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兩方
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りやうはう
ふりがな文庫
“
兩方
(
りやうはう
)” の例文
新字:
両方
ついて
話
(
はな
)
しがある。(
猿
(
さる
)
どのの
夜寒
(
よさむ
)
訪
(
と
)
ひゆく
兎
(
うさぎ
)
かな)で、
水上
(
みなかみ
)
さんも、
私
(
わたし
)
も、
場所
(
ばしよ
)
はちがふが、
兩方
(
りやうはう
)
とも
交代夜番
(
かうたいよばん
)
のせこに
出
(
で
)
てゐる。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
からお
品
(
しな
)
のいふなりに
成
(
な
)
るのであつた。
二人
(
ふたり
)
は
遠
(
とほ
)
くは
行
(
ゆ
)
けないので、
隣村
(
となりむら
)
の
知合
(
しりあひ
)
へ
身
(
み
)
を
投
(
とう
)
じた。
兩方
(
りやうはう
)
の
姻戚
(
みより
)
が
騷
(
さわ
)
ぎ
出
(
だ
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此中四個の
表面
(
へうめん
)
には額の部に「一の字」形隆まり有り、
又
(
また
)
兩方
(
りやうはう
)
の
耳
(
みみ
)
の
邊
(
へん
)
より顎の邊へ掛けて「への字」を倒さにしたる
形
(
かた
)
の隆まりも有り。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
そして、ばたばた
近寄
(
ちかよ
)
つて
來
(
き
)
た
夏繪
(
なつゑ
)
と
敏樹
(
としき
)
を
靜
(
しづか
)
にさせながら、
二人
(
ふたり
)
を
兩方
(
りやうはう
)
から
抱
(
いだ
)
きよせたまま
蜂
(
はち
)
の
動作
(
どうさ
)
を
眺
(
なが
)
めつゞけてゐた。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それが
出來
(
でき
)
ないんだつて。
何
(
ど
)
う
見積
(
みつも
)
つても
兩方
(
りやうはう
)
寄
(
よ
)
せると、十
圓
(
ゑん
)
にはなる。十
圓
(
ゑん
)
と
云
(
い
)
ふ
纏
(
まとま
)
つた
御金
(
おかね
)
を、
今
(
いま
)
の
所
(
ところ
)
月々
(
つき/″\
)
出
(
だ
)
すのは
骨
(
ほね
)
が
折
(
を
)
れるつて
云
(
い
)
ふのよ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
『そんなら
福鼠
(
ふくねずみ
)
だ!』と
彼等
(
かれら
)
二人
(
ふたり
)
は
叫
(
さけ
)
んで、『
起
(
お
)
きろ、
福鼠
(
ふくねずみ
)
!』と
云
(
い
)
ひさま、
同時
(
どうじ
)
に
兩方
(
りやうはう
)
からそれを
抓
(
つね
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
天秤棒
(
てんびんぼう
)
で
兩方
(
りやうはう
)
の
肩
(
かた
)
に
手桶
(
てをけ
)
をかついだ
近所
(
きんじよ
)
の
女達
(
をんなたち
)
がそこへ
水汲
(
みづくみ
)
に
集
(
あつ
)
まつて
來
(
き
)
ます。
水
(
みづ
)
の
不自由
(
ふじいう
)
なところに
生
(
うま
)
れた
父
(
とう
)
さんは
特別
(
とくべつ
)
にその
清水
(
しみづ
)
のあるところを
樂
(
たのし
)
く
思
(
おも
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
馬籠
(
まごめ
)
の
貝塚
(
かひづか
)
と
根方
(
ねがた
)
の
貝塚
(
かひづか
)
とは、
池上街道
(
いけがみかいだう
)
を
挾
(
はさ
)
んで
兩方
(
りやうはう
)
に
有
(
あ
)
る。
併
(
しか
)
し、
概
たいがい
我々
(
われ/\
)
はそれを
馬籠
(
まごめ
)
の
名
(
な
)
の
下
(
もと
)
に一
括
(
くわつ
)
して
居
(
ゐ
)
る。
別
(
べつ
)
に
理由
(
りゆう
)
は
無
(
な
)
いが、
最初
(
さいしよ
)
は
根方
(
ねがた
)
の
貝塚
(
かひづか
)
をも、
馬籠
(
まごめ
)
だと
信
(
しん
)
じて
居
(
ゐ
)
たからで。
探検実記 地中の秘密:04 馬籠と根方
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
と
一人
(
ひとり
)
が
踞
(
つくば
)
つて、
小
(
ちひ
)
さいのが
腰
(
こし
)
を
探
(
さぐ
)
つたがない。ぼろを
着
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
る、
汚
(
きたな
)
い
衣服
(
きもの
)
で、
眼垢
(
めあか
)
を、アノせつせと
拭
(
ふ
)
くらしい、
兩方
(
りやうはう
)
の
袖
(
そで
)
がひかつてゐた。
迷子
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そんぢや、それ
干
(
ほ
)
せな、
兼
(
かね
)
さんもそれ」
彼
(
かれ
)
は
二人
(
ふたり
)
の
茶碗
(
ちやわん
)
を
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
で
交換
(
かうくわん
)
させて、それを
兩方
(
りやうはう
)
へ
渡
(
わた
)
して
酒
(
さけ
)
を
注
(
つ
)
いだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
グリフォンは
驚
(
おどろ
)
きの
餘
(
あま
)
り
其
(
そ
)
の
前足
(
まへあし
)
を
兩方
(
りやうはう
)
とも
持上
(
もちあ
)
げました。『
醜飾
(
しうしよく
)
なんて
聞
(
き
)
いたことがないね!』と
叫
(
さけ
)
んで、『お
前
(
まへ
)
は
裝飾
(
さうしよく
)
するッて
何
(
なん
)
の
事
(
こと
)
だか
知
(
し
)
つてるだらう、え?』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
出京
(
しゆつきやう
)
の
當座
(
たうざ
)
は、
大分
(
だいぶん
)
身體
(
からだ
)
が
衰
(
おと
)
ろへてゐたので、
御米
(
およね
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
宗助
(
そうすけ
)
もひどく
其所
(
そこ
)
を
氣遣
(
きづか
)
つたが、
今度
(
こんど
)
こそはといふ
腹
(
はら
)
は
兩方
(
りやうはう
)
にあつたので、
張
(
はり
)
のある
月
(
つき
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
段々
(
だん/\
)
と
重
(
かさ
)
ねて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
此噐の用は
未
(
いま
)
だ詳ならざれど
之
(
これ
)
を手に取りて持ち
加減
(
かげん
)
より考ふるに、
兩方
(
りやうはう
)
の掌を平らに
並
(
なら
)
べ其上に此噐を受け、掌を
凹
(
ひく
)
くして噐の
底
(
そこ
)
に當て、左右の
拇指
(
おやゆび
)
を噐の上部に
掛
(
か
)
けて噐を
押
(
お
)
さへ
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
と、
立
(
た
)
ち
上
(
あが
)
りざま、
夫
(
をつと
)
は
高
(
たか
)
い
笑聲
(
わらひごゑ
)
とともに
不意
(
ふい
)
に
無意識
(
むいしき
)
にそんな
事
(
こと
)
を
呟
(
つぶや
)
いた。そして、
兩方
(
りやうはう
)
の
手
(
て
)
で
夏繪
(
なつゑ
)
と
敏樹
(
としき
)
を
自分
(
じぶん
)
の
體
(
からだ
)
の
方
(
はう
)
へ
引
(
ひ
)
き
締
(
し
)
めるやうにしながら、
庭
(
には
)
の
樹
(
き
)
の
間
(
あひだ
)
をアトリエの
方
(
はう
)
へ
歩
(
ある
)
き
出
(
だ
)
した。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
屋敷
(
やしき
)
が
兩方
(
りやうはう
)
に
跨
(
また
)
がつて
居
(
ゐ
)
るといふ
柄
(
がら
)
ではない。
汗
(
あせ
)
だらけの
浴衣掛
(
ゆかたが
)
けである。が、
實際
(
じつさい
)
余
(
よ
)
は
此時
(
このとき
)
、四十一
番地
(
ばんち
)
に
住
(
じう
)
し、
角力
(
すまふ
)
の
土俵
(
どへう
)
を
築
(
きづ
)
いたので、四十
番地
(
ばんち
)
をも
借
(
か
)
りて
居
(
ゐ
)
たのだ。
大分
(
だいぶ
)
茶番氣
(
ちやばんげ
)
がさして
來
(
き
)
た。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
(
家内
(
かない
)
が。)(
家内
(
かない
)
が。)と
雙方
(
さうはう
)
同音
(
どうおん
)
に
云
(
い
)
つたが==
毎々
(
まい/\
)
お
世話
(
せわ
)
に==と
云
(
い
)
ふべき
處
(
ところ
)
を、
同時
(
どうじ
)
に
兩方
(
りやうはう
)
でのみ
込
(
こ
)
みの
一寸
(
ちよつと
)
默然
(
だんまり
)
。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さうして
身體
(
からだ
)
がもう
棄
(
す
)
てゝ
置
(
お
)
けない
場合
(
ばあひ
)
に
成
(
な
)
つたので
兩方
(
りやうはう
)
の
姻戚
(
みより
)
の
者
(
もの
)
でごた/\と
協議
(
けふぎ
)
が
起
(
おこ
)
つた。
勘次
(
かんじ
)
もお
品
(
しな
)
も
其
(
その
)
時
(
とき
)
互
(
たがひ
)
に
相
(
あひ
)
慕
(
した
)
ふ
心
(
こゝろ
)
が
鰾膠
(
にべ
)
の
如
(
ごと
)
く
強
(
つよ
)
かつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『さうすれば
世話
(
せわ
)
がなくて
可
(
い
)
いけれど、ねえ!』
憐
(
あは
)
れな
小
(
ちひ
)
さな
物
(
もの
)
が
再
(
ふたゝ
)
び
歔欷
(
すゝりなき
)
しました(
否
(
いや
)
、
唸
(
うな
)
りましたが、
何
(
なん
)
と
云
(
い
)
つたのだか
解
(
わか
)
りませんでした)、
乃
(
そこ
)
で
兩方
(
りやうはう
)
とも
暫
(
しばら
)
くの
間
(
あひだ
)
默
(
だま
)
つてゐました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
『
屋敷
(
やしき
)
は
兩方
(
りやうはう
)
に
跨
(
また
)
がつて
居
(
ゐ
)
る』
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
今
(
いま
)
では
再
(
ふたゝ
)
び、もとの
通
(
とほ
)
り
梢
(
こずゑ
)
も
高
(
たか
)
し、
茂
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
其
(
そ
)
の
暴風雨
(
ばうふうう
)
の
前
(
まへ
)
、
二三年
(
にさんねん
)
引續
(
ひきつゞ
)
いて、
兩方
(
りやうはう
)
の
樹
(
き
)
へ
無數
(
むすう
)
の
椋鳥
(
むくどり
)
が
群
(
む
)
れて
來
(
き
)
た。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
自棄
(
やけ
)
に
突立
(
つゝた
)
つて、
胴體
(
どうたい
)
ドタンと
投出
(
なげだ
)
すばかり、
四枚
(
よまい
)
を
兩方
(
りやうはう
)
へ
引
(
ひき
)
ずり
開
(
あ
)
けた、
肱
(
ひぢ
)
かけ
窓
(
まど
)
へ、
拗
(
す
)
ねるやうに
突掛
(
つゝかゝ
)
つて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
貴方
(
あなた
)
、お
手
(
て
)
をお
擧
(
あ
)
げ
下
(
くだ
)
さい。
家内
(
かない
)
とは
一方
(
ひとかた
)
ならぬ。」と
云
(
い
)
ひかけて
厭
(
いや
)
な
顏
(
かほ
)
もしないが、
婦
(
をんな
)
と
兩方
(
りやうはう
)
を
見較
(
みくら
)
べながら
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
一
枚
(
まい
)
……二
枚
(
まい
)
、と
兩方
(
りやうはう
)
で、ペエジを
遣
(
やツ
)
つ、
取
(
とツ
)
つして、
眠氣
(
ねむけ
)
ざましに
聲
(
こゑ
)
を
出
(
だ
)
して
讀
(
よ
)
んで
居
(
ゐ
)
たが、
恁
(
か
)
う
夜
(
よ
)
が
更
(
ふ
)
けて、
可恐
(
おそろ
)
しく
陰氣
(
いんき
)
に
閉
(
とざ
)
されると、
低
(
ひく
)
い
聲
(
こゑ
)
さへ
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
其處
(
そこ
)
から
膝
(
ひざ
)
に
手
(
て
)
を
組
(
く
)
んで、
枕許
(
まくらもと
)
へふら/\と、
下
(
お
)
りたんです。
其
(
そ
)
の
脇
(
わき
)
の
下
(
した
)
の
兩方
(
りやうはう
)
を、
背後
(
うしろ
)
から
何
(
なん
)
ですか、
大
(
おほき
)
な
黒
(
くろ
)
い
手
(
て
)
が
二
(
ふた
)
ツ
出
(
で
)
て、
据
(
す
)
ゑて
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
たんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二階
(
にかい
)
の
階子壇
(
はしごだん
)
の
一番
(
いつち
)
上
(
うへ
)
の
一壇目
(
いちだんめ
)
……と
思
(
おも
)
ふ
處
(
ところ
)
へ、
欄間
(
らんま
)
の
柱
(
はしら
)
を
眞黒
(
まつくろ
)
に、くツきりと
空
(
そら
)
にして、
袖
(
そで
)
を
欄干摺
(
てすりず
)
れに……
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
は、
濃
(
こ
)
いお
納戸
(
なんど
)
と、
薄
(
うす
)
い
茶
(
ちや
)
と、
左右
(
さいう
)
に
兩方
(
りやうはう
)
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
部屋
(
へや
)
は
四疊
(
よでふ
)
敷
(
し
)
けた。
薄暗
(
うすぐら
)
い
縱
(
たて
)
に
長
(
なが
)
い
一室
(
いつしつ
)
、
兩方
(
りやうはう
)
が
襖
(
ふすま
)
で
何室
(
どつち
)
も
他
(
ほか
)
の
座敷
(
ざしき
)
へ
出入
(
でいり
)
が
出來
(
でき
)
る。
詰
(
つま
)
り
奧
(
おく
)
の
方
(
はう
)
から
一方
(
いつぱう
)
の
襖
(
ふすま
)
を
開
(
あ
)
けて、
一方
(
いつぱう
)
の
襖
(
ふすま
)
から
玄關
(
げんくわん
)
へ
通拔
(
とほりぬ
)
けられるのであつた。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雪
(
ゆき
)
の
香
(
か
)
が
沈
(
しづ
)
む……
銀
(
しろがね
)
の
櫛
(
くし
)
照々
(
てら/\
)
と、
兩方
(
りやうはう
)
の
鬢
(
びん
)
に十二
枚
(
まい
)
の
黄金
(
こがね
)
の
簪
(
かんざし
)
、
玉
(
たま
)
の
瓔珞
(
やうらく
)
はら/\と、お
孃
(
ぢやう
)
さん。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
鄰村
(
となりむら
)
で
空臼
(
からうす
)
を
磨
(
す
)
るほどの
音
(
おと
)
がすればしたで、
慌
(
あわたゞ
)
しく
起
(
た
)
つて、
兩方
(
りやうはう
)
の
空
(
そら
)
を
窺
(
うかゞ
)
はないでは
居
(
ゐ
)
られない。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
空模樣
(
そらもやう
)
が
怪
(
あや
)
しくつて、
何
(
ど
)
うも、ごろ/\と
來
(
き
)
さうだと
思
(
おも
)
ふと、
可恐
(
こは
)
いもの
見
(
み
)
たさで、
惡
(
わる
)
いと
知
(
し
)
つた
一方
(
いつぱう
)
は
日光
(
につくわう
)
、
一方
(
いつぱう
)
は
甲州
(
かふしう
)
、
兩方
(
りやうはう
)
を、
一時
(
いちじ
)
に
覗
(
のぞ
)
かずには
居
(
ゐ
)
られないからで。
番茶話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
云
(
い
)
つたものの、
兩方
(
りやうはう
)
で、
机
(
つくゑ
)
をずつて、ごそ/\と
火鉢
(
ひばち
)
に
噛着
(
かじりつ
)
いて、ひつたりと
寄合
(
よりあ
)
はす。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
飯坂
(
いひざか
)
と、
此
(
こ
)
の
温泉
(
をんせん
)
は、
橋
(
はし
)
一
(
ひと
)
つ
隔
(
へだ
)
てるのであるが、
摺上川
(
すりかみがは
)
を
中
(
なか
)
にして
兩方
(
りやうはう
)
から
湯
(
ゆ
)
の
宿
(
やど
)
の
裏
(
うら
)
の、
小部屋
(
こべや
)
も
座敷
(
ざしき
)
も、お
互
(
たがひ
)
に
見
(
み
)
え
合
(
あ
)
ふのが
名所
(
めいしよ
)
とも
言
(
い
)
ふべきである……と、
後
(
のち
)
に
聞
(
き
)
いた。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
其
(
それ
)
を
片手
(
かたて
)
で
祕
(
かく
)
したけれども、
足
(
あし
)
のあたりを
震
(
ふる
)
はすと、あゝ、と
云
(
い
)
つて
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
も
兩方
(
りやうはう
)
、
空
(
くう
)
を
掴
(
つか
)
むと
裙
(
すそ
)
を
上
(
あ
)
げて、
弓形
(
ゆみなり
)
に
身
(
み
)
を
反
(
そ
)
らして、
掻卷
(
かいまき
)
を
蹴
(
け
)
て、
轉
(
ころ
)
がるやうに
衾
(
ふすま
)
を
拔
(
ぬ
)
けた。……
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
兩方
(
りやうはう
)
の
肩
(
かた
)
と
兩袖
(
りやうそで
)
と
一所
(
いつしよ
)
に
一寸
(
ちよつと
)
搖
(
ゆす
)
つて、
内懷
(
うちぶところ
)
の
紙入
(
かみいれ
)
から
十圓
(
じふゑん
)
也
(
なり
)
、やつぱり
一錢
(
いつせん
)
を
頂
(
いたゞ
)
いた。
九九九会小記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
實
(
じつ
)
は、
弱
(
じやく
)
を、
米
(
こめ
)
の
兩方
(
りやうはう
)
へ
配
(
くば
)
つた
粥
(
かゆ
)
を
書
(
か
)
いて、
以前
(
いぜん
)
、
紅葉先生
(
こうえふせんせい
)
に
叱
(
しか
)
られたものがある。「
手前勝手
(
てまへがつて
)
に
字
(
じ
)
を
拵
(
こしら
)
へやがつて——
先人
(
せんじん
)
に
對
(
たい
)
して
失禮
(
しつれい
)
だ。」その
叱
(
しか
)
られたのは
私
(
わたし
)
かも
知
(
し
)
れない。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
坂
(
さか
)
の
其
(
そ
)
の
兩方
(
りやうはう
)
は、
見上
(
みあ
)
げて
峰
(
みね
)
の
如
(
ごと
)
き
高臺
(
たかだい
)
のなだれた
崖
(
がけ
)
で、……
時
(
とき
)
に
長頭
(
ながあたま
)
が
面
(
おもて
)
を
向
(
む
)
けた
方
(
はう
)
は、
空
(
そら
)
に一二
軒
(
けん
)
、
長屋立
(
ながやだて
)
が
恰
(
あたか
)
も
峠茶屋
(
たうげぢやや
)
と
云
(
い
)
ふ
形
(
かたち
)
に、
霜
(
しも
)
よ、と
靄
(
もや
)
のたゝまり
積
(
つ
)
んだ、
枯草
(
かれくさ
)
の
上
(
うへ
)
に
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まあ、
勿體
(
もつたい
)
ないわねえ、
私達
(
わたしたち
)
に
何
(
なん
)
のお
前
(
まへ
)
さん……」といひかけて、つく/″\
瞻
(
みまも
)
りながら、お
品
(
しな
)
はづツと
立
(
た
)
つて、
與吉
(
よきち
)
に
向
(
むか
)
ひ
合
(
あ
)
ひ、
其
(
そ
)
の
襷懸
(
たすきが
)
けの
綺麗
(
きれい
)
な
腕
(
かひな
)
を、
兩方
(
りやうはう
)
大袈裟
(
おほげさ
)
に
振
(
ふ
)
つて
見
(
み
)
せた。
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
絣
(
かすり
)
の
衣服
(
きもの
)
の、あの
弟御
(
おとうとご
)
が、
廂帽子
(
ひさしばうし
)
を
横
(
よこ
)
ツちよに、
土間
(
どま
)
に
駈足
(
かけあし
)
で、
母樣
(
おつかさん
)
の
使
(
つかひ
)
に
來
(
き
)
て、
伸上
(
のびあが
)
るやうにして
布施
(
ふせ
)
する
手
(
て
)
から、
大柄
(
おほがら
)
な
老道者
(
らうだうじや
)
は、
腰
(
こし
)
を
曲
(
ま
)
げて、
杖
(
つゑ
)
を
持
(
も
)
つた
掌
(
たなそこ
)
に
受
(
う
)
けて、
奴
(
やつこ
)
と
兩方
(
りやうはう
)
へ
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
然
(
さ
)
うした
身
(
み
)
にも、
生命
(
いのち
)
の
惜
(
をし
)
さに、
言
(
い
)
はれた
通
(
とほ
)
りに
目
(
め
)
を
瞑
(
ふさ
)
ぎました
後
(
あと
)
は、
裾
(
すそ
)
が
渦
(
うづ
)
のやうに
足
(
あし
)
に
煽
(
あふ
)
つて
搦
(
から
)
みつきますのと、
兩方
(
りやうはう
)
の
耳
(
みゝ
)
が
風
(
かぜ
)
に
當
(
あた
)
つて、
飄々
(
へう/\
)
と
鳴
(
な
)
りましたのばかりを
覺
(
おぼ
)
えて
居
(
を
)
ります。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兩方
(
りやうはう
)
の
間
(
あひだ
)
には、
袖
(
そで
)
を
結
(
むす
)
んで
絡
(
まと
)
ひつくやうに、ほんのりと
得
(
え
)
ならぬ
薫
(
かをり
)
が
漾
(
たゞよ
)
ふ。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
認
(
みと
)
めたが、
萎々
(
なえ/\
)
として、
兩方
(
りやうはう
)
が
左右
(
さいう
)
から、
一人
(
ひとり
)
は
一方
(
いつぱう
)
の
膝
(
ひざ
)
の
上
(
うへ
)
へ、
一人
(
ひとり
)
は
一方
(
いつぱう
)
の、おくれ
毛
(
げ
)
も
亂
(
みだ
)
れた
肩
(
かた
)
へ、
袖
(
そで
)
で
面
(
おもて
)
をひたと
蔽
(
おほ
)
うたまゝ、
寄縋
(
よりすが
)
り
抱合
(
いだきあ
)
ふやうに、
俯伏
(
うつぶ
)
しに
成
(
な
)
つて
惱
(
なや
)
ましげである。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兩方
(
りやうはう
)
のふちを
挾
(
はさ
)
んで、
雜草
(
ざつさう
)
を
植込
(
うゑこ
)
んだのが、やがて、
蚊帳
(
かや
)
つり
草
(
ぐさ
)
になり、
露草
(
つゆくさ
)
になり、
紅蓼
(
べにたで
)
になつて、
夏
(
なつ
)
のはじめから、
朝露
(
あさつゆ
)
、
夕露
(
ゆふつゆ
)
、……
夜
(
よる
)
は
姿
(
すがた
)
が
隱
(
かく
)
れても、
月
(
つき
)
に
俤
(
おもかげ
)
の
色
(
いろ
)
を
宿
(
やど
)
して、
蟲
(
むし
)
の
聲
(
こゑ
)
さへ
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
村
(
むら
)
へ
掛
(
かゝ
)
ると、
降積
(
ふりつも
)
つた
大竹藪
(
おほたけやぶ
)
を
弓形
(
ゆみなり
)
に
壓
(
あつ
)
したので、
眞白
(
まつしろ
)
な
隧道
(
トンネル
)
を
潛
(
くゞ
)
る
時
(
とき
)
、
雀
(
すゞめ
)
が、ばら/\と
千鳥
(
ちどり
)
に
兩方
(
りやうはう
)
へ
飛交
(
とびかは
)
して
小蓑
(
こみの
)
を
亂
(
みだ
)
す
其
(
そ
)
の
翼
(
つばさ
)
に、
藍
(
あゐ
)
と
萌黄
(
もえぎ
)
と
紅
(
くれなゐ
)
の、
朧
(
おぼろ
)
に
蝋燭
(
らふそく
)
に
亂
(
みだ
)
れたのは、
鶸
(
ひわ
)
、
山雀
(
やまがら
)
、
鸞
(
うそ
)
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
對岸
(
たいがん
)
(——
橋
(
はし
)
を
渡
(
わた
)
つて
俥
(
くるま
)
は
湯
(
ゆ
)
の
原
(
はら
)
の
宿
(
しゆく
)
の
裏
(
うら
)
を
眞正面
(
ましやうめん
)
の
坂
(
さか
)
を
上
(
のぼ
)
る——)に
五層
(
ごそう
)
七層
(
しちそう
)
を
連
(
つら
)
ねた
中
(
なか
)
に、
一所
(
ひとところ
)
、
棟
(
むね
)
と
棟
(
むね
)
との
高
(
たか
)
い
切目
(
きれめ
)
に、
樅
(
もみ
)
か
欅
(
けやき
)
か、
偉
(
おほい
)
なる
古木
(
こぼく
)
の
青葉
(
あをば
)
を
卷
(
ま
)
いて、
其
(
そ
)
の
梢
(
こずゑ
)
から
兩方
(
りやうはう
)
の
棟
(
むね
)
にかゝり
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
凧
(
たこ
)
、
皆
(
みな
)
いかとのみ
言
(
い
)
ふ。
扇
(
あふぎ
)
の
地紙形
(
ぢがみがた
)
に、
兩方
(
りやうはう
)
に
袂
(
たもと
)
をふくらましたる
形
(
かたち
)
、
大々
(
だい/\
)
小々
(
せう/\
)
いろ/\あり。いづれも
金
(
きん
)
、
銀
(
ぎん
)
、
青
(
あを
)
、
紺
(
こん
)
にて、
圓
(
まる
)
く
星
(
ほし
)
を
飾
(
かざ
)
りたり。
關東
(
くわんとう
)
の
凧
(
たこ
)
はなきにあらず、
名
(
な
)
づけて
升凧
(
ますいか
)
と
言
(
い
)
へり。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おやと
思
(
おも
)
ふと
斜
(
はす
)
かひに、
兩方
(
りやうはう
)
へ
開
(
ひら
)
いて、ギクリ、シヤクリ、ギクリ、シヤクリとしながら、
後退
(
あともど
)
りをするやうにして、あ、あ、と
思
(
おも
)
ふうちに、スーと、あの
縁
(
えん
)
の
突
(
つき
)
あたりの、
戸袋
(
とぶくろ
)
の
隅
(
すみ
)
へ
消
(
き
)
えるんです。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
卓子
(
テエブル
)
の
其處
(
そこ
)
へ、
花片
(
はなびら
)
の
翼
(
つばさ
)
を
兩方
(
りやうはう
)
、
燃立
(
もえた
)
つやうに。
印度更紗
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
驛員等
(
えきゐんら
)
は
衝
(
つ
)
と
兩方
(
りやうはう
)
へ。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
兩
部首:⼊
8画
方
常用漢字
小2
部首:⽅
4画
“兩方”で始まる語句
兩方共
兩方樣