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ゑんりよ
含み何にも
無が一ツ飮ふと
戸棚より取出す
世帶の貧乏徳利
干上る財布のしま干物
獻つ
押へつ三人が
遠慮もなしに
呑掛たりお安は娘に逢度さを
何です、
遠慮なく
然うお
云ひなさい、
私が買つて
来て
上げませう、
何様な物が
喫べたいんです、
何うも
何だツて
沢山は
喫べられやしますまい。
こんな
質問に
逢ふと、
小六は
下宿から
遊びに
來た
時分の
樣に、
淡泊な
遠慮のない
答をする
譯に
行かなくなつた。
已を
得ず