兩方りやうはう)” の例文
新字:両方
ついてはなしがある。(さるどのの夜寒よさむひゆくうさぎかな)で、水上みなかみさんも、わたしも、場所ばしよはちがふが、兩方りやうはうとも交代夜番かうたいよばんのせこにてゐる。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
勘次かんじころからおしなのいふなりにるのであつた。二人ふたりとほくはけないので、隣村となりむら知合しりあひとうじた。兩方りやうはう姻戚みよりさわした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
此中四個の表面へうめんには額の部に「一の字」形隆まり有り、また兩方りやうはうみみへんより顎の邊へ掛けて「への字」を倒さにしたるかたの隆まりも有り。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
そして、ばたばた近寄ちかよつて夏繪なつゑ敏樹としきしづかにさせながら、二人ふたり兩方りやうはうからいだきよせたままはち動作どうさながめつゞけてゐた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
それが出來できないんだつて。見積みつもつても兩方りやうはうせると、十ゑんにはなる。十ゑんまとまつた御金おかねを、いまところ月々つき/″\すのはほねれるつてふのよ
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『そんなら福鼠ふくねずみだ!』と彼等かれら二人ふたりさけんで、『きろ、福鼠ふくねずみ!』とひさま、同時どうじ兩方りやうはうからそれをつねりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
天秤棒てんびんぼう兩方りやうはうかた手桶てをけをかついだ近所きんじよ女達をんなたちがそこへ水汲みづくみあつまつてます。みづ不自由ふじいうなところにうまれたとうさんは特別とくべつにその清水しみづのあるところをたのしおもひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
馬籠まごめ貝塚かひづか根方ねがた貝塚かひづかとは、池上街道いけがみかいだうはさんで兩方りやうはうる。しかし、 概たいがい我々われ/\はそれを馬籠まごめもとに一くわつしてる。べつ理由りゆういが、最初さいしよ根方ねがた貝塚かひづかをも、馬籠まごめだとしんじてたからで。
一人ひとりつくばつて、ちひさいのがこしさぐつたがない。ぼろをる、きたな衣服きもので、眼垢めあかを、アノせつせとくらしい、兩方りやうはうそでがひかつてゐた。
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「そんぢや、それせな、かねさんもそれ」かれ二人ふたり茶碗ちやわん自分じぶん交換かうくわんさせて、それを兩方りやうはうわたしてさけいだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
グリフォンはおどろきのあま前足まへあし兩方りやうはうとも持上もちあげました。『醜飾しうしよくなんていたことがないね!』とさけんで、『おまへ裝飾さうしよくするッてなんことだかつてるだらう、え?』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
出京しゆつきやう當座たうざは、大分だいぶん身體からだおとろへてゐたので、御米およね勿論もちろん宗助そうすけもひどく其所そこ氣遣きづかつたが、今度こんどこそはといふはら兩方りやうはうにあつたので、はりのあるつき無事ぶじ段々だん/\かさねてつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
此噐の用はいまだ詳ならざれどこれを手に取りて持ち加減かげんより考ふるに、兩方りやうはうの掌を平らにならべ其上に此噐を受け、掌をひくくして噐のそこに當て、左右の拇指おやゆびを噐の上部にけて噐をさへ
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
と、あがりざま、をつとたか笑聲わらひごゑとともに不意ふい無意識むいしきにそんなことつぶやいた。そして、兩方りやうはう夏繪なつゑ敏樹としき自分じぶんからだはうめるやうにしながら、にはあひだをアトリエのはうあるした。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
屋敷やしき兩方りやうはうまたがつてるといふがらではない。あせだらけの浴衣掛ゆかたがけである。が、實際じつさい此時このとき、四十一番地ばんちじうし、角力すまふ土俵どへうきづいたので、四十番地ばんちをもりてたのだ。大分だいぶ茶番氣ちやばんげがさしてた。
家内かないが。)(家内かないが。)と雙方さうはう同音どうおんつたが==毎々まい/\世話せわに==とふべきところを、同時どうじ兩方りやうはうでのみみの一寸ちよつと默然だんまり
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さうして身體からだがもうてゝけない場合ばあひつたので兩方りやうはう姻戚みよりものでごた/\と協議けふぎおこつた。勘次かんじもおしなそのときたがひあひしたこゝろ鰾膠にべごとつよかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
『さうすれば世話せわがなくていけれど、ねえ!』あはれなちひさなものふたゝ歔欷すゝりなきしました(いやうなりましたが、なんつたのだかわかりませんでした)、そこ兩方りやうはうともしばらくのあひだだまつてゐました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
屋敷やしき兩方りやうはうまたがつてる』
いまではふたゝび、もとのとほこずゑたかし、しげつてる。暴風雨ばうふううまへ二三年にさんねん引續ひきつゞいて、兩方りやうはう無數むすう椋鳥むくどりれてた。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
自棄やけ突立つゝたつて、胴體どうたいドタンと投出なげだすばかり、四枚よまい兩方りやうはうひきずりけた、ひぢかけまどへ、ねるやうに突掛つゝかゝつて
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
貴方あなた、おをおください。家内かないとは一方ひとかたならぬ。」とひかけていやかほもしないが、をんな兩方りやうはう見較みくらべながら
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まい……二まい、と兩方りやうはうで、ペエジをやツつ、とツつして、眠氣ねむけざましにこゑしてんでたが、けて、可恐おそろしく陰氣いんきとざされると、ひくこゑさへ
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、其處そこからひざんで、枕許まくらもとへふら/\と、りたんです。わきした兩方りやうはうを、背後うしろからなんですか、おほきくろふたて、ゑてつてたんです。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二階にかい階子壇はしごだん一番いつちうへ一壇目いちだんめ……とおもところへ、欄間らんまはしら眞黒まつくろに、くツきりとそらにして、そで欄干摺てすりずれに……ときは、いお納戸なんどと、うすちやと、左右さいう兩方りやうはう
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
部屋へや四疊よでふけた。薄暗うすぐらたてなが一室いつしつ兩方りやうはうふすま何室どつちほか座敷ざしき出入でいり出來できる。つまおくはうから一方いつぱうふすまけて、一方いつぱうふすまから玄關げんくわん通拔とほりぬけられるのであつた。
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ゆきしづむ……しろがねくし照々てら/\と、兩方りやうはうびんに十二まい黄金こがねかんざしたま瓔珞やうらくはら/\と、おぢやうさん。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鄰村となりむら空臼からうするほどのおとがすればしたで、あわたゞしくつて、兩方りやうはうそらうかゞはないではられない。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
空模樣そらもやうあやしくつて、うも、ごろ/\とさうだとおもふと、可恐こはいものたさで、わるいとつた一方いつぱう日光につくわう一方いつぱう甲州かふしう兩方りやうはうを、一時いちじのぞかずにはられないからで。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つたものの、兩方りやうはうで、つくゑをずつて、ごそ/\と火鉢ひばち噛着かじりついて、ひつたりと寄合よりあはす。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
飯坂いひざかと、温泉をんせんは、はしひとへだてるのであるが、摺上川すりかみがはなかにして兩方りやうはうから宿やどうらの、小部屋こべや座敷ざしきも、おたがひふのが名所めいしよともふべきである……と、のちいた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それ片手かたてかくしたけれども、あしのあたりをふるはすと、あゝ、とつて兩方りやうはうくうつかむとすそげて、弓形ゆみなりらして、掻卷かいまきて、ころがるやうにふすまけた。……
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩方りやうはうかた兩袖りやうそで一所いつしよ一寸ちよつとゆすつて、内懷うちぶところ紙入かみいれから十圓じふゑんなり、やつぱり一錢いつせんいたゞいた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
じつは、じやくを、こめ兩方りやうはうくばつたかゆいて、以前いぜん紅葉先生こうえふせんせいしかられたものがある。「手前勝手てまへがつてこしらへやがつて——先人せんじんたいして失禮しつれいだ。」そのしかられたのはわたしかもれない。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さか兩方りやうはうは、見上みあげてみねごと高臺たかだいのなだれたがけで、……とき長頭ながあたまおもてけたはうは、そらに一二けん長屋立ながやだてあたか峠茶屋たうげぢややかたちに、しもよ、ともやのたゝまりんだ、枯草かれくさうへ
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「まあ、勿體もつたいないわねえ、私達わたしたちなんのおまへさん……」といひかけて、つく/″\みまもりながら、おしなはづツとつて、與吉よきちむかひ、襷懸たすきがけの綺麗きれいかひなを、兩方りやうはう大袈裟おほげさつてせた。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かすり衣服きものの、あの弟御おとうとごが、廂帽子ひさしばうしよこツちよに、土間どま駈足かけあしで、母樣おつかさん使つかひて、伸上のびあがるやうにして布施ふせするから、大柄おほがら老道者らうだうじやは、こしげて、つゑつたたなそこけて、やつこ兩方りやうはう
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしたにも、生命いのちをしさに、はれたとほりにふさぎましたあとは、すそうづのやうにあしあふつてからみつきますのと、兩方りやうはうみゝかぜあたつて、飄々へう/\りましたのばかりをおぼえてります。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩方りやうはうあひだには、そでむすんでまとひつくやうに、ほんのりとならぬかをりたゞよふ。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みとめたが、萎々なえ/\として、兩方りやうはう左右さいうから、一人ひとり一方いつぱうひざうへへ、一人ひとり一方いつぱうの、おくれみだれたかたへ、そでおもてをひたとおほうたまゝ、寄縋よりすが抱合いだきあふやうに、俯伏うつぶしにつてなやましげである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩方りやうはうのふちをはさんで、雜草ざつさう植込うゑこんだのが、やがて、蚊帳かやつりぐさになり、露草つゆくさになり、紅蓼べにたでになつて、なつのはじめから、朝露あさつゆ夕露ゆふつゆ、……よる姿すがたかくれても、つきおもかげいろ宿やどして、むしこゑさへ
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
むらかゝると、降積ふりつもつた大竹藪おほたけやぶ弓形ゆみなりあつしたので、眞白まつしろ隧道トンネルくゞときすゞめが、ばら/\と千鳥ちどり兩方りやうはう飛交とびかはして小蓑こみのみだつばさに、あゐ萌黄もえぎくれなゐの、おぼろ蝋燭らふそくみだれたのは、ひわ山雀やまがらうそ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
對岸たいがん(——はしわたつてくるまはら宿しゆくうら眞正面ましやうめんさかのぼる——)に五層ごそう七層しちそうつらねたなかに、一所ひとところむねむねとのたか切目きれめに、もみけやきか、おほいなる古木こぼく青葉あをばいて、こずゑから兩方りやうはうむねにかゝり
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たこみないかとのみふ。あふぎ地紙形ぢがみがたに、兩方りやうはうたもとをふくらましたるかたち大々だい/\小々せう/\いろ/\あり。いづれもきんぎんあをこんにて、まるほしかざりたり。關東くわんとうたこはなきにあらず、づけて升凧ますいかへり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
おやとおもふとはすかひに、兩方りやうはうひらいて、ギクリ、シヤクリ、ギクリ、シヤクリとしながら、後退あともどりをするやうにして、あ、あ、とおもふうちに、スーと、あのえんつきあたりの、戸袋とぶくろすみえるんです。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
卓子テエブル其處そこへ、花片はなびらつばさ兩方りやうはう燃立もえたつやうに。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
驛員等えきゐんら兩方りやうはうへ。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)