デミトリチと其母親そのはゝおやとはつひぶつとなつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ないものははらへないからそこは宗教しうけうちからで、なんとか便宜べんぎはかつてはくれまいかと嘆願たんぐわんしてたんですが、彼奴あいつはどうして、規定きてい規定きていだから、證明書しようめいしよもなくかねもないなら
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
今後こんご外國ぐわいこくから餘計よけいものへば、それだけ日本にほん保有ほいうして金貨きんくわもつ外國ぐわいこくはらふことになる。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
しば/\海底かいてい大地震だいぢしんおこ場所ばしよせつし、そこにむかつておほきく漏斗形じようごがたひらいた地形ちけい港灣こうわんがそれにあたるわけであるが、これにいで多少たしよう注意ちゆういはらふべきは、遠淺とほあさ海岸かいがんである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
とにかくあんまりつよくもなく、かと言つてまた格別かくべつはづかしいほどよわわけでもなく、風も先づ正正堂堂どうどうとして至極しごくち着きはらつた方、正に兄たりかたく弟たりかたしのくみ合せだ。
のんださけ勘定かんじやうからですよ。去年きよねんぼんに一どおまへにおごつたことがあるから、けふのははらへと、あののんだくれ のわしやつふんです。するとあんたのはうはうですわねえ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
その農作地のうさくち牧場まきばとをつくるためには森林しんりん一部分いちぶぶんはらはらひしました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
しかるにお房は、彼の財布さいふにはそこが無いものと思ツて、追續おツつぎ/\/\預算以外の支出を要求して、米屋八百屋の借をはらはせたり、家賃やちんの滯をめさせたり、まとまツて幾らといふ烏金からすがねくちまで拂はせた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
ロミオ 此方こちその貧苦ひんくにこそはらへ、こゝろにははらはぬわい。
「死」にはらわたりのしろと、船人ふなびとにとらさむも。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
卯平うへい何時いつたれがさうしたのかむしろうへよこたへられてあつた。かれすくな白髮しらがはらつていた火傷やけどのあたりをうてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
るもつもるも風情ふぜいかな、未開紅みかいこううめ姿すがたつぼみゆきはらはむと、おき炬燵ごたつより素足すあしにして、化粧けはひたる柴垣しばがきに、には下駄げたつまさばく。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
またこれをたとへばあらまし三百六十五文はらふべき借金しやくきんを、毎月まいつき二十九文五づゝの濟口すみくちにて十二はらへば一年におよそ十一文づゝの不足ふそくあり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
今迄いままで小六ころくついて、夫程それほど注意ちゆういはらつてゐなかつた宗助そうすけは、突然とつぜんこのとひつて、すぐ、「何故なぜ」とかへした。御米およねはしばらく逡巡ためらつたすゑ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ふるはして申立てけるに其時檢使は彼場所に傘捨有りし傘をいだされ其方此傘に覺え有りやと見せらるれば長庵涙をはらひて倩々つく/″\打詠うちながめ暫くあつて小膝を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
第十 常居ゐま濕氣しめりけすくな日當ひあたりよくしてかぜとほやうこゝろもちし。一ヶねん一兩度いちりやうどかなら天井てんじやうまたえんしたちりはらひ、寢所ねどころたかかわきたるはうえらぶべきこと
養生心得草 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
此時このとき艦頭かんとうてる武村兵曹たけむらへいそうは、右鬢うびん微傷びしやうけて、ながるゝ血汐ちしほ兩眼りようがんるを、こぶしはらつて、キツと見渡みわたうみおも電光でんくわうごとちかづききたつた海底戰鬪艇かいていせんとうてい
まだかまだかとへいまわりを七まわり、欠伸あくびかずきて、はらふとすれど名物めいぶつ首筋くびすぢひたいぎわしたゝかさゝれ、三五らうよわりきるとき美登利みどり立出たちいでゝいざとふに
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
新聞しんぶんには講演かうえん梗概かうがいたが、新聞しんぶん記事きじには、信用しんようはらはぬ一にんであるので、しようとせぬ)として、生意氣なまいきながらごとせつするのである。
何故なぜかならば昨年さくねんぐわつから同樣どうやうことをして、それで今日こんにちはじめ日本にほん海外かいぐわいかねはらはないで貿易關係ぼうえきくわんけいになつたのであるから本年ほんねんにも昨年さくねんおなじやうな状態じやうたい持續ぢぞくすれば
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
とにかく舊式きうしきの名人せいはなはだいい。ただ問題もんだい棋界きかい功勞こうろうがあり、而もおとろへた老棋士ろうきしろう後の生くわつたいして同時に何等かの考慮こうりよはらはるべきである事をぼくは切言したい。
あいちやんはおどろきのあまり、いかさけび、其等それらはらけやうとして、どてうへに、ねえさんのひざまくらたのにがつきました、ねえさんはしづかに、かほはらつてりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
ると、宛然まるで空々そら/″\しい無理むり元氣げんきして、ひて高笑たかわらひをしてたり、今日けふ非常ひじやう顏色かほいろいとか、なんとか、ワルシヤワの借金しやくきんはらはぬので、内心ないしんくるしくるのと、はづかしくところから
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
らばとつて、一寸ちよつとかへるを、うけたまはりまするでと、一々いち/\町内ちやうない差配さはいことわるのでは、木戸錢きどせんはらつて時鳥ほとゝぎするやうな殺風景さつぷうけいる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たゞ、三角測量臺かくそくりやうだい見通みとほしにさはためはらはれた空隙すきがそれをみちびいた。東隣ひがしどなり主人しゆじん屋根やねの一かくにどさりととまつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
御米およね御前おまい子供こども出來できたんぢやないか」とわらひながらつた。御米およね返事へんじもせずに俯向うつむいてしきりにをつと脊廣せびろほこりはらつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なすよし女房は屏風を立廻たてまはし床にかゝありしが後の方に骨柳こり一ツ有しを夫を改めんとなすをつまは此品は不正ふせいものならずと手を出す役人共はらひ退て中を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たかはあきれてりきちやん大底たいていにおしよといへども、なにいのさ、これはおまへにこれはねへさんに、おほきいので帳塲ちやうばはらひをつてのこりは一同みんなにやつてもいとおつしやる
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其樣そんことかんがいとまもない、いそはらつもりで、一發いつぱつ小銃せうじう發射はつしやしたのが※失あやまりであつた。
いくら注意ちういはらつても、却々なか/\我々われ/\に——其遺物そのゐぶつの一破片はへんでも——れることむづかしからうとかんがへてたのが、う、容易ようゐ發見はつけんせられてると、おほいに趣味しゆみかんぜずんばあらずである。
一年とさだめたる奉公人ほうこうにん給金きうきんは十二箇月のあひだにも十兩、十三月のあひだにも十兩なれば、一月はたゞ奉公ほうこうするか、たゞ給金きうきんはらふか、いづれにも一ぽうそんなり。其外そのほか不都合ふつがふかぞふるにいとまあらず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
『はい!』とさけんだものゝあいちやんは、あまりに狼狽あはてたので自分じぶん此所こゝ少時しばらくあひだに、如何いかばかりおほきくなつたかとふことを全然すつかりわすれて、にはかにあがりさま、着物きものすそ裁判官さいばんくわんせきはら
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
とにかく、あなたが始終しじふこんなまぐれな贅澤ぜいたくばかりなさるから、月末つきずゑはらひがりなかつたり、子供こどものまはりをちやんとしてやれないのよ。かんがへても御覽ごらんなさい、夏繪なつゑ來年らいねんもう學校がくかうよ。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
かり本年ほんねん輸入超過ゆにふてうくわがあつて、さうして差引さしひき億圓おくゑん金貨きんくわ外國ぐわいこくはらはなければならぬとすると、日本銀行にほんぎんかうの十一億圓おくゑん金貨きんくわが十億圓おくゑんり、兌換劵だくわんけん平均流通高へいきんりうつうだかは十二おく五千萬圓まんゑんわけである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
本堂ほんだうぬかづてて、ちてきざはしかたあゆでたるは、年紀としはやう/\二十はたちばかりとおぼしき美人びじんまゆはらひ、鐵漿かねをつけたり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
馬廻うままはりに美男びなんきこえはれど、つき雲井くもゐちり六三ろくさなんとして此戀このこひなりたちけん、ゆめばかりなるちぎ兄君あにぎみにかヽりて、遠乘とほのり歸路かへりみち野末のずゑ茶店ちやてんをんなはらひて
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
は、コロボツクルのは、かつみゝれてた。同時どうじ人類學者じんるゐがくしやとして坪井博士つぼゐはかせられることつてた。けれども、日本にほんける石器時代せききじだいついては、まつた注意ちういはらはずにたのであつた。