ちやう)” の例文
さて、三ねんまへ、……ちがひます。なれども、おな霜月しもつきさり、ちやうおないま時刻じこくわれらにもお前樣まへさまおなことがありました。……
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ちやうど道臣が朝の日供につくに拜殿へ出てゐたので、千代松は竹丸を相手にして、社務所を兼ねた家の勝手口でこんなことを喋舌しやべつてゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ちやうど先頭の第一人が、三段を一足飛いツそくとびに躍上ツて、入口のドアーに手を掛けた時であツた。扉を反對のうちからぎいとけて、のツそり入口に突ツ立ツた老爺おやぢ
解剖室 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
病氣びやうきくない、』『あめりさうですから』など宿やどものがとめるのもかず、ぼく竿さをもつ出掛でかけた。人家じんかはなれて四五ちやうさかのぼるとすでみちもなければはたけもない。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
二人ふたりまたてらからにして連立つれだつてた。山門さんもんとほりをほゞちやうほどおくると、左側ひだりがは蓮池はすいけがあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
暫くすると、欧陽詢は気がいたやうに馬を促立せきたてた。馬は食べさしの草をくはへた儘ぽか/\と歩き出した。やつちやうも来たかと思ふと、欧陽詢はだしぬけに手綱を引張つて馬を後退あとかへらさうとする。
得たりと歡びけるかくて吾助は桝屋方に居ること凡そ半年餘りなるがうまれ得ての好色かうしよく者なれば家内に召使めしつかふ下女に折々をり/\不義など仕掛しかけれども既に前章にもふ如く至てみにくき男ゆゑ誰あつて心にしたがはんといふ者なかりしに其頃此桝屋へ上總の在方より奉公ほうこうに來りしおかねといふ女今年十七歳なるがちやう百には
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
御夢想ごむさうくすりぢやに……なん病疾やまひすみやかになほるで、ひないな……ちやうど、來合きあはせたは、あなたさまみちびきぢや……あだにはおもはれますな。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
母に叱られた竹丸は、風呂場へ行つてちやうど沸きかけた風呂へ入り、手拭で泡沫玉あぶくだまを拵へて遊んでゐると、お時が顏色を變へて走つて來た。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ぼく溪流けいりう沿ふてこのさびしい往來わうらいあてもなくるいた。ながれくだつてくも二三ちやうのぼれば一ちやう其中そのなかにペンキで塗つたはしがある、其間そのあひだを、如何どん心地こゝちぼくはぶらついたらう。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ちやうど此の日の前夜ぜんやも、周三は、父から結婚問題に就いて嚴重げんぢう談判だんぱんツたのであツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
やますそひらいて、一二ちやうおくのぼやうてたてらだとえて、うしろはういろたかふさがつてゐた。みち左右さいう山續やまつゞき丘續をかつゞき地勢ちせいせいせられて、けつしてたひらではないやうであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
なにわすてて、狂氣きやうきごとく、その音信おとづれてくと、おりうちやう爾時そのとき……。あはれ、草木くさきも、婦人をんなも、靈魂たましひ姿すがたがあるのか。
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
其の時ちやうど父はお宮の用事で四五日泊りがけによそへ行つてゐたが、母は忽ち其の見も知りもしなかつた修驗者とねんごろになつて
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
危險あぶな御座ございます」とつて宜道ぎだう一足先ひとあしさきくら石段いしだんりた。宗助そうすけはあとからつゞいた。まちちがつてよるになると足元あしもとわるいので、宜道ぎだう提灯ちやうちんけてわづかちやうばかりみちらした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
りたけとほはなれて、むかがはをおとほんなさい。なんならあらかじ用心ようじんで、ちやううして人通ひとゞほりはなし——かまはず駈出かけだしたらいでせう……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
道頓堀の夜景はちやうどこれから、といふ時刻で、筋向うの芝居は幕間まくあひになつたらしく、讚岐さぬき屋の店は一時に立て込んで、二階からの通し物や、芝居の本家や前茶屋からの出前で
鱧の皮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
二三日にさんにちつて、とんさんにはなしをした。ちやう其日そのひおな白樺しらかば社中しやちうで、御存ごぞんじの名歌集めいかしふ紅玉こうぎよく』の著者ちよしや木下利玄きのしたりげんさんが連立つれだつてえてた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
道頓堀の夜景はちやうどこれから、といふ時刻で、筋向うの芝居は幕間まくあひになつたらしく、讃岐屋さぬきやの店は一時に立て込んで、二階からの通し物や、芝居の本家や前茶屋からの出前で
鱧の皮 (新字旧仮名) / 上司小剣(著)
われにぎつて、さうまなこあきらかにさいを、多勢たぜい暗中あんちゆう摸索もさくして、ちやうか、はんか、せいか、か、と喧々がや/\さわてるほど可笑をかしことい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
くちつめたいものがはひつて、寢臺ねだいうへるのがわかりましたつけ……坊主ばうずきふかねらしたのは、ちやうど、釣臺つりだい病院びやうゐんもんはひときだつたさうです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
辿たどりかゝつたのたら/\あがりのながさかの、したからちやう中央なかばおもところで、もやのむら/\と、うごかないうづなかを、がくれに、いつしづみつするてい
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
えだ所々しよ/\にごつた月影つきかげのやうな可厭いやいろもやからんで、ほしもない……やまふか谷川たにがはながれのぞんだおもひの、暗夜やみ四谷よツやたにそこ時刻じこくちやうど一ごろ
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まだ可笑をかしいことがある、ずツとあとで……番町ばんちやうくと、かへりがけに、錢湯せんたう亭主ていしゆが「先生々々せんせい/\ちやうひるごろだからほか一人ひとりなかつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つりランプ(……あゝひさしいがいまだつてランプなしにはられますか。)それがちやう先生せんせいかたうへ見當けんたうかゝつてた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩人りやうにんすそところが、とこよこ一間いつけん三尺さんじやくはりだしの半戸はんとだな、した床張ゆかばり、突當つきあたりがガラスはきだしまどで、そこが裏山うらやまむかつたから、ちやうどそのまど
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやう今頃いまごろだで——それ/\、それよ矢張やつぱみちだ。……わし忠蔵ちうざうがおともでやしたが、若奥様わかおくさまがね、瑞巌寺ずゐがんじ欄間らんまつてる、迦陵頻伽かりようびんがこゑでや
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ると、両方りやうはうからはせて、しつくりむだ。やぶがさつて、なはてをぐる/\とまはつてちやうまる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとつでない、ふたつでもない。三頭みつ四頭よつ一齊いつせいてるのは、ちやう前途ゆくて濱際はまぎはに、また人家じんかが七八けん浴場よくぢやう荒物屋あらものやなど一廓ひとくるわになつてそのあたり。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おやとおもふと、灰色はひいろひらきいて、……裏口うらぐちですから、油紙あぶらがみなんからかつた、廊下らうかのつめに、看護婦かんごふつて、ちやう釣臺つりだい受取うけとところだつたんですつて。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……こゝの書棚しよだなうへには、はなちやうしてなかつた、——手附てつき大形おほがた花籠はなかごならべて、白木しらききりの、ぢくもののはこツばかり。眞中まんなかふたうへに……
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天守てんしゆおいては、かね貴女あなた双六すごろくつてなぐさみたいが、御承知ごしようちなければ、いたしやうもかつたをりから……ちやう僥倖さいはひ、いやもとより、もとよりのぞまをところ……とある!
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
で、何時いつ何處どこから乘組のりくんだか、つい、それはらなかつたが、ちやうわたしたちのならんでけたむかがは——墓地ぼちとは反對はんたい——のところに、二十三四のいろしろ婦人ふじんる……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
後日ごじつ東京驛とうきやうえきかへつたとき居合ゐあはせた赤帽君あかばうくんに、その二十四——のをくと、ちやう非番ひばんやすみだとふ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやう小脇こわきひきそばめてげつゝ、高々たか/″\仰向あふむいた、さみしいおほきあたまばかり、屋根やねのぞ來日くるひヶ峰みね一處ひとところくろいて、影法師かげぼふしまへおとして、たからかにふえらした。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……九時五十分くじごじつぷんかの終汽車しまひぎしやで、東京とうきやうるんです。……靜岡しづをかへ、ちやうど、あけにきますから。それだと、どつちをけんぶつしても、のうちに修善寺しゆぜんじまゐられますよ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
十九にはなるまい新姐しんぞさきに、一足ひとあしさがつて、櫛卷くしまきにした阿母おふくろがついて、みせはひりかけた。が、ちやう行者ぎやうじや背後うしろを、なゝめとりまはすやうにして、二人ふたりとも立停たちどまつた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……しかし無理むりもない。こんなことつたのはあたか箱根はこね山中さんちうで、ちやう丑三うしみつ時刻じこくであつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやうど、空模樣そらもやうくも同一おなじどんよりとして、くもうごはうへ、一所いつしようごいて、時々とき/″\、てら/\とてん薄日うすびすと、ひかりけて、晃々きら/\ひかるのが、ぬまおもてまなこがあつて
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うへ大屋根おほやねひさしぐらゐで、したは、ればちやう露地裏ろぢうら共同水道きやうどうすゐだうところに、よその女房かみさんがしやがんで洗濯せんたくをしてたが、つとあたまぐらゐ、とおもところを、スツ/\といてとほる。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、ちやうわたしひに、まともにかほところで、ねむるやうにしてさわやかにとなへた。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しほ時々とき/″\かはるのであらうが、まつりは、思出おもひだしても、何年なんねんにも、いつもくらいやうにおもはれる。時候じこうちやう梅雨つゆにかゝるから、あめらないとしの、つきあるころでも、くもるのであらう。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したに、火箸ひばしさきつゝいた、きずがポツツリえる、トたしかおぼえてわすれぬ、瓜井戸うりゐど宿しゆくはづれで、飯屋めしや縁側えんがはしたから畜生ちくしやうを、煙管きせる雁首がんくびでくらはしたのが、ちやうおなひだりした
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやうど、まだあかしれたばかりの暮方くれがたでね、……高樓たかどのから瞰下みおろされる港口みなとぐち町通まちどほりには、燒酎賣せうちううりだの、雜貨屋ざつくわやだの、油賣あぶらうりだの、肉屋にくやだのが、みな黒人くろんぼ荷車にぐるまかせて、……商人あきんどは、各自てん/″\
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは……しかし、菖蒲あやめ杜若かきつばたは——翌日よくじつやまみづ處々ところ/″\た、其處そこにも、まだ一輪いちりんかなかつた。つぼんだのさへない。——さかりちやう一月ひとつきおくれる。……六月ろくぐわつ中旬ちうじゆんだらうとふのである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやう鹽梅あんばいに、貴下あなたがおひなさいましたやうな、大勢おほぜい御婦人ごふじんづれでも來合きあはせてくださればうございますけれどもねえ……でないと……畜生ちくしやう……だの——阿魔あま——だのツて……なんですか
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「よくてねえ、ちやうつてところなんですよ、こゝろつうじたんだわね。」
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ちやうひとみはなして、あとへ一歩ひとあし振向ふりむいたところが、かは曲角まがりかどで、やゝたか向岸むかうぎしの、がけうち裏口うらぐちから、いはけづれるさま石段いしだん五六段ごろくだんりたみぎはに、洗濯せんたくものをしてむすめが、あたかもほつれくとて
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
およしなさればいのに、りもののかごに、つてたしぼりの山茶花さゞんくわしろ小菊こぎく突込つツこんで、をかしくつまんだり、えだいたり、飴細工あめざいくではあるまいし……つゐをなすもののひとがらもちやうい。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
般若湯はんにやたうすこしばかり、さいはなまぐさくちにせぬ場合ばあひで、思出おもひだすにちやうい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)