おほき)” の例文
山家やまがあたりにむものが、邸中やしきぢう座敷ざしきまでおほききのこいくつともなくたゝるのにこうじて、大峰おほみね葛城かつらぎわたつた知音ちいん山伏やまぶしたのんでると
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天上の最もあきらかなる星は我手わがてに在りと言はまほしげに、紳士は彼等のいまかつて見ざりしおほきさの金剛石ダイアモンドを飾れる黄金きんの指環を穿めたるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
爪長つめながく、おほきさは七しやく乃至ないしじやう二三じやくぐらいの巨鳥きよてうが、天日てんじつくらくなるまでおびたゞしくぐんをなして、輕氣球けいきゝゆう目懸めがけて、おそつてたのである。
景色けしきおほきいが變化へんくわとぼしいからはじめてのひとならかく自分じぶんすで幾度いくたび此海このうみこの棧道さんだうれてるからしひながめたくもない。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
法願ほうぐわんこほさうかねげてちらほらとおほきかたまりのやうな姿すがたうごいてるまではちからかぎつじつてかん/\とたゝくのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『今日は、今日は』とおほきな声で続けざまに幾度も云ひましたが、やつぱり黙つて返事をしませんでした。今度は一人一人
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
しまひには往生寺の山の上に登つて、苅萱かるかやの墓のほとりに立ち乍ら、おほきな声を出して呼び叫んだ時代のことを憶出して見ると——実に一生の光景ありさまは変りはてた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
もっと音色ねいろうつくしいわり毛並けなみ案外あんがいつまらないとりで、あるとき不図ふとちかくのえだにとまっているところをると、おほきさは鳩位はとぐらい幾分いくぶん現界げんかいたかて、頚部けいぶながえていました。
新坊は、常にない智恵子の此挙動に喫驚びつくりして、泣くのははたと止めて不安相におほきく眼をみはつた。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
コレハ/\よく作られたと賞揚しやうやうばん、そのあと新詩しんし一律いちりつまたおくられては、ふたゝび胸に山をきづく、こゝはおほきかんがへもの、まのあたさゝげずに遠く紙上しじやう吹聴ふいちやうせば、先生ひげにぎりながら
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
えらう早くたな、まだ薄暗うすぐらいのに。金「エヘヽヽ昨晩さくばんおほきにおやかましうございます。坊「ウム値切ねぎつた人か、サ此方こつち這入はいんなさい。金「へい、有難ありがたう。坊「穏坊をんばう/\、見てげろ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
いやに文字もんじあひだをくツ付けて模様もやうのやうに太く書いてある名題なだい木札きふだ中央まんなかにして、その左右にはおそろしく顔のちひさい、眼のおほきい、指先ゆびさきの太い人物が、夜具やぐをかついだやうなおほきい着物を着て
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「蘇州府の柳をもらひ、庭前にさしおき、活し申候。おほきになり、枝をきられ候時に至候はば進上可致候やと御伝へ可被下候。柳は早き物に候。来年あたりは被贈可申候。徳見茂四郎より囉申候。」
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
猪子いぬしゝしてママおほきなものよ、大方おほかたいぬしゝなか王様わうさま彼様あんな三角形さんかくなりかんむりて、まちて、して、わたし母様おつかさんはしうへとほるのであらう。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うろうろしてゐるうちに、もう赤鬼はおほきな鉄の棒をついて向ふからやつて来ました。赤鬼は、それはそれは大きな声で
子供に化けた狐 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
今初いまはじめたばかりです。』とうち浮木うきがグイとしづんだからあはすと、餌釣ゑづりとしては、中々なか/\おほきいのがあがつた。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
がとつぷりとれたときかれ道端みちばた草刈籠くさかりかごおろした。其處そこにははたけ周圍まはり一畝ひとうねづつにつくつた蜀黍もろこしたけたかつてる。草刈籠くさかりかごがすつと地上ちじやうにこけるとき蜀黍もろこしおほきれてがさりとつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
眞正面まつしやうめんに、凹字形あふじけいおほきたてものが、眞白まつしろ大軍艦だいぐんかんのやうに朦朧もうろうとしてあらはれました。とると、あやは、なんと、ツツツときつゝ。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『かしこまりました』と椋鳥は、二人の姉妹に白い布で目隠しをして、おほきな椋の木の空洞うつろの前へつれてゆきました。
仲のわるい姉妹 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
老叟はわらつて『左樣さうはるゝならそれでもよし、イザおいとまましよう、おほきにお邪魔じやま御座ござつた』と客間きやくまを出たので雲飛うんぴよろこもんまでおくり出て、内にかへつて見るといしが無い。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
怪我人けがにん醫者いしやまへると恐怖きようふおそはれたやうににはか鳴咽をえつした。醫者いしやよこふくれたおほき身體からだでゆつたりと胡坐あぐらをかいたまゝ怪我人けがにんひだりまくつてた。怪我人けがにん上膊じやうはく挫折ざせつしてぶらりとれてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
はなまるい、ひたひひろい、くちおほきい、……かほを、しかいやいろえたので、暗夜やみました。……坊主ばうず狐火きつねびだ、とつたんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
出世すると云はれて、二人のおほきくみひらいた眼には、一層喜びの色があらはれました。
虹の橋 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
『これはなことをはるゝものじや、あんなおほきいし如何どうしてたもとはひはずがない』と老人ろうじんに言はれて見ると、そでかるかぜひるがへり、手には一本のながつゑもつばかり、小石こいし一つ持て居ないのである。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
温泉いでゆは、やがて一浴いちよくした。純白じゆんぱくいしたゝんで、色紙形しきしがたおほきたゝへて、かすかに青味あをみびたのが、はひると、さつ吹溢ふきこぼれてたまらしていさぎよい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
『土の中でうたつてるのは誰?』とみつ子さんと千代子さんがおほきな声で云ひますと
少女と海鬼灯 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
……たびに、銀杏返いてふがへしくろあたまが、縦横たてよこはげしくれて、まんまるかほのふら/\とせはしくまはるのが、おほき影法師かげばうしつて、障子しやうじうつる……
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、ぬまは、はなしいて、おかんがへにるほどおほきなものではないのです。うかとつて、むかぎしとさしむかつてこゑとゞくほどはちひさくない。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
おほきざうで、めしときなんぞ、ならんですはる、と七才なゝつとしわたくし芥子坊主けしばうずより、づゝとうへに、かみさがつた島田しまだまげえたんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へいからおつかぶさりました、おほきしひしたつて、半紙はんしりばかりの縱長たてながい——膏藥かうやくでせう——それ提灯ちやうちんうへかざして、はツはツ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『えゝ、おほきこゑをさつしやりますな、こえるがのエ』と、あをかほして、をとこは、足許あしもとこずゑからいてえる、ともしびかげゆびさしたんです。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
時間じかん都合つがふで、今日けふはこちらへは御不沙汰ごぶさたらしい。が、このかはむかうへわたつて、おほき材木堀ざいもくぼりひとせば、淨心寺じやうしんじ——靈巖寺れいがんじ巨刹きよさつ名山めいざんがある。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畜生ちくしやう、)といつたがうまないわ。びく/\とうごめいてえるおほき鼻面はなツつら此方こちらけてしきり私等わしらはう様子やうす
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
怪火あやしびうつる、大瀧おほだきゆきは、まへなる、ヅツンとおもい、おほきやまいたゞきから一雪崩ひとなだれにちてるやうにもえました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おほきはまぐりウばかり。(ちう、ほんたうは三個さんこ)として、しゞみ見事みごとだ、わんさらもうまい/\、とあわてて瀬戸せとものをかじつたやうに、おぼえがきにしるしてある。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひろでもおよかぎり芥子粒けしつぶほどのおほきさの売薬ばいやく姿すがたないで、時々とき/″\けるやうなそらちひさなむし飛歩行とびあるいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
が、目貫めぬきまちぎた、次第しだい場末ばすゑ町端まちはづれの——とふとすぐにおほきやまけはしさかります——あたりで。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
葡萄色ぶだういろあゐがかつて、づる/\とつるつて、はす肖如そつくりで、古沼ふるぬまけもしさうなおほき蓴菜じゆんさいかたちである。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
女中ぢよちう一荷ひとに背負しよつてくれようとするところを、其處そこ急所きふしよだと消口けしぐちつたところから、ふたゝ猛然まうぜんとしてすゝのやうなけむり黒焦くろこげに舞上まひあがつた。うづおほきい。はゞひろい。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もんが、また……貴方あなたおもてでもなければくゞりでもなくつて、土塀どべいへついて一𢌞ひとまは𢌞まはりました、おほきしひがあります、裏門うらもん木戸口きどぐちだつたとまをすんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
よくあるならひで——醫師いしやぬかり、看護婦かんごふ不深切ふしんせつなんでも病院びやうゐん越度をちどおもつて、それ口惜くやしさに、ものぐるはしくおほきたてものを呪詛のろつてるんだらう。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
古風こふうな、うすい、ちひさなまげつたのが、唐銅からかねおほき青光あをびかりのする轆轤ろくろ井戸繩ゐどなはが、づつしり……石築いしづき掘井戸ほりゐど
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
太鼓たいこおとの、のびやかなあたりを、早足はやあしいそいでかへるのに、途中とちうはしわたつてきしちがつて、石垣いしがきつゞきの高塀たかべいについて、つかりさうにおほきくろもんた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
えますとも、乾溝からどぶ背後うしろがずらりと垣根かきねで、半分はんぶんれたまつおほき這出はひだしてます。そのまへに、つくねた黒土くろつちから蒸氣いきれつやうなかたちるんですよ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
があけたわ、かほあらつたわ、旅館りよくわん縁側えんがはから、築山つきやままつへたのがいくつもかすみなかいてる、おほきいけながめて、いゝなあとつたつて、それまでだ。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
同町内どうちやうない瀧君たきくんに、ひとたはらおくらうかな、……水上みなかみさんはおほきをして、二七にしち縁日えんにち金魚藻きんぎよもさがしてく。……
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
やぶのあるのはもとおほきいおやしき医者様いしやさまあとでな、此処等こゝいらはこれでも一ツのむらでがした、十三ねんぜん大水おほみづとき、から一めん野良のらになりましたよ、人死ひとじにもいけえこと。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、其處そこからひざんで、枕許まくらもとへふら/\と、りたんです。わきした兩方りやうはうを、背後うしろからなんですか、おほきくろふたて、ゑてつてたんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
母様おつかさん。だつて、おほきいんだもの、そして三角形さんかくなりかんむりました。さうだけれども、王様わうさまだけれども、あめるからねえ、びしよぬれになつて、可哀想かあいさうだつたよ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
はるかに歩行あるいてまたもんあり。畫棟彫梁ぐわとうてうりやうにじごとし。さてなかはひると、ひとツ。くもとびらつきひらく。室内しつないに、おほき釣鐘つりがねごと香爐かうろすわつて、かすみごとかういた。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)