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遠慮
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ゑんりよ
ふりがな文庫
“
遠慮
(
ゑんりよ
)” の例文
と
言
(
い
)
ふ、
牛切
(
ぎうき
)
りの
媽々
(
かゝあ
)
をたとへもあらうに、
毛嬙飛燕
(
まうしやうひえん
)
も
凄
(
すさま
)
じい、
僭上
(
せんじやう
)
の
到
(
いた
)
りであるが、
何
(
なに
)
も
別
(
べつ
)
に
美婦
(
びふ
)
を
讚
(
ほ
)
めるに
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
要
(
い
)
らぬ。
其處
(
そこ
)
で
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
園
(
その
)
さま
我
(
わ
)
れに
遠慮
(
ゑんりよ
)
は
入
(
い
)
らず、
嫌
(
い
)
やな
時
(
とき
)
は
嫌
(
い
)
やといふがよし、
我
(
わ
)
れを
他人
(
たにん
)
の
男
(
をとこ
)
と
思
(
おも
)
はず
母樣
(
はヽさま
)
同
(
どう
)
やう
甘
(
あま
)
へ
給
(
たま
)
へと
優
(
やさ
)
しく
慰
(
なぐ
)
さめて
日毎
(
ひごと
)
に
通
(
かよ
)
へば
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
然
(
しか
)
し
卯平
(
うへい
)
は
老衰
(
らうすゐ
)
の
身
(
み
)
を
漸
(
やうや
)
くのことで
投
(
な
)
げ
掛
(
か
)
けた
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
に
蟠
(
わだかま
)
つた
遠慮
(
ゑんりよ
)
と
性來
(
せいらい
)
の
寡言
(
むくち
)
とで、
自分
(
じぶん
)
から
要求
(
えうきう
)
することは
寸毫
(
すんがう
)
もなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
含
(
ふく
)
み何にも
無
(
ない
)
が一ツ飮ふと
戸棚
(
とだな
)
より取出す
世帶
(
せたい
)
の貧乏徳利
干上
(
ひあが
)
る財布のしま干物
獻
(
さし
)
つ
押
(
おさ
)
へつ三人が
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなしに
呑掛
(
のみかけ
)
たりお安は娘に逢度さを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何
(
なん
)
です、
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
然
(
さ
)
うお
云
(
い
)
ひなさい、
私
(
わつし
)
が買つて
来
(
き
)
て
上
(
あ
)
げませう、
何様
(
どん
)
な物が
喫
(
た
)
べたいんです、
何
(
ど
)
うも
何
(
なん
)
だツて
沢山
(
たんと
)
は
喫
(
た
)
べられやしますまい。
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
こんな
質問
(
しつもん
)
に
逢
(
あ
)
ふと、
小六
(
ころく
)
は
下宿
(
げしゆく
)
から
遊
(
あそ
)
びに
來
(
き
)
た
時分
(
じぶん
)
の
樣
(
やう
)
に、
淡泊
(
たんぱく
)
な
遠慮
(
ゑんりよ
)
のない
答
(
こたへ
)
をする
譯
(
わけ
)
に
行
(
ゆ
)
かなくなつた。
已
(
やむ
)
を
得
(
え
)
ず
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
斯樣
(
かやう
)
にして
自
(
みづか
)
ら
遠慮
(
ゑんりよ
)
をし、
又
(
また
)
自分
(
じぶん
)
から
抑制
(
よくせい
)
をして
共同生活
(
きやうどうせいくわつ
)
の
妨害
(
ばうがい
)
にならぬやうにと
注意
(
ちゆうい
)
をして
來
(
く
)
るのである。
即
(
すなは
)
ち
放任主義
(
はうにんしゆぎ
)
の
神髓
(
しんずゐ
)
とする
所
(
ところ
)
であります。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
寢息
(
ねいき
)
もやがて
夜着
(
よぎ
)
の
襟
(
えり
)
に
白
(
しろ
)
く
花咲
(
はなさ
)
くであらう、これが
草津
(
くさつ
)
の
常
(
つね
)
の
夜
(
よる
)
なのである。けれども
馴
(
な
)
れては
何物
(
なにもの
)
も
懷
(
なつか
)
しい、
吹雪
(
ふゞき
)
よ、
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
私
(
わたし
)
の
顏
(
かほ
)
を
撫
(
な
)
でゝゆけ!
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
A
待
(
ま
)
てよ。
此
(
こ
)
の
對話
(
たいわ
)
は『
中外
(
ちうぐわい
)
』に
載
(
の
)
せるんだから、そんな
話
(
はなし
)
は
少
(
すこ
)
し
遠慮
(
ゑんりよ
)
して
置
(
お
)
かうよ。それよりかモツト
葉書
(
はがき
)
に
關
(
くわん
)
する
無邪氣
(
むじやき
)
な
面白
(
おもしろ
)
い
話
(
はなし
)
でもないかい。
ハガキ運動
(旧字旧仮名)
/
堺利彦
(著)
モイセイカは
今日
(
けふ
)
は
院長
(
ゐんちやう
)
のゐる
爲
(
ため
)
に、ニキタが
遠慮
(
ゑんりよ
)
して
何
(
なに
)
も
取返
(
とりかへ
)
さぬので、
貰
(
もら
)
つて
來
(
き
)
た
雜物
(
ざふもつ
)
を、
自分
(
じぶん
)
の
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
洗
(
あら
)
ひ
浚
(
ざら
)
ひ
廣
(
ひろ
)
げて、一つ/\
並
(
なら
)
べ
初
(
はじ
)
める。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
時々は目をつぶつて
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
噯
(
おくび
)
をした
後
(
のち
)
、
身体
(
からだ
)
を軽く
左右
(
さいう
)
にゆすりながらお
豊
(
とよ
)
の顔をば
何
(
なん
)
の
気
(
き
)
もなく
眺
(
なが
)
めた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
の
口
(
くち
)
の
利
(
き
)
き
方
(
かた
)
は、
少
(
すこ
)
し
内気
(
うちき
)
すぎるほど
弱々
(
よわ/\
)
しかつた。そしてそれについて、
別
(
べつ
)
にはつきりした
返事
(
へんじ
)
を
与
(
あた
)
へなかつたが、わざと
遠慮
(
ゑんりよ
)
してゐるやうにも
見
(
み
)
えた。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
それから
二人
(
ふたり
)
種々
(
いろ/\
)
の
談話
(
はなし
)
をして
居
(
を
)
る
中
(
うち
)
に
懇意
(
こんい
)
になり、ボズさんが
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
言
(
い
)
ふ
處
(
ところ
)
によると
僕
(
ぼく
)
の
發見
(
みつけ
)
た
場所
(
ばしよ
)
はボズさんのあじろの
一
(
ひとつ
)
で、
足場
(
あしば
)
はボズさんが
作
(
つく
)
つた
事
(
こと
)
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
いや、誰も憎いとは
謂
(
い
)
はんよ。憎いんなら誰に
遠慮
(
ゑんりよ
)
も義理もあるもんか、とツくに
追
(
お
)
ン
出
(
だ
)
して
了
(
しま
)
ふさ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
即
(
すなは
)
ち
今時
(
こんじ
)
の
内職
(
ないしよく
)
の
目的
(
もくてき
)
は
粥
(
かゆ
)
に
非
(
あら
)
ず塩に
非
(
あら
)
ず
味噌
(
みそ
)
に
非
(
あら
)
ず安コートを
引被
(
ひつか
)
けんが
為
(
ため
)
に
候
(
そろ
)
安縮緬
(
やすちりめん
)
を
巻附
(
まきつ
)
けんが
為
(
ため
)
に
候
(
そろ
)
今一歩をすゝめて
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく言はしめたまへ
安俳優
(
やすはいいう
)
に贈り物をなさんが
為
(
た
)
めに
候
(
そろ
)
。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
何
(
なに
)
、
遠慮
(
ゑんりよ
)
をしねえで
浴
(
あ
)
びるほどやんなせえ、
生命
(
いのち
)
が
危
(
あやふ
)
くなりや、
薬
(
くすり
)
を
遣
(
や
)
らあ、
其為
(
そのため
)
に
私
(
わし
)
がついてるんだぜ、
喃
(
なあ
)
姉
(
ねえ
)
さん。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
お
品
(
しな
)
は
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
く
)
ると
恁
(
か
)
ういふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
をしなければならぬので、
少
(
すこ
)
しは
遠
(
とほ
)
くても
風呂
(
ふろ
)
は
外
(
ほか
)
へ
貰
(
もら
)
ひに
行
(
ゆ
)
くのであつたが
其
(
その
)
晩
(
ばん
)
はどこにも
風呂
(
ふろ
)
が
立
(
た
)
たなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
相當
(
さうたう
)
に
資産
(
しさん
)
のある
東京
(
とうきやう
)
ものゝ
子弟
(
してい
)
として、
彼等
(
かれら
)
に
共通
(
きようつう
)
な
派出
(
はで
)
な
嗜好
(
しかう
)
を
學生
(
がくせい
)
時代
(
じだい
)
には
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
充
(
み
)
たした
男
(
をとこ
)
である。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
父
(
ちゝ
)
にまで
遠慮
(
ゑんりよ
)
がちなれば
自
(
おの
)
づから
詞
(
ことば
)
かずも
多
(
おほ
)
からず、一
目
(
め
)
に
見
(
み
)
わたした
處
(
ところ
)
では
柔和
(
おとな
)
しい
温順
(
すなほ
)
の
娘
(
むすめ
)
といふばかり、
格別
(
かくべつ
)
利發
(
りはつ
)
ともはげしいとも
人
(
ひと
)
は
思
(
おも
)
ふまじ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
はゝツ。
国王
(
こくわう
)
の作つた詩といふから、
結構
(
けつこう
)
な物だらうと
存
(
ぞん
)
じて、手に取り上げますると、王「どうぢやな、
自製
(
じせい
)
であるが、
巧
(
うま
)
いか
拙
(
まづ
)
いか、
遠慮
(
ゑんりよ
)
なしに
申
(
まう
)
せ。シ ...
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
喰
(
たべ
)
よ/\手前は一番利口者オヽ
賢
(
かしこ
)
い奴だサア
遠慮
(
ゑんりよ
)
せずに
喰
(
たべ
)
よ/\と申さるゝに
其處
(
そこ
)
は子供ゆゑ
菓子
(
くわし
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
上
(
うへ
)
からなぞは、と
思
(
おも
)
ひながら、
止
(
よ
)
せばいゝのに、——それでも
草履
(
ざうり
)
は
遠慮
(
ゑんりよ
)
したが、
雪靴
(
ゆきぐつ
)
を
穿
(
は
)
いた
奥山家
(
おくやまが
)
の
旅人
(
たびびと
)
の
気
(
き
)
で、ぐい、と
踏込
(
ふみこ
)
むと、おゝ
冷
(
つめた
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
懇意
(
こんい
)
な
若
(
わか
)
い
青年
(
せいねん
)
が
心易立
(
こゝろやすだて
)
に
話
(
はな
)
し
合
(
あ
)
ふ
遠慮
(
ゑんりよ
)
のない
題目
(
だいもく
)
は、
是迄
(
これまで
)
二人
(
ふたり
)
の
間
(
あひだ
)
に
何度
(
なんど
)
となく
交換
(
かうくわん
)
されたにも
拘
(
かゝ
)
はらず、
安井
(
やすゐ
)
はこゝへ
來
(
き
)
て、
息詰
(
いきづま
)
つた
如
(
ごと
)
くに
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
俺
(
お
)
ら、はあ
要
(
え
)
らねえともね」おつたは
蕎麥
(
そば
)
の
種子
(
み
)
の一
杯
(
ぱい
)
に
散
(
ち
)
らけた
庭
(
には
)
を
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく一
直線
(
ちよくせん
)
に
不駄
(
げた
)
の
跡
(
あと
)
をつけた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
お
禮
(
れい
)
を
申
(
まをし
)
て
頂
(
いたゞ
)
いてお
出
(
い
)
でと
蒔散
(
まきち
)
らせば、これを
此娘
(
このこ
)
の十八
番
(
ばん
)
に
馴
(
な
)
れたる
事
(
こと
)
とて
左
(
さ
)
のみは
遠慮
(
ゑんりよ
)
もいふては
居
(
ゐ
)
ず、
旦那
(
だんな
)
よろしいのでございますかと
駄目
(
だめ
)
を
押
(
お
)
して
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
アヽ
左様
(
さやう
)
かい、
汁粉
(
しるこ
)
を
喰
(
くひ
)
に
来
(
き
)
たのか、
夫
(
それ
)
は
何
(
ど
)
うも
千萬
(
せんばん
)
辱
(
かたじけ
)
ない
事
(
こと
)
だ、サ
遠慮
(
ゑんりよ
)
せずに
是
(
これ
)
から
上
(
あが
)
れ、
履物
(
はきもの
)
は
傍
(
わき
)
の
方
(
はう
)
へ
片附
(
かたづけ
)
て置け。「へい。「サ
此方
(
こつち
)
へ
上
(
あが
)
れ。「
御免下
(
ごめんくだ
)
さいまして。 ...
士族の商法
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
其方儀
吟味
(
ぎんみ
)
致し候處
別段
(
べつだん
)
の
惡事
(
あくじ
)
無之とは申ながら不行屆の儀も有之候故主人方にて
遠慮
(
ゑんりよ
)
申付る
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
が、いづれ
魔
(
ま
)
ものに
近
(
ちか
)
いのであるから、
又
(
また
)
ばける、といはれるのを
慮
(
おもんぱか
)
つて、
内々
(
ない/\
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
がちに
話
(
はな
)
したけれども、
實
(
じつ
)
は、みゝづくは
好
(
す
)
きである。
第一
(
だいいち
)
形
(
かたち
)
が
意氣
(
いき
)
だ。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
此方
(
こちら
)
から
強請
(
ねだつ
)
た
譯
(
わけ
)
ではなけれど
支度
(
したく
)
まで
先方
(
さき
)
で
調
(
とゝの
)
へて
謂
(
い
)
はゞ
御前
(
おまへ
)
は
戀女房
(
こひによぼう
)
、
私
(
わたし
)
や
父樣
(
とゝさん
)
が
遠慮
(
ゑんりよ
)
して
左
(
さ
)
のみは
出入
(
でい
)
りをせぬといふも
勇
(
いさむ
)
さんの
身分
(
みぶん
)
を
恐
(
おそ
)
れてゞは
無
(
な
)
い
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
生死
(
しようし
)
の
分目
(
わけめ
)
といふ
初産
(
ういざん
)
に、
西應寺
(
さいおうじ
)
の
娘
(
むすめ
)
がもとより
迎
(
むか
)
ひの
車
(
くるま
)
、これは
大晦日
(
おほみそか
)
とて
遠慮
(
ゑんりよ
)
のならぬ
物
(
もの
)
なり、
家
(
いへ
)
のうちには
金
(
かね
)
もあり、
放蕩
(
のら
)
どのが
寐
(
ね
)
ては
居
(
い
)
る、
心
(
こゝろ
)
は二つ
大つごもり
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
出
(
だ
)
さうとした
信玄袋
(
しんげんぶくろ
)
は、
顧
(
かへり
)
みるに
餘
(
あま
)
りに
輕
(
かる
)
い。
函
(
はこ
)
に
載
(
の
)
せると、ポンと
飛出
(
とびだ
)
しさうであるから
遠慮
(
ゑんりよ
)
した。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
換
(
か
)
へて
誰
(
た
)
れと
知
(
し
)
らさぬ
用心
(
ようじん
)
は
昔
(
むかし
)
氣質
(
かたぎ
)
の
一
(
いつ
)
こくを
立通
(
たてとほ
)
さする
遠慮
(
ゑんりよ
)
心痛
(
しんつう
)
おいたはしや
右
(
みぎ
)
に
左
(
ひだり
)
に
御苦勞
(
ごくらう
)
ばかり
世
(
よ
)
が
世
(
よ
)
ならばお
嫁
(
よめ
)
さまなり
舅御
(
しうとご
)
なり
御孝行
(
ごかうかう
)
に
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
は
入
(
い
)
らぬ
筈
(
はず
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
せめては
四邊
(
あたり
)
に
心
(
こゝろ
)
を
置
(
お
)
きて、
肩身
(
かたみ
)
を
狹
(
せま
)
くすくみ
居
(
ゐ
)
たらば、
聊
(
いさゝ
)
か
恕
(
じよ
)
する
方
(
はう
)
もあらむ、
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく
席
(
せき
)
を
占
(
し
)
めて、
落着
(
おちつ
)
き
澄
(
すま
)
したるが
憎
(
にく
)
しとて、
乘客
(
じようかく
)
の一
人
(
にん
)
は
衝
(
つ
)
と
其
(
そ
)
の
前
(
まへ
)
に
進
(
すゝ
)
みて
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
寮
(
りよう
)
の
門
(
もん
)
をばくゞり
入
(
い
)
るに
正太
(
しようた
)
かねても
遊
(
あそ
)
びに
來馴
(
きな
)
れて
左
(
さ
)
のみ
遠慮
(
ゑんりよ
)
の
家
(
いへ
)
にもあらねば、
跡
(
あと
)
より
續
(
つづ
)
いて
縁先
(
ゑんさき
)
からそつと
上
(
あが
)
るを、
母親
(
はゝおや
)
見
(
み
)
るより、おゝ
正太
(
しようた
)
さん
宜
(
よ
)
く
來
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さつた
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
園
(
その
)
は、もの
狂
(
ぐる
)
はしく、
面影
(
おもかげ
)
の
白
(
しろ
)
い、
髪
(
かみ
)
の
黒
(
くろ
)
い、
裳
(
もすそ
)
の、
胸
(
むね
)
の、
乳
(
ちゝ
)
のふくらみのある
友染
(
いうぜん
)
を、
端坐
(
たんざ
)
した
膝
(
ひざ
)
に
寝
(
ね
)
かして、うちつけに、
明白
(
めいはく
)
に、
且
(
か
)
つ
夢
(
ゆめ
)
に
遠慮
(
ゑんりよ
)
のないやうに
恋
(
こひ
)
を
語
(
かた
)
つた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
冬
(
ふゆ
)
の
雪
(
ゆき
)
おろしは
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
身
(
み
)
をきる
寒
(
さむ
)
さ、
魚
(
うを
)
といひては
甲府
(
かうふ
)
まで五
里
(
り
)
の
道
(
みち
)
を
取
(
と
)
りにやりて、やう/\
𩻩
(
まぐろ
)
の
刺身
(
さしみ
)
が
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
る
位
(
くらゐ
)
、あなたは
御存
(
ごぞん
)
じなけれどお
親父
(
とつ
)
さんに
聞
(
きい
)
て
見給
(
みたま
)
へ
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
片手
(
かたて
)
づまみの
大皿
(
おほざら
)
の
鮨
(
すし
)
は、
鐵砲
(
てつぱう
)
が
銃口
(
すぐち
)
を
揃
(
そろ
)
へ、めざす
敵
(
てき
)
の、
山葵
(
わさび
)
のきいた
鮪
(
あか
)
いのはとくの
昔
(
むかし
)
討取
(
うちと
)
られて、
遠慮
(
ゑんりよ
)
をした
海鰻
(
あなご
)
の
甘
(
あま
)
いのが
飴
(
あめ
)
のやうに
少々
(
せう/\
)
とろけて、
蛤
(
はまぐり
)
がはがれて
居
(
ゐ
)
る。
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
古風
(
こふう
)
に
出
(
で
)
るが
袖
(
そで
)
ふり
合
(
あ
)
ふもさ、こんな
商賣
(
しやうばい
)
を
嫌
(
いや
)
だと
思
(
おも
)
ふなら
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
打明
(
うちあ
)
けばなしを
爲
(
す
)
るが
宜
(
い
)
い、
僕
(
ぼく
)
は
又
(
また
)
お
前
(
まへ
)
のやうな
氣
(
き
)
では
寧
(
いつそ
)
氣樂
(
きらく
)
だとかいふ
考
(
かんが
)
へで
浮
(
う
)
いて
渡
(
わた
)
る
事
(
こと
)
かと
思
(
おも
)
つたに
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
楚々
(
そゝ
)
として
且
(
か
)
つもの
思
(
おも
)
はしげに、
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
渚
(
なぎさ
)
を
辿
(
たど
)
り
來
(
き
)
た
此
(
こ
)
の
美女
(
びぢよ
)
に
逢
(
あ
)
つて、
遠慮
(
ゑんりよ
)
なく
色目
(
いろめ
)
づかひをして、
目迎
(
めむか
)
へ
且
(
か
)
つ
見送
(
みおく
)
つて、
何
(
ど
)
うだと
云
(
い
)
ふ
例
(
れい
)
の
本領
(
ほんりやう
)
を
發揮
(
はつき
)
したのがはじまりである。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
僕
(
ぼく
)
は
夫
(
そ
)
れか
憎
(
に
)
くらしければと、
思
(
おも
)
ふまヽを
遠慮
(
ゑんりよ
)
もなく
言
(
い
)
ふ
可愛
(
かあい
)
さ、
左樣
(
さう
)
おもふて
下
(
くだ
)
さるは
嬉
(
うれ
)
しけれど、
其樣
(
そのやう
)
のこと
他人
(
ひと
)
に
言
(
い
)
ふて
給
(
たま
)
はるなよ、
芝居
(
しばゐ
)
も
花見
(
はなみ
)
も
行
(
ゆ
)
かぬのは
私
(
わた
)
しの
好
(
す
)
きにて
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
……「
惚
(
ほ
)
れたに
遠慮
(
ゑんりよ
)
があるものかツてねえ、……てね、……ねえ。」と
甘
(
あま
)
つたれる。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
待
(
ま
)
たせて
置
(
お
)
きても
宜
(
よ
)
かりしを
供待
(
ともまち
)
ちの
雜沓
(
ざつたふ
)
遠慮
(
ゑんりよ
)
して
時間
(
じかん
)
早
(
はや
)
めに
吩咐
(
いひつけ
)
て
還
(
かへ
)
せしもの
何
(
なん
)
としての
相違
(
さうゐ
)
ぞやよもや
忘
(
わす
)
れて
來
(
こ
)
ぬにはあらじ
家
(
うち
)
にても
其通
(
そのとほ
)
り
何時
(
いつ
)
まで
迎
(
むか
)
ひ
出
(
だ
)
さずには
置
(
お
)
かれまじ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
簑
(
みの
)
を
鳴
(
な
)
らしたのではない。
案山子
(
かゝし
)
の
一
(
ひと
)
つが、
最
(
も
)
う
耳
(
みゝ
)
に
馴
(
な
)
れて
遠慮
(
ゑんりよ
)
のない
口
(
くち
)
を
開
(
あ
)
けた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
坊主
(
ばうず
)
は
居
(
ゐ
)
ねえか、
無住
(
むぢう
)
だな。
甚
(
ひど
)
く
荒果
(
あれは
)
てたもんぢやねえか。
蜘蛛
(
くも
)
の
奴
(
やつ
)
めも、
殿樣
(
とのさま
)
の
方
(
はう
)
には
遠慮
(
ゑんりよ
)
したと
見
(
み
)
えて、
御家來
(
ごけらい
)
の
顏
(
かほ
)
へ
辵
(
しんにふ
)
を
掛
(
か
)
けやがつた。なあ、これ、
御家來
(
ごけらい
)
と
云
(
い
)
へば
此方人等
(
こちとら
)
だ。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
組
(
く
)
む
腕
(
うで
)
の
思案
(
しあん
)
にも
能
(
あた
)
はず、
凋
(
しほ
)
れかへる
甚之助
(
じんのすけ
)
が
人目
(
ひとめ
)
に
遠慮
(
ゑんりよ
)
なきを
浦
(
うら
)
やみて、
心
(
こヽろ
)
空
(
そら
)
になれど
土
(
つち
)
を
掃
(
は
)
く
身
(
み
)
に
箒木
(
はヽき
)
の
面倒
(
めんだう
)
さ、
此身
(
このみ
)
に
成
(
な
)
りしも
誰
(
た
)
れ
故
(
ゆゑ
)
かは、つれなき
令孃
(
ひめ
)
が
振舞
(
ふるまひ
)
其理由
(
そのわけ
)
も
探
(
さ
)
ぐれず
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
聞人
(
きくひと
)
なげに
遠慮
(
ゑんりよ
)
なき
高聲
(
たかごゑ
)
、
福
(
ふく
)
も
相槌
(
あひづち
)
例
(
れい
)
の
調子
(
てうし
)
に、もう一ト
働
(
はたら
)
きやつて
除
(
の
)
けよう、
安
(
やす
)
さんは
下廻
(
したまは
)
りを
頼
(
たの
)
みます、
私
(
わたし
)
はも一
度
(
ど
)
此處
(
こゝ
)
を
拭
(
ふ
)
いて、
今度
(
こんど
)
はお
藏
(
くら
)
だとて、
雜巾
(
ぞうきん
)
がけしつ/\と
始
(
はじ
)
めれば
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
お
前
(
まへ
)
さんは
稼人
(
かせぎにん
)
だ、
忙
(
いそが
)
しからう、
此處
(
こゝ
)
は
最
(
も
)
う
可
(
い
)
いよ。
否
(
いゝえ
)
、
遠慮
(
ゑんりよ
)
をするんぢやない。はじめから
最
(
も
)
う
此
(
こ
)
の
坂
(
さか
)
で
車
(
くるま
)
から
下
(
お
)
りるつもりで
入
(
はひ
)
つたんだ。
友
(
とも
)
さんと
知
(
し
)
れて、
其
(
そ
)
れで
乘
(
の
)
るのを
止
(
よ
)
すんぢやないから。
月夜車
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ずつとお
月樣
(
つきさま
)
のさす
方
(
はう
)
へ、さ、
蒲團
(
ふとん
)
へ
乘
(
の
)
れ、
蒲團
(
ふとん
)
へ、
何
(
ど
)
うも
疊
(
たゝみ
)
が
汚
(
きた
)
ないので
大屋
(
おほや
)
に
言
(
い
)
つては
置
(
お
)
いたが
職人
(
しよくにん
)
の
都合
(
つがふ
)
があると
言
(
い
)
ふてな、
遠慮
(
ゑんりよ
)
も
何
(
なに
)
も
入
(
い
)
らない
着物
(
きもの
)
がたまらぬから
夫
(
そ
)
れを
敷
(
し
)
ひて
呉
(
く
)
れ
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それもたゞ
五六人
(
ごろくにん
)
。
病人
(
びやうにん
)
が
起
(
た
)
つた。あとへ
紫
(
むらさき
)
がついて
下
(
お
)
りたのである。……
鰌
(
どぢやう
)
の
沼津
(
ぬまづ
)
と
言
(
い
)
つた。
雨
(
あめ
)
ふりだし、まだ
眞暗
(
まつくら
)
だから
遠慮
(
ゑんりよ
)
をしたが、こゝで
紫
(
むらさき
)
の
富士驛
(
ふじえき
)
と
言
(
い
)
ひたい、——その
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
が
下
(
お
)
りた。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遠慮
(
ゑんりよ
)
をされると
憎
(
に
)
くゝ
成
(
な
)
るほどに
何事
(
なにごと
)
も
默
(
だま
)
つて
年上
(
としうへ
)
の
言
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
は
聞
(
き
)
く
物
(
もの
)
と
奧樣
(
おくさま
)
すつとお
羽織
(
はをり
)
をぬぎて、
千葉
(
ちば
)
の
背後
(
うしろ
)
より
打着
(
うちき
)
せ
給
(
たま
)
ふに、
人肌
(
ひとはだ
)
のぬくみ
背
(
せ
)
に
氣味
(
きみ
)
わるく、
麝香
(
じやこう
)
のかをり
滿身
(
まんしん
)
を
襲
(
おそ
)
ひて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“遠慮”の解説
遠慮(えんりょ)は、江戸時代の刑罰の一つで、武士・僧侶などに科せられたKotobank。基本的に、籠居(ろうきょ)を命じたものKotobank。夜間のひそかな外出は黙認されたKotobank。他者の出入りを制限しない点で、逼塞などと異なる。自主的に行う意味合いが強く、公に申し付けられる場合は「慎み」となる。
(出典:Wikipedia)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
慮
常用漢字
中学
部首:⼼
15画
“遠慮”で始まる語句
遠慮勝
遠慮会釈
遠慮深
遠慮気
遠慮氣
遠慮會釋