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しづか
ふりがな文庫
“
靜
(
しづか
)” の例文
新字:
静
昨夜
(
ゆうべ
)
は
夜
(
よ
)
もすがら
靜
(
しづか
)
に
眠
(
ねぶ
)
りて、
今朝
(
けさ
)
は
誰
(
た
)
れより
一
(
いち
)
はな
懸
(
が
)
けに
目
(
め
)
を
覺
(
さま
)
し、
顏
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ひ
髮
(
かみ
)
を
撫
(
な
)
でつけて
着物
(
きもの
)
もみづから
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りしを
取出
(
とりいだ
)
し
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
片足
(
かたあし
)
は、
水
(
みづ
)
の
落口
(
おちくち
)
に
瀬
(
せ
)
を
搦
(
から
)
めて、
蘆
(
あし
)
のそよぐが
如
(
ごと
)
く、
片足
(
かたあし
)
は
鷺
(
さぎ
)
の
眠
(
ねむ
)
つたやうに
見
(
み
)
える。……
堰
(
せき
)
の
上
(
かみ
)
の
水
(
みづ
)
は
一際
(
ひときは
)
青
(
あを
)
く
澄
(
す
)
んで
靜
(
しづか
)
である。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
靜
(
しづか
)
さんのみよりのものでもあらうか、さうなら君は御無事で奥州秀衡の館に昔の様にして居られますと教へてやらうといふ歌だが
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
そよとだに風なき夏の曉に、遠く望めば只〻
朝紅
(
あさやけ
)
とも見ゆべかんめり。
風
(
かぜ
)
靜
(
しづか
)
なるに、六波羅わたり斯かる大火を見るこそ
訝
(
いぶか
)
しけれ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
手
(
て
)
ランプも
點
(
つ
)
けぬ
卯平
(
うへい
)
の
狹
(
せま
)
い
小屋
(
こや
)
の
空氣
(
くうき
)
は
黒
(
くろ
)
く
悄然
(
ひつそり
)
として
死
(
し
)
んだ
樣
(
やう
)
である。
勘次
(
かんじ
)
は
拔
(
ぬ
)
き
足
(
あし
)
して
戻
(
もど
)
つては
出來
(
でき
)
るだけ
靜
(
しづか
)
に
戸
(
と
)
を
閉
(
と
)
ぢる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
▼ もっと見る
書斎へ来て新聞を見ようとして、自身の事の出て居るのに気が附いた鏡子は、三四種の新聞を
後
(
うしろ
)
の
靜
(
しづか
)
の机の上へそのまゝ載せた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
上
(
あ
)
げ是々皆なの
衆
(
しう
)
先々
(
まあ/\
)
靜
(
しづか
)
にせられよ此れ處か
未々
(
まだ/\
)
お
負
(
まけ
)
がある是を惣内殿
貴方
(
あなた
)
覺えが有うなと
投出
(
なげいだ
)
す
姫路
(
ひめぢ
)
革の三徳を見て惣内はヤア是はと云を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
そして、ばたばた
近寄
(
ちかよ
)
つて
來
(
き
)
た
夏繪
(
なつゑ
)
と
敏樹
(
としき
)
を
靜
(
しづか
)
にさせながら、
二人
(
ふたり
)
を
兩方
(
りやうはう
)
から
抱
(
いだ
)
きよせたまま
蜂
(
はち
)
の
動作
(
どうさ
)
を
眺
(
なが
)
めつゞけてゐた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
默
(
だま
)
つて
點頭
(
うなづ
)
くと
夫人
(
ふじん
)
は
靜
(
しづか
)
に
立上
(
たちあが
)
り『
皆樣
(
みなさま
)
のお
耳
(
みゝ
)
を
汚
(
けが
)
す
程
(
ほど
)
ではありませんが。』と
伴
(
ともな
)
はれてピアノ
臺
(
だい
)
の
上
(
うへ
)
へ
登
(
のぼ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
日
(
ひ
)
は
已
(
すで
)
に
沒
(
ぼつ
)
した。イワン、デミトリチは
顏
(
かほ
)
を
枕
(
まくら
)
に
埋
(
うづ
)
めて
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になつてゐる。
中風患者
(
ちゆうぶくわんじや
)
は
何
(
なに
)
か
悲
(
かな
)
しさうに
靜
(
しづか
)
に
泣
(
な
)
きながら、
唇
(
くちびる
)
を
動
(
うご
)
かしてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二人
(
ふたり
)
はそれで
默
(
だま
)
つた。たゞ
凝
(
じつ
)
と
外
(
そと
)
の
樣子
(
やうす
)
を
伺
(
うかゞ
)
つてゐた。けれども
世間
(
せけん
)
は
森
(
しん
)
と
靜
(
しづか
)
であつた。いつまで
耳
(
みゝ
)
を
峙
(
そばだ
)
てゝゐても、
再
(
ふたゝ
)
び
物
(
もの
)
の
落
(
お
)
ちて
來
(
く
)
る
氣色
(
けしき
)
はなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はいかにも
靜
(
しづか
)
さうに轉ばされてゐる赤兒を振り返つて、同情を求める樣に人々の顏を見廻した。
嘘をつく日
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
どんより
曇
(
くも
)
つて
折
(
を
)
り/\
小雨
(
こさめ
)
さへ
降
(
ふ
)
る
天氣
(
てんき
)
ではあるが、
風
(
かぜ
)
が
全
(
まつた
)
く
無
(
な
)
いので、
相摸灣
(
さがみわん
)
の波
靜
(
しづか
)
に
太平洋
(
たいへいやう
)
の
煙波
(
えんぱ
)
夢
(
ゆめ
)
のやうである。
噴煙
(
ふんえん
)
こそ
見
(
み
)
えないが
大島
(
おほしま
)
の
影
(
かげ
)
も
朦朧
(
もうろう
)
と
浮
(
う
)
かんで
居
(
ゐ
)
る。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
〔譯〕心
靜
(
しづか
)
にして、
方
(
まさ
)
に能く白日を知る。眼明かにして、始めて青天を識り
會
(
え
)
すと。此れ
程伯氏
(
ていはくし
)
の句なり。青天白日は、常に我に在り。宜しく之を
座右
(
ざいう
)
に
掲
(
かゝ
)
げて、以て
警戒
(
けいかい
)
と爲すべし。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
「お
願
(
ねが
)
ひだから、
靜
(
しづか
)
にしてゐてくんな」と
頼
(
たの
)
みました。
靜
(
しづ
)
かになつたやうでした。すると、こんどは
虻
(
あぶ
)
の
奴
(
やつ
)
、
銀
(
ぎん
)
の
手槍
(
てやり
)
でちくりちくりと
處
(
ところ
)
嫌
(
きら
)
はず、
肥太
(
こえふと
)
つた
牛
(
うし
)
の
體
(
からだ
)
を
刺
(
さ
)
しはじめました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
驚
(
おどろ
)
きの
餘
(
あま
)
り、
怒
(
いか
)
り
叫
(
さけ
)
び、
其等
(
それら
)
を
拂
(
はら
)
ひ
除
(
の
)
けやうとして、
身
(
み
)
は
堤
(
どて
)
の
上
(
うへ
)
に、
※
(
ねえ
)
さんの
膝
(
ひざ
)
を
枕
(
まくら
)
に
臥
(
ね
)
て
居
(
ゐ
)
たのに
氣
(
き
)
がつきました、
※
(
ねえ
)
さんは
靜
(
しづか
)
に、
顏
(
かほ
)
に
散
(
ち
)
り
來
(
く
)
る
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
を
拂
(
はら
)
つて
居
(
を
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
其の
間
(
うち
)
に娘は
艶
(
なまめ
)
かしい
衣
(
きぬ
)
の
香
(
か
)
を
立
(
た
)
てながら、
靜
(
しづか
)
に私の
側
(
はた
)
を通ツて行ツた。
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
あしたの琴は
靜
(
しづか
)
なり
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
四方
(
よも
)
の
波風
(
なみかぜ
)
靜
(
しづか
)
にして、世は
盛
(
さか
)
りとこそは見ゆれども、入道相國が多年の非道によりて、天下の望み
已
(
すで
)
に離れ、敗亡の機はや熟してぞ見えし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
銀鞍
(
ぎんあん
)
の
少年
(
せうねん
)
、
玉駕
(
ぎよくが
)
の
佳姫
(
かき
)
、ともに
恍惚
(
くわうこつ
)
として
陽
(
ひ
)
の
闌
(
たけなは
)
なる
時
(
とき
)
、
陽炎
(
かげろふ
)
の
帳
(
とばり
)
靜
(
しづか
)
なる
裡
(
うち
)
に、
木蓮
(
もくれん
)
の
花
(
はな
)
一
(
ひと
)
つ
一
(
ひと
)
つ
皆
(
みな
)
乳房
(
ちゝ
)
の
如
(
ごと
)
き
戀
(
こひ
)
を
含
(
ふく
)
む。
月令十二態
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
馬
(
うま
)
といふ
奴
(
やつ
)
はあの
身體
(
からだ
)
で
酒
(
さけ
)
の二
杯
(
はい
)
も
口
(
くち
)
へ
入
(
いれ
)
てやると
忽
(
たちま
)
ちにどろんとして
駻馬
(
かんば
)
でも
靜
(
しづか
)
に
成
(
な
)
る、
博勞
(
ばくらう
)
は
以前
(
いぜん
)
はさうして
惡
(
わる
)
い
馬
(
うま
)
を
嵌
(
は
)
め
込
(
こ
)
んだものである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
揚
(
あげ
)
て
泣出
(
なきいだ
)
すゆゑ越前守殿は
言葉
(
ことば
)
靜
(
しづか
)
にコリヤ/\三吉
最少
(
もつ
)
と前へ出よ何も
怕事
(
こはいこと
)
はなし
泣
(
なく
)
な/\サア/\
好物
(
いゝもの
)
を遣はさうと
饅頭
(
まんぢう
)
を紙に
載
(
のせ
)
て與へられ是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
鏡子
(
かねこ
)
の
伴
(
つれ
)
は文榮堂書肆の主人の
畑尾
(
はたを
)
と、鏡子の
良人
(
をつと
)
の
靜
(
しづか
)
の甥で、鏡子よりは五つ六つ年下の荒木
英也
(
ひでや
)
と云ふ文学士とである。畑尾は何かを聞いた英也に
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
暫
(
しばら
)
く
靜
(
しづか
)
に
聽耳
(
きゝみゝ
)
を
立
(
た
)
ててゐた
僕
(
ぼく
)
はさう
言
(
い
)
つて、
友人
(
いうじん
)
の
方
(
はう
)
を
振
(
ふ
)
り
返
(
かへ
)
つた。いつの
間
(
ま
)
にか
彼
(
かれ
)
の
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
には
丸顏
(
まるがほ
)
の
女
(
をんな
)
が
牡丹
(
ぼたん
)
のやうな
笑
(
わら
)
ひを
含
(
ふく
)
みながら
腰
(
こし
)
かけてゐる。
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
親友
(
しんいう
)
を
送出
(
おくりだ
)
して、アンドレイ、エヒミチは
又
(
また
)
讀書
(
どくしよ
)
を
初
(
はじ
)
めるのであつた。
夜
(
よる
)
は
靜
(
しづか
)
で
何
(
なん
)
の
音
(
おと
)
も
爲
(
せ
)
ぬ。
時
(
とき
)
は
留
(
とゞま
)
つて
院長
(
ゐんちやう
)
と
共
(
とも
)
に
書物
(
しよもつ
)
の
上
(
うへ
)
に
途絶
(
とだ
)
えて
了
(
しま
)
つたかのやう。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
お
倉
(
くら
)
お
倉
(
くら
)
と
呼
(
よ
)
んで
附添
(
つきそ
)
ひの
女子
(
をなご
)
と
共
(
とも
)
に
郡内
(
ぐんない
)
の
蒲團
(
ふとん
)
の
上
(
うへ
)
へ
抱
(
いだ
)
き
上
(
あ
)
げて
臥
(
ふ
)
さするにはや
正躰
(
しやうたい
)
も
無
(
な
)
く
夢
(
ゆめ
)
に
入
(
い
)
るやうなり、
兄
(
あに
)
といへるは
靜
(
しづか
)
に
膝行
(
いざり
)
寄
(
よ
)
りてさしのぞくに
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其上
(
そのうへ
)
御米
(
およね
)
は
若
(
わか
)
い
女
(
をんな
)
に
有勝
(
ありがち
)
の
嬌羞
(
けうしう
)
といふものを、
初對面
(
しよたいめん
)
の
宗助
(
そうすけ
)
に
向
(
むか
)
つて、あまり
多
(
おほ
)
く
表
(
あら
)
はさなかつた。たゞ
普通
(
ふつう
)
の
人間
(
にんげん
)
を
靜
(
しづか
)
にして
言葉
(
ことば
)
寡
(
すく
)
なに
切
(
き
)
り
詰
(
つ
)
めた
丈
(
だけ
)
に
見
(
み
)
えた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
せめての
腹愈
(
はらいや
)
しには、
吾
(
わが
)
鐵拳
(
てつけん
)
をもつて
彼
(
かれ
)
の
頭
(
かしら
)
に
引導
(
いんどう
)
渡
(
わた
)
して
呉
(
く
)
れんと、
驅出
(
かけだ
)
す
袂
(
たもと
)
を
夫人
(
ふじん
)
は
靜
(
しづか
)
に
留
(
とゞ
)
めた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
(
その
)
場所
(
ばしよ
)
が
全
(
まつ
)
たく
僕
(
ぼく
)
の
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
つたのである、
後背
(
うしろ
)
の
崕
(
がけ
)
からは
雜木
(
ざふき
)
が
枝
(
えだ
)
を
重
(
かさ
)
ね
葉
(
は
)
を
重
(
かさ
)
ねて
被
(
おほ
)
ひかゝり、
前
(
まへ
)
は
可
(
かな
)
り
廣
(
ひろ
)
い
澱
(
よどみ
)
が
靜
(
しづか
)
に
渦
(
うづ
)
を
卷
(
まい
)
て
流
(
なが
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
足場
(
あしば
)
はわざ/\
作
(
つく
)
つた
樣
(
やう
)
に
思
(
おも
)
はれる
程
(
ほど
)
、
具合
(
ぐあひ
)
が
可
(
い
)
い。
都の友へ、B生より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
靜
(
しづか
)
にうごく星くづを
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
煙
(
けむり
)
は
靜
(
しづか
)
に、
燃
(
も
)
ゆる
火
(
ひ
)
の
火先
(
ほさき
)
も
宿
(
やど
)
さぬ。が、
南天
(
なんてん
)
の
實
(
み
)
の
溢
(
こぼ
)
れたやうに、ちら/\と
其
(
そ
)
の
底
(
そこ
)
に
映
(
うつ
)
るのは、
雲
(
くも
)
の
茜
(
あかね
)
が、
峰裏
(
みねうら
)
に
夕日
(
ゆふひ
)
の
影
(
かげ
)
を
投
(
な
)
げたのである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
社
(
やしろ
)
の
森
(
もり
)
の
外
(
そと
)
は
白
(
しろ
)
い
月夜
(
つきよ
)
である。
勘次
(
かんじ
)
が
村落外
(
むらはづ
)
れの
家
(
いへ
)
に
歸
(
かへ
)
つた
時
(
とき
)
は
踊子
(
をどりこ
)
は
皆
(
みな
)
自分
(
じぶん
)
の
嚮
(
むか
)
ふ
處
(
ところ
)
に
赴
(
おもむ
)
いて三
人
(
にん
)
のみが
靜
(
しづか
)
に
深
(
ふ
)
け
行
(
ゆ
)
く
庭
(
には
)
にぽつさりと
立
(
た
)
つたのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
時
(
とき
)
は
丁度
(
ちやうど
)
四
時過
(
じす
)
ぎ。
毎
(
いつ
)
もなら
院長
(
ゐんちやう
)
は
自分
(
じぶん
)
の
室
(
へや
)
から
室
(
へや
)
へと
歩
(
ある
)
いてゐると、ダリユシカが、
麥酒
(
ビール
)
は
旦那樣
(
だんなさま
)
如何
(
いかゞ
)
ですか、と
問
(
と
)
ふ
刻限
(
こくげん
)
。
戸外
(
こぐわい
)
は
靜
(
しづか
)
に
晴渡
(
はれわた
)
つた
天氣
(
てんき
)
である。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
殿
(
との
)
だになくば
我
(
わ
)
が
心
(
こゝろ
)
は
靜
(
しづか
)
かなるべきか、
否
(
いな
)
、かゝる
事
(
こと
)
は
思
(
おも
)
ふまじ、
呪咀
(
じゆそ
)
の
詞
(
ことば
)
となりて
忌
(
い
)
むべきものを。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ぞ
催
(
もよほ
)
しけるが三日も
暮
(
くれ
)
はや四日と
成
(
なり
)
にける此日は
早天
(
さうてん
)
より
長閑
(
のどか
)
にて四方
晴渡
(
はれわた
)
り海上
青疊
(
あをだたみ
)
を敷たる如く
青
(
あを
)
めき
渡
(
わたり
)
ければ吉兵衞も
船頭
(
せんどう
)
も
船表
(
ふなおもて
)
へ出て四方を
詠
(
なが
)
め
波
(
なみ
)
靜
(
しづか
)
なる有樣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
『
吾等
(
われら
)
は
之
(
これ
)
より
一定
(
いつてい
)
の
職務
(
しよくむ
)
があるので、
暫時
(
しばらく
)
失敬
(
しつけい
)
、
君等
(
きみら
)
は
後
(
のち
)
に
靜
(
しづか
)
に
休息
(
きうそく
)
し
玉
(
たま
)
へ、
私
(
わたくし
)
は八
時
(
じ
)
※
(
すぎ
)
再
(
ふたゝ
)
び
皈
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
て、
晩餐
(
ばんさん
)
をば
共
(
とも
)
に
致
(
いた
)
しませう。』と
言
(
い
)
ひ
殘
(
のこ
)
して
何處
(
いづく
)
ともなく
立去
(
たちさ
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
けれども
座敷
(
ざしき
)
へ
上
(
あ
)
がつて、
同
(
おな
)
じ
所
(
ところ
)
へ
坐
(
すわ
)
らせられて、
垣根
(
かきね
)
に
沿
(
そ
)
ふた
小
(
ちひ
)
さな
梅
(
うめ
)
の
木
(
き
)
を
見
(
み
)
ると、
此前
(
このまへ
)
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
の
事
(
こと
)
が
明
(
あき
)
らかに
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
された。
其日
(
そのひ
)
も
座敷
(
ざしき
)
の
外
(
ほか
)
は、しんとして
靜
(
しづか
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
蜂
(
はち
)
は
絶
(
た
)
えず三
人
(
にん
)
の
存在
(
そんざい
)
を
警戒
(
けいかい
)
しながらも、一
心
(
しん
)
に、
敏活
(
びんくわつ
)
に
働
(
はたら
)
いた。
頭
(
あたま
)
が
土
(
つち
)
に
突進
(
とつしん
)
する。
脚
(
あし
)
が
盛
(
さかん
)
に
土
(
つち
)
をはねのける。それは
靜
(
しづか
)
に
差
(
さ
)
した
明
(
あか
)
るい
秋
(
あき
)
の
日差
(
ひざし
)
の
中
(
なか
)
に
涙
(
なみだ
)
の
熱
(
あつ
)
くなるやうな
努力
(
どりよく
)
に
見
(
み
)
えた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
流れゆく水
靜
(
しづか
)
にて
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
まだ
暮果
(
くれは
)
てず
明
(
あかる
)
いのに、
濡
(
ぬ
)
れつゝ、ちらちらと
灯
(
ひとも
)
れた
電燈
(
でんとう
)
は、
燕
(
つばめ
)
を
魚
(
さかな
)
のやうに
流
(
なが
)
して、
靜
(
しづか
)
な
谿川
(
たにがは
)
に
添
(
そ
)
つた。
流
(
ながれ
)
は
細
(
ほそ
)
い。
城崎を憶ふ
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
氣
(
き
)
に
逆
(
さか
)
らつてもならぬからとて
義母
(
はゝ
)
が
手
(
て
)
づから
與
(
あた
)
へられし
皮蒲團
(
かはぶとん
)
を
貰
(
もら
)
ひて、
枕
(
まくら
)
もとを
少
(
すこ
)
し
遠
(
とほ
)
ざかり、
吹
(
ふ
)
く
風
(
かぜ
)
を
背
(
せ
)
にして
柱
(
はしら
)
の
際
(
きは
)
に
默然
(
もくねん
)
として
居
(
ゐ
)
る
父
(
ちゝ
)
に
向
(
むか
)
ひ、
靜
(
しづか
)
に
一
(
ひと
)
つ
二
(
ふた
)
つ
詞
(
ことば
)
を
交
(
まじ
)
へぬ。
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
それに
聞
(
き
)
くともなく耳を
傾
(
かたむ
)
けながら、青木さんは
靜
(
しづか
)
に
煙草
(
たばこ
)
をふかし、
奧
(
おく
)
さんは
針
(
はり
)
の
手
(
て
)
を休めたまま、
互
(
たがひ
)
にうつとりと今までの空
想
(
さう
)
の
跡
(
あと
)
を
追
(
お
)
つてゐたが、その空
想
(
さう
)
はなぜかだんだんに
影
(
かげ
)
を
薄
(
うす
)
めて
行
(
い
)
つた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
と
靜
(
しづか
)
な
聲
(
こゑ
)
で、
慰
(
なぐさ
)
めるやうに
窓
(
まど
)
から
云
(
い
)
つたが、
其
(
そ
)
の
一言
(
ひとこと
)
から
冷
(
つめ
)
たくなりさうに、
妙
(
めう
)
に
身
(
み
)
に
染
(
し
)
みて、
唯吉
(
たゞきち
)
は
寂
(
さび
)
しく
聞
(
き
)
いた。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
……
話
(
はなし
)
が
騷々
(
さう/″\
)
しい。……
些
(
ち
)
と
靜
(
しづか
)
にしよう。それでなくてさへのぼせて
不可
(
いけな
)
い。あゝ、しかし
陰氣
(
いんき
)
に
成
(
な
)
ると
氣
(
き
)
が
滅入
(
めい
)
る。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
なだらかに
流
(
なが
)
れて、
薄
(
うす
)
いけれども
平
(
たひら
)
に
日
(
ひ
)
を
包
(
つゝ
)
むと、
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
は
靜
(
しづか
)
に
成
(
な
)
つて、そして、
少
(
すこ
)
し
薄暗
(
うすぐら
)
い
影
(
かげ
)
が
渡
(
わた
)
りました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
屋號
(
やがう
)
、
樓稱
(
ろうしよう
)
(
川
(
かは
)
。)と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
、(
松
(
まつ
)
。)と
云
(
い
)
ふ
字
(
じ
)
、
藍
(
あゐ
)
に、
紺染
(
こんぞめ
)
、
暖簾
(
のれん
)
靜
(
しづか
)
に(
必
(
かならず
)
。)と
云
(
い
)
ふ
形
(
かたち
)
のやうに、
結
(
むす
)
んでだらりと
下
(
さ
)
げた
蔭
(
かげ
)
にも、
覗
(
のぞ
)
く
島田髷
(
しまだ
)
は
見
(
み
)
えなんだ。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
水
(
みづ
)
を
打
(
う
)
つたとは
此
(
こ
)
の
事
(
こと
)
、
停車場
(
ステエシヨン
)
は
割
(
わり
)
に
靜
(
しづか
)
で、しつとりと
構内
(
こうない
)
一面
(
いちめん
)
に
濡
(
ぬ
)
れて
居
(
ゐ
)
る。
赤帽君
(
あかばうくん
)
に
荷物
(
にもつ
)
を
頼
(
たの
)
んで、
廣
(
ひろ
)
い
處
(
ところ
)
をずらりと
見渡
(
みわた
)
したが、
約束
(
やくそく
)
の
同伴
(
つれ
)
はまだ
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ない。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
女持
(
をんなもち
)
の
銀煙管
(
ぎんぎせる
)
で、
時々
(
とき/″\
)
、
庭
(
には
)
を
指
(
さ
)
し、
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
をさしなどして、
何
(
なに
)
か
話
(
はな
)
しながら、
靜
(
しづか
)
に
煙草
(
たばこ
)
を
燻
(
くゆ
)
らす。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
金鍔
(
きんつば
)
は
二錢
(
にひやく
)
で
四個
(
よんこ
)
あつた。
四海
(
しかい
)
波
(
なみ
)
靜
(
しづか
)
にして
俥
(
くるま
)
の
上
(
うへ
)
の
花見
(
はなみ
)
のつもり。いや
何
(
ど
)
うも
話
(
はなし
)
にならぬ。が
此
(
こ
)
の
意氣
(
いき
)
を
以
(
もつ
)
てして
少々
(
せう/\
)
工面
(
くめん
)
のいゝ
連中
(
れんぢう
)
、
誰
(
たれ
)
か
自動車
(
じどうしや
)
……
圓
(
ゑん
)
タクでも
可
(
い
)
い。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
恍惚
(
うつとり
)
ともの
思
(
おも
)
はしげな
顏
(
かほ
)
をして
手
(
て
)
をなよ/\と
忘
(
わす
)
れたやうに、
靜
(
しづか
)
に、
絲車
(
いとぐるま
)
を
𢌞
(
まは
)
して
居
(
ゐ
)
ました。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
靜
部首:⾭
16画
“靜”を含む語句
靜寂
寢靜
靜穩
安靜
心靜
閑靜
物靜
冷靜
動靜
寂靜
靜歌
靜心
靜乎
御靜
鎭靜劑
靜謐
靜止
靜岡
靜肅
平靜
...