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暮果
まだ
暮果てず
明いのに、
濡れつゝ、ちらちらと
灯れた
電燈は、
燕を
魚のやうに
流して、
靜な
谿川に
添つた。
流は
細い。
冬の日は全く
暮果て雪解の
泥濘は寒風に吹かれてもう凍っている。
取直して
快よく
獻つ
酬れつ
飮居たりしが何時しか日さへ
暮果て兩人共
睡眠の氣ざし
肱を
枕にとろ/\と
睡むともなしに
寢入しが早三
更の
頃靱負は
不※起上り其のまゝ爰を
去にける不仕合せも
續けば續くものにて
惣領の松吉も
風邪の心地とて打臥しが是も程なく
冥土の客となりしかば跡に殘りし母と
嫁の悲歎云うばかりなく涙に
暮果暗夜に
燈火を