れい)” の例文
「いつのまに、こんなにはや時間じかんがたったろう。」と、つぶやきながら、れいのレストランのまえへくると、もうみせまっていました。
世の中へ出る子供たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんな素直すなおかんがえもこころのどこかにささやかないでもなかったのですが、ぎの瞬間しゅんかんにはれいけぎらいがわたくし全身ぜんしんつつんでしまうのでした。
ひげむしやの鳥居とりゐさまがくちから、ふた初手しよてから可愛かわいさがとおそるやうな御詞おことばをうかゞふのも、れい澤木さわぎさまが落人おちうど梅川うめがはあそばして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたしはその週のあいだかけっぱなしにしておいたれいのハープをはずして持って来る。そうして四人の兄弟姉妹しまいにおどりをおどらせる。
しかこれきたはなしとか、交際かうさいとかとふものとはまたべつで、あま適切てきせつれいではりませんが、たとへば書物しよもつはノタで、談話だんわ唱歌しやうかでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
このとき、またおかしかつたのはれい平松刑事ひらまつけいじが、相変あいかわらず金魚きんぎょのことをにしていたことである。よほどの金魚好きんぎょずきにちがいない。
金魚は死んでいた (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
それは、しろ公を、れいの「さっぱ船」にのせ、自分が船をこいで、とうとうおっかさんのおさとまで、入江いりえわたってしまったのです。
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
鍛冶かぢとき仕事しごとつかへてたが、それでもういふ職業しよくげふくべからざる道具だうぐといふと何處どこでもさういふれいすみやかこしらへてくれた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかるに文政八酉の十二月、れいの如く薪を拾ひに出しに、物ありてはしらのごとく浪にたゞよふをみれば人のかしらとみゆる物にて甚兇悪きやうあくなり。
細君さいくん宗助そうすけるやいなや、れいやはらかいした慇懃いんぎん挨拶あいさつべたのち此方こつちからかうとおもつて安井やすゐ消息せうそくを、かへつてむかふからたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
武村兵曹たけむらへいそうその仲間なかまつて、しきりに愉快ゆくわいだ/\とさはいでつたが、何時いつ何處どこから聞知きゝつけたものか、れい轟大尉とゞろきたいゐ虎髯とらひげはぬつとすゝ
さく三十七ねん十二ぐわつ某夜ばうやことなりき、れいごと灌水くわんすゐへてじよくねむりきしもなく、何者なにものきたりて七福しちふくあたふとげたりとゆめむ。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
れいしたいて悠々いう/\小取廻ことりまはし通抜とほりぬける旅僧たびそうは、たれそでかなかつたから、さいはひ其後そのあといてまちはいつて、ほツといふいきいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
するとあるとき、ライオンが猟人かりうどつかまつてしばられたとこへれいねづみて「おぢさん、つといで」とつてしばつたなわ噛切かみきつてやりました。
つて、それ引揚ひきあげたが、如何どうつてえられぬので、ふたゝ談判だんぱんかうとおもつてると、友人いうじん眉山子びさんしれい自殺じさつ
前記ぜんき但馬地震たじまぢしん丹後地震たんごぢしんごときは初期微動繼續時間しよきびどうけいぞくじかんもつとみじかかつた稀有けうれいであるので、むし例外れいがいとみてしかるべきものである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
祖母おばあさんはれい玄關げんくわんわきにあるはた腰掛こしかけまして、羽織はおりにするぢやう反物たんものと、子供こどもらしい帶地おびぢとを根氣こんきつてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おどろいてめたが、たしかにねここゑがする、ゆめかいか、はねきてたらまくらもとにはれい兒猫こねこすはつてゐた、どこからしのんでたのやら。
ねこ (旧字旧仮名) / 北村兼子(著)
花前は主人にたいしても、ただれいのごとくちょっと頭をさげたばかりである。かえって主人のほうからしたしくことばをかけた。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
其所そこれい唱歌しやうか一件いつけんだがね、ぼく色々いろ/\かんがへたが今更いまさら唱歌しやうかにもおよぶまいとおもふのだ如何どうだらう。『ろ』で澤山たくさんじやアないか。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
此方こち昔馴染むかしなじみのヸーナス殿どのめさっしゃい、乃至ないし盲目めんない息子殿むすこどのれいのコーフェーチュアのわうさんが乞食娘こじきむすめれた時分じぶん
供へいづれも豐島屋十右衛門と云ふ奉納ほうなふめいあり是れ亦今以て存すと云ふ或日此豐島屋の店へ往來者大勢入り込みれいの如く居酒を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
為朝ためともれいの二十八をつれて西にしもんまもっておりますと、そこへ清盛きよもり重盛しげもり大将たいしょうにして平家へいけ軍勢ぐんぜいがおしよせてました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
或る人民のこのんでくらふ物を他の人民はててかへりみず、或る人民の食ふ可からずとするものを他の人民はよろこんで賞玩せうくわんするの類其れいけつして少からす。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
綺麗きれいつくつてからかへると、つま不図ふと茶道具ちやだうぐともなかとをわたしそばはこんで、れいしとやかに、落着おちついたふうで、ちやなどれて、四方八方よもやまはなしはじめる。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
宮内はそこにおいをおろして、らしてある落葉おちばのあとをたどっていった。そして、れいなら断崖だんがいから深いところの水面をのぞいてみて
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もつとも、いにしへ和名わめい漢字かんじ充當じうたうしたのが、漢音かんおんかた變化へんくわともなうて、和名わめい改變かいへんせられたれいは、古代こだいから澤山たくさんある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
ところで、わたし球突たまつきはじめたのは三田の文科ぶんくわ豫科よくわ生だつた二十一の時で、あきれいのやうにからだをわるくして伊豆いづ山の相模屋旅館さがみやりよくわんに一月ほどをくらしたが
文壇球突物語 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
甚兵衛は、みやこの一番にぎやかな場所ばしょに、ただちに小屋こやがけをしまして、「世界一の人形使い、ひとりでおどるひょっとこ人形」というれい看板かんばんをだしました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
といつて、れいくるまをさしせると、不思議ふしぎにもかたとざした格子こうし土藏どぞう自然しぜんいて、ひめからだはする/\とました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
これは世間せけん評判ひようばんと、ほんとうのもののねうちとは、たいていの場合ばあひ一致いつちしてゐないそのもっとも適當てきとうれいであります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それもどうものぞみはないらしいですがね、それよりもかねことですよ。先刻さつきぼく此處ここはひらうとすると、れいのあの牧師ぼくしあがりの會計くわいけい老爺おやぢめるのです。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
清造は、「あっ」といって驚いて目をつぶると、いきなりまた、れいの沼が目の前に浮かんで来たのです。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
その時に限らず、母親の膝を枕に、わたしの父親の話——御国みくにめに戦死したえらい父親の話を聞いてると、いつもわたしほうに冷たいものゝ落ちるのがれいであつた。
父の墓 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
あの法隆寺ほうりゆうじ金堂こんどう五重ごじゆうとう中門ちゆうもんなどが一番いちばんふるいもので、千何百年せんなんびやくねんながいあひだ木造もくぞう建築けんちくがそのまゝつたはつてゐるといふことは、世界せかいにもあまれいのないことです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
大長谷皇子おおはつせのおうじは、まもなく雄略天皇ゆうりゃくてんのうとしてご即位そくいになり、大和やまと朝倉宮あさくらのみやにおうつりになりました。皇后には、れい大日下王おおくさかのみこのお妹さまの若日下王わかくさかのみこをお立てになりました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
川をわたってからやく二マイルのところがれい難所なんしょなのだ。機関士きかんしも、十分じゅうぶん速度そくどおとしはするが、後部こうぶのブレーキは、どうしてもまかなければならないことになっている。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
堂のうしろの方に、仏法ぶつぱん々々とこゑちかく聞ゆるに、貴人さかづきをあげ給ひて、れいの鳥絶えて鳴かざりしに、今夜こよひ酒宴しゆえん一一八はえあるぞ。紹巴ぜうは一一九いかにとおほせ給ふ。
れいの通りおく一間ひとまにて先生及び夫人と鼎坐ていざし、寒暄かんけん挨拶あいさつおわりて先生先ず口を開き、このあいだ、十六歳の時咸臨丸かんりんまるにて御供おともしたる人きたりて夕方まではなしましたと、夫人にむかわれ
まどから半身はんしんしてゐたれいむすめが、あの霜燒しもやけのをつとのばして、いきほひよく左右さいうつたとおもふと、たちまこころをどらすばかりあたたかいろまつてゐる蜜柑みかんおよいつむつ
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
と見ると茶店の方から古びた茶の中折帽なかおれぼうをかぶって、れいくせ下顋したあごを少し突出し、れ手拭を入れた護謨ごむふくろをぶらげながら、例の足駄あしだでぽッくり/\刻足きざみあしに翁が歩いて来る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
文句もんく色々いろ/\へて、あるひつよく、あるひよわく、あるひのゝしり、あるひはふざけ、種々樣々しゆ/″\さま/″\こといてやつた。中途ちうとへたたれてはまつたてき降伏かうふくするわけだから、れい持藥ぢやくのつもりで毎日まいにちいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
(2) 歳出上さいしゅつじょう政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハすべテ第六十七条ノれい
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
明後日あさつてコロンボにると云ふ日の夜、音楽会のありとてベツカの君誘ひ給ひたれば、れいは波のおとたゞ聞きふけりて過ぎし日のまぼろしを追ふ頃を、髪上げきぬへて甲板かふばんで申しさふらふに
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
いづれも渋々しぶ/\食堂しよくだうりて、れいつてうまくもなんともない晩餐ばんさん卓子テーブルく。食事しよくじがすんでまた甲板かんぱんると、すでにとツぷりとれて、やツとのことでふね桟橋さんばしよこづけになつたらしい。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
これは現在げんざいにあるれい説明せつめいしたら、いくらかわかりやすからうとおもつたからである。
寒山拾得縁起 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
まづ責任せきにん閑過かんくわする一れいまをしませう。それはおも外出ぐわいしゆつなどについおこ事柄ことがらで、塾生じゆくせい無論むろんわたくしおやから責任せきにんもつあづかつてゐるのですから出入ではいりつきては行先ゆくさき明瞭めいれうにしてきます。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
からだの大きい、顔のたいへん赤く、鼻のとがった、そしてほそい口髭くちひげのある、目のするどい人物でありました。その紳士が、れいのふかふかした肘かけ椅子に、どっかり腰をおろしました。
豆潜水艇の行方 (新字新仮名) / 海野十三(著)
解禁かいきん確定かくていした今日こんにちおいては日本にほん貨幣價値くわへいかちもとふくして百ゑん貨幣くわへいは百ゑん通用つうようするやうになつてまへれいげた一ヤール五ゑん五十五せん輸入ゆにふ羅紗ラシヤは五ゑんへるやうになつたのである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
しかし中央部の多くのれいでもわかるように、ケンズイに酒を出す場合はむしろすくなく、ただの飯の残りを出すこともあれば麦のお粥もあり、土地によってはまた厚朴ほおの葉でつつんだ強飯こわめし
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)