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淨玻璃
贔屓成るゝかと言しかば越前守殿大いに
怒られナニ
婦人を贔屓するとは不屆の一言
天地自然の
淨玻璃の
鏡を
立邪正を
糺し
業の
秤を以て
分厘も
違ず善惡を裁斷する天下の役人を
何と、と
殿樣、
片膝屹と
立てたまへば、
唯唯、
唯、
恐れながら、
打槌はづれ
候ても、
天眼鏡は
淨玻璃なり、
此の
女、
夫ありて、
後ならでは、
殿の
御手に
入り
難し、と
憚らずこそ
申しけれ。
申さるゝものかな我あの朝は
斯樣々々の用事にてと云はんとすれば伊藤は
打消默れ傳吉汝何程
僞りでも
淨玻璃の
鏡に掛て見るが如く
己が罪は知れてあり然らば
拷問に
掛て云はして見せんと
笘を