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月樣
渠等米錢を
惠まるゝ
時は、「お
月樣幾つ」と
一齊に
叫び
連れ、
後をも
見ずして
走り
去るなり。ただ
貧家を
訪ふことなし。
今宵は
舊暦の十三
夜、
舊弊なれどお
月見の
眞似事に
團子をこしらへてお
月樣にお
備へ
申せし、これはお
前も
好物なれば
少々なりとも
亥之助に
持たせて
上やうと
思ふたれど
あぢさゐの花もともの
字を
使つてゐるのは、
空のお
月樣がちょうどまんまるになつてゐる
頃、あぢさゐもまんまるになつた。かういふことを
感じさせようとしてゐるのです。