いは)” の例文
茫然ぼんやりしてると、木精こだまさらふぜ、昼間ひるまだつて用捨ようしやはねえよ。)とあざけるがごとてたが、やがいはかげはいつてたかところくさかくれた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そのいはとうさんに、彼處あそこ御覽がらん、こゝを御覽ごらん、とひまして、半分はんぶんつちのついた水晶すゐしやうがそこいらにらばつてるのをしてせました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
いははなをば、まはつてくごとに、そこにひとつづゝひらけてる、近江あふみ湖水こすいのうちのたくさんの川口かはぐち。そこにつるおほてゝゐる。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
肩から肩の上へさるの様にかさなり合つて、最上の一人の手がいはの鼻へ掛かるや否や、いはくづれて、腰の縄が切れて、上の三人が折り重なつて
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
高山こうざんにはよくさういふ凹地くぼちみづたゝへて、ときには沼地ぬまちかたちづくり、附近ふきんいはあひだゆきをためてゐたりするところがあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
さけこゝにいたりて激浪げきらうにのぼりかねて猶予たゆたふゆゑ、漁師れふしどもかり柴橋しばはしかけわたし、きしにちかきいはの上の雪をほりすてこゝに居てかの掻網かきあみをなす。
彼等かれらはるかずして、遠方ゑんぱう海龜うみがめが、爼形まないたなりちひさないはうへに、かなしさうにもまたさびしさうにすわつてるのをました、彼等かれら段々だん/\近寄ちかよつてとき
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かつてボズさんと辨當べんたうべたことのある、ひらたいはまでると、流石さすがぼくつかれてしまつた。もとよりすこしもない。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
一切いつさい衆生しゆうじやうすてものに、わがまヽらしき境界きやうがいこヽろにはなみだみて、しや廿歳はたちのいたづらぶし、一ねんかたまりてうごかざりけるが、いはをもとほなさけさとしがことにしみそめ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
と、たか調しらべ荒鷲あらわしの、かぜたゝいてぶごとく、ひく調しらべ溪水たにみづの、いはかれてごとく、檣頭しやうとうはし印度洋インドやうかぜげんくだくるなみおとして、本艦々上ほんかんかんじやう暫時しばしなりまなかつた。
いは氷柱つららの垂りに映りて通るわれかとも思ふ影のしたしさ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ゆゝしきや火口の跡をいめぐりて青葉深しちふいは白根山
長塚節歌集:2 中 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いは隙間すきまからつたくさつるであつた。
さしいはもほゝゑまん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
願ふと云ふもしのなきことに他人に有ながら當家へ養子やうしに來た日よりあつ深切しんせつくして呉し支配人なる久八へ鳥渡成ちよつとなりとも書置かきおきせんとありあふすゞり引寄ひきよせて涙ながらに摺流すりながすみさへうすにしぞとふで命毛いのちげみじかくも漸々やう/\したゝをはりつゝふうじるのりよりのりみち心ながら締直しめなほす帶の博多はかたの一本獨鈷どつこ眞言しんごん成ねど祕密ひみつの爲細腕ほそうで成ども我一心長庵如き何の其いは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さて、かつしやい、わしはそれからひのきうらけた、いはしたからいはうへた、なかくゞつて草深くさふかこみち何処どこまでも、何処どこまでも。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
木曾きそひとむかしからお伽話とぎばなしきだつたとえますね。いはにも、いけにも、釣竿つりざをにも、こんなお伽話とぎばなしのこつて、それをむかしからつたへてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
權藏ごんざう最早もう彼是かれこれ六十です。けれどもづるまへきてぼつするまではたらくことはいまむかしかはりません。そして大島老人おほしまらうじんかれすくふたときいはうえつて
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
またいはには、青紫あをむらさきのちしまぎきょう、いはぎきょう、はな白梅はくばいて、まめのようにあつぼつたいいはうめ、鋸齒のこぎりばのある腎臟形じんぞうがた根元ねもとして
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
『さうね、不思議ふしぎなこと』と海龜うみがめこたへて、いはうへ目録もくろくかぞしました、『——不思議ふしぎこと古今こゝんわたれる大海學だいかいがくの、それから懶聲なまけごゑすこと——懶聲なまけごゑ先生せんせい年老としとつた海鰻はもで、 ...
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
れい屏風岩べうぶいはうへからたゞちに運轉うんてんこゝろみてると最良さいりよう結果けつくわで、號鈴がうれいリン/\とりひゞき、不思議ふしぎなる機關きくわん活溌くわつぱつなる運轉うんてんしたがつて十二外車輪ぐわいしやりんが、いはみ、どろつて疾走しつさうする有樣ありさま
我がとも信州の人のかたりしは、同じ所の人千曲川ちくまかはへ夏の夜釣よづりゆきしに、人の三人もをるべきほどのをりよきいは水よりなかばいでたるあり、よき釣場つりばなりとてこれにのぼりてつりをたれてゐたりしに
いはひつぎもつくるらん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いはせて、ひよいとみづかららうとすると、アゝくすぐつたい、なりに一つピンとねて、ピヨイとにげて、スイとおよいで、ましてゐる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんも、そんなおほきなかはるのははじめてでした。あをい、どろんとしたみづうづいて、おほきないはあひだながれてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
またろうされて千鳥ちどりむれいはよりいはへとびかうてましたが、かるさいにも絶望ぜつばうそこしづんだひとこゝろ益々ます/\やみもとめてまよふものとえ、一人ひとり若者わかものありて、あをざめたかほえりうづ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
くきくらべて非常ひじようふとながくなり、いはなどにふかくもぐりこんでゐます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
天色てんしよく倏急にはかかは黒雲くろくもそらおほひければ(是雪中の常也)をつとそらを見て大に驚怖おどろき、こは雪吹ふゞきならんいかゞはせんと踉蹡ためらふうち、暴風はやて雪を吹散ふきちらす巨濤おほなみいはこゆるがごとく、つぢかぜ雪を巻騰まきあげ白竜はくりやうみねのぼるがごとし。
早手風はやてかぜいはをどよもし
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
いはさんは、……うですね、——昨夜ゆうべ十二時頃じごろでもございましたらうか、一人ひとりなすつて——とう/\しやがつた。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
いはうへたつてジツとしてるとさびしいこと、しづかなこと、深谷しんこくせまつてる。
都の友へ、B生より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すみさんは、休屋やすみやはまぞひに、恵比寿島ゑびすじま弁天島べんてんじま兜島かぶとじまを、自籠じごもりいは——(御占場おうらなひばうしろにたる)——かけて、ひとりでふねした。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いはけづつて點滴したゝみづは、階子ばしごに、垂々たら/\しづくして、ちながら氷柱つらゝらむ、とひやゝかさのむのみ。何處どこいへほのほがあらう。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其處そこには山椿やまつばき花片はなびらが、のあたり水中すゐちういはいはび、胸毛むなげ黄色きいろ鶺鴒せきれい雌鳥めんどりふくみこぼした口紅くちべにのやうにく。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きしづたひに、いはんで後戻あともどりをて、はし取着とつゝき宿やどかへつた、——これ前刻さつきわたつて、むかごしで、山路やまみちはうへ、あのばあさんのみせはしだつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
汽車きしやさかさまちてまない。けむりいのがいはくづして、どろき/\、なみのやうなつちあふつて、七轉八倒しちてんばつたうあがきもだゆる。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あかりのついた、お附合つきあひとなりまどから、いはさんの安否あんぴかうとしでもしたのであらう。格子かうしをあけたをんながあつたが、なんにも女房にようばうにはきこえない。……
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、一夜いちやあけて、ひるつてもかへらない。不斷ふだんそんなしだらでないいはさんだけに、女房にようばう人一倍ひといちばい心配しんぱいした。
夜釣 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
疾風しつぷうごとけてくだん狂人きちがひが、あしからちう飛乘とびのらうとしたれると、づんとつて、屋根やねよりたかく、火山くわざんいはごと刎上はねあげられて、五體ごたいくだいた。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
したがけに、山鳥やまどりいた蜃氣樓しんきろうごと白壁造しらかべづくり屋根やねいしさへ群青ぐんじやういは斷片かけららす。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
かはれば現在げんざいをつとまへ婦人ふじん身震みぶるひして飛退とびのかうとするのであつたが、かる撓柔しなやかにかかつたが、千曳ちびきいはごとく、千筋ちすぢいとて、そでえりうごかばこそ。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこや一めんいはで、いはうへ谷川たにがはみづがかゝつて此処ここによどみをつくつてる、川巾かははばは一けんばかり、みづのぞめばおとまでにもないが、うつくしさはたまいてながしたやう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
元禄げんろくころ陸奥千鳥むつちどりには——木川村きがわむら入口いりぐち鐙摺あぶみずりいはあり、一騎立いつきだち細道ほそみちなり、すこきてみぎかたてらあり、小高こだかところだう一宇いちう次信つぎのぶ忠信たゞのぶ両妻りやうさい軍立いくさだち姿すがたにて相双あひならつ。
甲冑堂 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
半纏着はんてんぎは、みづあさいしおこして、山笹やまざさをひつたりはさんで、細流さいりう岩魚いはなあづけた。溌剌はつらつふのはこれであらう。みづ尾鰭をひれおよがせていははしる。そのまゝ、すぼりと裸體はだかつた。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あるひは、ほとけ御龕みづしごとく、あるひひと髑髏どくろて、あるひ禅定ぜんぢやうあなにもつゝ、あるひ山寨さんさい石門せきもんた、いはには、ひとツづゝみなみづたゝへて、なかにはあをつてふちかとおもはるゝのもあつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のちに、奧州あうしう平泉ひらいづみ中尊寺ちうそんじまうでたかへりに、松島まつしま途中とちううみそこるやうないはける道々みち/\かたはら小沼こぬまあしに、くわらくわいち、くわらくわいち、ぎやう、ぎやう、ぎやう、ちよツ
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……勿論もちろんもせず、枕元まくらもとれい紫縞むらさきじまのをらして、落着おちつかない立膝たてひざなにくともみゝますと、谿河たにがはながれがざつとひゞくのが、ちた、ながれた、打当ぶちあてた、いはくだけた、しんだ——とこえる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)