段々だん/\)” の例文
が、かれ年月としつきつとともに、此事業このじげふ單調たんてうなのと、明瞭あきらかえきいのとをみとめるにしたがつて、段々だん/\きてた。かれおもふたのである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
手拭てぬぐひひたたびちひさな手水盥てうずだらひみづつきまつたかげうしなつてしばらくすると手水盥てうずだらひ周圍しうゐからあつまやう段々だん/\つきかたちまとまつてえてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
番頭久八は大いに驚き主人五兵衞へ段々だん/\詫言わびごとに及び千太郎には厚く異見いけんを加へ彼方あち此方こち執成とりなしければ五兵衞も漸々やう/\いかりを治め此後を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
君子くんし庖廚はうちうことになんぞ、くわんしないでたが、段々だん/\ちやり、座敷ざしきおよんで、たな小棚こだなきまはし、抽斗ひきだしをがたつかせる。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかるに政府せいふ海外かいぐわい保有ほいうして對外資金たいぐわいしきん段々だん/\減少げんせうしてて、六千萬圓まんゑんばかりになつたため段々だん/\爲替相場かはせさうばさがつてたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
左様さうですな」と矢っ張りらない答をした。ちゝはじつと代助を見てゐたが、段々だん/\しわの多いひたひくもらした。あには仕方なしに
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
すると相応さうおうあきなひもあるから、あきなだかうちよりめて置いて、これを多助なすけあづけたのが段々だん/\つもつて、二百りやうばかりになつた。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
議場ぎぜう政治家せいちかでも、両国れうこく土俵とへう力士りきしでも、伝統的でんとうてきなものがほろびて、段々だん/\小粒こつぶになつてるのにも不思議ふしぎはない。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼等かれらはるかずして、遠方ゑんぱう海龜うみがめが、爼形まないたなりちひさないはうへに、かなしさうにもまたさびしさうにすわつてるのをました、彼等かれら段々だん/\近寄ちかよつてとき
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すなは海水かいすい段々だん/\せまくなる港灣こうわんながむことになり、したがつて沖合おきあひではたかわづか一二尺いちにしやくにすぎなかつた津浪つなみも、港灣こうわんおくおいては數十尺すうじつしやくたかさとなるのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
るとお前は中々此の望をとげさせて呉れるやうな女ぢやない、で段々だん/\飽いて來るやうになツたんだ。お前も間尺ましやくに合はんと思ツてゐるだらうが、おれつまらんさ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
畢竟つまり売捌うりさばきの方法が疎略そりやくであつたために、勘定かんじやう合つてぜにらずで、毎号まいがう屹々きつ/\印刷費いんさつひはらつて行つたのが、段々だん/\不如意ふによいつて、二号にがうおくれ三がうおくれとおはれる有様ありさま
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
食物しよくもつことついて、すこかんじたことりますから貴婦人方あなたがた御噺おはないたしますが、いま宮本みやもとさんから、段々だん/\御噺おはなしがツて、兒護婦こもり不注意ふちういより、子供こども種々しゆ/″\もの
まへさまのことよろしくおたみ承知しようちしてればすこしも心配しんぱいことはあらず、たヾこれまでとちがひて段々だん/\大人おとなになり世間せけん交際つきあいらねばならず、だい一に六づかしきはひと機嫌きげんなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
まるつか段々だん/\をつけたようなかたち出來できてまゐりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そこで段々だん/\こわくなり
鸚鵡:(フランス) (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
本部ほんぶ段々だん/\
本部の段々で (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
勘次かんじたゞしなにのみこがれてたのであるが、段々だん/\日數ひかずつて不自由ふじいうかんずるとともみゝそばだてゝさういふはなしくやうにつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二間ふたま三間みま段々だん/\次第しだいおくふかると……燈火ともしびしろかげほのかにさして、まへへ、さつくれなゐすだれなびく、はなかすみ心地こゝち
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勾引かどはかしはいたしませんが彼は友達の松五郎と云が連來つれきたりまして我姪わがめひなりと段々だん/\たのみまする故據ろなく三浦屋は私し名前にして賣込うりこみたる趣きを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其中そのうちまた拍子木ひやうしぎを、二ツ打ち三ツ打ち四ツ打つやうになつて来ると、四ツつじ楽隊がくたい喇叭らつぱれて段々だん/\近くきこえまする。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
段々だん/\集注しふちゆうしてかたまつて、仕舞しまひてつぼうやうにならなくては駄目だめだとつた。さうことけばほど實際じつさいにさうなるのが、困難こんなんになつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなし段々だん/\すゝんだ。わたし詰問きつもんたいして、つまは一ととほり弁解べんかいをしてから、それこひふほどではなかつたと説明せつめいする。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
わりさがつてつた爲替相場かはせさうば貿易ぼうえき改善かいぜんせらるゝにしたがつて段々だん/\騰貴とうきして十一ぐわつ二十一にち短期期限附たんききげんづき金解禁きんかいきん發表前はつぺうぜんには四十八ドルぶんの一となつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
イワン、デミトリチははじめのうち院長ゐんちやう野心やしんでもるのではいかとうたがつて、かれ左右とかくとほざかつて、不愛想ぶあいさうにしてゐたが、段々だん/\れて、つひにはまつた素振そぶりへたのでつた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
可哀相かあいさうに!それはあとまつりでした!あいちやんは段々だん/\おほきくなるばかり、ゆかうへひざまづかなければならなくなつて、其爲そのため部屋へやたちまち一すん隙間すきまもないほどになりました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
段々だん/\べへらして天秤てんびんまで仕義しぎになれば、表店おもてだな活計くらしたちがたく、つき五十せん裏屋うらや人目ひとめはぢいとふべきならず、また時節じせつらばとて引越ひきこしも無慘むざんくるまするは病人びやうほんばかり
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
段々だん/\追想つひさうして見ると、の九年間の硯友社けんいうしやおよ社中しやちう変遷へんせんおびたゞしいもので、書くき事も沢山たくさん有れば書かれぬ事も沢山たくさんある、なか/\面白おもしろい事も有れば、面白おもしろくない事も有る、成効せいかうあり
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
近頃ちかごろわがくににはアメリカふう高層建築物こうそうけんちくぶつ段々だん/\増加ぞうかしつゝある。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
ねむくはないので、ぱちくり/\いてても、ものまぼろしえるやうになつて、天井てんじやうかべ卓子テエブルあし段々だん/\えて心細こゝろぼそさ。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おらがとこちつともこらはなんねえんだよやうねえやうだよ本當ほんたうに」おつぎはもう段々だん/\あまつて與吉よきちひざにしていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
めぐらし段々だん/\きけば丁山小夜衣の兩人共に追々おひ/\全盛ぜんせいに成て朝夕あしたゆふべに通ひ來る客も絶間たえまなく吉原にても今は一二と呼るゝとのうはさを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そのうちとし段々だん/\片寄かたよつて、よる世界せかい三分さんぶんりやうするやうつまつてた。かぜ毎日まいにちいた。其音そのおといてゐるだけでも、生活ライフ陰氣いんきひゞきあたへた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
長椅子ながいすうへよこになつたり、さうしてくひしばつてゐるのであるが、れが段々だん/\度重たびかさなればかさなほどたまらなく、つひには咽喉のどあたりまでがむづ/\してるやうなかんじがしてた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
不安ふあん段々だん/\あがつてた。それ打消うちけさうとするそばから、「あの始終しゞうひと顔色かほいろんでゐるやうなそこには、何等なんらかの秘密ひみつひそんでゐるにちがひない。」と私語さゝやくものがある。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
指図役さしづやくのおかたでございますか、馬乗ばじようれいくだしてられます。四ツつぢところともつてりました電気燈でんきとうが、段々だん/\あかるくなつてると、したがつては西にかたむきましたやうでございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
輸入ゆにふするくに貨幣くわへいでの買値かひね段々だん/\低落ていらくするのであるから買手かひてやすくなるわけである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
するとたちまあいちやんはめう心地きもちがしてたので、うしたことかとはなは不審ふしんおもつてますと、たもや段々だん/\おほきくなりはじめました、あいちやんは最初さいしよあがつて法廷ほふていやうとしましたが
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
段々だん/\むら遠退とほのいて、お天守てんしゆさびしくると、可怪あやし可恐おそろしこと間々まゝるで、あのふねものがいでくと、いま前様めえさまうたがはつせえたとほり……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其所そこ段々だん/\調しらべてて、宗助そうすけ自分じぶんいまかついたことのない事實じじつ發見はつけんしたときに、おもはずおそおどろいた。胎兒たいじ間際まぎはまで健康けんかうであつたのである。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さて是真翁ぜしんをうたく暇乞いとまごひして、すぐ本所ほんじよつて、少し懇意こんいの人があつたから段々だん/\聞いて見ると、ふたの橋のそば金物屋かなものやさんがるから、そこへつて聞いたらわかるだらうとふ。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
のきかず、またまどかずみせかずみち段々だん/\のぼるやうで、家並やなみは、がつくりとかへつてひくい。のき俯向うつむき、屋根やね仰向あふむく。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
所へ知らんひとが突然あらはれた。唐辛子のしてあるいへかげからて、何時いつにか河を向へ渡つたものと見える。二人ふたりすはつてゐる方へ段々だん/\近付いてる。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
新吉の居場処いばしょも聞いたがうっかり逢う訳に参りません、段々だん/\日数ひかずかさなると娘はくよ/\ふさぎ始めました。すると或夜日暮から降出した雨に、少し風が荒く降っかけましたが、門口かどぐちから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ふもとますと、段々だん/\やまなか追込おひこみました。うされるのでございませう。——意甚疑懼こゝろはなはだぎくす然業已賣與無如何しかれどもすでに/\うるまたいかんともすべきなし——
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
雨は段々くなつた。しづくちない場所は僅かしかない。二人ふたり段々だん/\一つ所へかたまつてた。肩と肩とれ合ふ位にして立ちすくんでゐた。雨のおとなかで、美禰子が
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
槍先やりさき功名こうみやうよつ長年ながねん大禄たいろく頂戴ちやうだいしてつたが、これから追々おひ/\なかひらけてるにしたがつて時勢じせい段々だん/\変化へんくわしてまゐるから、なにに一のうそなへたいと考へて、人知ひとしれず医学いがくを研究したよ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
さも/\おとろへたかたちで、永代えいたいはうからながつゞいてるが、いてせんくと、文明ぶんめい程度ていど段々だん/\此方こつちるにしたがうて、屋根越やねごしにぶることがわかるであらう。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
……ころしてなう、と逆上ぎやくじやうするうち、段々だん/\くはしくきますと、をんなが、不思議ふしぎひとふのをきらふ。めう姿すがたかくしたがるのは、の、われらばかりにはかぎらぬ樣子やうす
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
空濠からぼりふではない、が、天守てんしゆむかつた大手おほてあとの、左右さいうつらなる石垣いしがきこそまだたかいが、きしあさく、段々だん/\うもれて、土堤どてけてみちつゝむまであしもりをなして生茂おひしげる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)