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御噺
成れ拙者は
未熟なれども
悴の半四郎は古今の達人なりと
御噺有しが其半四郎先生に今日
御目に
懸らんとは
夢さら存ぜざりしなり又其
御身形は如何なされし事やと
問ひければ半四郎
聞て今も云通り某しは
生質容體には一向
頓着せず人は
容體より只心なり何國へ行にも此通り少しも
構はず只々
蕩樂は酒を
も言はざりしが
漸々にして答るやう如何にも
御噺申せし通り平川天神の
裏門前にて其日の
曉長庵に
逢しに相違これ無ことに付其所は
何處迄も證據人に相立申べし
去ながら
札の
辻の人殺しが長庵と言ふことの證據人には
相立難しと言へば長助
點頭夫は如何にも
承知致しぬ只平川にて其朝まだき長庵に
逢たると言ふことを