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天地
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てんち
ふりがな文庫
“
天地
(
てんち
)” の例文
すべて本来の持ち味をこわさないことが料理の
要訣
(
ようけつ
)
である。これができれば
俯仰
(
ふぎょう
)
天地
(
てんち
)
に
愧
(
は
)
ずるなき料理人であり、これ以上はないともいえる。
味覚馬鹿
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
が、
何
(
なん
)
となく、
人
(
ひと
)
よりも、
空
(
そら
)
を
行
(
ゆ
)
く
雲
(
くも
)
が、いろ/\の
影
(
かげ
)
に
成
(
な
)
つて、
其
(
そ
)
の
花
(
はな
)
を
覗
(
なが
)
めさうな、
沈
(
しづ
)
んだ
寂
(
さび
)
しい
趣
(
おもむき
)
の
添
(
そ
)
つたのは、
奧州
(
あうしう
)
の
天地
(
てんち
)
であらう。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
沖
(
おき
)
なる
島山
(
しまやま
)
の
頂
(
いたゞき
)
は
紫嵐
(
しらん
)
に
包
(
つゝ
)
まれ、
天地
(
てんち
)
見
(
み
)
るとして
清新
(
せいしん
)
の
氣
(
き
)
に
充
(
み
)
たされて
居
(
ゐ
)
る
時
(
とき
)
、
濱
(
はま
)
は
寂寞
(
じやくばく
)
として
一
(
いつ
)
の
人影
(
じんえい
)
なく、
穩
(
おだや
)
かに
寄
(
よ
)
せては
返
(
か
)
へす
浪
(
なみ
)
を
弄
(
ろう
)
し
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
さうして
自分
(
じぶん
)
の
天地
(
てんち
)
に
其
(
その
)
羽
(
はね
)
を一
杯
(
ぱい
)
に
擴
(
ひろ
)
げる。
何處
(
どこ
)
を
見
(
み
)
ても
只
(
たゞ
)
深
(
ふか
)
い
緑
(
みどり
)
に
鎖
(
とざ
)
された
林
(
はやし
)
の
中
(
なか
)
に
彼等
(
かれら
)
は
唄
(
うた
)
ふ
聲
(
こゑ
)
に
依
(
よ
)
つて
互
(
たがひ
)
の
所在
(
ありか
)
を
知
(
し
)
つたり
知
(
し
)
らせたりする。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
おどろいたのは
御亭主
(
ごていしゆ
)
でした。
大變
(
たいへん
)
なことになつたものです。
天地
(
てんち
)
が、ひつくりかえつたやうです。そんな
日
(
ひ
)
がそれ
以來
(
いらい
)
、
幾日
(
いくにち
)
も
幾日
(
いくにち
)
も
續
(
つゞ
)
きました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
天地
(
てんち
)
の
間
(
あいだ
)
にはそこに
動
(
うご
)
かすことのできぬ
自然
(
しぜん
)
の
法則
(
さだめ
)
があり、
竜神
(
りゅうじん
)
でも、
人間
(
にんげん
)
でも、その
法則
(
さだめ
)
に
背
(
そむ
)
いては
何事
(
なにごと
)
もできぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
この
箱
(
はこ
)
の中に
入
(
はい
)
っているのは、
竜宮
(
りゅうぐう
)
のふしぎな
護符
(
ごふ
)
です。これを
持
(
も
)
っていれば、
天地
(
てんち
)
のことも
人間界
(
にんげんかい
)
のことも
残
(
のこ
)
らず目に
見
(
み
)
るように
知
(
し
)
ることができます。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
卑賤
(
ひせん
)
にそだちたる
我身
(
わがみ
)
なれば
初
(
はじ
)
めより
此上
(
このうへ
)
を
見
(
み
)
も
知
(
し
)
らで、
世間
(
せけん
)
は
裏屋
(
うらや
)
に
限
(
かぎ
)
れるものと
定
(
さだ
)
め、
我家
(
わがや
)
のほかに
天地
(
てんち
)
のなしと
思
(
おも
)
はゞ、はかなき
思
(
おも
)
ひに
胸
(
むね
)
も
燃
(
も
)
えじを
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
殊
(
こと
)
に、この
知
(
し
)
らせを
受
(
う
)
けて、
天地
(
てんち
)
が
覆
(
くつが
)
えった
程
(
ほど
)
の
驚愕
(
きょうがく
)
を
覚
(
おぼ
)
えたのは、
南町奉行
(
みなみまちぶぎょう
)
本多信濃守
(
ほんだしなののかみ
)
の
妹
(
いもうと
)
お
蓮
(
れん
)
であろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
見
(
み
)
よ、
東海
(
とうかい
)
の
空
(
そら
)
あけて、きょく
日
(
じつ
)
高
(
たか
)
くかがやけば、
天地
(
てんち
)
の
正気
(
せいき
)
はつらつと、
希望
(
きぼう
)
はおどる
大八島
(
おおやしま
)
……。」
日の当たる門
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今
(
いま
)
や
世界
(
せかい
)
の
各國
(
かくこく
)
は
互
(
たがひ
)
に
兵
(
へい
)
を
練
(
ね
)
り
武
(
ぶ
)
を
磨
(
みが
)
き、
特
(
こと
)
に
海軍力
(
かいぐんりよく
)
には
全力
(
ぜんりよく
)
を
盡
(
つく
)
して
英佛露獨
(
エイフツロドク
)
、
我
(
われ
)
劣
(
をと
)
らじと
權勢
(
けんせい
)
を
爭
(
あらそ
)
つて
居
(
を
)
る、
而
(
しか
)
して
目今
(
もくこん
)
其
(
その
)
權力
(
けんりよく
)
爭議
(
さふぎ
)
の
中心點
(
ちゆうしんてん
)
は
多
(
おほ
)
く
東洋
(
とうやう
)
の
天地
(
てんち
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
比日
(
このころ
)
天地
(
てんち
)
の
灾
(
わざわひ
)
、常に異なる事有り。思ふに朕が
撫育
(
むいく
)
の
化
(
け
)
、
汝
(
なんぢ
)
百姓に於きて
闕失
(
けつしつ
)
せる所有らむか。今
故
(
ことさら
)
に使者を
発遣
(
ほつけん
)
して
其
(
そ
)
の疾苦を問はしむ。宜しく朕が
意
(
こころ
)
を知るべし。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
贔屓
(
ひいき
)
成
(
なさ
)
るゝかと言しかば越前守殿大いに
怒
(
いか
)
られナニ
婦人
(
ふじん
)
を贔屓するとは不屆の一言
天地
(
てんち
)
自然
(
しぜん
)
の
淨玻璃
(
じやうはり
)
の
鏡
(
かゞみ
)
を
立
(
たて
)
邪正
(
じやしやう
)
を
糺
(
たゞ
)
し
業
(
ごふ
)
の
秤
(
はかり
)
を以て
分厘
(
ふんりん
)
も
違
(
たがは
)
ず善惡を裁斷する天下の役人を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
空氣が
濁
(
にご
)
ツてゐるばかりなら
可
(
い
)
いが、其の空氣を吸ツて
活
(
い
)
きてゐる人間は
皆
(
みな
)
濁
(
にご
)
ツてゐる………何しろ二百
萬
(
まん
)
からの人間が、
狭
(
せま
)
い
天地
(
てんち
)
に、パンに
有付
(
ありつ
)
かうと思ツて
盰々
(
きよと/\
)
してゐるんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
随分
(
ずゐぶん
)
茶
(
ちや
)
の
有
(
あ
)
る
男
(
をとこ
)
だな……
草履下駄
(
ざうりげた
)
を
片
(
かた
)
ちんばに
履
(
は
)
いて
往
(
ゆ
)
く
奴
(
やつ
)
があるか、
狗
(
いぬ
)
がくはへて
往
(
い
)
つた、
外
(
ほか
)
に無いか、それではそれで
往
(
い
)
け、
醋吸
(
すすひ
)
の三
聖
(
せい
)
、
孔子
(
こうし
)
に
老子
(
らうし
)
に
釈迦
(
しやか
)
だよ、
天地
(
てんち
)
が
唐物緞子
(
からものどんす
)
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
鶴見が
壺中
(
こちゅう
)
の
天地
(
てんち
)
なぞというのはこんなものかと思っているうちに、夢が青い空気のなかから
搾
(
しぼ
)
りだされる。虚無の油である。それがまた
蟄伏
(
ちっぷく
)
していたくちなわのうごめきを思わせる。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
しかし自から不幸の輪廓を
描
(
えが
)
いて
好
(
この
)
んでその
中
(
うち
)
に
起臥
(
きが
)
するのは、自から
烏有
(
うゆう
)
の山水を
刻画
(
こくが
)
して
壺中
(
こちゅう
)
の
天地
(
てんち
)
に歓喜すると、その芸術的の
立脚地
(
りっきゃくち
)
を得たる点において全く等しいと云わねばならぬ。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
けれども
私
(
わたし
)
の
待
(
ま
)
つてゐる
仲間
(
なかま
)
は、
今晩
(
こんばん
)
はやつて
來
(
こ
)
ないでゐるのに、さうして
私
(
わたし
)
一人
(
ひとり
)
で
明
(
あか
)
るくほがらかな
天地
(
てんち
)
に
照
(
て
)
る
月
(
つき
)
に
對
(
たい
)
してゐるのに、その
上
(
うへ
)
を
雁
(
かり
)
が
鳴
(
な
)
き
連
(
つ
)
れてとほる、といつた
滿足
(
まんぞく
)
はしてゐながら
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
突進し、
震蕩
(
しんたう
)
し、顛覆する
天地
(
てんち
)
の苦鬪
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
み、
瀑
(
たき
)
のごとくに
暴雨
(
ばうう
)
沃
(
そ〻
)
ぎて
天地
(
てんち
)
鳴
(
めい
)
鬼桃太郎
(旧字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
天地
(
てんち
)
のかぎりにひろごりぬる。
わなゝき
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
天地
(
てんち
)
初生
(
しよせい
)
の元気を復活し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
くしき
天地
(
てんち
)
の靈となり
天地有情
(旧字旧仮名)
/
土井晩翠
(著)
これよりして、
子
(
ね
)
の
口
(
くち
)
までの三
里余
(
りよ
)
は、たゞ
天地
(
てんち
)
を
綾
(
あや
)
に
貫
(
つらぬ
)
いた、
樹
(
き
)
と
巌
(
いは
)
と
石
(
いし
)
と
流
(
ながれ
)
の
洞窟
(
どうくつ
)
と
言
(
い
)
つて
可
(
よ
)
い。
雲
(
くも
)
晴
(
は
)
れても、
雨
(
あめ
)
は
不断
(
ふだん
)
に
降
(
ふ
)
るであらう。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
林
(
はやし
)
は
彼等
(
かれら
)
の
天地
(
てんち
)
である。
落葉
(
おちば
)
を
掻
(
か
)
くとて
熊手
(
くまで
)
を
入
(
い
)
れる
時
(
とき
)
彼等
(
かれら
)
は
相
(
あひ
)
伴
(
ともな
)
うて
自在
(
じざい
)
に
徜徉
(
さまよ
)
ふことが
默託
(
もくきよ
)
されてある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
天地
(
てんち
)
の二
神
(
しん
)
誓約
(
うけい
)
の
段
(
くだり
)
に
示
(
しめ
)
された、
古典
(
こてん
)
の
記録
(
きろく
)
を
御覧
(
ごらん
)
になれば
大体
(
だいたい
)
の
要領
(
ようりょう
)
はつかめるとのことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
海
(
うみ
)
や
砂山
(
すなやま
)
や、
空
(
そら
)
にかがやいている
日
(
ひ
)
の
光
(
ひかり
)
には、すこしの
変
(
か
)
わりがなかったけれど、
天地
(
てんち
)
は
急
(
きゅう
)
におし
黙
(
だま
)
ってしまって、なにもかも、おしのごとくに
見
(
み
)
られたのです。
赤い船のお客
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
假初
(
かりそめ
)
の
愚痴
(
ぐち
)
に
新年着
(
はるぎ
)
の
御座
(
ござ
)
りませぬよし
大方
(
おほかた
)
に
申
(
まを
)
せしを、
頓
(
やが
)
て
憐
(
あわれ
)
みての
賜
(
たまは
)
り
物
(
もの
)
、
茂助
(
もすけ
)
は
天地
(
てんち
)
に
拜
(
はい
)
して、
人
(
ひと
)
は
鷹
(
たか
)
の
羽
(
は
)
の
定紋
(
でうもん
)
いたづらに
目
(
め
)
をつけぬ、
何事
(
なにごと
)
も
無
(
な
)
くて
奧樣
(
おくさま
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
も見ずして
迯行
(
にげゆき
)
けり然ば
松葉屋
(
まつばや
)
の二
階
(
かい
)
は
天地
(
てんち
)
も
覆
(
くつが
)
へるばかりの
騷
(
さわ
)
ぎになり
主
(
あるじ
)
半左衞門
(
はんざゑもん
)
を始として
皆々
(
みな/\
)
二
階
(
かい
)
へ
駈
(
かけ
)
來り見るに
平
(
へい
)
四郎は
朱
(
あけ
)
に
染
(
そみ
)
苦痛
(
くつう
)
の
有樣
(
ありさま
)
にのた
打廻
(
うちまは
)
り
居
(
ゐ
)
る
傍
(
かたは
)
らに
瀬川
(
せがは
)
は
懷劔
(
くわいけん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
私
(
わたくし
)
は
急
(
いそ
)
ぎ
取上
(
とりあ
)
げた。
素早
(
すばや
)
く
一個
(
いつこ
)
を
夫人
(
ふじん
)
に
渡
(
わた
)
し、
今一個
(
いまいつこ
)
を
右手
(
めて
)
に
捕
(
とら
)
へて『
日出雄
(
ひでを
)
さん。』とばかり
左手
(
ひだり
)
に
少年
(
せうねん
)
の
首筋
(
くびすぢ
)
を
抱
(
かゝ
)
へた
時
(
とき
)
、
船
(
ふね
)
は
忽
(
たちま
)
ち、
天地
(
てんち
)
の
碎
(
くだ
)
くるが
如
(
ごと
)
き
響
(
ひゞき
)
と
共
(
とも
)
に
海底
(
かいてい
)
に
沒
(
ぼつ
)
し
去
(
さ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
先
(
まづ
)
此方
(
こちら
)
へと、
鑑定
(
めきゝ
)
をして
貰
(
もら
)
ふ
積
(
つも
)
りで、
自慢
(
じまん
)
の
掛物
(
かけもの
)
は
松花堂
(
しやうくわだう
)
の
醋吸
(
すすひ
)
三
聖
(
せい
)
を見せるだらう、
宜
(
よ
)
い
掛物
(
かけもの
)
だ、
箱書
(
はこがき
)
は
小堀
(
こぼり
)
権
(
ごん
)
十
郎
(
らう
)
で、
仕立
(
したて
)
が
慥
(
たし
)
か
宜
(
よ
)
かつたよ、
天地
(
てんち
)
が
唐物緞子
(
からものどんす
)
、
中
(
なか
)
が
白茶地
(
しらちやぢ
)
の
古金襴
(
こきんらん
)
で。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕
(
ぼく
)
は
諸君
(
しよくん
)
が
此
(
この
)
不可思議
(
ふかしぎ
)
なる
大宇宙
(
だいうちう
)
をも
統御
(
とうぎよ
)
して
居
(
ゐ
)
るやうな
顏構
(
かほつき
)
をして
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
ると
冷笑
(
れいせう
)
したくなる
僕
(
ぼく
)
は
諸君
(
しよくん
)
が
今
(
いま
)
少
(
すこ
)
しく
眞面目
(
まじめ
)
に、
謙遜
(
けんそん
)
に、
嚴肅
(
げんしゆく
)
に、
此
(
この
)
人生
(
じんせい
)
と
此
(
この
)
天地
(
てんち
)
の
問題
(
もんだい
)
を
見
(
み
)
て
貰
(
もら
)
ひたいのである。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
一議
(
いちぎ
)
に及ばず、
草鞋
(
わらじ
)
を上げて、道を左へ
片避
(
かたよ
)
けた、足の底へ、草の根が
柔
(
やわらか
)
に、
葉末
(
はずえ
)
は
脛
(
はぎ
)
を隠したが、
裾
(
すそ
)
を引く
荊
(
いばら
)
もなく、
天地
(
てんち
)
閑
(
かん
)
に、虫の
羽音
(
はおと
)
も聞えぬ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高
(
たか
)
い
木
(
き
)
は
折
(
お
)
れ、
家
(
いえ
)
は
倒
(
たお
)
れ、
橋
(
はし
)
は
流
(
なが
)
れてしまったので、じつに、
天地
(
てんち
)
は
真
(
ま
)
っ
暗
(
くら
)
になったのであります。
人々
(
ひとびと
)
は、そのときの
恐
(
おそ
)
ろしかったことをいまでも
記憶
(
きおく
)
しています。
白い影
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
玉
(
たま
)
の
姫樣
(
ひめさま
)
御出生
(
ごしつしやう
)
と
聞
(
き
)
きも
敢
(
あ
)
へず、
散
(
ち
)
るや
櫻
(
さくら
)
の
我
(
わ
)
が
名
(
な
)
空
(
むな
)
しく
成
(
なり
)
ぬるを、
何處
(
いづく
)
に
知
(
し
)
りてか
六三
(
ろくさ
)
天地
(
てんち
)
に
哭
(
なげ
)
きて、
姫
(
ひめ
)
が
命
(
いのち
)
は
我
(
わ
)
れ
故
(
ゆゑ
)
と
計
(
ばかり
)
、
短
(
みじ
)
かき
契
(
ちぎ
)
りに
淺
(
あさ
)
ましき
宿世
(
しゆくせ
)
を
思
(
おも
)
へば、
一人
(
ひとり
)
殘
(
のこ
)
りて
我
(
わ
)
れ
何
(
なん
)
とせん
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
保
(
たも
)
ちしと云事あり是等は即ち
理外
(
りぐわい
)
の物語りにて
天地
(
てんち
)
の間に不思議の有しことは
擧
(
あげ
)
て
算
(
かぞ
)
へ難し切れて助かる道理は無しと雖も世界の不思議
神佛
(
しんぶつ
)
の利益は無にも非ず
然
(
さす
)
れば其方の父富右衞門も
蘇生
(
そせい
)
いたす
間
(
ま
)
じき者でも無い
隨分
(
ずゐぶん
)
神佛を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
達吉
(
たつきち
)
は、
天地
(
てんち
)
が
真
(
ま
)
っ
闇
(
くら
)
だった。
大波
(
おおなみ
)
が、
自分
(
じぶん
)
を
呑
(
の
)
んだ。
体
(
からだ
)
は
前後上下
(
ぜんごじょうげ
)
に
揺
(
ゆ
)
れていた。わずかに、
目
(
め
)
を
開
(
あ
)
けると、しっかりと
自分
(
じぶん
)
はけやきの
木
(
き
)
の
枝
(
えだ
)
にしがみついていた。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
總
(
そう
)
じて
主人
(
しゆじん
)
が
内
(
うち
)
にある
時
(
とき
)
と、
外
(
そと
)
に
出
(
い
)
でし
後
(
のち
)
と、
家内
(
かない
)
の
有樣
(
ありさま
)
は、
大抵
(
たいてい
)
天地
(
てんち
)
の
違
(
ちがひ
)
あるが
家並
(
いへなみ
)
に
候
(
さふらふ
)
なり。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
やがて、ときならぬいい
音色
(
ねいろ
)
が、
山奥
(
やまおく
)
のしかもさびしい
野原
(
のはら
)
の
上
(
うえ
)
で
起
(
お
)
こりました。
笛
(
ふえ
)
の
音
(
ね
)
、
胡弓
(
こきゅう
)
の
音
(
おと
)
、それに
混
(
ま
)
じって
悲
(
かな
)
しい
歌
(
うた
)
の
節
(
ふし
)
は、ひっそりとした
天地
(
てんち
)
を
驚
(
おどろ
)
かせました。
春になる前夜
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
可悲
(
かなし
)
い、
可恐
(
おそろし
)
い、
滅亡
(
めつばう
)
の
運命
(
うんめい
)
が、
人
(
ひと
)
たちの
身
(
み
)
に、
暴風雨
(
あらし
)
と
成
(
な
)
つて、
天地
(
てんち
)
とともに
崩掛
(
くづれかゝ
)
らうとする
前
(
まへ
)
の
夜
(
よる
)
、……
風
(
かぜ
)
はよし、
凪
(
なぎ
)
はよし……
船出
(
ふなで
)
の
祝
(
いは
)
ひに
酒盛
(
さかもり
)
したあと、
船中
(
せんちう
)
殘
(
のこ
)
らず
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
闇
(
やみ
)
の
中
(
なか
)
を
明
(
あか
)
るく
照
(
て
)
らす、
燈台
(
とうだい
)
の
一筋
(
ひとすじ
)
の
光
(
ひかり
)
を
奪
(
うば
)
い
合
(
あ
)
って、それをもみ
消
(
け
)
してしまって、
天地
(
てんち
)
の
間
(
あいだ
)
に、いっさいの
光
(
ひかり
)
をなくしてしまおうとしているように、
暴風
(
ぼうふう
)
と
雨
(
あめ
)
とが
力
(
ちから
)
を
惜
(
お
)
しまずに
小さな金色の翼
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
昨夜
(
ゆうべ
)
雇
(
やと
)
つた
腕車
(
くるま
)
が二
臺
(
だい
)
、
雪
(
ゆき
)
の
門
(
かど
)
を
叩
(
たゝ
)
いたので、
主從
(
しうじう
)
は、
朝餉
(
あさげ
)
の
支度
(
したく
)
も
匇々
(
そこ/\
)
に、
身
(
み
)
ごしらへして、
戸外
(
おもて
)
に
出
(
で
)
ると、
東雲
(
しのゝめ
)
の
色
(
いろ
)
とも
分
(
わ
)
かず
黄昏
(
たそがれ
)
の
空
(
そら
)
とも
見
(
み
)
えず、
溟々
(
めい/\
)
濛々
(
もう/\
)
として、
天地
(
てんち
)
唯
(
たゞ
)
一白
(
いつぱく
)
。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
後
(
あと
)
は、まったく
風
(
かぜ
)
と
雪
(
ゆき
)
の
天地
(
てんち
)
で、それはたとえようのないほど、
盛
(
さか
)
んな
景色
(
けしき
)
でありました。
子供
(
こども
)
はそれを
忘
(
わす
)
れることができなかったのです。
子供
(
こども
)
は、こうした
吹雪
(
ふぶき
)
を
見
(
み
)
るのが
大好
(
だいす
)
きでした。
角笛吹く子
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
況
(
ま
)
して
鳥類
(
てうるゐ
)
は
廣大無邊
(
くわうだいむへん
)
の
天地
(
てんち
)
を
家
(
いへ
)
とし、
山
(
やま
)
を
翔
(
か
)
けり、
海
(
うみ
)
を
横
(
よこ
)
ぎり、
自在
(
じざい
)
に
虚空
(
こくう
)
を
往來
(
わうらい
)
して、
心
(
こゝろ
)
のまゝに
食
(
しよく
)
を
啄
(
は
)
み、
赴
(
おもむ
)
く
處
(
ところ
)
の
塒
(
ねぐら
)
に
宿
(
やど
)
る。さるを
捕
(
とら
)
へて
籠
(
かご
)
に
封
(
ふう
)
じて
出
(
い
)
ださずば、
其
(
その
)
窮屈
(
きうくつ
)
はいかならむ。
十万石
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
雷鳴
(
らいめい
)
に、
殆
(
ほとん
)
ど
聾
(
し
)
ひなむとした
人々
(
ひと/″\
)
の
耳
(
みゝ
)
に、
驚破
(
すは
)
や、
天地
(
てんち
)
一
(
ひと
)
つの
聲
(
こゑ
)
。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「これからわしの
天地
(
てんち
)
だ。」と、じいさんはほほえみました。
手風琴
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
不思議
(
ふしぎ
)
や、
唄
(
うた
)
つた
時
(
とき
)
の
白痴
(
ばか
)
の
声
(
こゑ
)
は
此
(
この
)
話
(
はなし
)
をお
聞
(
き
)
きなさるお
前様
(
まへさま
)
は
固
(
もと
)
よりぢやが、
私
(
わし
)
も
推量
(
すゐりやう
)
したとは
月鼈雲泥
(
げつべつうんでい
)
、
天地
(
てんち
)
の
相違
(
さうゐ
)
、
節廻
(
ふしまは
)
し、あげさげ、
呼吸
(
こきふ
)
の
続
(
つゞ
)
く
処
(
ところ
)
から、
第
(
だい
)
一
其
(
そ
)
の
清
(
きよ
)
らかな
涼
(
すゞ
)
しい
声
(
こゑ
)
といふ
者
(
もの
)
は
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
広
(
ひろ
)
い
寂
(
さび
)
しい
天地
(
てんち
)
の
間
(
あいだ
)
を
自由
(
じゆう
)
にふるまうことができたのでした。
白いくま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一段高まる経の声、トタンにはたたがみ
天地
(
てんち
)
に鳴りぬ。
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
天地
(
てんち
)
が ゆれうごきました。
うみぼうずと おひめさま
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
“天地”の意味
《名詞》
天 地(てんち)
天と地。
天の方向と地の方向。
人間が生活し活動する世界。
本や紙、荷物などの上と下。
あめつち 参照。
(出典:Wiktionary)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
地
常用漢字
小2
部首:⼟
6画
“天地”で始まる語句
天地間
天地人
天地玄黄
天地霄壌
天地開闢
天地無始終
天地或問珍
天地開闢以來
天地眼
天地否